大阪市会だより5月号 令和元年 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX 6202-0508 大阪市会ホームページアドレス https://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 2・3月 定例会 予算総額 3兆5,729億円 平成31年度予算案 可決  大阪市会は、2・3月定例会を2月7日から3月13日まで開き、主に、市長から提案された新年度予算案の審議を行いました。  新年度予算案については、2月22日の本会議で市長から説明を受け、2月27日、28日の本会議では各会派が代表質問を行いました。その後、6つの常任委員会で「市民の税金がどんなことに使われるのか」「市民にとって本当に必要なものなのか」といったさまざまな観点から詳細に審査し、3月13日の本会議において平成31年度予算案および予算関連議案を、すべて原案どおり可決しました。  このほか、この定例会では、市長の法定期日前の退職申し出については不同意とし、平成30年台風21号の被災者支援に関する経費を含む平成30年度一般会計等補正予算案などの案件を可決しました。  また、議員報酬と政務活動費の自主的な減額を延長する議案を可決しました。 各会派の代表質問 2月27日、28日の本会議では、各会派が代表質問を行い それに対して吉村市長が答弁しました。その主な内容を紹介します。 市会のQ&市長のA 大阪維新の会 德田 勝 議員 より多くの学校の体育館に空調を設置すべきではないか Q 本市では、国の緊急防災・減災事業債(緊防債)を活用して、2020年までに1区1校の学校体育館に空調を設置することとし、2019年度は実施設計を行うこととしています。避難所生活での災害弱者へのセーフティネットは非常に大切なことであり、そのために一部の学校に空調を設置することは理解しますが、せっかく設置するなら、児童・生徒の部活動中などの熱中症対策として、より多くの学校に設置を検討すべきではないかと思います。設置には多額の費用が必要となりますが、空調設置の拡充に向けて市長の見解をお伺いします。 A 高齢者や乳幼児などの災害弱者への二次被害防止のために、1区に1校の学校体育館に空調を設置します。その際、財政負担を軽減するため緊防債を活用しますが、この制度は2020年度までが期限です。例えば、本市の全ての学校の体育館へ空調を設置すると、設置期間が2020年度を過ぎ、また多額の予算が必要となります。  今後、緊防債制度の延長を国へ働きかけ、十分な財源の措置がなされた場合には、教育活動充実の視点からも、全中学校の体育館に設置します。 その他の質問項目 ○大阪都構想の実現に向けた市長の決意 ○水道法改正を踏まえた水道事業の官民連携 ○動物虐待ホットラインの設置 ○児童虐待防止対策の強化など 自由民主党・市民クラブ 前田 和彦 議員 今後の「うめきた2期開発」と防災機能の向上について Q うめきた2期開発は、大阪の成長をけん引する重要なプロジェクトです。今後のうめきた2期開発をどのように進めていくのでしょうか。  また、大阪駅周辺では鉄道利用者が1日250万人に達し、大規模災害が発生した場合には、多数の避難者が想定されます。そのため、うめきた2期開発で整備される都市公園は、この地域の防災機能を向上させる拠点とする必要がありますが、どのような取り組みを行うのでしょうか。 A うめきた2期開発は、ライフサイエンス分野の産業が集積する大阪・関西の特長を生かして、「みどりとイノベーションの融合拠点」という世界で類のないコンセプトのもとで、新産業創出拠点の形成を進めていきます。  また、都市公園を中心とした2期開発区域は重要な防災拠点であり、その際の避難場所として活用できる広場を設けるとともに、津波に備え一部に盛り土による地盤の高い空地を確保します。そのほか、災害情報の伝達に最新の通信技術も導入するなど、最先端の防災機能を備えた公園として整備します。 その他の質問項目 ○万博の交通アクセスと跡地利用 ○G20サミットに向けた広報と交通規制 ○学校体育館への空調設備の設置 ○学力向上に係る施策の検証 など 公明党 西﨑 照明 議員 国の幼児教育無償化制度で生じる財源の活用について Q 本市が先駆けて行ってきた幼児教育の無償化制度が、10月からは国のもとで実施されることとなり、この施策に要していた市費を、他に活用することが可能となります。  我が会派では、この財源を待機児童解消に向けた人材の確保に活用することを提案しています。それに加えて、国の無償化の対象外となる保育料負担の軽減や、児童虐待防止対策、妊婦健診などの子育て支援策に役立ててはどうでしょうか。 A この財源を活用し、平成31年度予算案では、国の無償化制度開始に先んじて、4月から対象を3歳児まで拡充することや、保育人材の確保対策、児童虐待防止対策等の強化を行うこととしています。また、養育費確保のためのトータルサポート事業の実施や、こども相談センターの建て替え、妊婦健診超音波検査の公費負担回数を倍増するなど、子どものためのさまざまな施策を充実させています。今後も市会での議論を踏まえながら子どものための施策に活用していきます。 その他の質問項目 ○AYA世代(おおむね15~39歳)のがん患者に対する支援 ○高齢者の相談支援体制の強化 ○プレミアム付商品券 ○小中学校の体育館への空調設備の設置 など 日本共産党 山中 智子 議員 すでに住民投票で否決された都構想は断念すべきではないか Q 大阪都構想については、平成27年の住民投票で反対が多数となり、すでに決着がついています。世論調査においても、市民の多数は今も都構想に反対という結果です。さらに、議会の中でもこれまでの議論を通じて、反対が多数である事が明らかになっています。これ以上この議論を続けることにより、貴重な市民の税金と時間とエネルギーを無駄遣いすることは、許されることではありません。  市長は、都構想を潔く断念すべきではありませんか。 A 都構想を進めてほしいという市民からの意見も多くいただいています。そして私自身も、都構想への再挑戦を公約に掲げて市長に当選しました。したがって、その実現をめざすのは当然のことです。  市民の多数が反対ということであれば、住民投票を実施して否決すればいいものと考えます。都構想は断念しません。 その他の質問項目 ○台風や地震などに対する防災対策の拡充 ○高すぎる国民健康保険料の引き下げ ○教員不足などの学校教育の条件整備 ○学校体育館への空調設備の設置 など 大阪維新の会 藤田 あきら 議員 里親の担い手を増やすために新しい取り組みを導入してはどうか Q 本市にはさまざまな課題から生みの親と一緒に暮らすことのできない子どもが、約1,200人もいるにもかかわらず、本市の里親委託率は約15%にとどまります。里親制度を知らない人も多く、まずはその仕組みを理解してもらうことが重要です。そこで、里親経験者が情報発信を行う「里親アンバサダー」を設置することを提案します。また、民間業者の実績に応じて報酬を支払う成果連動型民間委託契約であるソーシャルインパクトボンド(SIB)を導入することで、効果的、効率的な里親開拓が可能と考えます。市長のご所見をお聞きします。 A 子どもの健全な育成を図る里親制度ですが、制度が十分理解されていないのが現状です。里親の担い手を増やすためには、普及啓発を強化していく必要があり、ご提案の里親アンバサダーの設置は効果的な手法の一つであると考えています。SIBは、メリットの半面、さまざまな検討課題もあるとされており、先行事例を参考にして研究していきます。  里親制度の正しい理解と認知度向上をめざし、新たな里親の開拓や安心して養育できる支援制度の充実に努め、子どもたちに応じたケアができる環境を確保していきます。 その他の質問項目 ○新大学の国際競争力強化 ○御堂筋の道路空間再編 ○中之島4丁目の未来医療国際拠点整備等 ○科学的根拠に基づいたいじめ対策 など 常任委員会での論議  本会議で提出された予算案は、代表質問の後6つの委員会に分かれて詳しく論議されました。 財政総務委員会 不正入札の 監視体制強化 Q 官製談合防止法違反などの疑いで、大阪市は大阪地検特捜部の強制捜査を受けた。このような事態を二度と起こさないため、組織体制を含めた抜本的な対策が必要であると考えるが、今後どのような再発防止策を講じるのか。 A 不正な入札等を監視・監察する専門的な組織として、契約管財局に「不正入札監察室」を新設し、通報案件のみならず、より積極的なモニタリングを通じて入札の状況把握や詳細な調査・分析を徹底することで、不正を防止する体制を構築していきます。  同室のトップには、外部の検察・警察の経験者などを招くとともに、入札契約事務に精通した職員を配置するなど市民の信頼回復に全力で取り組んでいきます。 〈他の質問項目〉財政問題、未利用地の有効活用、行政手続きのオンライン化、マイナンバーカードの普及啓発、女性の活躍促進事業 など 教育こども委員会 児童虐待対策 Q 全国で児童虐待による痛ましい事件が起きているが、大阪市ではどのような対策を行っていくのか。 A 子どもが安心して在宅で生活できるよう、各区の要保護児童対策地域協議会による見守りネットワークのさらなる強化に努めてまいります。  また、本市3ヵ所目となる北部こども相談センターの建設に着工するとともに、平成31年度よりこども相談センターに常勤弁護士を配置し、児童相談所の職員も増員することで、より充実した児童相談の体制づくりを進めていきます。職員の人数が増えると情報共有や連携がいっそう重要となるため、児童記録や他の福祉サービスの情報などをデータベース化して一元管理し、これまで以上に情報共有を図り効率的な支援を行っていきます。 〈他の質問項目〉不登校対策、生野区西部地域の学校再編整備計画、部活動指導員・スクールサポートスタッフの導入による教員の負担軽減 など 民生保健委員会 公衆浴場を 存続させるために Q 地域コミュニティの貴重な場である公衆浴場に対するさらなる支援が必要であるが、どのような支援を行っていくのか。 A 公衆浴場は後継者不足などにより毎年5%ずつ減少しています。大阪市では独自に公衆浴場の設備改修に対する補助を行ってきましたが、煙突を新たに補助制度の対象とするとともに、予期せぬ故障などで営業継続が難しい場合の緊急工事にも利用できるよう制度の見直しを行います。  また、公衆浴場の活性化や住民相互交流の促進を目的とした支援策として新たな制度を創設します。これは、浴場が独自に行う親子ふれあいデイや音楽ライブなどの取り組みに対して大阪市が補助を行うものです。 〈他の質問項目〉国民健康保険の保険料改定、障がい者向け放課後等デイサービス、認知症対策、大阪健康安全基盤研究所の施設統合にかかる整備、生活保護業務の資格取得 など 都市経済委員会 G20サミット 開催に向けて Q 日本初となるG20サミット開催地である大阪市は、これからどう対応していくのか。 A G20サミット開催にあたり、サミット参加国首脳や代表団、市民のみなさまの安全や安心を確保するために、府市共同でプロジェクトチームを設置し、「防災・危機管理」や「保健医療」に関する対策を実施していきます。  また、開催地区の周辺住民や事業者のみなさまにご理解・ご協力をいただけるよう、規制等の情報発信や住民説明会などを行っておりますが、今後もさらにきめ細かく実施していきます。会議終了後にはサミット会場を一般に公開し、市民やとりわけ子どもたちにサミット開催のレガシー(後世に受け継がれる財産)を残していきます。 〈他の質問項目〉万博開催、IR誘致・ギャンブル等依存症対策、新大阪駅周辺のまちづくり、空家対策、大阪マラソン、商店街活性化 など 港湾消防委員会 教訓を生かした 防災力強化 Q 昨年の大阪北部地震や台風21号を乗り越え、新たな防災対策を考えているのか。 A 大規模災害が発生した場合に立ち上げる災害対策本部会議をウェブ会議で行うことや、災害時に電話がつながりにくい中で情報共有のためにSNSを積極的に活用するなど、ICT技術を有効活用する取り組みを行っていきます。  また、災害時に平時の意識から防災対応への切り替えを市民や事業者に呼びかける「災害モード宣言」の運用を開始しました。これは、市長が「災害モード」を宣言することで、社会全体が「平時」の対応から「災害時」の対応へ切り替え、人々が災害時の情報収集や避難行動などを行うことを目的としています。 〈他の質問項目〉防潮堤の耐震対策、夢洲の土地造成、海洋プラスチックごみ問題、救急隊の増隊、食品ロスの削減、天保山の旅客ターミナルの整備 など 建設水道委員会 鶴見緑地再生 Q 鶴見緑地の再生・魅力向上のためどのようにするのか。 A 鶴見緑地を再生し、魅力を創出し続けるための将来ビジョンとして「鶴見緑地再生・魅力向上計画(案)」を取りまとめました。鶴見緑地の持続可能な発展を実現するため、公園の維持管理と魅力向上のための新たな施設整備などを同一事業者が行い、公園全体を一体的にマネジメントする管理運営手法とします。管理期間は今までは5年でしたが、持続的な事業を行えるよう20年~30年とします。さらに、民間事業者の提案の自由度を高めるため、建ぺい率を現在の2%から4%に緩和します。 〈他の質問項目〉天王寺動物園の経営形態見直し、水道法改正による水道事業の官民連携、大阪メトロの経営計画、いまざとライナー など いまざとライナーを見学しました 市会のうごき 1/31(木) 招集告示【2・3月定例会】 2/7(木) <開会>本会議【当初案件上程・付託など】 民生保健委員会(当初案件審査)   15(金)・18(月)・19(火) 常任委員会(当初案件審査など)   22(金) 財政総務委員会(付託案件態度決定) 本会議【当初案件議決、追加案件上程・付託、予算案件上程など】   27(水) 本会議【代表質問】   28(木) 本会議【代表質問、予算案件付託など】 3/1(金) 6常任委員会(予算案件説明・追加案件審査) 港湾消防委員会、建設水道委員会(実地調査)   4(月)~7(木) 6常任委員会(予算案件質疑)   12(火) 6常任委員会(予算案件態度決定など)   13(水) 本会議【予算・追加案件議決など】<閉会> 【本会議休憩中】財政総務委員会、都市経済委員会、 港湾消防委員会(付託案件の審査) 可決した 意見書・決議 意見書は可決後、国会及び 関係機関等に提出します。 ○放課後児童健全育成事業の質の確保を求める意見書 ○妊婦が安心できる医療提供体制の充実と健康管理の推進を求める意見書 ○UR賃貸住宅ストックの活用を求める意見書(以上2月22日) ○天皇陛下御即位三十年を祝す賀詞に関する決議(2月28日) ○全国に影響を与えている対外的なシステムにWeb標準仕様への準拠を求める意見書(3月13日) 5・6月定例会 カレンダー 議長・副議長や役員などを決める 5・6月定例会が始まります。 会議日程は予定であり、開会日は変更されることがあります。 5/23(木)  <開会>本会議  【議長・副議長選出、市長施政方針表明】   24(金)  本会議【役員選出、案件上程・付託】 6/3(月)~5(水) 常任委員会   12(水)  本会議【一般質問】   13(木)  本会議【一般質問、案件議決】<閉会>