大阪市会だより 平成28年12月号 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 平成27年度公営・準公営企業会計決算が認定される  大阪市会は、おもに平成27年度公営・準公営企業会計決算や一般会計等決算などを審議する平成28年第3回定例会を開きました。  公営・準公営企業会計の決算報告については、9月16日の本会議において、市長の説明を受けた後、決算特別委員会を設置・付託し、7日間にわたる審査を経て、10月19日の本会議で賛成多数により認定しました。  また、10月4日の本会議では、市立工業研究所と府立産業技術総合研究所の統合議案を可決したほか、保育人材確保緊急対策事業や介護ロボット導入促進事業等の予算を含む一般会計補正予算などの案件を議決しました。  このほか、今定例会では、10月19日の本会議までに「「同一労働同一賃金」の実現を求める意見書案」ほか8件の意見書案を可決し、内閣総理大臣をはじめとする各関係機関等へ送付しました。 ※一般会計等決算の審査の模様などは、平成29年1月1日に発行予定の「大阪市会だより平成29年1月号」に掲載します。 市会の うごき 9/9(金) 招集告示[9~12月定例会] 16(金) 〈開会〉 本会議(公営・準公営企業会計決算の市長説明など) 20(火) 決算特別委員会【公営・準公営】 (正副委員長の互選、説明など) 21(水) 決算特別委員会【公営・準公営】(実地調査) 27(火)~29(木) 常任委員会(付託案件の審査、陳情書の審査など) 10/4(火) 本会議(常任委員会付託案件の議決など) 6(木)、7(金)、11(火)、12(水) 決算特別委員会【公営・準公営】(質疑) 18(火) 決算特別委員会【公営・準公営】(付託案件に対する態度決定) 19(水) 本会議(公営・準公営企業会計決算の議決など) 25(火) 本会議(一般質問) 26(水) 本会議(一般質問、一般会計等決算の市長説明など) 各会派の一般質問 10月25日、26日の本会議では、各会派の代表議員が市政に対する 質問を行い、市長が答弁しました。 吉村市長 大阪維新の会 教育無償化について 高見 亮 議員 Q 市長は今年から、5歳児教育の無償化を実現されておりますが、子どもの貧困対策にも非常に有効であり、無償化の対象を拡大していきたいとの意向を示されておられました。5歳児の無償化実施後、この施策に対する市民の皆さんの声が市長にも届いていると思いますが、その声をどのように受け止め、今後どのように無償化の対象を広げていかれるのか、市長のご所見をお伺いします。 A 子どもの未来への投資は最終的には社会に還元されるものと考えており、幼児教育の無償化は子どもの生き抜く力を養う上で重要な施策です。他の自治体においても無償化に向けた動きが出始めており、本市の率先した取り組みが大きく影響しているものと考えています。また、保護者の方々からも幼児教育への積極的な投資に対し評価をいただいていると感じており、必要な財源を確保したうえで、平成29年度から幼児教育無償化の4歳児への拡大を実現したいと考えています。 〈その他の質問項目〉 ○子どもの貧困対策 ○教育分野のICT活用 ○外国人観光客の受入環境整備と観光戦略 ○統合型リゾートと万博 など 自由民主党・市民クラブ 総合区・特別区に関する意見募集・説明会について 有本 純子 議員 Q 住民説明会で説明すべきなのは政令市制度における行政区と総合区の比較であり、大阪市の存続を前提とした総合区と大阪市の廃止を前提とした特別区を比較しても意味がありません。にもかかわらず、特別区設置協議会の設置議案を提案するということは、行政としては特別区の設置を推進しているということではないですか。もはや住民説明会は、すでに終わった話である特別区の設置を再度進めるためのアリバイ作り以上の意味を持たず、無駄なものであると考えますが、市長のご所見をお伺いします。 A 市長選挙において、特別区のバージョンアップをさせてほしいと訴えて当選させていただいたので、自らの任期中に議論をし、手続きを進めること自体に意味がないとは言えません。一方で、議会においては、大都市制度のあり方として総合区制度を採り入れるべきとの意見もありますので、総合区・特別区についてそれぞれベストの案を作ることに努力してまいります。なお、特別区の案を策定するには特別区設置協議会の設置が当然必要となるため、来年2月の議会にその設置議案を提案したいと考えております。 〈その他の質問項目〉 ○地下鉄株式の100%保有 ○BRTの社会実験 ○宿泊税を活用した本市域内の観光施策の充実 ○市立学校の統廃合と地域における災害時避難所の確保 など 公明党 総合区制度の進捗状況と今後のスケジュールについて 辻 義隆 議員 Q 総合区制度については、現在の24区を地域自治区として地域協議会を置き、各総合区には条例に基づく総合区政会議を設置すれば、きめ細やかな市民サービスが提供できるとともに、より直接的に住民の声を反映することができると考えます。今年度中に示すとされている総合区案にはこの仕組みを採り入れるべきと考えますが市長のご見解はいかがでしょうか。また、総合区案の策定に向けたロードマップと具体的なイメージについての市長のご所見をお伺いします。 A ボトムアップ型で住民自治を拡充していくために、地域自治区や地域協議会、総合区政会議などの仕組みを活用することは手法としてありうると考えています。総合区長の関与のしかたなど整理すべき課題はありますが、総合区案の策定に際して検討すべき重要事項であると認識しています。現在、24区で順次意見募集・説明会を開催していますが、この説明会が終わり次第、すみやかに区の数や事務のレベルを1つに決め、そのうえで、総合区案の具体的な検討に取りかかる予定です。 〈その他の質問項目〉 ○学校教育ICT活用事業 ○新今宮駅周辺の大型ホテル誘致 ○保育・幼児教育センター ○介護人材の確保 など 日本共産党 御堂筋線全駅への可動式ホーム柵の設置について 井上 浩 議員 Q 本市地下鉄のホーム柵設置率は市営地下鉄事業を実施している政令市8市の中でワースト2位という状況です。全国各地で駅ホームからの転落事故が相次いでいることからも、平成31年度までの御堂筋線全駅への可動式ホーム柵設置は計画通り進めるべきと考えます。しかしながら、計画の実施には多額の事業費が必要となるため、地下鉄事業を民営化した場合はこの問題に直面することとなり、可動式ホーム柵の設置は進まなくなるのではないですか。 A ホームからの転落事故を防ぐための安全対策や安全輸送への投資は、公営・民営にかかわらず交通事業者としての最大の責務であると考えています。JRや東京メトロなど他の民営化事例においても、経営力を強化し、安全対策をより一層充実させている現状もあり、民営化すれば安全対策が遅れるというものではありません。現在、国土交通省がホームからの転落事故防止に向けた対策についての検討を行っており、その動向を注視しつつ、必要な対策の検討を行ってまいります。 〈その他の質問項目〉 ○万博・IRの誘致計画 ○都市内分権 ○敬老パス ○保育所への入所待機児童の解消 など 決算特別委員会の質疑 地下鉄事業や水道事業などのお金の使い方をチェックしました 市会から市に質問 ワンポイント  交通事業や水道事業、中央卸売市場事業などの公営・準公営企業会計について「前年度の予算が適正に、効率的に使われたか?」などをチェックする決算特別委員会が開かれました。 決算特別委員会委員(公営・準公営企業会計) 委 員 長 副委員長 委  員 (自民) 荒木 幹男 (自民) 山本 長助 (維新)伊藤 良夏 (維新) 井戸 正利 不破 忠幸 市位 謙太     岡崎  太 今井アツシ 丹野 壮治     佐々木りえ 上田 智隆 岡田 妥知 (自民) 荒木  肇 太田 晶也 永井 啓介 (公明) 金沢 一博 山田 正和 土岐 恭生     岸本  栄 永井 広幸 (共産) 瀬戸 一正 小川 陽太 荒木幹男 決算特別委員長 交  通 Q 地下鉄事業の民営化と地下鉄8号線延伸に対する市長の考え方は A 地下鉄事業は将来的には完全民営化することを理想としますが、まずは大阪市が100%株式を保有する株式会社を設立したいと考えています。  地下鉄8号線(今里筋線)の延伸については、現時点では反対の立場ですが、近畿地方交通審議会の次期答申に盛り込まれるよう積極的に努力していきます。また、BRT(バス高速輸送システム)の社会実験にも取り組むこととしており、準備に3年程度、社会実験そのものには数年程度をかけて、新会社の協力を得ながらしっかりと行っていきます。 可動式ホーム柵の設置については 可動式ホーム柵は、転落事故の多い心斎橋駅と天王寺駅の2駅において、先行して設置しましたが、開閉の際の安全確認のために停車時間が増加したことから、列車の運行本数が減少し、車内の混雑状況も悪化しています。  現状のままでは単純に柵の設置数を増やすことは難しいため、柵以外の対策についても、他事業者の事例や国の検討会の結果などを参考にしながら取り組んでいきます。 水  道 Q 水道事業の経営形態見直しについては A 水道事業は市民生活に欠かすことのできない重要なライフラインであり、経営形態の見直しにあたっては、事業の公共性を担保する必要があります。そのため、大阪市が水道施設を保有したまま、運営権を民間事業者に付与する「公共施設等運営権制度」を活用することとしています。この制度により事業を開始する際の水道料金は、現状のまま条例で定めるため、運営会社が独自で値上げすることはできず、市及び市会のガバナンスが十分に確保される仕組みとなっています。そのため、経営形態を見直したとしても、個別ユーザーの使用実態が変わらなければ料金が値上げされることはありません。  また、運営会社には、原則として水道局職員を移管することから、運営技術とともに災害対応など非常時のノウハウも引き継がれるため、災害時の安全・安心も確保できます。 中央卸売市場 Q 経営健全化計画の実施状況と今後の収支見込みについては A 経営健全化計画については、近年の取り扱いが堅調であったことなどから売上高割使用料が計画を上回った一方で、職員数を計画以上に削減し、人件費の削減を図ったことなどにより、平成27年度決算において資金不足を解消し、計画を1年前倒しで完了することができました。しかし、単年度では約4億円の経常損失が発生しており、多額の累積赤字を抱えている状況です。本年3月に、平成47年度までの20年間を予測した「中央卸売市場事業会計収支見込」を策定しており、収支改善に向けた取り組みにより、平成41年度には単年度黒字化を図ることとしています。 港  営 Q 大阪港埋立事業の状況と夢洲の活用については A 埋立事業の資金収支は、平成28年度から31年度にかけて単年度資金不足が見込まれますが、その後は回復基調になると見込んでいます。  平成27年度の土地売却収益については91億円の予算を計上していましたが、夢洲の先行開発地区を国際観光拠点の形成に向けたアイデア募集の範囲に含めたため、土地売却にかかる公募を見送ったことから、決算額は40億円にとどまりました。  市長は、夢洲をはじめとするベイエリアは新たな国際観光拠点を形成することができる非常に高いポテンシャルを持ったエリアであり、統合型リゾートはその拠点形成に寄与するものである。また、万博は世界的なイベントであり、都市力が向上する貴重な機会であるため、夢洲で開催することとなれば積極的に取り組んでいく。万博誘致と統合型リゾートの相乗効果を発揮し、大阪の成長の起爆剤としていきたいと答弁しました。 下 水 道 Q 下水道事業の経営形態見直しについては A 市が100%出資するクリアウォーターOSAKA株式会社を設立し、平成29年度からの下水道事業維持管理業務の包括委託に向けた準備を進めています。民間委託を行うことでコストの縮減や収益性の向上が図られるとともに、出資・増資等事業に要する資金を多様な主体から調達することが可能になります。また、本市が株主として会社の意思決定に関与することで、会社の経営を監視することもできます。なお、下水道事業の経営形態については、最終的には「公共施設等運営権制度」の導入を目指しており、各種課題の解決と議会への説明に努め、議決が得られれば、新会社と合意の上で移行していきたいと考えています。 実地調査を行いました  質疑に先立ち決算特別委員会では、関連施設である『南港検車場』や『大野下水処理場』、『東部水道センター』へ行き、調査を行いました。 南港検車場にて 平成27年度 公営・準公営 決算概要 収益的収支 事 業 収 益 費 用 差 引 平成27年度 未処分利益剰余金 (△未処理欠損金) バス 億 139 万円 9,827 億 128 万円 0,476 億 11 万円 9,351 億 △794 万円 3,123 地下鉄・ ニュートラム 1,680 0,819 1,305 5,254 374 5,564 1,186 5,544 水道 669 7,292 524 7,159 145 0,132 253 5,354 工業用水道 17 1,399 12 5,891 4 5,507 4 5,507 中央卸売 市場 77 4,771 82 3,809 △4 9,038 △351 4,591 港営 143 6,309 118 9,851 24 6,458 △1,611 0,221 下水道 824 4,729 793 4,599 31 0,129 31 0,129 ※1万円未満切り捨て ●その他のおもな質疑項目● ○敬老パス・子ども無料パス ○エレベーターの複数ルート化 ○終電延長 ○水道管路の震災対策 ○水道記念館の活用 ○市場の魅力を高めるための投資 ○港湾管理の一元化 ○フェリーターミナルの活性化 ○河川の水質改善 など 会議の詳しい 結果について 会議の詳細については、大阪市会ホームページの「会議の結果」をご覧ください。 会議録(本会議録・委員会記録)については、会議録検索システムに掲載しています。会議録が作成されるまでの間は、市会ホームページ上で本会議・委員会の録画放映を行っていますので、そちらをご覧ください。 http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 可決した意見書  可決された意見書は、国会または関係行政庁に提出しました。 ○「同一労働同一賃金」の実現を求める意見書 ○返済不要の「給付型奨学金」の創設及び無利子奨学金の拡充を求める意見書 ○介護保険制度における機能訓練指導員に関する意見書 ○食品ロス削減に向けての取り組みを進める意見書 ○無年金者対策の推進を求める意見書 ○チーム学校推進法の早期制定を求める意見書(以上9月16日) ○ギャンブル依存症にかかる総合的な対策を求める意見書 ○「経済・財政再生計画」に基づく医療保険制度の改革に関する意見書(以上10月4日) ○地方議会議員年金制度の復活に反対する意見書(10月19日) ※大阪市会だよりは新聞折込みでお届けします。折込みは、朝日・毎日・読売・産経・日本経済新聞の朝刊です。この5つの新聞を購読されていない方でご自宅への郵送をご希望の場合は、電話・ファックス等で市会事務局政策調査担当へお申し込みください。なお、次号は平成29年1月1日(日)に発行する予定です。