大阪市会だより5月号 平成30年 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX 6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 予算総額 3兆8,985億円 平成30年度予算案 可決 2・3月 定例会  大阪市会は、2・3月定例会を2月9日から3月27日まで開き、主に市長から提案された新年度予算案の審議を行いました。  新年度予算案については、2月23日の本会議で市長から説明を受け、2月28日、3月1日の本会議で各派が代表質問を行った後、6つの常任委員会で「どんなことに使われるのか」「市民にとって本当に必要なものなのか」といった様々な観点から詳細に審査しました。  3月27日の本会議において平成30年度大阪市一般会計予算案および補正予算案その他の関連議案は、すべて可決しました。  このほか、この定例会では、住吉市民病院跡地に診療所を設置するための議案や、G20サミット首脳会議開催のための補正予算案、大阪市立大学と大阪府立大学を運営する法人を合併する議案などを可決しました。  また、議員報酬と政務活動費の自主的な減額を延長するための議案を可決しました。 本会議の様子 各会派の代表質問 2月28日、3月1日の本会議では、各会派が代表質問を行い それに対して市長が答弁しました。その主な内容を紹介します。 市会のQ&市長のA 吉村市長 大阪維新の会 今井 アツシ 議員 大都市制度改革の趣旨を市民にどのように伝えていくのか Q  特別区設置の是非を問う住民投票に向けて、大都市制度改革の内容について、市民にわかりやすく広報していくべきです。  しかし、現在の大都市制度の広報は、文字や数字ばかりで、非常に伝わりにくいものとなっています。今後はもっと市民目線の広報を行っていく必要があり、そのためにも民間のノウハウを活用していくべきだと考えますが、市長はどうお考えでしょうか。 A  大都市制度改革の必要性や、総合区・特別区の両制度については、市民のみなさんにとって非常に重要なことであり、行政による丁寧な説明が求められます。そのため、これまで住民説明会の開催や、総合区・特別区に関する広報紙の発行を行ってきましたが、さらに区の広報紙へのわかりやすい記事の継続的な掲載を指示しました。今後、民間から広報の専門家2人を招き、その助言やデザイン・表現力などのノウハウを活用しながら効果的な広報活動を展開していきます。 〈その他の質問項目〉 ○G20サミット首脳会議の開催 ○鶴見緑地の活性化 ○大阪教育大学との包括連携協定の締結 ○ICT化の推進 など 自由民主党・市民クラブ 福田 武洋 議員 特別区に移行の場合、ビッグプロジェクトの財源は大阪府が負担するのか Q  なにわ筋線の建設、淀川左岸線の延伸、IR、万博などのビッグプロジェクトについては、今後事業費が膨らんでいくと想定されますが、これらの事業は府の事業と位置付けられる以上、府税で負担すべきとかねてより指摘してきたところです。しかし市長は、これらに係る事業費を大阪府に移管する財政調整財源、すなわち特別区の負担で賄うものと考えているのでしょうか。また、特別区移行後の新たな成長戦略的なプロジェクトについても、府税による負担は一切せず、市町村税があてられてしまうのでしょうか。 A  現在、市が大都市地域における市町村事務として実施している広域的な事業には、特別区設置後、府に移管する財政調整財源を充当することが適当であり、既に方針が決定しているビッグプロジェクトの財政負担については、今後、府市の法定協議会での議論が必要だと考えます。  特別区設置後に新たに広域事業を行う際は、府に配分された財政調整財源を充当することが基本だと考えますが、府と特別区の配分割合については大阪府・特別区協議会において毎年度検証し、必要に応じて協議されます。 〈その他の質問項目〉 ○住吉市民病院閉鎖に伴う重症心身障がい児者の引継ぎ状況 ○大阪健康安全基盤研究所 ○区役所住民情報業務等の委託化での入札不調に伴う再発注 ○新しい美術館の整備 など 公明党 辻 義隆 議員 増え続ける高齢者のニーズに今後どのように対応するのか Q  団塊の世代が75歳以上となる2025年には、要介護認定を受ける高齢者の増加が見込まれており、今後は、元気な高齢者が自身の介護予防のために、支える側として活躍できる仕組みづくりや、日々の暮らしをサポートする地域包括支援センターの増設、認知症の方への支援強化が求められています。  増え続ける高齢者のニーズに対応するために、「第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」の策定にあたり、市長はどのように取り組んでいこうとお考えですか。 A  介護予防の推進に向けて、元気な高齢者が在宅高齢者の支援を行う「住民の助け合いによる生活支援活動事業」を新たに実施します。また、地域包括支援センターについては相談支援体制の充実を図ります。認知症の方への支援については、積極的に働きかけを行うアウトリーチ手法で早期発見や早期対応を推進するとともに、認知症アプリなどを活用した分かりやすい情報発信に努めます。さらに、地域の見守り体制強化や、医療・介護の連携により、認知症の人にやさしいまちづくりに取り組みます。 〈その他の質問項目〉 ○長居公園、靱公園など大公園の活性化 ○骨髄移植患者のワクチンの再接種補助 ○喫煙対策 ○台風21号を教訓とした災害対策 など 日本共産党 瀬戸 一正 議員 大阪都構想の2度目の住民投票は民意を踏みにじるものではないか Q  市長は都構想が否決された前回の住民投票の結果は尊重するが、市長選挙で都構想の見直しと再挑戦を公約としたので、再び住民投票をするのは当然だとされています。しかし「3年前に決着済みだ」「何度も住民投票できること自体がおかしい」との市民の声が後を絶ちません。住民投票の結果を尊重することは民主政治の大原則です。2度目の住民投票は市民の審判を踏みにじるものとの市民の声に、市長はどう答えるつもりですか。 A  前回の住民投票で特別区設置案は否決されましたが、その後の市長選挙において、再挑戦を公約として掲げ、そして多くの市民の信任をいただきました。賛成69万票、反対70万票という住民投票の結果をみても、大都市制度改革が必要だと多くの市民が判断されたと感じています。私としては、総合区・特別区、それぞれベストな案を作り、再度市民の審判を仰ぎたいと考えているもので、前回の結果を踏みにじるものではありません。改革が必要だという市民の声を受け、住民投票にチャレンジします。 〈その他の質問項目〉 ○保育所待機児童の解消 ○学校給食費の無償化 ○国民健康保険料と介護保険料の引き下げ ○住吉市民病院跡地への公的病院の誘致 など 大阪維新の会 伊藤 良夏 議員 同性カップルのパートナーシップ証明制度を導入してはどうか Q  LGBTなどの性的少数者の方々は、周囲からの偏見に傷つき、様々な制度やサービスの利用にあたって不利益を受けられることも少なくありません。本市では、淀川区のLGBT支援宣言以降、支援の取り組みを全市的に進めていますが、当事者が直面する課題の解消に向けたさらなる施策を実施すべきです。他の自治体では、一歩進んだ取り組みとして同性カップルのパートナーシップ証明制度が導入されていますが、本市においてもその導入を真剣に考えていただけないでしょうか。 A  性的少数者の方々が社会から偏見を持たれ、差別されることは決して許されることではありません。大阪市はこれからも、性的少数者の方々が直面している課題の解決に向けて、さまざまな支援を積極的に進めていきます。同性パートナーシップ証明制度は、同性カップルがパートナーとして公に認められるというだけでなく、民間企業の取り組みを促すきっかけにもなるものであり、本市においても導入していきたいと考えています。 〈その他の質問項目〉 ○待機児童対策 ○学校の安全対策 ○住吉市民病院跡地への認知症医療拠点の設置 ○長居公園の魅力向上 など 常任委員会 での論議  本会議で市長から提出された議案は、その後6つの委員会に分かれて詳しく議論されます。議案の内容について、議員から市の執行部へと質問が投げかけられました。 財政総務委員会 戸籍事務における AIの活用は Q 市の業務におけるAI(人工知能)技術の活用に戦略的に取り組んでいく必要があるのではないか。 A 戸籍業務などで職員が各種法令や通達などたくさんの文献等を参照しながら行う業務では、必要な資料を探し出すことに時間がかかってしまいます。そこで、大量の情報から必要なものをすぐに検索できるAI(人工知能)システムを開発し、3月から浪速区と東淀川区においてモデル運用を始めました。このシステムによって、迅速かつ的確に必要な情報を提示することを通じて、業務の効率化と市民サービス向上につながると考え、平成30年度以降その成果を検証していく予定です。  今後、さらなる各種業務の効率化とサービスの向上をめざして、AI技術を含む最先端ICTの導入検討に全庁的に取り組んでいきます。 〈他の質問項目〉未利用地の有効活用、大都市制度、区役所窓口業務の民間委託、オープンデータ など 教育こども委員会 保育施設を 区役所などに Q 増え続ける待機児童を解消するために、保育施設入所枠をどのように増やしていくのか。 A 保育施設の入所枠を増やすために、市の施設を利用した保育施設を整備する施策を進めています。4月からは14の区役所と市役所本庁舎の計15か所に、新たな保育施設を開設します。また、市営住宅の空き住戸を小規模保育事業所として活用した取り組みを進めています。さらに、公園への保育所設置を淀川区と浪速区で検討中です。  これらにより4月時点で、新たに252人の入所枠が確保されます。今後は、地域の保育ニーズをふまえた区長の意見を反映するとともに、区ごとの課題などを検討し、条件が整うところから積極的に着手していくことで、待機児童の早期解消を図ります。 〈他の質問項目〉こどもの貧困対策、プログラミング教育、教員の負担軽減・部活指導員 など 認定こども園喜連幼稚園 教育こども委員会 実地調査 大阪市立こども文化センター・認定こども園喜連幼稚園・大阪市南部こども相談センターの施設見学を行いました。 民生保健委員会 住吉市民病院廃止 新病院再編は Q 住吉市民病院廃止後の病床再編計画や、跡地での新病院の整備についてはどうなるのか。 A 住吉市民病院廃止後に設置される「住之江診療所」は、医療スタッフの確保が困難なため入院病床がありませんが、入院が必要な場合には、他の病院に入院できるよう協定を結び、受け入れ体制を整えていきます。重症心身障がい児者の医療型短期入所枠は、市立総合医療センターで1床、大阪府市共同住吉母子医療センターで1床を確保する予定です。引き続き、民間病院でのさらなる受け入れ枠確保に向けて働きかけを行います。 ※住吉市民病院跡地に新たな病院の再編計画を着実に進めていくこと、住之江診療所や大阪府市共同住吉母子医療センターへのアクセスを改善することを大阪府市で連携して検討することなどを附帯決議として決しました。 〈他の質問項目〉生活保護の不正受給対策、国民健康保険の保険料改定、犬猫の理由なき殺処分ゼロ など 都市経済委員会 民 泊 独自規制へ Q 住宅宿泊事業、いわゆる民泊の適正な運営のために本市独自で厳しく規制するべきであるが、どう考えているのか。 A 住宅宿泊事業の適正な運営のために、宿泊者の安全の確保や、周辺住民からの苦情にはすぐに対応しなければならないなど、法律ではすでに規定されています。しかし周辺住民等への生活環境の悪化防止と安全・安心を守る観点から条例により本市独自の規制及び規定を行います。  具体的には、幅4m未満の道路に面した住居専用地域では原則営業を禁止し、小学校周辺では平日の営業を禁止するなど、事業への一定の制限を設けることや、事業者に対して周辺住民等に事前説明を実施することを義務付けることなどが、条例の内容となっています。 〈他の質問項目〉万博誘致、IR誘致・ギャンブル等依存症対策、新しい美術館、なにわ筋線 など 建設消防委員会 御堂筋を 魅力ある空間へ Q 大きなポテンシャルがある御堂筋の魅力を引き出す取り組みを、今後どのように進めていくのか。 A 御堂筋の側道を歩行者空間とし、人中心の魅力的なメインストリートにする取り組みを本格化させていきます。  道頓堀川から、千日前通りとの交差点である難波交差点までの側道を閉鎖し、その場合の交通への影響などを検証していく社会実験を行います。また、交通渋滞や沿道建物への寄りつきなど周辺地域にも影響があるため、地域の方々と意見交換を十分に行いながらこの計画を進めていきます。2019年度以降は、この取り組みを本格実施していきます。  御堂筋は、現在でも大阪都心部を支える重要な役割を担っていますが、さらなる魅力向上に向けて、今後も取り組んでいきます。 〈他の質問項目〉災害時の対応、鶴見緑地の再生、天王寺動物園、舞洲ヘリポート など 交通水道委員会 地下鉄・バス民営化 市民の声は届くのか Q 4月に発足する地下鉄・バスの新会社に、市民の意見はどのように反映されるのか。 A 民営化後も市民の代表である議会を通じて市民の意見を聞くとともに、会社の事業についても説明する場として「大阪市会・新会社連絡会議(仮称)」を設置します。会議の構成員は、大阪市会、Osaka Metro、大阪シティバス株式会社で、大阪市はオブザーバーとして参加します。  この会議は議会と新会社が、市民・お客さまの声の内容や施策などの進捗状況を共有し、事業運営に反映させるべき施策について意見交換を行う場となります。  新会社の株主である市長が株主権限を行使する場合は、市民・議会の意見を踏まえたうえで、十分に検討を行い判断していきます。 〈他の質問項目〉大規模災害発生時の水道局の対応、水道事業運営権制度の活用、BRTの社会実験 など 委員会の様子 可決した意見書 意見書は可決後、国会・関係行政庁に提出します。 ○所有者不明土地の利用促進を求める意見書(2月23日) ○ギャンブル等にかかる一層の広告規制を求める意見書  ○インターネット上の投稿サイトを利用して行われるヘイトスピーチへの対策強化に向けた法改正等を求める意見書(以上3月27日) 5月定例会 カレンダー 次の議長・副議長や役員などを決める5月定例会が始まります。 15日(火) 午後2時 〈開会〉本会議 【案件付託】 18日(金) 午後1時 常任委員会 21日(月) 午後1時 常任委員会 22日(火) 午後1時 常任委員会 25日(金) 午後2時 本会議 【案件議決】 29日(火) 午後2時 本会議 【役員改選】 〈閉会〉