大阪市会だより 平成28年5月号 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 平成28年度予算案を可決 予算総額 3兆6,973億円  大阪市会は、2・3月定例会を2月16日から3月29日まで開き、おもに平成28年度予算案及び予算関連案件を審議しました。  予算案及び予算関連案件については、3月1日の本会議において市長から説明を受け、それぞれの議案を所管別に6つの常任委員会に付託し、審査を行いました。3月28日の本会議において、市長から「平成28年度大阪市一般会計予算の一部修正の承諾を求めることについて」の提案を受け、これを承諾し、同日、修正内容を含めて委員会審査を行いました。29日の本会議において、「平成28年度大阪市一般会計予算」については原案可決のうえ附帯決議を付すことに決し、その他の予算案等は原案どおり可決しました。  このほか、本定例会では、市立環境科学研究所と府立公衆衛生研究所の統合・独法化に関する議案を附帯決議を付して可決したほか、バス事業の大阪シティバスへの引き継ぎに向けた基本方針案等を可決しました。また、地下鉄事業の民営化に向けた基本方針案及び水道事業の経営形態見直しに係る条例改正案については、なお審査を要するものとして、閉会中継続審査することを議決しました。 市会のうごき 2月 16日(火) 〈開会〉本会議【当初案件上程】 22日(月) 民生保健委員会・都市経済委員会 23日(火) 教育こども委員会・建設消防委員会 24日(水) 財政総務委員会・交通水道委員会 3月 1日(火) 本会議【当初案件議決、予算・追加案件上程】  3日(木)・4日(金) 本会議【代表質問】 7日(月) 6常任委員会(説明)  10日(木)・11日(金)・14日(月)・15日(火) 6常任委員会(質疑) 22日(火) 民生保健委員会・都市経済委員会 23日(水) 教育こども委員会・建設消防委員会 24日(木) 財政総務委員会・交通水道委員会 28日(月) 本会議【予算案等の一部修正の承諾など】 6常任委員会(態度決定) 29日(火) 本会議【予算・追加案件議決】〈閉会〉 各会派の代表質問 3月3日、4日の本会議において、各会派の代表が代表質問を行いました。そのおもな内容を紹介します。 大阪維新の会 ⻆谷 庄一 議員 ~子どもの貧困対策について~ 問 都道府県別の子どもの貧困率では、大阪府は全国2位の高さであり、大阪市の貧困率の高さも際立っていると思われます。「こどもの貧困対策推進本部」を立ち上げた中で、子どもの貧困対策を確実に進めていくためには、これから着手する実態調査において、子どもたちの実情をより把握できるように工夫をこらすとともに、実施計画や行動計画など何らかの方針と目標を設定する必要があると考えますが、市長のご所見をお伺いします。 答 平成28年度に実施する実態調査については、市立学校の小学校5年生と中学校2年生の児童・生徒約4万人とその保護者、保育所や幼稚園の5歳児クラスの保護者約2万人などにアンケート調査を行います。また、教育の支援、保護者の就労支援など各分野の主な事業と「こどもの貧困対策推進本部」の重点的事業を組み入れ、支援を必要とする家庭、子どもたちに確実に支援が行き届くような各分野の数値目標を設定した行動計画を取りまとめていきます。 〈その他の質問項目〉 ○中学校給食の学校調理方式への移行 ○大阪の成長を支える鉄道ネットワーク ○ICTの戦略的な活用 ○副首都推進本部での取り組み など 自由民主党・市民クラブ 荒木  肇 議員 ~大阪市の財政認識について~ 問 大阪市の財政は、単年度通常収支不足額が平成35年度には解消される見込となるなど、着実に健全化に向かっており、10年間に及ぶ財政規律の徹底などの成果が表れてきました。一方、大阪府の財政は多額の収支不足が見込まれるなど悪化しており、現在議論中の府市統合案件等に影響が出てくるのではないでしょうか。また、「子どもの教育・医療無償都市 大阪」の実現に必要な多額で恒久的な財源をどうされるのか、市長のご所見をお伺いします。 答 大阪府の財政については、財政収支改善方策が検討され適切に対応されると考えており、南海トラフ巨大地震対策など府市一体で展開していきます。幼児教育無償化等については、平成28年度当初予算において歳入・歳出の精査を行った結果、5歳児の無償化は実施できると判断しました。幼児教育無償化政策は国も掲げていますが、大阪市が先導的に進め、国に要望も行いながら、幼児教育の充実について国の財源措置を含めた対応を促していきます。 〈その他の質問項目〉 ○幼児教育の無償化 ○子どもの貧困対策の取り組み ○地域コミュニティの活性化 ○副首都の概念 など 公明党 八尾  進 議員 ~社会総がかりの教育について~ 問 大阪市の教育課題の抜本的改善のためには、学校協議会を効果的に機能させるとともに、スクールカウンセラー等の体制強化、不登校の子どもが通うサテライト等の充実やフリースクール等に通う子どもへの一層の支援が必要です。これらの仕組みや体制をより効果的に機能させるため、市長のリーダーシップのもと関係局・区・教育委員会が連携し、保護者、地域の力も合わせ、社会総がかりで教育を行うべきと考えますが、市長のご所見をお伺いします。 答 保護者や地域の学校運営への参画を目的として、全ての市立学校園で学校協議会を設置しています。また、スクールカウンセラー等を増員した効果的な体制の強化、不登校児童通所事業の民間活力の活用、フリースクール等へ通う不登校の子どもへの支援内容の研究など、全ての子どもに対する支援を充実するとともに、各区長を区担当教育次長とする分権型教育行政を有効に機能させ、社会総がかりで子どもたちを育むため、私も積極的に関わっていきます。 〈その他の質問項目〉 ○市民利用施設における市民の利用時間拡充 ○文化振興に向けたバウチャー制度などの取り組み ○マスタープランの策定 ○18歳への選挙権年齢の引き下げへの対応 など 日本共産党 山中 智子 議員 ~保育士不足と待機児童解消について~ 問 公立保育所を民営化する方針のもと、保育士は基本的に新規の正規採用を行わず、4割が非正規採用という状況の中で、平成27年度は54人の保育士が不足し、保育所定員を215人も減らしています。待機児童解消が求められているときに、保育士がいないために保育所定員を減らすという、あってはならない異常なことが起きています。待機児童問題は、生活設計に関わる切実な問題です。市長は、待機児童問題を本当に解消する気があるのですか。 答 待機児童の解消は非常に重要な課題であると認識しています。待機児童の解消に向け、平成28年度は2,590人分の入所枠を拡大しています。また、保育士確保のため、一般職の任期付保育士の前歴加算等の処遇改善を行ったほか、平成28年度には正規の保育士の採用を行いました。保育所定員については、地域ごとの入所申込みの状況を精査し、見直しを行ってきました。民間保育所の整備も進め、待機児童の解消に全力で取り組んでいきます。 〈その他の質問項目〉 ○副首都づくり ○地下鉄・市バスの果たす役割と公営での存続について ○水道事業の民営化 ○敬老パスの50円負担の解消 など 大阪維新の会 出雲 輝●(●は作字) 議員 ~効率的な組織体制の構築について~ 問 市政改革として大きな効果を生み出すために、今後さらなる歳出の削減と歳入の確保を行うには、新たな手法の検討が必要です。新たな市政改革プラン案では、歳出の削減としてシステム集約の推進等とありますが、人事配置についても再構築し、現在の局の形にとらわれず、部署の集約も含めて、小さな行政化をめざすべきです。効率的な行政の実現のため、市政改革プランにしっかり明記し取り組むべきと考えますが、市長のご所見をお伺いします。 答 新たな行政課題や住民の多様なニーズに即応した施策を総合的かつ機動的に展開できる市役所組織を構成することが大事です。複数の所属で実施されてきた事業を集約化し、組織の縦割りの弊害の解消に努め、引き続き業務改善を徹底しながら、質の高い行政サービスを提供できる組織体制を構築していきます。今後は、組織に横串をさすことがポイントになると考えており、新たな市政改革計画に反映できるようにマネジメントしていきます。 〈その他の質問項目〉 ○特別養護老人ホームの整備 ○防潮堤の耐震・液状化対策 ○災害救助物資の備蓄 ○公共施設のマネジメント など 常任委員会でのおもな論議 3月10日から、常任委員会において、各委員が予算案等についてさまざまな議論を交わしました。 そのおもな内容を常任委員長の審査報告をもとに紹介します。 財政総務委員会 問 副首都推進本部での検討スケジュールについては 答 「副首都・大阪」の確立に向けて、副首都の概念や必要性、求められる機能について8月から9月頃を目途に中間整理を行います。その上で、具体的な取り組みや副首都にふさわしい行政機構のあり方などについて検討を深め、平成28年度中には中長期的な取り組みの方向性を取りまとめる予定にしています。  また、特別区制度及び総合区制度については、それぞれの制度のメリット・デメリットなどを多角的に精査し、大阪の発展にとってどのような制度が一番優れているのかという観点から同時並行で検討を進めます。  住民との意見交換は8月頃を目途に開始し、それぞれの制度に対する住民の意見をお聞きしていきたいと考えています。  また市長は、副首都にふさわしい行政機構のあり方の検討に当たっては、適宜、議会へ情報を提供し、議会との議論を深めながら進めていくと答弁しました。 他の質疑項目 財政収支の見通し、証明書の交付手数料、優秀な人材の確保、未利用地の活用 など 教育こども委員会 問 5歳児教育費の無償化については 答 我が国における幼児教育への公共支出はOECD加盟国の中で最も少ないため、国に制度導入を求めていくとともに、大阪市が先駆けて取り組むことで、幼児教育の大切さを発信していきます。  一方で、厳しい財政状況の中、無償化には多額の財源を必要とするため、引き続き、各区・各局に財務規律の徹底を求めるとともに、市政改革にも取り組みます。3・4歳児への拡充についても、任期中に実現したいと考えているが、市政改革や税収等の状況を見据え、財源の目途が立つかどうかを見極めたうえで、段階的に広げていきたいと、市長は答弁しました。  また、認可外保育施設については、設備や職員配置などの認可基準を満たしておらず、運営は事業者の裁量に任されているため、無償化の対象とはしていませんが、まずは、施設の協力を得て実態調査を行ったうえで、無償化についての基準を定める必要があり、今後、早急に検討を始めます。 他の質疑項目 待機児童対策、中学校給食、子どもの貧困対策、児童相談所の複数設置 など 民生保健委員会 問 住吉市民病院閉院に伴う対応については 答 府市共同住吉母子医療センター(仮称)と、住吉市民病院用地に誘致する民間病院とが役割分担をしながら、現在、住吉市民病院が果たしている医療機能の維持・確保と市南部医療圏の小児・周産期医療の充実を図っていきます。  病院再編に当たっての各種課題については、医師会等の関係先へ説明を行うとともに、地域住民の皆様へは、局と区が連携を図りながら丁寧な説明を行い、理解を得られるよう進めていきます。  誘致する民間病院とは基本協定書を締結することとなっており、この中には、開院後30年以上の医療提供を保証するため、医療機能の継続や土地の転売禁止などの条項を盛り込むこととしています。  また市長は、市南部医療圏の子どもや妊産婦の方々にしっかり対応できるよう、大阪府と連携し、責任を持って支援していくと答弁しました。 他の質疑項目 家庭系ごみ収集輸送事業の民間委託化、弘済院附属病院の建て替え、休日急病診療所の環境改善 など 都市経済委員会 問 新しい美術館の整備については 答 PFI手法を導入し、民間のノウハウを活用することにより、世界的に有名な美術館に匹敵する大都市大阪にふさわしい美術館を整備します。  PFI手法の活用に向けては、その推進体制や具体的な進め方、リスク分担の考え方などを整理した全庁的なガイドラインの策定に取り組んでおり、事業の丸投げとならないよう、事業内容には大阪市の意向を反映していくと、市長は答弁しました。  これに対して委員から、完全に民間に任せるのではなく、民間と行政が双方のノウハウを発揮できるようにすべきであるという意見がありました。  こうした意見を受けて、市長は当初予算を一部修正し、PFIの手法を基本設計包含型から運営重視型に変更しました。これにより、基本設計をはじめとする施設整備を公共事業とすることで、競争性を確保するとともに、大阪市の意向を十分に反映させることができるようにしました。 他の質疑項目 大阪経済の活性化、観光振興に向けた方針等の策定状況、夢洲まちづくり構想検討調査、うめきた2期のまちづくり、地域コミュニティ活性化のための市営住宅施策 など 建設消防委員会 問 下水道事業の経営形態見直しについては 答 経営形態の見直しにより、効率的な事業執行体制を構築することで、平成26年度と比べ人件費で年間8億円程度、さらに、工事等の契約における発注単位の大型化などにより、年間17億円程度縮減できると見込んでいます。  これらにより、30年程度の運営権制度の導入を想定してシミュレーションした場合、導入期間中に約570億円の縮減効果があると考えています。  災害等のリスクが発生した際の対応については、一義的には新会社で行うこととなりますが、浸水被害や排水・処理機能等に重大な障害が発生するなど危機的な状況が差し迫った場合などは、新会社を大阪市の指揮命令下において対応に当たります。 他の質疑項目 災害発生時の備蓄等の確保、港湾管理の一元化、IFCAA 2016 OSAKA、小児救急支援アプリ など 交通水道委員会 問 地下鉄の安全対策への投資については 答 津波浸水対策として、梅田駅など14駅の出入口や変電所等への浸水防止設備の整備を、南海トラフ巨大地震等への対策として、御堂筋線心斎橋駅など地下駅44駅や、梅田-淀屋橋間など地下駅12駅間のトンネルの耐震対策を、それぞれ進めていきます。  また、異常時を想定した乗務員訓練の充実として、浸水や地震などの自然災害発生時の運転取り扱い訓練ができる運転シミュレーターの導入を予定しています。  可動式ホーム柵の現在の設置駅数は、ホームドアタイプのニュートラムを含め、全133駅中54駅となっています。  転落・接触事故が最も多い御堂筋線においては、平成26年度末に天王寺駅及び心斎橋駅に可動式ホーム柵を設置し、輸送力に与える影響を検証しながら、他の駅への設置について検討していきます。 他の質疑項目 訪日観光客に対する施策と駅構内のサイン、水道管路の更新 など 可 決 し た 意 見 書 ○こども医療費助成に係る国民健康保険の国庫負担金減額措置の廃止を求める意見書(3月1日) ○児童虐待防止対策の抜本強化を求める意見書(以下、3月29日) ○保育士確保をはじめとした総合的な待機児童対策の推進を求める意見書 ○脳しんとうを発端とするいわゆる「軽度外傷性脳損傷」の周知や予防、措置の推進等を求める意見書 ※大阪市会ホームページでは、本会議・委員会のライブ中継および録画放映を行っています。また、会議の詳細な結果は、「会議の結果」をご覧ください。会議録(本会議録・委員会記録)については、作成でき次第、市会ホームページの会議録検索システムに掲載するほか、市会図書室(市役所7階)、市立中央図書館などでご覧いただけます。 大阪市会ホームページ http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 今後の市会日程(平成28年5月定例会) 5月 13日(金) 午後2時 〈開会〉本会議【案件付託】 18日(水) 午後1時 常任委員会 19日(木) 午後1時 常任委員会 20日(金) 午後1時 常任委員会 25日(水) 午後2時 本会議【案件議決】 27日(金) 午後2時 本会議【役員改選】〈閉会〉 *会議日程は予定であり、開会日・開会時間は変更される場合があります。 *本会議、委員会等はどなたでも直接傍聴することができます。  通常、開会予定時刻の30分前から、市役所P1階傍聴受付で受け付けしています。なお、本会議・委員会等の開会当日は、市役所内でモニター放映も行います。 ※大阪市会だよりは新聞折込みでお届けします。折込みは、朝日・毎日・読売・産経・日本経済新聞の朝刊です。この5つの新聞を購読されていない方でご自宅への郵送をご希望の場合は、電話・ファックス等で市会事務局政策調査担当へお申し込みください。なお、次号は平成28年7月1日(金)に発行する予定です。