大阪市会だより2月号 平成30年 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX 6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 9~12月 定例会 各 会 派 の 一 般 質 問 11月29日、30日の本会議では、各会派の代表議員が広く市政一般に対する質問を行い、その質問に対して市長が答弁しました。 吉村市長 大阪維新の会 府市連携による効果と特別区設置の意義について 田辺 信広 議員 Q 現在、大阪の成長戦略等に関して、府と市が連携を行いさまざまな取り組みが行われているところです。そして、府市が互いの権限や利害関係にとらわれることなく、広域行政にかかわる意思決定の一本化が進められています。府市連携による具体的な効果や、それでも解消できない本市の課題について、市長はどのようにお考えですか。  また、大阪都構想による特別区の設置については、基礎自治の機能が充実するなどの本質的な効果が期待できると考えますが、市長の見解はいかがでしょうか。 A 観光振興や都市インフラの充実など広域的な課題については、これまで府市で連携し協議を行いながら進めることにより、さまざまな成果を上げてきました。しかし、これは私と松井知事との人間関係により成り立ってきたものです。今後もこれを恒久的なものとして大阪を成長させていくためには、広域行政を一本化し、指揮官を一人にする必要があります。  また特別区の設置については、区ごとに公選の区長や区議会が置かれ、地域の実情や住民ニーズに応じたきめ細やかなサービスをスピーディーに決定することができると考えています。 〈その他の質問項目〉 ○ICTの活用 ○こどもの貧困対策 ○万博の誘致 ○首都機能のバックアップ など 用語解説 特 別 区 特別区は基礎自治体であり、選挙で選ばれる区長・区議会が設置され、区長が身近な事務を担う制度です。特別区の設置に伴い、政令指定都市である大阪市は廃止され、産業や広域インフラ等の広域機能は大阪府に一元化されます。 自由民主党・市民クラブ 多大なコストをかけて特別区を設置することで、どれだけの効果額が生み出されるのか 北野 妙子 議員 Q 今回示された特別区素案では、約2000億円もの財源を府に渡す上に、庁舎整備やシステム構築などに最大で800億円の予算をつぎ込むとされています。一方で新たに設置される特別区については、基礎自治サービスを充実させるための財源がどの程度あるのか全く示されていません。  財政シミュレーションで示されるべき効果額は、特別区設置によってのみ生じる効果でなくてはなりません。大阪市を廃止し、特別区を設置することで、どれだけの効果額が定量的に生み出されるのか、お答えください。 A 特別区の設置により、広域行政と基礎自治の役割分担を徹底し、府市で広域機能を一元化することで、都市機能の整備を迅速かつ効果的に進め、大阪の成長を将来にわたって確固たるものにします。一方で、住民自らが選ぶ区長や区議会で決定することにより、限られた財源の中で、より一層地域の実情に応じた住民サービスを充実させることが可能となります。  特別区設置の効果額については、それが算出可能かどうか専門家の意見も踏まえて検討するように指示しています。 〈その他の質問項目〉 ○万博及びIRの誘致 ○大学の法人統合 ○住吉市民病院跡地への病院誘致 ○大阪新美術館 など 用語解説 財政シミュレーション 特別区の区割り案や財政運営が将来的に成り立つのか協議するための参考として作成した、財政に関する将来推計です。現時点で把握できる数値を基に一定の前提条件で試算したもののため、今後の景気動向等で変動する可能性もあります。 公明党 こどもの貧困対策についてどのように取り組んでいくのか 西﨑 照明 議員 Q 昨年実施された「こどもの生活実態調査」の分析結果により明らかとなった本市のこどもや子育て家庭の厳しい実態を見ると、支援を必要とする全ての家庭に対し、適切な支援が届いていないと考えます。我が会派ではプロジェクトを立ち上げ「申請主義からアウトリーチできる行政への転換」など、こどもの貧困対策に関する政策提言を行っています。また、学校と区役所の連携強化や、ひとり親世帯に対する寄り添い型の支援の必要性も提言しています。  こどもの貧困対策には多くの課題がありますが、本市として今後どのように取り組んでいきますか。 A こどもが生まれ育った環境にかかわらず、自分の可能性を追求できる社会を実現したいと考えています。こどもの貧困対策として、こどもが育つ環境の整備や教育の機会均等を図ることなど、こどもに焦点を当てた施策が重要です。また、申請を待つだけでなく、支援が必要であることを発見して申請手続きにつなげるアウトリーチの手法について検討していきます。さらに、学校と区役所の連携強化やひとり親世帯への支援策の充実についても検討していきます。こどもの貧困対策施策は未来への投資です。今後とも、大阪市をあげて取り組みを進めていきます。 〈その他の質問項目〉 ○バッテリー関連企業の集積促進と中小企業支援の取り組み ○幼児教育の無償化 ○障がい者スポーツ振興と長居障がい者スポーツセンター ○認知症政策の充実 など 用語解説 アウトリーチ 本来は手を伸ばす、手を差し伸べるといった意味です。ソーシャルワークや福祉サービスの一般的実施機関がその職権によって潜在的な利用希望者に手を差し伸べ、利用を実現させることです。 日本共産党 無謀な夢洲開発の核―IR・カジノの誘致はやめるべきではないか こはら 孝志 議員 Q 大阪IR基本構想(案)・中間骨子が発表され、夢洲を世界で類を見ないエンターテイメントを体感できる空間にするとのことですが、具体的にどういうものなのでしょうか。結局のところ、集客の要はカジノになり、その収益で他の施設の費用を賄わざるを得ないのではないですか。  また、外国人観光客の利用は1割程度との見解もあり、一般市民がカジノのターゲットとなると、大阪経済にとってマイナスにしかならず、ギャンブル依存症問題も一層深刻になります。無謀な夢洲開発の核であるIR、カジノの誘致はやめるべきではないですか。 A 夢洲にIRを核とする国際観光拠点やMICE施設が形成されることで、観光客や国際会議などの大幅な増加が見込まれ、大阪の成長に大きく資するものと考えています。一方で、ギャンブル等依存症については、実効性のある対策を府と一体になって実施することで、カジノはもとより既存のギャンブル等に対する依存症の最小化に全力で取り組みます。民間の活力をどんどん活かし、IRのプラスの効果を最大限引き出すとともに、ギャンブル等依存症などの懸念事項に正面から取り組むことで、世界最高水準のIRを実現することをめざします。 〈その他の質問項目〉 ○本市の財政運営 ○つり合いのとれた街づくり ○府・市の団体統合 ○国民健康保険 など 用語解説 IR(Integrated Resort) 国際会議場・展示施設などのMICE施設、レクリエーション施設、宿泊施設、カジノ施設などが一体となっている複合観光施設であって、民間事業者が設置し、運営するものです。都道府県・政令指定都市の申請に基づき、国がIR区域を認定します。 「大阪市会だより」は再生紙を使用しています。 トピックス 各会派の幹事長に 聞いてみました  大阪市会の各会派を代表する幹事長4人に、もうすぐ始まる2・3月定例会に向けての会派の意気込みや、自身が議員になろうと思ったきっかけなどを聞いてみました。 大阪維新の会 辻 淳子 幹事長 ①2・3月定例会(予算市会)においての重点要望  大阪維新の会としては、特別区設置に向けて議論を進め、より良い特別区案を作っていきたいと思います。広域行政を1ヶ所に集中させることにより大阪全体のさらなる発展をめざし、また特別区に変わることで、住民の意見をより活かせる基礎自治体になります。30年度予算においては教育・子育て・福祉・防災対策を充実させるとともに、最先端ICT都市の実現をめざします。 ②議員になろうと思ったきっかけ  私は父の跡継ぎとして地域の皆様に推挙され、女性議員が少ない議会の中で、女性目線を活かしてお役に立ちたいとの思いから立候補しました。 ③さいごに一言  本市は少子高齢化、厳しい財政運営が続く中、数々の改善策により、こども関連の政策を充実することができました。長年の課題であった地下鉄も4月から株式会社となり、本市への納税、株式配当など市民への貢献度が上がります。また大阪城や天王寺公園エントランスエリア“てんしば”等の市の施設が民間に運営を委託したことによって、より多くの人々が楽しく利用することができ、かつ税金による運営から市へ使用料を納入する施設へと変わりました。今後も民・学・公が協力して成長戦略を進め、観光都市・大阪の地位確立、G20の開催、万博誘致、IR誘致を成功させて世界最高水準の国際エンターテイメント都市となり、その歳入で豊かな市民生活を拡充していきたいと思います。 自由民主党・ 市民クラブ 黒田當士 幹事長 ①2・3月定例会(予算市会)においての重点要望  二重行政の大義名分のもとで統合廃止された「住吉市民病院、環境科学研究所、工業研究所、保証協会」などの案件について、その後の効果の検証を行います。それぞれの事業の進捗状況は、果たして当初の目標通り進んでいるのか、当初の計画の際から予想されていた問題が発生しているのではないか、また事業を進めていくにあたり新たな課題は発生していないかなどの検討に力を入れていきます。さらには、継続審議中の大学統合問題について、法人統合だけで終わる問題か、大学統合まで見据えたときに新たな大学のビジョンは示されるのか、またその実現のためのニューマネーの投資は約束できるのかを検討していきます。大都市制度については、再度の住民投票は許されるものではなく、総合区の導入について幅広く議論すべきと考えています。 ②議員になろうと思ったきっかけ  私の身近に議員が複数人存在したので、その人たちをウォッチし、大学の卒論で「議員になる機会と動機」としてまとめました。その経験から議員をめざそうと思いました。 ③さいごに一言  「わかりやすい政治・身近な政治」をスローガンに活動しています。私個人としても、そして議員団の代表としても、今後さらに発信力を高めていきます。今年の目標は、大阪市をなくし特別区へ移行するか否かの住民投票を阻止することと、これからの大阪市の存続と改革・発展に力を入れていきたいです。 公明党 土岐恭生 幹事長 ①2・3月定例会(予算市会)においての重点要望  大阪市をより一層発展させるために、G20サミット・万博誘致の実現をはじめ、民間活力を活かした大規模公園の充実、観光エリアの拡充を求めています。また、高齢者が安心して暮らせる地域包括ケアシステムの構築や介護予防、認知症対策の拡充も進めていきます。そして、明るい未来に向け、こどもの貧困対策として各種施策につなげるネットワークの構築や待機児童の解消、幼児教育の無償化、学力の向上、教員の働き方改革など、子育て・教育施策の推進を強く進めます。さらに、河川氾濫や風水害対策の防災・減災対策の強化を進め、安心・安全の街づくりの実現に向けて全力で取り組みます。 ②議員になろうと思ったきっかけ  市民の皆様の声を政治に届け「生活者優先の政治」を実現したいとの思いから議員をめざしました。 ③さいごに一言  大都市大阪市が抱える様々な課題を克服するために、公明党は、「大阪市を存続した総合区制度の導入」を推進していきます。今まで以上に住民に身近なサービスを区役所で提供できることや、新たに地域自治区の導入等を行い、住民自治の強化や住民の皆さんとの協働等を進め、活力あふれる大阪市の構築をめざしていきます。 日本共産党 山中智子 幹事長 ①2・3月定例会(予算市会)においての重点要望  現在、大阪市を廃止して特別区に移行する「都構想」について、2015年5月に住民投票ですでに市民から否決されたにもかかわらず、再度その議論が行われています。  住民投票の結果は極めて重く、それを覆して再度、都構想をおこなうかどうかの住民投票を行うことは、本来はあり得ないことです。そんな市民の声を無視した不毛な地方自治の制度いじりに加えて、莫大な税金を投入して行うIR・カジノ誘致に熱中する議論もされているところです。  そのような市民不在の議論ではなく、市民にとってもっと身近な暮らしを守る、例えば保育所待機児童解消や、国民健康保険料・介護保険料の値下げなど、市民をしっかりサポートし応援する市政への転換を、今回の予算審議で強く求めていきます。 ②議員になろうと思ったきっかけ  誰もが安心して、じぶんらしく輝いて暮らすための手助けをする政治を築きたいと思ったからです。 ③さいごに一言  私は、大阪生まれではありませんが、大阪の街がとても好きです。伝統ある大阪市をなくさず、活気に満ちたより暮らしやすい街にチェンジしたいという思い一筋で議員活動を行っています。  そんな私の息抜き方法は読書で、特に時代小説が好きです。 注 目 大阪市政はどうなるの? 2・3月定例会 カレンダー 平成30年度の予算などを決定する2・3月定例会が始まります。 来年度の大阪市政をどのように進めていくかを決める重要な市会です。 2月 9日(金)   午後2時 16日(金)   午後1時 19日(月)   午後1時 20日(火)   午後1時 23日(金)   午後2時 28日(水)     未定 3月 1日(木)     未定 2日(金)   午後1時 3月 7日(水)~9日(金)   午後1時 12日(月)・13日(火)   午後1時 16日(金)   午後1時 19日(月)   午後1時 20日(火)   午後1時 26日(月)   午後1時 27日(火)   午後2時 <開会>本会議(当初案件上程・付託) 常任委員会 常任委員会 常任委員会 本会議(当初案件議決、予算上程) 本会議(代表質問) 本会議(代表質問、予算付託、追加案件上程・付託) 6常任委員会(説明) 6常任委員会(質疑) 6常任委員会(質疑) 常任委員会 常任委員会 常任委員会 6常任委員会(態度決定) 本会議(予算・追加案件議決)<閉会> ※会議日程は予定であり、開会日・開会時間は変更されることがあります。