大阪市会だより 平成29年1月号 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 平成27年度一般会計等決算を認定  大阪市会は、おもに平成27年度公営・準公営企業会計決算や一般会計等決算などを審議する平成28年第3回定例会を開きました。  一般会計等の決算報告については、10月26日の本会議において、市長の説明を受けた後、決算特別委員会を設置・付託し、7日間にわたる審査を経て、11月15日の本会議で賛成多数により認定しました。  また、12月13日の本会議では、本年2月以降継続して審査を行ってきた地下鉄事業の株式会社化(民営化)に向けた事業の引継ぎに関する基本方針を可決したほか、国際的な大学入学資格(国際バカロレア)を取得できるコースを持つ公設民営による中高一貫校を住之江区内に設置するための議案を可決しました。このほか「外国人滞在施設経営事業」いわゆる「特区民泊」について、旅客の最低滞在日数を現行の「7日」から「3日」に短縮するための条例改正案等を可決しました。 ※11月29日・30日に行われた各会派の一般質問の概要については、平成29年2月1日に発行予定の「大阪市会だより平成29年2月号」に掲載します。 本会議での採決の様子 謹んで新春のお慶びを 申しあげます  市民の皆様方におかれましては、お健やかに新春をお迎えのことと、心からお慶び申しあげますとともに、平素より大阪市政の推進にご理解とご協力を賜り、深く感謝申しあげます。  大阪市会では、社会情勢や市民ニーズに対応した改革や施策の推進に努めております。引き続きご支援ご協力を賜りますようお願いいたします。  皆様方にとりまして、今年も良い年でありますよう心からお祈り申しあげます。 木下誠 市会議長 決算特別委員会の質疑 財政の状況や教育関係事業などのお金の使い方をチェックしました 市会から市に質問 財政問題 Q 大阪市の財政状況については A 平成27年度決算では、納税義務者数の増加による個人市民税の増などにより、市税が3年連続で増加したことや、引き続き市政改革を推進し、歳出全般の圧縮に取り組んだことなどにより、実質収支は27年連続の黒字となりました。  しかし、今後の財政収支概算では、当面は年間200億円程度の通常収支不足が見込まれることから、引き続き自律的な改革に取り組み、持続可能な財政構造を構築する必要があります。  市債残高については、臨時財政対策債を除く一般会計の市債残高が11年連続の減となるなど、着実に縮減を行っており、引き続き起債の厳格な管理に努めていきます。 新公会計制度の導入については 地方自治法に基づく現行の公会計制度では、現金収支が分かりやすい反面、資産や負債といったストックや、減価償却費などを含めたフルコストでの財務情報が分かりにくい点が課題でした。  そこで、平成27年度から発生主義・複式簿記といった企業会計手法の考え方に基づく新公会計制度を導入し、説明責任の達成とマネジメントの強化が図られるよう、これまでの決算資料に加え、財務諸表を作成しました。  本市の財政状況は、今後、この財務諸表を経年比較することにより、慎重に推移を見ていく必要があります。 教育施策 Q 学校教育ICT活用事業の現在の状況については A これまでのモデル校事業においては、授業の質や学びの質については一定の成果が得られましたが、学力に関わる効果については明確になっていないという課題がありました。  そこで、学力に関わる検証については、モデル校を29校に拡充し、調査対象数を増やした上で引き続き標準学力検査を行い、分析方法を工夫し、経年比較や全国比較等により実施します。あわせて、文部科学省が開発した「ICTを活用した教育における効果検証のための手順書」をもとにした検証を実施し、ICT機器を活用した教育効果がさらに明確になるよう引き続き検証を行います。  また、ICTを活用した授業の実施にあたっては、教員が機器の活用に習熟する必要があることから、各学校への聞き取りやアンケート調査、コールセンターへの問い合わせ内容の分析等による現状把握をもとに、学校や教員への支援を充実させます。  これらの取り組みにより、ICTを活用した教育が有効なものとなるよう事業を着実に進めていきます。 Q 中学校給食の学校調理方式への移行と異物混入対策については A 中学校給食については、平成31年度の2学期までに全中学校の学校調理方式への移行を目指しています。この移行が完了するまでの間は、デリバリー方式の給食を補完的に継続しますが、29年度からは家庭弁当との選択制を実施することとしており、現在、事業者の公募手続きを行っています。  また、異物混入対策については、教育委員会と保健所との連携を強化し、調理事業者への立入検査、再発防止指導など継続的な指導監督体制を構築しているほか、調理事業者に対しては、衛生講習等での意識向上、従事者の粘着ローラー掛けの徹底などの未然防止策を講じさせています。異物混入の発生状況は、平成28年度の1学期では、約252万食の提供に対して65件であり、食数に対する発生率は27年度に比較して約3割減少しているものの、包装資材の混入などの人為的ミスがゼロではないため、引き続き衛生面での指導を行っています。  残食の状況については、28年度の1学期に実施した抽出調査では、全学校平均で米飯が約16パーセント、おかずが約26パーセントとなっています。デリバリー方式の中学校給食は、食缶以外のおかずと米飯は弁当箱により提供しているため、分量調整には限界があるものの、残食の状況は改善傾向にあります。 塾代助成事業 Q 塾代助成事業と民間事業者を活用した課外学習については A 塾代助成事業は、子育て家庭の経済的な負担を軽減するとともに、学習塾や文化・スポーツ教室など学べる機会を広く提供することを目的としています。  平成28年8月現在で、塾代助成カードの交付者は約18,000人、利用者は約14,000人であり、利用可能な教室が2,100余りとなっています。一方で、「手続きが面倒」、「申請方法が分からない」、「子どもが利用したいと言わない」との理由から、塾代助成カードの申請や利用をしていないとの調査結果も出ています。現在の利用率は約5割に近づいていますが、6割を目指して、対象家庭への周知方法の工夫や、参画事業者の拡大など、利用率の向上に取り組んでいきます。  また、「民間事業者を活用した課外学習」について、市長は、民間事業者が学校等を使い、塾代助成を活用できる支援を行うことは、学力向上だけではなく、子どもの貧困対策にもつながる。現在、6区で実施しており、塾に行くことのできない子どもにとって、非常に重要で意義があり、この事業を広げることで、塾代助成についても、真に必要な子どもたちに届くのではないかと考えている。区役所には、学校現場に近いところで、実態やニーズを把握して、効果的な「民間事業者を活用した課外学習」を検討してもらいたいと答弁しました。 用語 解説 決算特別委員会とは?  前年度のお金の使い方を審査するために期間限定で設置する委員会です。大阪市会では、交通事業や上・下水道事業などの公営・準公営企業会計と、それ以外の会計を含む一般会計等の2つの決算特別委員会を設けます。決算の審議が終了したときに、委員会は消滅します。 決算特別委員会委員(一般会計等) 委 員 長 副委員長 委  員 (維新) 東  貴之 (維新) ⻆谷 庄一 (公明)永田 典子 (維新) 金子 恵美 宮脇  希 奥野 康俊     ホンダリエ 片山 一歩 高見  亮     藤岡 寛和 (自民) 前田 和彦 森山よしひさ 床田 正勝     福田 武洋 髙野 伸生 (公明) 八尾  進 西  徳人 辻  義隆     前田 修身 (共産) 岩崎けんた 山中 智子 井上  浩 東貴之 決算特別委員長 決算特別委員会の様子 防災対策 Q 各区における災害対応力の向上については A 区役所を中心として地域の災害対応力を高めていくことは、自助・共助を強化し、減災につなげるための重要な課題です。そこで、各区の取り組みをサポートすることを目的に、危機管理室から自主防災組織力向上コーディネーター等を派遣し、区役所職員とともに地域における地区防災計画の作成や避難所開設訓練の支援を行っています。  熊本地震発災後、現地に派遣した多数の区役所職員の避難所運営に従事した経験やノウハウを活かすため、派遣職員が参画したワーキングチームを立ち上げ、避難所運営マニュアルの改訂に取り組んでいます。  また市長は、区役所は、日頃から高齢者施設や障がい者施設などと連携をとり、災害発生時には、情報が伝わりにくい場所へは地域と連携しながら情報伝達するなど、きめ細やかな対応を行う必要がある。危機管理室や各局・室と連携・協力させるとともに、区長の主体的なマネジメントにより必要な人員や予算を検証のうえ、準備していく必要があると答弁しました。 万博の誘致 Q 2025年万国博覧会の大阪誘致については A 万博は、世界的なイベントであり、非常に大きな経済効果が見込まれることから、関西経済の活性化につながるとともに、大阪の発展に大きく貢献するものです。ライフサイエンスの分野で高いレベルにある関西エリアにおいて「人類の健康・長寿への挑戦」というテーマで開催することにより、その後の産業や医療の発展にも大きく寄与するものと考えています。  夢洲への鉄道整備は、万博を契機として進めていくことから、万博基本構想(大阪府案)によれば、万博関連経費と位置づけられていますが、夢洲における国際観光拠点の形成を軸にしたまちづくりに必要であることから、その整備費用については民間事業者に負担を求めるというのが基本姿勢です。事業スキームや前提条件などが明らかになって以降に、市としての基本的な姿勢を踏まえながら、しっかりと検討していきます。  また市長は、万博の誘致については、府と共同して推進していく。万博の開催場所である夢洲のまちづくりについても、国際観光拠点の形成とともに、万博を契機として、その理念も活かしながら広域的な視点で進める事業であることから、府と共同して取り組んでいく。これらを踏まえ、万博の会場建設費及び関連事業費に関する国等への負担の働きかけは、府と協力して行っていく。自治体としての負担も適切に分担し、個々の具体的な負担については府と協議していくと答弁しました。 ●その他のおもな質疑項目● ○職員公募制度 ○職員給与の減額措置 ○大阪市民の日の制定 ○特別区設置協定書の広報事業にかかる附帯決議 ○子どもの健康診断 ○特別支援学校の府への移管後の状況 ○子ども見守りカメラ等の設置 ○北部こども相談センター ○民間保育所へのICT導入支援 ○子どもの貧困対策 ○住吉市民病院廃止に伴う病院再編計画 ○市営交通福祉措置無料乗車証のICカード化  ○公衆浴場への支援 ○動物愛護施策 ○ギャンブル依存症対策 ○ATCの経営状況 ○公共施設マネジメント ○道路占用料 ○送電線施設等火災及び大規模停電に対する危機管理 ○通学路の安全対策 ○天王寺動物園の魅力向上 ○大阪港のしゅんせつ 平成 27年度 一般会計等 決算概要 会 計 名 歳 入 歳 出 差 引 一般会計 兆 1 億 6,925 万円 2,360 兆 1 億 6,910 万円 8,207 億 14 万円 4,152 食肉市場 18 6,017 18 6,017 0 市街地再開発 207 8,509 207 8,509 0 駐車場 28 6,480 27 6,297 1 0,182 土地先行 取得 1,300 5,800 1,300 5,800 0 母子父子寡婦福祉貸付資金 6 2,393 2 0,052 4 2,341 国民健康 保険 3,713 7,997 3,851 6,030 △ 137 8,033 心身障害者扶養共済 4 9,042 4 9,042 0 介護保険 2,324 8,691 2,314 1,122 10 7,569 後期高齢者 医療 291 1,623 278 6,785 12 4,837 公債費 8,825 8,100 8,825 8,100 0 ※1万円未満切り捨て 閉会中も継続して審査することとなった議案 ○大阪市水道事業及び工業用水道事業の設置等に関する条例の一部を改正する条例案 ○大阪府市港湾委員会設置条例案 ○大阪府市港湾委員会の共同設置に関する協議について ○大阪市事務分掌条例の一部を改正する条例案 ○大阪府市港湾局の共同設置に関する協議について ○大阪市港湾審議会条例の一部を改正する条例案 ○大阪府市港湾審議会の共同設置に関する協議について ○大阪市立学校設置条例の一部を改正する条例案 可決した意見書決議 可決された意見書は、国会または関係行政庁に提出しました。 ○女性の健康の包括的支援に関する法律の早期成立を求める意見書 ○2025日本万国博覧会の大阪誘致に対する決議  (以上11月15日) ○鳥取県中部地震に伴う観光産業等への支援を求める意見書  (11月29日) ○ホームドアの設置と「内方線付き点状ブロック」の整備促進を求める意見書 ○地域防災力の向上と災害に強い防災拠点の整備を求める意見書 ○安心な社会保障と強い地域経済を構築するための地方財政措置を求める意見書(以上12月13日) 市会の うごき 10/25(火) 本会議(一般質問) 26(水) 本会議(一般質問、一般会計等決算の市長説明など) 27(木) 決算特別委員会【一般】(正副委員長の互選、説明など) 11/1(火)、2(水)、4(金)、7(月)、8(火) 決算特別委員会【一般】(質疑) 10(木) 大都市・税財政制度特別委員会 14(月) 決算特別委員会【一般】(付託案件に対する態度決定) 15(火) 本会議(一般会計等決算の議決など) 18(金) 環境対策特別委員会 29(火) 本会議(一般質問など) 30(水) 財政総務委員会(付託案件の審査) 本会議(一般質問など) 12/6(火)~8(木) 常任委員会(付託案件の審査、陳情書の審査など) 13(火) 教育こども委員会(付託案件及び関連する陳情書の審査) 建設消防委員会(付託案件の審査) 交通水道委員会(付託案件の審査) 本会議(常任委員会付託案件の議決など)〈閉会〉 今さら聞けない 市会のギモン解決します! ~市 会 と 市 長 の カンケイ~ 疑問  ニュースなどでときどき、市会議員と市長が話し合っているところが流れているけど、そもそも市会ってどんな仕事をしているんだろう? 市会と市長ってどんな関係なのかな? 解 説 「市会」と「市長」は、それぞれ選挙で選ばれた大阪市民の代表であり、市会は各区から選ばれた86人の市会議員の集まりです。市長から提案された条例や予算、市の方針など、大阪市にとって大切なことを市会が決定し、市長は市会で決められたことにそって大阪市の仕事を行います。このように、市会と市長は役割を分担し、お互いにより良い大阪市になるよう頑張っています。また、どちらも大阪市民が直接選ぶことで、大阪市民の意思を反映した市政運営を行っています。 市 会(市会議員) 役割 ●大阪市の政策やルール(条例)、お金の使い方(予算)などを審議し決定する〔議決機関〕 ●大阪市の仕事が、市会で決められたとおりに行われているかをチェック(監視)する ●市民の声を吸い上げて検討し、市政に反映させる 提 案 決 定チェック 市 長 役割 ●大阪市がより良くなるために市会にいろいろな政策などを提案する ●市会が決めたことに基づいて実際に大阪市の仕事を行う〔執行機関〕 まとめ  市会議員も市長も市民から直接選挙で選ばれた代表で、お互いに独立した対等な関係です。  これを二元代表制といいます。  互いに協力やけん制をし合うことで、より良い市政をめざして います。 解決 ※大阪市会だよりは新聞折込みでお届けします。折込みは、朝日・毎日・読売・産経・日本経済新聞の朝刊です。この5つの新聞を購読されていない方でご自宅への郵送をご希望の場合は、電話・ファックス等で市会事務局政策調査担当へお申し込みください。なお、次号は平成29年2月1日(水)に発行する予定です。