大阪市会だより1月号 平成31年 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX 6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 謹んで新春のお慶びを申しあげます  市民の皆様方におかれましては、ご健勝にて新春をお迎えのことと、心からお慶び申しあげますとともに、平素より大阪市政の推進にご理解とご協力を賜り、深く感謝申しあげます。  昨年、本市において、大阪府北部地震と台風21号という大規模災害が発生しました。被災された方々には心からお見舞いを申しあげます。  その一方で、2025年万博の大阪・関西での開催が決定するなど明るいニュースもありました。また、本年は元号が新しくなり、大阪でG20が開催されます。大阪がますます魅力あふれる都市になるよう尽力いたしますので、引き続きご支援ご協力を賜りますようお願いいたします。皆様方にとりまして、今年もよい年でありますよう心からお祈り申しあげます。 ⻆谷 庄一 市会議長 2025年の万博 大阪・関西での 開催が決定!! 9~12月 定例会 平成29年度 一般会計等決算を認定しました  大阪市会は、おもに平成29年度公営・準公営企業会計や一般会計などの決算を審議する平成30年第3回定例会を開きました。公営・準公営企業会計の審議は9~10月に行いました。一般会計等の決算報告については、10月25日の本会議において、市長の説明を受けた後、決算特別委員会を設置・付託し、7日間にわたる審査を経て、11月14日の本会議で賛成多数により認定しました。  また、12月12日の本会議では、台風21号の被害対応に要する経費、2025年日本万国博覧会の開催準備に係る経費を含む一般会計補正予算、港営事業会計補正予算などの案件を議決しました。 各会派の一般質問 10月24日、25日の本会議で 各会派から市長に対して、 市政についての一般質問を行いました。 吉村 洋文 市長 大阪維新の会 片山 一歩 議員 大規模災害時の情報収集発信にICTを活用してはどうか Q.地震や台風などの災害発生時は、市民の生命や安全を守るため、迅速かつ適切な情報把握や対応が重要になります。しかし災害時は電話による問い合わせが集中するため、区役所などの電話がつながりにくいという事例が多数発生しました。災害発生時は電話のみによる対応が難しいため、ICTの手法を活用することを提案します。例えば、SNSを使用し市民と連絡を取る方法や、市民からのSNS投稿を活用して災害情報の収集を行うなど、一層のICT活用を検討いただくことを要望しますが、市長の見解を伺います。 A.災害時には、情報の収集や発信は大きな課題です。とりわけ停電などのライフライン情報は、市民にとって大変重要であり、被災状況や対応状況などについてはホームページやSNSですみやかに発信し、市民の不安を払しょくできるよう努めていきます。また、市民がSNSに投稿した情報は臨場感、即時性を有する貴重な情報源であるため、より効果的な災害対応につなげることができると考えられることから、大量の情報をリアルタイムに分析できるツールを活用するなど、情報の収集方法についてはさらに検討を進めていきます。 〈その他の質問項目〉 ○妊婦健康診査の拡充 ○学力向上の取り組み ○大都市制度に関する経済効果 ○景観に配慮した駐輪場の整備 など 自由民主党・市民クラブ 永井 啓介 議員 市長をトップとする災害対策本部をなぜ設置しなかったのか Q.大阪を直撃した台風21号による大きな被害の発生は、事前に予測できたにも関わらず、市長は自身をトップとする災害対策本部を設置せず、避難所の運営や被害状況の集約などに必要な対応は、それぞれの現場に任せきりになっていました。また台風21号の被害に対して、災害救助法の適用がされておりませんが、早期に同法の適用を判断するよう積極的に大阪府に働きかけていれば、それに伴う措置や事務はもっと迅速にできたと思います。この点について市長はどうお考えでしょうか。 A.災害時に災害対策本部などを設置するかどうかについては、本市の地域防災計画や避難勧告等実施要領で基準が定められています。それらに基づけば、今回、災害対策本部を設置しなかったという判断は間違っていません。しかし現在の計画は、今回のような超大型台風が大阪を直撃するということが想定されておらず、被害状況を考えると設置基準そのものを見直すべきと考えています。また、災害救助法の適用について、今回の被害状況は同法の適用基準に達していないとの判断が、大阪府によりなされています。 〈その他の質問項目〉 ○体育館の空調整備充実 ○市有財産の保育所用途への優先活用 ○大阪府市共同住吉母子医療センター運営費の本市負担分 ○大都市制度の経済効果に関する調査報告書 など 公明党 島田 まり 議員 少しでも快適に過ごせる避難所の環境整備について Q.かつての一般的な避難所では、プライバシーが確保できず、体育館の床に直接毛布を敷いて寝るなど環境整備が不十分でした。大阪市でも、この度のさまざまな災害により避難所を開設する事例が出ていますが、場所によって空調の有無などの設備環境に差がありました。  避難所については災害弱者への配慮や、ペットへの対策など、ある程度の運営ルールが必要だと思います。さらに、東日本大震災などで活躍したトレーラーハウスや木造応急仮設ハウスの活用など、快適な環境整備の取り組みを進めていただきたいと考えますが、市長のご所見をお伺いします。 A.避難所の開設にあたっては、配慮すべき事項などについてのガイドラインを作成するように指示しています。また業者と協定を締結し、冷風機や暖房器具、発電機、段ボールベッドや間仕切りなどを速やかに調達し、避難所に設置できるようにするなど、避難者の皆様が快適に過ごせるよう環境整備に努めています。その他にも、避難所の整備については議員ご指摘のとおり、トレーラーハウスなどさまざまな方法があり、他都市の事例なども参考にしながら検討していきます。 〈その他の質問項目〉 ○女性の幹部登用 ○G20サミットの取り組み ○学力向上の取り組み ○ギャンブル等依存症対策 など 日本共産党 瀬戸 一正 議員 一部損壊の住宅被害に対する支援制度の創設について Q.大阪府北部を震源とする地震や台風21号により、一部損壊した住宅は1,000棟をはるかに超えました。住宅の一部損壊は決して軽微な損害ではないにも関わらず、被災者生活再建支援法では支援の対象になっていません。そのため自力で再建できない市民はたくさんいらっしゃいます。大阪府下では、一部損壊も対象とする改修費の支給制度を新たに創設した自治体もあります。大阪市もこのような制度を新たに作り、補正予算を編成して被災者を支援すべきではありませんか。 A.被災者の早急な生活再建のために、行政として必要な支援を行うことは重要だと思います。住宅が全壊・半壊した場合には、生活再建にかかる個人の負担が大きいため法律による支援が行われていますが、一部損壊の支援にも税金で補うか否かについては慎重な検討が必要だと思います。大阪府北部を震源とする地震や台風21号による住宅被害に対する無利子融資制度が府において創設されており、本制度も活用しながら早急な復旧を図ることが必要であると思います。本市として特段の補正予算を組むことは考えていません。 〈その他の質問項目〉 ○台風発生時の避難所の開設 ○IR誘致の断念 ○大阪都構想と住民投票の断念 ○学力テスト結果の給与反映撤回 など 決算特別委員会の審査の様子 決算特別委員会の質疑 財政や教育関係事業などのお金の使い方をチェックしました 財政問題について Q.大阪市の財政状況について A.平成29年度の決算状況について、法人市民税の増収など市税収入が2年ぶりに増加したことなどにより、一般会計決算の実質収支は29年連続の黒字となりました。   しかし今後10年間の財政収支の概算では、高齢化に伴う扶助費の増加などにより期間の終盤には再び収支が悪化する見込みであり、直ちに財源にゆとりが生じる財政状況ではありません。事業の選択と集中を進め、今後も持続可能な財政構造を構築していく必要があります。  また、市債の発行を抑制することなどにより、交通事業の民営化の影響を除く実質的な比較における臨時財政対策債を除いた一般会計及び全会計の市債残高は、いずれも13年連続で減少しました。引き続き起債の厳格な管理を行います。 Q.新公会計制度の活用について A.これまで市政改革プランでは単年度収支不足を最大の課題として捉え、収支バランスをとってきました。平成27年度から導入した新公会計制度を正しく理解し活用すれば、新たな視点での施策や事業の見直しにつながります。今後は、中長期的な市民サービスの向上や財源確保のため、全市的に財務諸表の活用事例を作り、無駄を生まない体質改善にも取り組んでいきます。 【新公会計制度とは】 発生主義・複式簿記・日々仕訳の考え方(企業会計的手法)を採用し、財務諸表の作成・活用を通じて、地方自治法に基づく官庁会計の4つの課題(資産・負債といったストック情報の不足、減価償却費等の非現金のコスト情報の不足、アカウンタビリティ(説明責任)の不足、マネジメントの不足)を補完するために導入したものです。 教育施策について Q.ICT機器の授業への活用状況は A.学校教育ICT活用事業の平成29年度決算額は21億6,100万円でした。学校でのICT教育の推進のために、各小中学校にタブレット端末を40台ずつ配布しています。各クラスでタブレット端末を月1回以上活用することという具体的な基準を示したものの、現状は学校によって活用状況にばらつきがあります。タブレット端末を活用した授業づくりについては、教員の意識やICTを活用した指導力は高まりつつありますが、学校でのICT環境整備が十分でないことなどもあり、まだまだハード面、ソフト面ともに様々な課題があります。  今後も引き続き各学校の現状や課題の把握に努め、継続して環境整備を行い、ICT活用を推進していきます。また、児童や生徒が一人一台ずつタブレット端末を持つ環境の実現についても、国の動向も注視しながら進めていきます。 Q.多文化共生社会の実現に向けた教育について A.大阪の成長戦略の積極的な取り組みの中で、グローバル化による雇用環境の変化などにより、本市の学校に在籍する外国籍の児童生徒も増加し、学校を取り巻く状況は大きく変わってきています。  多文化共生社会の実現に向けて、子どもたちが互いに認め合い、理解し合いながら国際社会において生き抜く力を身に着けてもらいたいと考えています。教育現場における変化に対応し、すべての子どもが等しく教育を受けられるよう取り組んでいきます。 待機児童対策について Q.保育士人材を確保するために A.保育士人材不足が深刻化していく中、本市では保育士を確保するための様々な取り組みを実施しています。例えば、国の制度を活用した保育士の宿舎借上げ支援事業や、本市独自施策として新規採用保育士への特別給付に係る補助を行うなど、保育士が本市内の保育所などに就職し、活躍し続けていただけるような取り組みを進めていきます。 Q.定期借地制度を活用した保育所整備の課題について A.本市のような都市部では、保育所の整備を行う土地や建物の確保が困難であるため、市有地を活用した保育所整備に取り組んでいます。公募の際には、事業者が安定的な運営ができるよう長期の定期借地契約を条件としており、契約形態を直ちに変更することは困難ですが、将来、少子化の影響などから保育ニーズが大幅に減少するなど、契約時と状況に大きな変化があった場合には、契約のあり方を含め関係局で議論を深めていきます。 博物館施設について Q.地方独立行政法人化に向けて A.博物館や美術館が、今後さらなる魅力向上を図り、都市の中心的な存在となるために、地方独立行政法人への円滑な移行に向けて準備を進めているところです。  自然史博物館や科学館をはじめ博物館が果たしてきた、学校教育や市民の生涯学習に対する役割については、今後本市が作成し、法人に指示する中期目標に盛り込みます。  また、各館が所蔵する館蔵品については、法人に移すとともに、「重要な財産を定める条例」により、法人化後も議会や本市が引き続きその保全に関与できる仕組みを構築していきます。  さらに、職員について、現状は学芸員の年齢層にかなりの偏りが生じています。将来にわたり持続可能な組織とするためには、学芸員のみならずその他の一般職も含めた計画的な採用や事務職員の適正配置が必要となるため、これについては法人と連携して、人材を確保していきます。 大阪歴史博物館 平成 29年度 一般会計等 決算概要 会 計 名 歳 入 歳 出 差 引 一般会計 兆 1 億 7,516 万円 8,673 兆 1 億 7,503 万円 2,448 億 13 万円 6,224 食肉市場事業会計 18 0,246 18 0,246 0 駐車場事業会計 27 6,638 27 2,508 4,129 母子父子寡婦福祉 貸付資金会計 8 5,275 2 2,425 6 2,849 国民健康保険 事業会計 3,571 3,945 3,555 2,130 16 1,815 心身障害者扶養 共済事業会計 4 9,684 4 9,684 0 介護保険事業会計 2,542 2,490 2,534 6,964 7 5,526 後期高齢者医療 事業会計 309 9,574 296 1,589 13 7,985 公債費会計 1 3,046 8,276 1 3,046 8,276 0 ※1万円未満切り捨て 決算特別委員会委員(一般会計等) 委 員 長 副委員長 委  員 (維新) 藤田 あきら (維新) 辻  淳子 (自民)福田 武洋 (維新) 井戸 正利 出雲 輝 金子 恵美     杉山 幹人 飯田 哲史 佐々木 りえ     高見  亮 (自民) 前田 和彦 永井 啓介 山本 長助     荒木 幹男 福島 真治 (公明) 杉田 忠裕 山田 正和 岸本  栄     永田 典子 前田 修身 (共産) こはら 孝志 山中 智子 藤田 あきら 決算特別委員長 市会の うごき 10/24(水) 本会議(一般質問) 25(木) 本会議(一般質問、一般会計等決算の市長説明など) 26(金) 決算特別委員会【一般会計等決算】(正副委員長の互選、説明など) 11/1(木)、2(金)、5(月)、6(火)、7(水) 決算特別委員会【一般会計等決算】(質疑) 13(火) 決算特別委員会【一般会計等決算】(付託案件に対する態度決定) 14(水) 本会議(一般会計等決算の議決など) 29(木) 本会議(一般質問など) 30(金) 本会議(一般質問など) 12/5(水)~7(金) 常任委員会(付託案件の審査、請願書・陳情書の審査など) 12(水) 本会議(常任委員会付託案件の議決など)〈閉会〉 ●その他の主な質疑項目● ○未利用地の活用 ○空き家対策 ○婚活支援 ○ヘイトスピーチへの対応 ○教員の負担軽減 ○里親委託 ○大学統合 ○うめきた2期開発  ○IR誘致の問題点 ○ギャンブル依存症対策 ○マイクロプラスチック対策 ○天王寺動物園の整備 ○大都市制度に係る広報のあり方 など 可決した 意見書・決議 意見書は可決後、国会及び関係機関等に提出します。 ○北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決を求める意見書 ○無戸籍問題の解消を求める意見書 ○認知症施策の推進を求める意見書 ○義援金差押禁止法の恒久化を求める意見書 ○Society5.0時代に向けた学校教育環境の整備を求める意見書 ○市立小・中学校の体育館等施設への空調設備の設置を求める決議(以上12月12日)