大阪市会だより 5月号 平成29年 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX 6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 2・3月 定例会 平成29年度 予算案を 可決しました! 平成29年度予算総額 3兆8,340億円  大阪市会は2・3月定例会を2月14日から3月28日まで開き、主に平成29年度予算案及び予算関連案件を審議しました。平成29年度予算案については、2月24日の本会議において市長から説明を受け、それぞれの議案を所管別に6つの常任委員会で審査を行いました。3月27日の本会議において市長からの一般会計予算及び港営事業会計予算に関する議案修正の提案を受け、これを承諾し、修正内容を含めて同日に委員会審査を行いました。  28日の本会議において、「平成29年度大阪市一般会計予算」については修正可決のうえ附帯決議を付すことに決し、またその他の予算案は原案通り可決しました。  このほか、本定例会では、大阪市交通事業の設置等に関する条例を廃止する条例案や、IR推進局を大阪府と共同設置するための規約案等を可決しました。 各会派の代表質問 3月1日、2日の本会議では、各会派が代表質問を行い それに対して市長が答弁しました。その主な内容を紹介します。 市会のQ&市のA 吉村市長 大阪維新の会 大橋 一隆 議員 地下鉄事業の民営化を速やかに進めるべきではないか Q  地下鉄事業の民営化についてはこれまで4年以上にわたり議論され、昨年12月に基本方針案が可決されました。今定例会には事業の廃止条例案などが上程されていますが、仮に継続審査となった場合、民営化による効果の発揮が遅れるだけでなく、税制優遇など民営化移行時のメリットが受けられなくなる可能性があります。基本方針案が可決されている以上、速やかに民営化を進めるべきと考えますが、市長のご所見はいかがですか。 A  株式会社化の時期が遅れた場合、効率的な事業経営やスピーディーかつ柔軟なサービス展開といった株式会社化の効果や本市への財政効果の発揮は当然遅れます。市民、利用者をはじめ、新会社の経営や沿線地域の活性化など大阪経済にもたらす影響を考えれば早期に株式会社化を行うべきです。基本方針案が議会の3分の2以上の多数で可決されたことも踏まえ、今定例会において地下鉄事業の株式会社化は実現すべきだと考えています。 〈その他の質問項目〉 ○こどもの貧困対策 ○教育環境の改善 ○IR誘致の推進 ○日本万国博覧会の誘致の実現 など 自由民主党・市民クラブ 山本 長助 議員 総合区制度は合区前提ではなく24総合区から進めるべきではないか Q  総合区制度については合区を前提とされていますが、意見募集説明会においても合区をしてほしくないとの意見が多数出されており、これら多くの貴重な意見を市長は尊重すべきです。合区には多大な時間と労力を要するほか、一度合区すれば簡単には変更できないというリスクがあります。合区を前提に絞り込んだ一般市並みの8総合区という案ではなく、まずはすぐにできて、リスクが最小になる24総合区から進めるべきではないですか。 A  総合区の導入にあたっては、きめ細かい行政サービスを自ら実行できる体制をそれぞれの区に確保し、区長がマネジメント力を最大限に発揮できる仕組みをつくるべきであり、効率性の観点から合区を前提とした案をお示ししているところです。また、24総合区では合区による集約効果が見込めず職員数も大幅に増加する見込みであり、人件費の増に伴う効率性の観点からも現実的ではないと考えます。 〈その他の質問項目〉 ○中小企業支援 ○公共施設マネジメント ○夢洲のまちづくり ○住吉市民病院跡地への民間病院の誘致 など 公明党 杉田 忠裕 議員 特別養護老人ホームの整備により一層取り組むべきではないか Q  特別養護老人ホームの整備は我が会派の提案により計画を前倒しして進め、平成29年度末までには待機者を解消できるとのことですが、今後もさらなるニーズの高まりが予想されます。現在は第6期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に基づき必要性・緊急性の高い方がおおむね1年以内に入所できるよう整備を進められていますが、増加するニーズを踏まえた次期計画を策定し、少しでも早く入所したいという多くの方々の声に応えられるよう取り組むべきではないですか。 A  現在、第6期計画に基づき整備を進めており、平成29年度末には目標の1万3,600人分が完成する見込みですが、入所希望者のさらなる増加に対応すべく、平成30年度完成分として新たに267人分の整備に着手します。平成29年度に策定する第7期計画においては、必要性・緊急性が高い方がおおむね1年以内に入所できるよう引き続き整備を進めるとともに、6カ月以内の早期入所を希望される方のニーズも十分に検証し、整備目標に反映してまいります。 〈その他の質問項目〉 ○待機児童対策 ○認知症施策 ○総合区制度 ○Wi-Fi環境の整備促進 など 日本共産党 小川 陽太 議員 市民が損をするだけのカジノがなぜ大阪の成長につながるのか Q  IR(統合型リゾート)の集客人口の8割を国内からの集客と予想していることからも、大阪周辺の一般市民をカジノのターゲットとしていることは明らかです。夢洲に進出するカジノ業者が利益を上げれば上げるほど、大阪周辺の一般市民が損に損を重ねて不幸になり、しかも、カジノ業者の収益は本国の親会社に吸い上げられるだけです。これでどうして大阪の成長につながると言えるのですか。 A  統合型リゾート施設というのはカジノだけではなく国際会議場やレクリエーション施設、展示施設、ホテルなど様々な施設が一体となるものです。そのため、国内外からの来阪者数が大幅に増加するほか、ビジネスの創出拠点となることなどにより大阪の経済は大いに活性化すると考えます。年間の経済波及効果が6,900億円、雇用創出効果が8.3万人との試算も出ており、観光客の増加と相まって、大阪の成長につながるものと考えます。 〈その他の質問項目〉 ○なにわ筋線、淀川左岸線などの無駄な大型開発 ○地下鉄・バスの民営化 ○「都」構想の断念 ○国保、保育所待機児童問題などの市民福祉の拡充など 大阪維新の会 井戸 正利 議員 大都市制度改革の必要性についての市長のお考えは Q  本市には広域行政と基礎自治の両方であまりにも多くの事業がありますが、それらのすべてを1人のリーダーがまとめていく必要があります。しかしながら、いわゆる負の遺産などで多額の損失を出し、また、教育や福祉の現状からも基礎自治としてやるべき仕事がおろそかにされてきたのは明らかです。人口270万人の巨大政令市である大阪市をこのまま続けていいのか。また、変えるならどのような形が望ましいのか。大都市制度改革の必要性についての市長の認識をお聞きします。 A  東京一極集中や大阪の低迷が進む中で、今の大阪には、都市機能の強化や二重行政の解消、限られた財源で充実した住民サービスを実施するいわゆる住民自治の充実が求められており、それらの課題を解決するにふさわしい大都市制度の改革が必要です。私としては特別区制度が大阪の将来のあるべき姿と考えますが、総合区・特別区のそれぞれの制度についてベストな案を作成し、最終的には市民の皆さんにご判断いただきたいと考えています。 〈その他の質問項目〉 ○業務改革の推進 ○権限移譲に伴う新たな教職員の人事給与制度改革 ○博物館施設の地方独立行政法人化 ○あいりん地域のまちづくりなど 常任 委員会 での論議  本会議で市長から提出された議案は、その後、6つの委員会に分かれて詳しく議論されます。議案の内容について、議員から市へと質問が投げかけられました。 財政総務委員会 大都市制度 改革の必要性 Q 新たな大都市制度について、制度改革の必要性を本市はどのように考えているのか。 A 大阪府市の二重行政の解消を図るとともに、大阪を再生させるために必要な都市機能を強化し、限られた財源で市民に最適なサービスを実施することを目的とし、また住民自治のさらなる拡充を図ることが差し迫った課題となっていることから、大阪にふさわしい大都市制度の改革が必要であると考えています。法律ですでに定められている特別区制度と総合区制度については、最終的には市民の方々にいずれかを選択していただくため、両制度の検討についてしっかり取り組んでいきます。 ※なお、議案第67号「大阪府・大阪市特別区設置協議会の設置に関する協議について」は、本委員会では議決を行わず閉会中継続審査の取り扱いとなりました。 〈他の質問項目〉財政状況に対する認識、未利用地の有効活用、ICT施策、AI活用 など 教育こども委員会 どうする保育士確保 小中学生の学力向上 Q 待機児童対策に関して、不足する保育士の確保について本市はどのような対策を行うのか。 A 本市では、すでに独自の新規採用保育士に対する特別給付事業などの対策を行っていますが、新たに「未就学児のいる保育士の子どもの預かり支援事業」などの事業を予算案に計上しました。また、さらなる保育士給与の改善が必要であるとの考えから、引き続き国に対して保育士の処遇改善の要望などを行っていきます。 Q 小中学生の学力向上に向けた今後の取り組みは。 A 教育委員会で、希望する学校の中から「学校力UP支援校」を決定し、支援校の児童生徒の学力向上などに向けて、校長のマネジメントをサポートしていきます。また、学力などの課題解消に向けた校長のマネジメントに必要な予算の追加配当など、校長経営戦略支援予算の枠組みの再構築を検討しています。 〈他の質問項目〉児童相談所の人材確保と育成、国際バカロレア認定校、こどもの貧困対策 など 大阪市立本田小学校・堀江小学校にて授業を視察し、大阪市保育・幼児教育センターの施設見学を行いました。 教育こども委員会 実地調査 民生保健委員会 住吉市民病院 病院再編 Q 住吉市民病院廃止後の病院再編計画について、今度どう考えているのか。 A 昨年4月に、住吉市民病院用地に誘致する民間病院の整備について、日影規制のため当初計画より遅れる可能性を市として認知しました。民間病院に対する本市からの公金投入は当初想定していませんでしたが、病院開設の遅れによる2年間の医療空白を生じさせないため、誘致する民間病院に対する補助金・貸付金などの支援を提案しています。  また、計画どおりの医師数の確保について、民間病院と大阪府市共同住吉母子医療センター(仮称)に努力いただいていますが、本市としても確保に努めていきます。 ※なお上記に関連して、住吉市民病院建屋の改修工事費について市から予算案が提出されましたが、平成29年3月28日の本会議において減額修正した予算案が可決されました。 〈他の質問項目〉災害時のごみ収集体制確保、古紙等の持ち去り規制、認知症対策 など 都市経済委員会 万博・IR 誘致への道のり Q 2025年の日本万国博覧会やIR(統合型リゾート)誘致について本市はどのように進めていくのか。 A 万博誘致は、博覧会国際事務局(BIE)加盟国の投票により決定されるため、多くの国の賛同が得られるように大阪・関西の魅力を伝える必要があります。そのため、市長自らプレゼンテーションを行うなど、積極的な誘致活動に取り組んでいきます。国民の万博開催への関心も評価項目となるため、本市としても、国や府、経済界、姉妹・友好都市などあらゆるネットワークを活用し、誘致合戦に勝利していきたいと考えています。  IR(統合型リゾート)の誘致については、新たに設置するIR推進局において検討を進め、IR実施法成立後、円滑に事業者募集や国からの区域認定を得られるように進めていきます。 〈他の質問項目〉新美術館、なにわ筋線の整備効果、市営住宅ストックの活用 など 建設消防委員会 魅力あふれる 動物園めざして Q 魅力的な天王寺動物園をめざした経営形態の検討や今後の施設整備について、どうしていくのか。 A 今後の経営形態については、企画や営業、広報の機能を充実させるとともに、楽しく学べる社会教育機能を有した集客施設としての魅力向上や、効率的な運営を実施できるように検討を進めていきます。具体的には、飼育動物が健康的で活発に暮らせる飼育スペースを確保するため、国際基準に照らし合わせたより広く動物が活動しやすい動物舎へと整備を進めます。また、えさの与え方などを工夫し、動物たちを近くで見せることや、野生本来の行動を引き出す工夫を盛り込んだ「進化型生態的展示」をめざします。さらに、国内外の動物園とのブリーディングローンと呼ばれる動物の貸し借りや、譲渡交換による生息域外保全による繁殖を引き続き進めるなど、動物園の使命である「種の保存」を進めていきます。 〈他の質問項目〉淀川左岸線2期事業、消防活動へのドローン活用、大阪港開港150年記念事業 など 交通水道委員会 地下鉄 民営化に向けて Q 平成30年4月からの地下鉄民営化は、今後どのように進めていくのか。 A 地下鉄新会社及び大阪シティバス株式会社の監理業務や、BRT(バス高速輸送システム)社会実験などを着実に進めるため、平成29年10月を目途に新たに市長直轄である都市交通局を設置したいと考えています。未着手の地下鉄条例路線については、民営化後は都市交通局が新会社と連携しながら取り組んでいきます。また、都市交通局と大阪シティバス株式会社が「バス運行にかかる協議体」を設け、バス路線・サービスを原則として少なくとも10年維持するとともに、より一層のサービス向上や効率性の追求により、市域全体のバス路線を維持・発展させる責務を果たしていきます。 〈他の質問項目〉地下鉄駅ホームからの転落防止対策、中小水道事業体との連携 など 2・3月 定例会 今年度の予算などを決定した2・3月定例会の開会状況 市会のうごき 2月 14日(火) 〈開会〉本会議【当初案件上程・付託】 17日(金) 民生保健委員会・都市経済委員会 20日(月) 教育こども委員会・建設消防委員会 21日(火) 財政総務委員会・交通水道委員会 24日(金) 本会議【当初案件議決、予算上程】 3月 1日(水) 本会議〔代表質問〕 2日(木) 本会議〔代表質問〕 【予算付託、追加案件上程・付託】 3日(金) 6常任委員会(説明) 6日(月) 教育こども委員会(実地調査) 8日(水) ・ 9日(木) 10日(金) ・13日(月) 6常任委員会(質疑) 17日(金) 民生保健委員会・都市経済委員会 21日(火) 教育こども委員会・建設消防委員会 22日(水) 財政総務委員会・交通水道委員会 27日(月) 本会議・6常任委員会(態度決定) 28日(火) 交通水道委員会 本会議【予算・追加案件議決】〈閉会〉 可決した意見書・決議 意見書は可決後、国会または関係行政庁に提出します。 ○看護職員の事務作業の効率化のための制度改善を求める意見書(2月14日) ○海洋ごみの処理推進を求める意見書 ○地域の実情に応じて運用できる「民泊」の法制化を求める意見書 ○無料公衆無線LAN(Wi-Fi)環境の整備促進を求める意見書 ○指定給水装置工事事業者制度に更新制の導入を求める意見書 ○水素ステーションの整備促進を求める意見書(以上2月24日) ○「民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律」に関する意見書(3月28日) これからの市会 5月定例会 予定 次の議長・副議長や役員などを決める5月定例会が始まります。 16日(火) 午後2時 〈開会〉本会議 【案件付託】 19日(金) 午後1時 常任委員会 22日(月) 午後1時 常任委員会 23日(火) 午後1時 常任委員会 26日(金) 午後2時 本会議【案件議決】 30日(火) 午後2時 本会議【役員改選】 〈閉会〉