大阪市会だより 平成28年 2月号 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 平成26年度一般会計等決算が認定される  大阪市会は、おもに平成26年度公営・準公営企業会計決算や一般会計等決算などを審議する平成27年第3回定例会を開きました。  一般会計等の決算報告については、11月26日の本会議において、市長の説明を受けた後、決算特別委員会を設置・付託し、右に記載の日程により、審査を行い、12月17日の本会議において、賛成多数により認定しました。  このほか、12月17日の本会議では、一般会計補正予算や空家等対策の推進に関する特別措置法に規定する協議会として大阪市に空家等対策協議会を置くことを定めた「大阪市空家等対策協議会条例案」、大阪戦略調整会議の副会長を2人とする「大阪戦略調整会議の設置に関する条例の一部を改正する条例案」などを議決しました。 ※会議の詳細な結果については、大阪市会ホームページの「会議の結果」をご覧ください。なお、1月14日・15日に行われた各会派の一般質問の概要については、3月1日に発行予定の「大阪市会だより平成28年3月号」に掲載します。 市 会 の 動 き 10/30(金) 都市経済委員会(付託案件の審査) 11/26(木) 本会議(一般会計等決算の市長説明など) 27(金) 決算特別委員会【一般】(正副委員長の互選、説明など) 12/1(火)~4(金) 7(月) 決算特別委員会【一般】(質疑) 9(水) 10(木) 常任委員会(付託案件の審査、陳情書の審査など) 11(金) 16(水) 決算特別委員会【一般】(付託案件に対する態度決定) 17(木) 都市経済委員会(付託案件に対する態度決定) 財政総務委員会、教育こども委員会、民生保健委員会 (付託案件の審査) 本会議(一般会計等決算の議決など) ~決算特別委員会の質疑から~  一般会計等決算を審議する決算特別委員会では、12月1日から4日及び7日の5日間、各委員がさまざまな観点から質疑を行いました。  そのおもな内容を12月17日の本会議で行われた決算特別委員長の審査報告をもとに紹介します。 片山 決算特別委員長 決算特別委員会委員(一般会計等) 委員長 (維新) 片山 一歩 副委員長 (維新) 奥野 康俊  (自民) 太田 晶也 委  員 (維新) 井戸 正利  広田 和美  藤田あきら  金子 恵美 守島  正  今井アツシ  丹野 壮治      (自民) 前田 和彦  荒木  肇  有本 純子  北野 妙子      (公明) 佐々木哲夫  則清ナヲミ  山田 正和  土岐 恭生 辻  義隆      (共産) 井上  浩  小川 陽太      (みらい) 森山よしひさ 財 政 問 題 大阪市の財政状況については 平成26年度決算では、企業収益の改善による法人市民税の増加や、投資的・臨時的経費の圧縮などに引き続き取り組んだ結果、実質的な決算規模は抑制基調を維持しており、実質収支も26年連続の黒字となりました。  しかし、大阪市の今後の財政収支概算(粗い試算)では、当面は年間約200億円から300億円の通常収支不足が見込まれることから、大阪市の財源にゆとりが生じたという状況には程遠く、引き続き自律的な改革に取り組み、持続可能な財政構造を構築する必要があります。 大阪市の未収金回収の取り組みについては 大阪市の一般会計等における未収金の残高については、平成26年度末で552億円となっており、平成29年度末の残高目標を435億円以下に設定し、削減に努めています。  なかでも国民健康保険料の未収金は200億円以上にのぼり、市民税や固定資産税などの滞納による未収金に比べて削減率は低い状況ですが、区長マネジメントによる、区域の特性に応じた収納率向上に向けた取り組みを推進するなど、局と区が一体となって削減に努めます。 教 育 施 策 校長公募については 校長の選考は、柔軟な発想や企画力、組織経営力により、魅力的で充実した教育活動を展開できる人材を広く求めることを目的に、内外公募によって行ってきましたが、平成25年度採用の外部人材で不祥事等により途中退職する校長が相次いだことを受け、選考方法の見直しについて「公募制度のあり方検討プロジェクトチーム」において検討してきました。この結果を踏まえ、平成26年度実施の校長公募では、内外人材同一の取り扱いを基本理念に掲げるとともに、指導力や協調性等の多面的な評価を目的とした集団討論を導入するなど、選考方法の大幅な変更を行い、より一層人物本位で厳正な選考となるよう改善しました。  平成27年度に実施した選考では、退職や再任用の状況等を考慮し、全体の合格者数を例年より少なくしたため、合格者数は平成26年度から37人減の42人となり、そのうち外部合格者は1人となりました。  内外公募により人材を広く求めることは今後も意義があると考えており、厳正な選考を通じて、教職員と信頼関係を構築し、保護者や地域住民と連携協力できると評価した人材については、内外問わず登用していきます。 中学校給食の改善については 平成26年4月から、各学校の状況にあわせて全学年一斉または新入生からの学年単位による全員喫食を実施しています。平成27年度からは、学年単位での全員喫食を1・2年生に拡大しており、平成28年度は、全校・全学年で全員喫食にできるよう調理事業者等と調整しています。  デリバリー方式の給食については、食缶を用いた温かいおかずの提供や献立内容の充実等に努めるとともに、保健所と連携した異物混入対策の強化や配膳時間短縮に向けた運搬方法の改善等に取り組んできましたが、残食率は約30%という状況にあり、今後もさらなる改善が必要です。  一方、平成27年9月からモデル実施中の近隣の小学校で調理した給食を運ぶ「親子方式」による給食では、温かいおかずの提供や子どもたちの状況に合わせた分量調整も可能となり、残食率も約6%と大幅に減少しています。  給食の実施方式については、既存施設の活用により初期投資が比較的低コストである「親子方式」を中心に、大規模校等については「自校調理方式」を組み合わせた、いわゆる「学校調理方式」への移行を進めており、平成27年度から平成32年度までの6年間で、小学校と同レベルの温かい給食を提供していく計画です。 学校教育ICT活用事業については 平成25年度及び平成26年度は、モデル校による実証研究を行い、タブレット端末などのICT機器を活用した授業の効果検証や実践事例の蓄積等に取り組んだ結果、授業の質や学びの質において一定の成果が見られました。また、タブレット端末の利用率が高い学校では、学力の向上においても効果が確認できたものの、学力面の効果では学校や教科により差が見られるなど、事業の成果は明確になっておらず、引き続き検証が必要です。  平成27年度は、モデル校での実証研究に基づき、全ての小中学校にタブレット端末各40台を基本に整備を行い、また、モデル校を各区に1校以上の配置となるよう、新たに小学校14校、中学校6校を追加設置する予定であり、実証データのさらなる蓄積などにより、きめ細やかな効果検証に努めます。  また市長は、大阪市のモデル校での実証研究は、普通の基礎自治体であれば全市展開なみの規模である。一部のモデル校に予算や人材を集中するのが本来のモデル事業のあり方であるが、現在の大阪市では全区にモデル校をつくらざるを得ない。全市一律で新たな事業を展開しようとすれば、スケール・デメリットが生じるため、これを解消するには組織や制度を変えることが不可欠であると答弁しました。 未利用地の活用 未利用地の売却の促進や今後の有効活用については 未利用地については、平成19年に策定した「大阪市未利用地活用方針」に基づき、土地保有の必要性とのバランスを考慮しながら、可能な限り売却を進めています。  売却目標は一般会計で1,500億円に設定し、平成30年度末を期限として売却に取り組んでいますが、平成26年度は142億円の目標に対して実績は約53億円、平成27年度は209億円の目標に対して平成27年11月末時点の実績は約18億円となっています。  未利用地の活用は、まちづくりや防災などの観点から、将来に備えて継続保有することが適当と認められるものは、売却しないこととしていますが、さらなる有効活用に向けて、専門家など第三者による客観的な意見を聞く仕組みづくりなどを検討します。  また、関係局で構成する「資産流動化プロジェクト・用地チーム」が進行状況の管理を行うとともに、土地を所管する各区・各局に対する助言等を行っていますが、多様化・複雑化する管財事務に的確に対応できるようなサポート制度の確立等に取り組むことで、市有財産のより効率的な運用に努めていきます。 待機児童解消 待機児童解消に向けた取り組みについては 平成26年度においては2,068人分の保育枠を新たに整備しましたが、地域ニーズや児童の年齢によっては入所希望が増加したことや、保育所等の整備が進んだことによる保育需要の呼び起こしなどの要因により、平成27年4月の待機児童数は217人と、依然として解消には至っていません。  平成28年4月時点での厚生労働省定義による待機児童解消をめざすとともに、国の待機児童解消加速化プランを踏まえ、平成30年4月までに、入所保留児童も含めた保育を必要とする全ての児童の入所枠確保に向けて、保育所のほか、認定こども園や小規模保育事業所等の計画的な整備を進めています。  また、市政改革プランに基づき実施している保育所の民間移管においては、移管に際して入所枠の拡大が図られるよう努めており、移管に伴う職員数見直し等により生まれた財源を待機児童の解消策にも活用しています。  新たな入所枠の確保に向けた私立幼稚園の認定こども園への移行については、私立幼稚園が他の就学前施設に比べ、施設や用地に余裕のある園が多いことから、より移行しやすくなるような方策を検討します。  また、国の特区制度により可能となった都市公園内への保育所設置については、大阪市における保育所等の整備が民間物件を活用した公募方式のみとしているため、導入には大きな政策転換が必要となります。  公園用地は市民の貴重な財産であるため、公園用地以外に適切な候補地がないかの見極めや地元の合意が必要不可欠であり、これらの課題整理も含めて関係局と検討していきます。 鉄道ネットワーク なにわ筋線や未着手の地下鉄条例路線の整備については なにわ筋線は、うめきた2期の開発が進む大阪駅周辺地区や難波・湊町地区などの都心部をつなぐことで、鉄道ネットワークの充実や、各地区の魅力の向上につながる路線です。  また、大阪を訪れる外国人観光客のさらなる増加が見込まれるなか、関西国際空港へのアクセスの改善が急務であることなどから、早期に整備が必要な路線です。  一方、未着手の地下鉄条例路線については、「大阪市鉄道ネットワーク審議会」の答申において、需要予測に基づく収支採算性や費用対効果を検討した結果、現行の国の補助制度のもとでは、公営・民営にかかわらず、事業化は厳しいとの試算が示されています。  これら多額の事業費を要する鉄道の整備については、将来的な人口減少なども踏まえた収支採算性など、さまざまな観点から必要性を検討すべきであり、今後、大阪府や鉄道事業者などと協議のうえ、必要な路線について、近畿地方交通審議会に意見を述べていきます。  また市長は、大都市における鉄道ネットワークは広域の視点で考えなければならず、少子高齢化や人口減少が進むなか、地域の再生を図るためには、一部の地域の利便性だけを考えるのではなく、いかに広域化し、かつ、ネットワーク化させるかという視点が必要であると答弁しました。 平成26年度一般会計等決算概要 会  計 歳 入 歳 出 差 引 一般会計 兆 1 億 7,091 万円 9,142 兆 1 億 7,021 万円 1,204 億 70 万円 7,938 食肉市場 24 8,404 24 8,404   0 市街地再開発 218 2,771 218 2,771   0 駐車場 27 8,950 26 4,225 1 4,725 有料道路 3 8,617 3 8,617   0 土地先行取得 985 5,125 985 5,125   0 母子父子寡婦福祉貸付資金 5 5,604 2 3,729 3 1,875 国民健康保険 3,213 3,995 3,335 9,533 △ 122 5,538 心身障害者扶養共済 4 9,577 4 9,577   0 介護保険 2,237 3,685 2,232 9,669 4 4,016 後期高齢者医療 285 8,055 273 8,543 11 9,512 公債費 8,590 4,317 8,590 4,317   0 ※1万円未満切り捨て その他のおもな質疑項目 ○職員の給与 ○職員の再就職 ○区役所窓口業務の民間委託 ○学校の適正配置 ○塾代助成事業 ○全国学力・学習状況調査結果の内申書評定への活用 ○不登校対策 ○ひとり親家庭への支援 ○教科書採択 ○インクルーシブ教育(※) ○生活保護制度 ○がん検診 ○敬老優待乗車証 ○福祉施策の再構築 ○大阪都市魅力創造戦略 ○御堂筋の活性化 ○統合型リゾート ○南港市場 ○関西イノベーション国際戦略総合特区 ○公共施設の維持管理  ○自転車の安全利用 ○公園への防犯カメラの設置 など (※)インクルーシブ教育…障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ教育 今後の会議日程(2・3月定例会) 2月16日(火) 午後2時 <開会>本会議(当初案件上程) 22日(月) 午後1時 常任委員会 23日(火) 午後1時 常任委員会 24日(水) 午後1時 常任委員会 3月 1日(火) 午後2時 本会議(当初案件議決、予算・追加案件上程) 3日(木) 未  定 本会議(代表質問) 4日(金) 未  定 本会議(代表質問) 7日(月) 午後1時 6常任委員会(説明) 10日(木)・11日(金) 午後1時 6常任委員会(質疑) 14日(月)~16日(水) 午後1時 6常任委員会(質疑) 22日(火) 午後1時 常任委員会 23日(水) 午後1時 常任委員会 24日(木) 午後1時 常任委員会 28日(月) 午後1時 6常任委員会(態度決定) 29日(火) 午後2時 本会議(予算・追加案件議決)<閉会> ※会議日程は予定であり、開会日・開会時間は変更されることがあります。 さまざまな方法で会議の模様をご覧いただけます。 議場・委員会室での直接傍聴  本会議・委員会は、どなたでも直接傍聴することができます。  通常、開会予定時刻の30分前から、市役所P1階傍聴受付で受付を行います。 【本会議の直接傍聴】 定 員:144人  【委員会の直接傍聴】 定 員:各委員会10人 市役所内でのモニター放映  本会議・委員会の模様は、会議開会の当日、市役所内でモニター放映を行っています。 大阪市会ホームページでの議会中継  大阪市会ホームページでは、本会議・委員会当日のライブ中継や、会議録が作成されるまでの間は録画放映も行っています。  議会中継は、パソコン、スマートフォンやタブレット端末からご覧いただけます。 ○大阪市会ホームページ http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ ※大阪市会だよりは新聞折込みでお届けします。折込みは、朝日・毎日・読売・産経・日本経済新聞の朝刊です。この5つの新聞を購読されていない方でご自宅への郵送をご希望の場合は、電話・ファックス等で市会事務局政策調査担当へお申し込みください。なお、次号は平成28年3月1日(火)に発行する予定です。