大阪市会だより 平成28年 1月号 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 謹んで新春のお慶びを 申しあげます  市民の皆様方におかれましては、ご健勝にて新春をお迎えのことと、心からお慶び申しあげますとともに、平素より大阪市政の推進にご理解とご協力を賜り、深く感謝申しあげます。  大阪市会では、社会情勢や市民ニーズに対応した改革や施策の推進に努めております。引き続きご支援ご協力を賜りますようお願いいたします。  皆様方にとりまして、今年も良い年でありますよう心からお祈り申しあげます。 大阪市会議長 東 貴之 平成26年度公営・準公営企業会計決算が認定される  大阪市会は、おもに平成26年度公営・準公営企業会計決算や一般会計等決算などを審議する平成27年第3回定例会を開きました。  公営・準公営企業会計の決算報告については、9月25日の本会議において、市長の説明を受けた後、決算特別委員会を設置・付託し、裏面右下に記載の日程により、審査を行い、10月23日の本会議において、賛成多数により認定しました。  このほか、9月25日の本会議では、「地方創生に係る新型交付金等の財源確保を求める意見書案」などを議決し、10月9日の本会議では、大阪港、堺泉北港及び阪南港における港湾管理業務の一元化など府市統合関連の8議案及び市立幼稚園の廃止・民営化関連の7議案を否決したほか、一般会計補正予算などを議決しました。また、10月23日の本会議では、地下鉄・バスの民営化に向けた基本方針を議会の議決事項とする条例案、常任委員長・副委員長の報酬を減額する「大阪市会議員の報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例案」や「公立大学の制約の解消を求める意見書案」などを議決しました。 ※平成27年第3回定例会の一般会計等決算の審査の模様などは、2月1日に発行予定の「大阪市会だより平成28年2月号」に掲載します。 ~決算特別委員会の質疑から~  公営・準公営企業会計決算を審議する決算特別委員会では、10月13日から16日までの4日間、各委員がさまざまな観点から質疑を行いました。  そのおもな内容を10月23日の本会議で行われた決算特別委員長の審査報告をもとに紹介します。 多賀谷 決算特別委員長 交  通 問 バス事業の経営健全化については 答 バス事業の平成26年度決算では、住之江用地土地信託事業にかかる和解金の支払い財源として、高速鉄道事業会計から160億円を一時借り入れたことで資金不足比率が140.9%となり、「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」における経営健全化基準である20%を大きく超えたことから、平成27年度中に経営健全化計画を定め、国へ報告しなければなりません。  経営健全化計画については、個別外部監査の結果や民営化に関する市会の議論を踏まえ策定することになりますが、公営のままでは、巨額の資金不足を解消していくことは困難であり、負債処理は民営化による破綻処理の中でしか対応できないと考えていることから、計画には、バス事業の民営化を盛り込んでいく必要があります。 問 地下鉄・バス事業の民営化については 答 地下鉄事業については、当面、大阪市が100%出資する株式会社が経営します。  バス事業については、負債処理を民営化による破綻処理の中で対応したうえで、事業そのものは、高速鉄道事業会計で100%出資している大阪シティバス株式会社が引き継ぎ、同社を地下鉄新会社の子会社とし、企業グループとして運営していきます。これにより、現在のバス・地下鉄乗継割引制度の維持など、サービスの一体性も発揮できます。  民営化後は、地下鉄新会社から大阪シティバス株式会社に対し、運営費の補助や赤字の補てんのような財政支援を行うことは想定していませんが、例えば、資金調達時における親会社の信用力の活用や子会社の経営状況分析と改善に向けたアドバイスなどを通じ、地下鉄新会社は大阪シティバス株式会社の経営をサポートしていきます。  また市長は、交通局には、早く公営企業の枠を取り除いて、思う存分、新しい視点での交通事業を展開してもらいたい。基本的には経営のプロに任せて、民間的な経営で対応しがたい部分について、公として関与していくという役割分担が必要である。交通事業には改革の余地はまだまだあるが、公営企業のままでの改革には限界があると考えていると答弁しました。 水  道 問 水道事業の経営形態の見直しについては 答 大阪市が水道施設を保有したまま、運営権を民間事業者に付与する「公共施設等運営権制度」を活用することで、民による経営の自由度を最大限に活用し、一層の効率性と事業の発展性を追求する一方、大阪市は水道施設の所有者として、安心・安全の確保や水道料金の設定などに関し、引き続き適切な管理を行うことが可能となります。  運営権制度の活用は、公共性の極めて高い水道事業の特性を踏まえつつ、厳しい経営環境にある大阪市水道事業の課題解決及び将来にわたる事業持続性の確保に寄与するものであり、公営企業を含むさまざまな経営形態の中で、最善の手法であると認識しています。  大阪市と運営会社との契約期間は30年の有期契約となりますが、適正な料金水準のもとで、将来にわたり高水準の水道サービスを提供し続けるために、30年という事業期間にとらわれることなく、長期的な視点で事業運営を担える人材の確保、育成が不可欠となります。  そのような観点から、大阪市が求めるサービスレベルが満たされることを条件に、運営会社との契約期間を延長できるなど、契約期間満了後も引き続き、運営会社のノウハウ、人材を活用することを一定担保する仕組みの導入を検討しています。  また、運営権制度では、運営会社が水道料金を収受して事業運営を行う権利を得ることから、大阪市は運営会社に対して、運営権に見合う対価などの支払いを求めることができます。  運営会社が大阪市に支払う対価については、水道料金を算定するための原価の一部となることを念頭に、減価償却費や企業債の支払利息額など水道施設を保有する大阪市において事業期間中に発生する費用相当の約4,000億円と算定しています。  また市長は、運営権制度を活用した、いわゆる水道事業の民営化は、国と膨大な調整を行い、数年にわたって検討した結果できあがったプランであり、これ以上、この案より優れた経営形態の変更案は出しようがないと答弁しました。 決算特別委員会委員(公営・準公営企業会計) 委員長 (自民) 多賀谷俊史 副委員長 (自民) 永井 啓介  (維新) 大橋 一隆 委  員 (維新) 竹下  隆  德田  勝  杉山 幹人          ⻆谷 庄一  梅園  周  伊藤 良夏          高見  亮  田辺 信広      (自民) 山本 長助  福田 武洋  髙野 伸生      (公明) 山本 智子  八尾  進  西  徳人          杉田 忠裕  西﨑 照明      (共産) 瀬戸 一正  こはら孝志      (みらい) 武  直樹 平成26年度公営企業会計決算概要(収益的収支) 事 業 収 益 費 用 差 引 平成26年度 未処分利益剰余金 (△未処理欠損金) バ ス 億 219 万円 5,222 億 502 万円 0,757 億 △282 万円 5,534 億 △806 万円 6,304 地下鉄・ ニュートラム 1,666 8,219 2,253 2,527 △586 4,308 807 1,089 水 道 676 1,911 689 8,287 △13 6,376 336 2,583 工業用水道 19 8,813 15 4,779 4 4,033 45 4,011 中央卸売市場 問 平成21年度に策定した経営健全化計画の実施状況や市場運営の方向性については 答 経営健全化計画については、東日本大震災などの影響による電気料金や労務費単価の上昇により、光熱水費や委託料などが増加したものの、保守・修繕計画や入札方法の見直しなどにより、物件費の増加を抑制する一方、人件費についても、計画を上回る職員数の見直しを実施したことで、支出については、計画以上に削減することができました。  収入についても、計画ほど減少しなかったことから、結果として、資金不足比率については、平成26年度計画値68.7%に対して実績値が23.3%と、計画を45.4ポイント上回る改善となり、目標年度である平成28年度までには、ほぼ確実に計画を達成できます。  また、市場運営の方向性については、厳しい経営状況を踏まえ、より効率的な管理運営を図るため、民間活力を活用する必要があると認識しています。  その手法として、最も高い経費削減効果が期待できる指定管理者制度の導入については、これまでの市会からの意見・指摘や今後の状況などを踏まえて、検討を継続したいと考えていますが、当面は、委託の拡大などによるさらなる管理運営経費の削減に取り組んでいきます。 【中央卸売市場本場】 港  営 問 大阪港埋立事業については 答 埋立事業における平成26年度の土地売却状況については、予算額の50億4,600万円に対し、決算額はそれを上回る66億7,000万円となっています。  将来の事業収支については、財務リスクを把握し、より一層の経営健全化を図ることを目的として、「大阪港埋立事業の長期収支見込」を作成し、管理を行っていますが、今後10年間は企業債の償還等による資金不足は発生しません。  現在、物流用地を中心に不動産市況は回復傾向にあり、土地売却収益も安定してきていますが、不動産市況が回復してきている今こそ、企業ニーズを的確に把握し、適切な時期を逃すことなく積極的に売却を進めていきます。 問 港湾施設提供事業の民営化については 答 事業を民間に委ねた場合には、民間事業者の独占的、排他的な利用となり、前面の岸壁も公共的側面を失うことが懸念されます。  また、港湾法や国有財産法の規定・理念に従い、公共係留施設に接する水際線の荷さばき施設の運営については、公共性を阻害しないよう留意すべきであることから、現在の荷さばき施設を民間に委ねることについては、慎重であるべきと考えています。 【南港の荷さばき施設】 下 水 道 問 下水道事業の経営形態の見直しについては 答 下水道施設は大阪市が保有し、運営管理を民間事業者が行う上下分離方式による経営形態の見直しを進めており、現在は、フェーズ1(第1段階)として、大阪市の外郭団体である一般財団法人都市技術センターを暫定活用し、施設の管理運営の包括委託を実施しています。  今後は、フェーズ2(第2段階)として、平成28年度に運営管理を担わせるために設立する新組織に職員を転籍させたうえで、平成29年度から包括委託を開始し、最終のフェーズ3(第3段階)において、公共施設等運営権制度の導入をめざします。  平成28年度に設立予定の新組織の法人形態については、経営の効率化をさらに進めていくために、設立当初は大阪市が100%出資する株式会社とします。  また、市民の生命と財産を浸水から守るという責務を確実に果たすために、大阪市下水道の運転維持管理についての豊富な知識やノウハウが不可欠なことから、市職員の新組織への転籍を促すとともに、当面の間、随意契約を行う予定です。  そのうえで、民間の経営ノウハウを導入して、さらなる効率化を推進するとともに、国内外への多角的な事業展開を拡大していくためには、民間との多様なパートナーシップが有効であることから、取締役や社外監査役など経営陣に民間人材を積極的に登用するとともに、将来的には民間資本の参画についても進めていきます。 その他のおもな質疑項目 ○交通局のICカード戦略 ○敬老パス制度 ○市バスの利便性の向上 ○新たな交通ネットワークの構築 ○水道事業における新たなビジネス展開 ○水道管路の整備 ○水道の検針におけるスマートメータの取り組み(※1) ○元扇町庁舎用地の活用 ○食の安全・安心に対する取り組み ○阪神インランドコンテナデポ(※2) ○鶴浜地区の現状と今後の取り組み ○南港ポートタウン地区の未利用地 ○国際コンテナ戦略港湾 ○港湾管理の一元化 ○浸水対策 など (※1)スマートメータ…無線機能付きメータ (※2)インランドコンテナデポ…内陸部にある空コンテナの一時保管場所 平成26年度準公営企業会計決算概要(収益的収支) 事 業 収 益 費 用 差 引 平成26年度 未処分利益剰余金 (△未処理欠損金) 中央卸売 市場 億 79 万円 8,849 億 102 万円 5,054 億 △22 万円 6,205 億 △346 万円 5,553 港 営 185 5,452 1,212 8,210 △1,027 2,757 △1,635 6,679 下水道 826 6,594 874 8,594 △48 2,000 1,417 9,970 ※1万円未満切り捨て 可 決 し た 意 見 書 ○地方創生に係る新型交付金等の財源確保を求める意見書 ○認知症への取り組みの充実強化に関する意見書 (以上9月25日) ○公立大学の制約の解消を求める意見書 ○リニア中央新幹線の全線同時開業を求める意見書 ○中小企業庁や特許庁の大阪移転による首都機能の分散化を求める意見書 (以上10月23日)  会議の詳細な結果は、大阪市会ホームページの「会議の結果」をご覧ください。可決した意見書・決議、議案の修正や附帯決議についても、全文を掲載しております。  また大阪市会ホームページでは、議会中継をご覧いただけます。本会議・委員会当日のライブ中継や、会議録が作成されるまでの間は、録画放映も行っています。  会議録(本会議録・委員会記録)については、作成でき次第、市会ホームページの会議録検索システムに掲載するほか、市会図書室(市役所7階)、市立中央図書館などでご覧いただけます。 ○大阪市会ホームページ http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 市 会 の 動 き 9/ 15(火) 招集告示[9~1月定例会] 25(金) 〈開会〉本会議(公営・準公営企業会計決算の市長説明など) 28(月) 決算特別委員会【公営・準公営】(正副委員長の互選、説明など) 10/2(金) 5(月) 常任委員会(付託案件の審査、請願書・陳情書の審査など) 6(火) 9(金) 本会議(常任委員会付託案件の議決など) 13(火) 決算特別委員会【公営・準公営】(質疑) 14(水) 決算特別委員会【公営・準公営】(質疑) 15(木) 交通水道委員会(付託案件の審査) 決算特別委員会【公営・準公営】(質疑) 16(金) 決算特別委員会【公営・準公営】(質疑) 22(木) 決算特別委員会【公営・準公営】(付託案件に対する態度決定) 23(金) 交通水道委員会(付託案件に対する態度決定) 本会議(公営・準公営企業会計決算の議決など) ※大阪市会だよりは新聞折込みでお届けします。折込みは、朝日・毎日・読売・産経・日本経済新聞の朝刊です。この5つの新聞を購読されていない方でご自宅への郵送をご希望の場合は、電話・ファックス等で市会事務局政策調査担当へお申し込みください。なお、次号は平成28年2月1日(月)に発行する予定です。