あいさつレポート ~あいさつは人と人をつなぐ~
2021年12月15日
ページ番号:456673
住吉区ではあいさつを通じて人と人とのつながりを大切にし、家庭、学校、地域で子どもだけでなく大人も自分から進んであいさつをすることで住吉区があいさつの声があふれる活気あるまちになることをめざしています。
あいさつレポートでは、あいさつによるコミュニケーションで家庭、学校、地域の中で人と人のつながりづくりを支える方々にお伺いしたお話をご紹介します。
- 住吉区商店会連盟 会長 田中 貞夫(たなか さだお)さん 2020年2月掲載 New
- 住吉区老人福祉センター 館長 髙木 善三郎(たかぎ ぜんざぶろう)さん 2019年12月掲載
- 住吉区青少年指導員連絡協議会 会長 田中 芳知(たなか よしとも)さん 2019年8月掲載
- 我孫子南中学校 校長 井戸本 崇志(いどもと たかし)さん 2019年5月掲載
- 清水丘小学校 校長 石橋 博康(いしばし ひろやす)さん 2019年3月掲載
- 墨江幼稚園 園長 大倉 有紀(おおくら ゆき)さん 2019年3月掲載
- 住吉区コミュニティソーシャルワーカー(CSW)の皆さん 2019年2月掲載
- 苅田南地域活動協議会 会長 渡邊 博彦(わたなべ ひろよし)さん 2018年12月掲載

住吉区商店会連盟会長 田中 貞夫(たなか さだお)さん
商店街でのコミュニケーションの変化
商店街でのあいさつやコミュニケーションの様子を教えてください。
以前は、「いらっしゃいませ。」とお声がけして、商品の説明をしたり、会計の時に金額を伝えて、お金を受け取って、おつりを渡して、と買い物する時にコミュニケーションが生まれるのは当たり前でしたが、最近は買い物の形態がどんどんと変わってきています。
今はキャッシュレスの波も来ていますし、店員さんにレジを打ってもらわなくても、決まった場所にカゴを置くだけで、値段が表示されて、お金を払うようなお店もあったりして、一言もしゃべらず、買い物が済んでしまう時代になってきました。
今も、「いらっしゃいませ。」とお声がけはしますが、お客さんの様子を見ていても、スマホを見ていたり、しゃべりかけてほしくないという雰囲気の方もいます。
変わらない地域コミュニティとしての役割
お客さんとのコミュニケーションで、大切にされているのはどんなことでしょう。
うちは電気店ですが、昭和10年、親の代から店をやっているので、おなじみさんとの関係を大切にしています。電話がかかってきて、「〇〇がほしい。」と伝えられ、具体的にどの商品を選ぶかはおまかせ、ということもあります。そういう時は、値段だけでなく、お客さんのお家の様子や家族のことを思い浮かべて、「そのお客さんにとって一番いいもの」を選びます。
会った時の声かけも大切にしています。いつものお客さんにあいさつすると、よく知っているので、声のはりや、しゃべり方などで、ちょっと元気なさそうだなとか、変化に気づきます。ひとり暮らしの方も増えていますし、家族と話したりすることが少なくなっている方も多いので、お話を聞くと、「話して気持ちがすっとしたわ。」と言ってくれたりします。「買い物はまた今度に。」ということもありますが(笑)、お客さんの表情が和らいで帰ってもらえたらうれしいです。
商店街は、地域の人にとってのコミュニティの場でもありますね。
そうですね。売って買って終わり、ということでなくて、お客さんとのコミュニケーションを大切にしています。お客さんと「この頃、あの人見ないけど、どうしてる?」と話したりして、地域の人の様子を聞いたりすることもあります。
人とつながることの大切さと難しさ
人と人とのつながりづくりに大切なことはどんなことだと思われますか。
相手のことを思うこと、これが基本だと思います。商店でのことに限らず、人として大切なことだと思います。
昔に比べたら、今は近所の人に関わっていくことも減っているように思います。私は、地域の防犯にも関わっているので、「安まちメール」をいつも見ていますが、中には「知らないおじさんに声をかけられた。」いうような事案もあります。以前なら、私も知らない子どもでも、「はよ帰りや」とか気軽に声をかけていて。そんなおっちゃん、おばちゃんは、まちにいっぱいいたと思うんですが、今なら、不審者と思われるかもしれない。時代の変化ですね。何かいい方法はないものかなあと思うのですが……。地域で「つながる」ことが難しくなっている面もあるんですね。
人とのつながりに支えられて
会長は、商店会連盟での活動以外にも、防犯協会や、保護司の活動もされていますね。
どの活動も、人と人とをつなげる役目があると思っています。それぞれの役を引き受けたきっかけも、前任の人とのご縁があってのことです。
こちらも色んな人を支えたいと思って活動していますが、私自身、色んな人に支えてもらっています。家族や、仕事の仲間、地域の仲間、おかげさまでたくさんの人に支えてもらって、今の私があると思います。

田中 貞夫さん
住吉区商店会連盟 会長
住吉防犯協会 会長
住吉地区 保護司

住吉区老人福祉センター 館長 髙木 善三郎(たかぎ ぜんざぶろう)さん
利用者の表情がいきいき
住吉区老人福祉センターはどんなところですか。
老人福祉センターは、老人福祉法並びに大阪市条例に基づき、大阪市内各区に1館ずつあります。60歳以上の区民の方を対象に、高齢者の生きがいと介護予防を含む健康増進を展開する地域福祉施設です。世代間交流の行事では、年齢制限がない場合もあります。
住吉区では、健康講座やペン習字などの教養講座、お誕生会や文化祭・レクカフェなどの世代間交流の行事、社会見学や敬老お祝い会、囲碁将棋大会、盆踊り大会などの特別行事をしています。自由に参加できる囲碁・将棋・卓球、いきいき百歳体操、リズム体操、みんなでダンスなどもあります。また、自主活動として卓球や太極拳、英会話、書道など34の同好会活動や各種ボランティア活動も行っています。
こちらのセンターに来られている皆さん、とてもいきいきした表情で、楽しそうにあいさつを交わされていますね。
講座や行事は抽選になるくらい、たくさんの応募があり、皆さん大変お元気で活発です。
特に自主運営の同好会は、施設主催の講座を1年間受講した方が継続したいという場合に、立ち上げてもらう形をとっているので、皆さん打ちとけて、お互いにあいさつは当たり前になっています。また、毎回、本当に楽しみに来館されている証拠だと思います。
ただ、100人規模の同好会となると、さすがにお互いのあいさつはある程度限定されているようです。やはり、あいさつというのはお互いが認知していますよという確認の動作ということですね。また、他の人には心を開いていなくても、この人には心を開いて、あいさつしている。そんな様子も見られます。
そこでセンターとしましては、まったく初対面の方同士でも、毎年役員を選出したり、他の同好会の代表者同士でもお互いが知り合いになれるように、ほぼ毎月のように、同好会連絡会などを開催しております。この連絡会を通じて知り合いになった方もたくさんおり、日常の中でもお互いにあいさつを交わす様子が見受けられます。
初めて利用される方はどのようにして来られますか。
友達と一緒に来る人もいますが、センターだよりや広報などの事業案内を見て1人で来られる方も多いです。初めての方は、なかなか自分からのあいさつは難しいようです。知らない人ばかりですからね。そんな時には、職員や毎日のように来ている人、いわゆる古くからの常連さんなどから声をかけたりして、お互いに早く慣れていただけるようにしています。
利用者さんには、最初に利用証をつくってもらうのですが、その後は、長く来てもらえるよう、コミュニケーションを大切にしています。「今日はどうでしたか。」とか「何か困ったことはありませんでしたか。」と声をかけます。アンケートなどでも挙がってこない何気ないニーズを発見したり、創意工夫のヒントをいただいたり、コミュニケーションは大変貴重なものとなっています。また、そうしているうちに、お互い気安くなってきますね。
あいさつはコミュニケーションや事業運営のバロメーター
髙木館長は日頃、どんなことを心がけておられますか。
当たり前のことですが、率先してあいさつすることを心がけています。誰にでも、いつでも、どこでも明るく元気になれるようなあいさつを心がけています。
近くへ外出するときなど、行き帰りのわずかな間に階段ですれ違う人や玄関先ですれ違う人など多い時には40~50人くらいの利用者さんに立て続けにお一人お一人にあいさつすることもあります。そんな時にも、利用者さんから感想や意見を聞かせていただくこともあります。あいさつする姿は、張り子の虎みたいですが、貴重なひと時ですよ(笑)
利用者の皆さんにも、声かけしたり、意見を聞いたりしていることを大変喜んでいただいているようで、こちらもうれしくなります。次の事業に生かしていこうとか、新たな事業展開のきっかけにもなってきます。
センターに来て3年目になりますが、日頃のあいさつの積み重ねは、利用者さんとのコミュニケーションの度合いや事業運営のバロメーターになっています。
あいさつを交わすことでどんなことがわかるのでしょう。
あいさつの言葉のトーンやしぐさ、表情、雰囲気などで相手の状況がよくわかります。
こちらがあいさつをして、利用者さんからあいさつが返ってこなかったり、生返事な感じの場合は、何か館内で不備な点があったのかな、人間関係などで何かあったのか、と心配になります。聞いてみると、皆さん前向きな感想やご意見をいただくことがほとんどで、安心するのですが。
元気にあいさつを返してくれているときは、楽しんでくれている証ですしね。施設は、あいさつなしでは成り立たないです。施設はただあるだけではだめで、中の人間がどうふるまうか、どう動くか、どう動かすかによって施設が生きるかどうかが決まります。せっかく施設に来てくれた人には、楽しんで、満足して帰ってほしいですからね。
センターの窓口では、あいさつは当然のこととして、はきはきとした受け答えを職員全員心がけて素早く対応しています。
安心安全な家庭・地域の土壌はあいさつから
あいさつがコミュニケーションや人間関係の基礎になるんですね。
そうですね。あいさつは人が人であることをお互いに認識して認めあえる行為だと思います。大切なのは、そのきっかけづくりのあいさつです。意識をもった人が広げない限り広がらないですから、つながるまで続ける努力が大切になりますね。
お互い気楽にあいさつができる雰囲気が広がれば、家庭や地域の安心安全な土壌につながります。心地よい土壌の中に自分がいる安心感。心が落ち着きますし、少々何かあっても我慢できます。大人が心穏やかだと、子どもたちも穏やかになります。
田んぼや畑でも土壌づくりがいかに大切か。しっかりとした土壌がなければ、作物は育ちませんよね。人間も同じだと思います。その土壌づくりがあいさつ運動の意義なのではないでしょうか。それは、施設も地域も同じだと思っています。

住吉区老人福祉センター館長 髙木 善三郎さん(写真右)とセンター職員の皆さん

住吉区青少年指導員連絡協議会 会長 田中芳知(たなか よしとも)さん
コミュニケーションを楽しむ
青少年指導員の活動の中で、あいさつなどのコミュニケーションはどのようにされていますか。
青少年指導員(以下、「青指」という。)は、各校下で、地域の行事のお手伝いや、毎月25日の統一指導ルーム(巡視活動)もしています。イベントとしては、7月に統一指導ルーム合同巡視、9月に中学生ソフトボール大会、12月にユースライブ、1月に成人式を開催、区民まつりや文化フェスティバルなど区の行事でも活動しています。
活動するときは、青指のPRのためにもなるべく、一緒に活動する人としゃべってコミュニケーションをとるようにしています。
ボランティアでイベントに参加しても、黙々と何時間も焼きそばを焼いていても楽しくないじゃないですか。イベントを楽しむ時間も必ずいると思っています。自転車の置き場の整理の担当で、今日は大変だなと思っても、一緒に参加する人とコミュニケーションをとって交流すれば、絆も生まれます。
そのきっかけが、「あいさつ」ということですね。
せっかくイベントをするなら、できるだけ話をして、いいものにしたい、楽しく活動したいと思っています。
あいさつから始め、話をする。「今日はいい天気ですね。」とか、そんなところから始まって、相手のことを知るというきっかけが生まれます。やっぱり話してみないと、相手がどんなことを考えているかよくわからないですよね。皆さん、色んな考え方や価値観がありますので、相手を知るため、できるだけ話をしたいと思っています。
あいさつから広がる関係
子どもたちに挨拶するとどんな反応が返ってきますか。
子どもたちは純粋で、素直な心を持っているので、あいさつすることの大切さの意味まではわからない小さなお子さんでも、きちんとあいさつを返してくれます。
学年によって雰囲気は違いますが、小学校低学年の挨拶、高学年の挨拶、中学生にもなるとクラブ活動での先輩後輩の挨拶もあるのか、皆しっかりとあいさつをしてくれます。
うれしいことに、あいさつをしたり、イベントなどでコミュニケーションをとる中で、私のことを覚えてくれた子どもたちが、成長して「就職しました。」と報告にきてくれたり、ボランティア冥利につきるような出来事もあります。
相手や状況に合わせたあいさつを
あいさつをする上で心がけていることはありますか。
色んな場やタイミングなどありますが、相手からあいさつされる前に自分からしようと思っています。今は安全面から「知らない人と話してはいけない。」ということもありますので、安心できる人に挨拶をしてくれたらいいと思っています。そこは、やみくもに誰しもかれしも同じトーンで挨拶するのではなく、状況に合ったあいさつ、ということを心がけています。
人と人をつなぐ「心」
「あいさつは人と人をつなぐ」というテーマでインタビューしていますが、「あいさつ」や「人と人をつなぐ」ことについて、どんな思いをお持ちですか。
あいさつは、あいさつをしたお互いが気持ちよくなる人間関係の大切なツールだと思っています。人生を積み重ねていって、色んな経験をする中で、あいさつの大切さを実感することが増えていくのではないでしょうか。
私たちが取り組んでいるボランティア活動の世界では、人と人をつなぐためには、楽しいと思えるような「気持ち」、「心」が動かないとだめだと思っています。心理学でいう「内発的モチベーション」です。
今、ボランティア活動をしている各種団体では、新しい人材発掘に悩まれていると思います。年々、次の担い手を見つけるのが非常に厳しくなり、役割分担などがあっても、「自分は何をすればいいのか。」、「この行事は何なのか。」、全体が見えていない初心者が多くなっているのが現状です。その一方で、まだまだ古い暗黙のルールもあって、年齢や肩書、序列といったものを第一主義と考えるところも多いと思います。
理想論になるかもしれませんが、ボランティアの世界ではなるべく皆がフラットな関係で、負担のない適材適所で活動するのがベストだと思っています。
そのためには、どんなことが必要でしょうか。
キーワードは「知ること」と「認めること」だと思っています。一緒に活動する人であったり、活動の歴史であったり様々ですが、それを知って、認めることで、コミュニケーションが生まれ、時代のニーズにあった活動内容となり、新しい人材へとつながれていくものだと思います。

田中芳知さん
住吉区青少年指導員連絡協議会 会長

我孫子南中学校 校長 井戸本 崇志(いどもと たかし)さん
「自然体にあいさつ、気配り、心配り」
生徒からの提案で
学校での取組みや現状についてお聞かせください。
以前は、部活の朝練終わりの生徒が北門であいさつをしていましたが、その人数が多くて、1人、2人で登校してくる生徒にとっては、勢いが良すぎて通りにくいという声がでていました。
そこで、当時の2年生の専門委員会が発案し、生徒議会や執行委員会で話し合い、「登校する生徒もいっしょにあいさつすればどうか?」、また、「他の学年といっしょに取り組むことで、知っている人の数が増えていけば、部活のあいさつにも抵抗がなくなるし、あいさつだけでなく学校が盛りあがるのでは?」という意見があり、「縦割り班を作って、日替わりであいさつ運動をする」という提案となりました。
あいさつする側、される側どちらの立場もわかるように
その提案を受けてどうなったのですか。
まずは、「8時20分~25分の5分間のおためしあいさつ運動」に取り組みました。2017年の4月からは、8時15分~10分間、正門と下足場所に分かれて取り組んでいます。取組みには、縦割り班以外も部活の生徒も継続して参加しています。
あいさつを通して学校を活性化していくこと、また、他学年と交流することがねらいの取り組みとなっています。

あいさつ運動当番表
aはあいさつ uは運動の頭文字で、au運動だそうです。
気配り、心配りにつながる
取組みを実施して、生徒たちの変化などはありましたか。
元々できていた生徒もいますが、北門であいさつ運動をしている時に門の前を通る方にもあいさつをしています。地域の方からも「よくあいさつしてくれるよ。」、「気分がいい。」というお声もいただいています。
また、学校に来るお客様にあいさつする生徒が多いですね。この前もお客様から「先生、いい学校やね。すれ違う子がみんな笑顔であいさつしてくれたよ。」と言っていただきました。他にも、「わざわざこちらに来て、来客用のスリッパを出してくれた。」、校内で迷っていると、「どうかされましたか。」と声をかけてくれ、校長室まで案内してくれたというエピソードもありますね。
あいさつから、気配りや心配り、コミュニケーションにつながっていると思いますね。
気持ちを言葉に表す
校長先生から生徒へあいさつについてお話されることはあるんですか。
全校集会で、毎朝通勤途中に顔を合わせる警備員さんとあいさつを交わすようになり、最近は「今日は寒いですね。」等、会話もするようになったという話をしました。そうすることで、つながりができるし、やっぱり気分がよくなりますしね。
それと、「おはよう」、「こんにちは」だけでなく、「ありがとう」や「ごめんなさい」など、心の中にある気持ちを言葉にすることが大切ということを伝えています。
声をかけ合う、仲間を大切にする
中学校では、縦割り班の取組みは珍しいですよね。
そうですね。他校でも生徒会、部活での取組みは聞きますが、学年を超えての縦割り班での取組みは珍しいかもしれないですね。でも、うちの学校は比較的、学年関係なく、仲がいいですよ。
それに、お互いに声をかけあう光景は、よく見ます。この前もマラソン大会があったんですが、先にゴールした生徒が、まだ走っている生徒のところまで戻って応援していました。声をかけ合う、仲間を大切にする意識は強いと思います。
自然体にあいさつ、気配り、心配り
今後どのように生徒たちに育ってほしいかお聞かせください。
あいさつだけでなく、困っている人がいたら助ける、こうしたら喜んでもらえるなど、相手のことを考えて行動するためには、まずは、あいさつできることが必要です。あいさつがあってこそ、気配り思いやりにつながるし、コミュニケーション能力が育ちます。自然体で、普通にあいさつ、他の人に対して気配り、心配りができる子が増えていってほしいと思います。

清水丘小学校 校長 石橋 博康(いしばし ひろやす)さん
「自分から積極的に、相手の目を見てあいさつを」
清水丘小のあいさつ運動キャラクター「グッモーにんじんくん」
清水丘小学校で取り組んでいるあいさつ活動について教えてください。
随分前から、登校時に児童会の子どもたちが玄関に出て「おはよう」と声をかける「あいさつ週間」を続けていますが、もっと自分から積極的に、大きな声で、相手の目を見てあいさつすることを定着させるため、児童会の子どもたちと担当の先生で話し合い、3年前にあいさつ運動のキャラクターを作ろうと募集して「グッモーにんじんくん」が誕生しました。
「グッモーにんじんくん」はどんな時に登場するのですか。
「あいさつ週間」で、子どもたちが「グッモーにんじんくん」を着て、校内を歩きながらあいさつをしています。低学年の子どもたちは喜んで「おはようございます」と集まってきます。
「グッモーにんじんくん」の名前は、グッドモーニングにかかっているそうです。
子どもたちの発案で取組みがどんどん進化
「あいさつ週間」では何か目標などを決めているんですか。
「あいさつ週間」は学期に1回設定していて、「今日の朝20人以上の友達とあいさつする」を目標にしています。児童会の子どもたちが各クラスでアンケートをして、クラスの何パーセントができたか、1週間でどのくらいできた人が増えたかを数字で表しています。数字で表すことで、がんばったことが実感できる取組みになっています。
他にも何か取り組まれていることはありますか。
あいさつだけでなく、あいさつしてからハイタッチをしようというアイデアから、「ハイタッチ週間」の取組みも進めています。今は普段からおはようとハイタッチがセットでできるようになっています。地域の見守り隊の方とは、あいさつする習慣は以前から続いていますが、「ハイタッチ週間」が始まってからは、ハイタッチもしてくれるようになったというお声もいただいています。
また、もう少しおもしろい企画はないかなと考えて、今年度からは、あいさつとハイタッチとポーズをする取組みも始めています。子どもたちがいろいろ工夫しながらがんばってくれています。
「あいさつ週間」も今までは児童会中心でしていましたが、今年度からは、あいさつ当番をクラスで決めて、当番のクラス30名くらいが玄関や門に立って、登校してくるみんなにあいさつしています。どんどん取組みが進化しています。
学校の掲示板にもあいさつの取組みが発信されています。
表現力、コミュニケーション能力の成長
子どもたちに何か変化はありましたか。
声を出すこと、いろんな友だちとあいさつすることで、表現力やコミュニケーション能力がプラスになっていっていると思います。声を出すことが苦手な子もいますが、おじぎやうなずきなどで応じてくれるので、あいさつしようという意識は確実に定着していっていると思います。また、あいさつ当番のときなどは、6年生の子が1年生の子に教えてくれたり、異学年の交流にもつながっています。学年の枠をこえてしっかりあいさつできるようになっているので、これからも続けていきたいし、おもしろいアイデアがあれば取り入れていきたいと思っています。
朝、あいさつを気持ちよく交わすことで気持ちのよい1日をスタートできます。あいさつは1番簡単な表現方法なので、おはよう、さようならだけでなく、ありがとうや、ごめんなさいなどを表現できる習慣をつけることが、生活規律、学習規律にもつながっていくので、こういう取組みを続けて大事に育てていきたいです。
子ども発信のあいさつをうながすために
先生発信の取組みもあるんですか。
積極的に自分からあいさつすることを意識してもらうために、わざと先生からは声をかけないという取組みをやったりしています。いつもあいさつしている先生なので、最初は不思議そうな表情になる子もいますが、やっぱり目があったりすると、子どもからあいさつしてくれます。日頃からのあいさつ習慣が定着しているので、子ども発信のあいさつにつながっていると思います。
あいさつにも個性が
あいさつに関することで、印象に残っている事はありますか。
職員室に入るときは「失礼します。○年○組の○○です」と言うという約束があり、子どもたちにも定着してきたので、いろんな場面で対応できるようになってきています。子どものなかには、「失礼します。○年○組の朝ご飯いっぱい食べて満腹の○○です」など、自分の気持ちを言ってくれる子もいて、自己表現力の成長になっていると思います。
また、自然と担任以外の先生とも触れ合える機会になるので、子どもの変化への気づきにもつながっています。
自分から積極的にあいさつを
今後、あいさつの取組みをどのようにひろげていきたいですか。
1番思うのは、自分から積極的に声を出していけるようになること、もうひとつは、狭い範囲だけでなく広い範囲で、学校の外の地域の方とも積極的にあいさつができるように工夫していきたいと思います。
石橋 博康さん
清水丘小学校校長

墨江幼稚園園長 大倉 有紀(おおくら ゆき)さん
「大人が子どもにお手本を いろんな人とのふれあいは、子どもの心の成長につながる」
あいさつに興味を
幼稚園ではあいさつについてどのような取組みをされていますか。
幼児期の子どもたちは、興味をもったことや、やりたいと思ったことは、楽しみながらすることができます。大人が「○○しなさい」と言えば聞きますが、言われたからするのではなく、あいさつにも興味をもって、自分から「やりたいなぁ」という気持ちになれるような環境づくりを心がけています。
ふれあい 笑顔 楽しみながら身につける
園長先生が、毎朝通園門であいさつされていると聞きましたが。
はい。毎朝通園門に立って、子どもたちや保護者の方とあいさつをしています。少しでもふれあいたいと思うので、子どもとは握手をしながらあいさつを交わしています。入園当初は、保護者の方も緊張しておられると思うので、目を見てあいさつをしています。毎日そうしていると気持ちが通じてくるような気がします。笑顔が見られるとほっとするので、なるべくこちらから声をかけるようにしています。
あいさつとコミュニケーションは密接につながっています。子どもたちは「おはよう」、「ありがとう」、「いただきます」など、生活リズムのなかであいさつを覚えます。子どもたちは楽しんでしていることは、自然に習慣づいていきます。子どもたちが楽しくなるようなコミュニケーションの方法をいつも考えています。
大人が子どもにお手本を
子どもたちがあいさつするなかで、印象に残ったことを教えてください。
お客様が幼稚園に来られた時に、私たち大人は「こんにちは」とあいさつをします。大人同士がにこやかにあいさつしているところを、子どもは見ていますので、子どもたちにも、「お客様にこんにちはって言ってみようか」と促してみると、笑顔であいさつをします。それを繰り返していくと、子どもからお客様にあいさつができるようになっていきます。また、あいさつを交わすと、お客様に親しみを感じるようで「これ見てー」と自分が作った作品を見せにいくこともあって。(笑)子どもたちからかかわろうとする場面をよく見ることがあります。
普段から、保護者と先生が笑顔であいさつや会話をしている姿をたくさん子どもたちに見せることで、子どもたちにコミュニケーションの楽しさやうれしさが伝わると感じています。大人がそういう姿を見せることで、子どもが自分から興味をもって、ルール、マナー、あいさつを徐々に身につけ、子どものコミュニケーション能力が高まっていくと思います。
毎朝のあいさつで、子どもの変化に気づく
あいさつをきっかけとした、子どもたちへの気づきなどはありますか。
毎朝のあいさつでは、手のひらに軽くタッチすることからはじめる子や、入園から1年かけて「おはよう」が言えるようになる子もいます。子どもによって様々な個性があるので、焦らずじっくりその子のペースに合わせて見守っています。
毎朝、子どもたち一人一人とあいさつしていると「あ、今日はいつもとちょっとちがうな」という子どもの変化の気づくこともあります。表情や声のトーンで、「うれしそうだな」「しんどいかな」などよくわかります。
先生同士のコミュニケーションも活発
先生同士のコミュニケーションはどうですか。
保護者と幼稚園の信頼関係を築く
保護者の方とは、どのようなコミュニ―ションを図っておられますか。
楽しい・幸せな経験の積み重ね、いろんな人とのふれあいは、子どもの心の成長につながる
地域の方とは、どのようなつながり作りをされていますか。
墨江幼稚園がある地域は、地域として子どもを守っていこうという姿勢を強く感じます。地域の運動会などの行事に参加させていただいたり、地域の皆さんにやさしくしてもらったりして、とても感謝しています。
そういう経験は、子どもの心に絶対に残ります。楽しかった思い出、やさしく声をかけてもらった経験が、子どもの心に積み重なっていくことは、子どもにとってすごく幸せなことです。愛情をたくさんもらい、幸せを感じられる子どもは、誰かにもしてあげたいという気持ちが育ち、自然に他人にも優しくできるようになります。
周りの大人に見守られて、楽しい・うれしい経験をたくさんして、いろんな人とふれあうことが子どもの成長には1番大切だと思います。大倉 有紀さん
墨江幼稚園園長

住吉区コミュニティソーシャルワーカー(CSW)の皆さん
北エリア(住吉・大領中学校区) 辻さん(社会福祉法人 ライフサポート協会)
西エリア(三稜・墨江丘中学校区) 北川さん(社会福祉法人 住吉区社会福祉協議会)
東エリア(我孫子・東我孫子中学校) 田井中さん(社会福祉法人 四恩学園)
南エリア(大和川・我孫子南中学校区) 佐藤さん(社会福祉法人 住吉区社会福祉協議会)
「日々のコミュニケーションから変化を見つける 顔の見える関係づくり」
お困りの方への支援、地域でのネットワークづくり
皆さん(CSW)のお仕事についてお聞かせください。
(田井中さん)
制度の狭間で困っている方への支援、地域でのネットワークづくりなど、顔の見える関係づくりによって早期発見をはたらきかけています。
(佐藤さん)
CSWが支援させていただく対象は、0歳から64歳と年齢で区切りがありますが、緊急を要する場合は、地域包括支援センターと連携して対応することもありますし、地域の要援護者支援台帳に基づいた見守り活動の報告会などにも参加させていただいたりしています。
日頃から、どなたにでも「あいさつ」する心がけ
ネットワークをつくるなかで、あいさつなどのコミュニケーションはどのようにされていますか。
(辻さん)
普段から、「おはよう」とあいさつをするようにしています。日頃からの声かけによって、何かあった時には、「いつもあいさつをしている人」ということで、身近な存在として感じてもらえると思います。
(田井中さん)
職場として、あいさつに力を入れているので、「おつかれさま」、「こんにちは」はもちろん、来客された方どなたにでもあいさつすることを大切にしています。その感覚があるので、自然と地域に出ても、あいさつする習慣がついていますし、地域の皆さんも、あいさつには応じてくださいます。
(佐藤さん)
訪問先でどなたかわからなくても、エレベーターで乗り合わしたら、まずはこちらからごあいさつをさせていただくようにしています。もしかしたら、利用者さんのお隣さんかもしれないし、町会の班長さんかもしれないので、つながりを広げるためにも、お顔をあわせたら積極的に、ごあいさつさせていただくようにしています。何度も訪問で顔を合わせると、「ご苦労さま」と声をかけていただけることもあります。
(北川さん)
社会福祉協議会にはたくさんお客様がいらっしゃるので、どなたにでもあいさつすることを心がけています。また、地域とのネットワークづくりも努めています。
顔見知りになったからつながれることがある
あいさつをきっかけに、つながりを感じた経験などをお聞かせください。
(佐藤さん)
大きな団地などに何度も訪問し、お会いする方にごあいさつしていると、お互い顔見知りになって、「ちょっと、相談したいことがあるねん」とご相談いただけたり、「引越ししてきたばかりなんやけど、地域のこととかは誰に聞いたらいいの?」と、お声をかけていただけることがあります。そうすると、地域のふれあい喫茶や配食サービスなどをご案内しますので、その方にとって地域の方とつながっていただくきっかけになりますし、そこからさらにつながりが広がる可能性もあると思います。
日々のコミュニケーションから変化を見つける、見守る
つながりをつくるなかで、感じたことや印象に残ったことを教えてください。
(佐藤さん)
お仕事を定年退職された方などは、急に自由時間が増えることで、一人で時間をもてあます方も多くいらっしゃいます。そういう方に地域へのつながりを案内するのも、CSWの仕事かなと思います。
私たちCSW自身も1人では何もできませんので、ご相談いただいた時にご案内できるように、私たちも日頃から専門機関や地域の方とつながりをつくり、ネットワークを広げていくことも大事な役割だと思っています。
(北川さん)
自分からSOSを発信できない方もいらっしゃるので、日々のコミュニケーションから変化を見つけられるよう見守ること、信頼関係をつくることが大切だと思います。
「こんにちは」などの優しく、やわらかいあいさつから入り、少しでも警戒心を解いてもらえるように接することで、相手の捉え方もかわると思います。これをきっかけに相談者の方にとって話せる場所が1つ増えたと思ってもらえるとうれしいです。
(辻さん)
北エリアの事務所がある施設には、子どもたちが自由に入れる場所があるので、自然と子どもたちともあいさつして顔見知りになります。そういうコミュニケーションが、何か変化があった時の気づきにつながると思います。
できることからの積み重ね
あらゆる世代が地域とつながるためにはどうすればいいと思いますか。
(田井中さん)
お互い顔の見える関係をつくるために、支える側も支えられる側も共通した認識をもつにはどうしたらいいか、日々、模索中ですが、できることからやっていく積み重ねだと思います。あいさつもそのツールのひとつですね。
(佐藤さん)
地域の登下校時の見守り活動でも、必ず「おはよう」って声をかけておられます。子どもたちは、自分がしてもらったことは、自然にできるようになるし、自分が身につけて次の世代に伝えていくんだと思います。
「○○さん、おはよう」と名前を呼んで声をかけることを実践されている地域もあります。
自分の名前を呼んでもらうってとてもうれしいですよね。自分のことを覚えてもらっているうれしさがあります。
私のことを知ってくれているという喜び。私たちCSWも、○○さんと自分の名前を呼んで声をかけていただけるとうれしいです。
辻さん、北川さん、田井中さん、佐藤さんありがとうございました。
コミュニティソーシャルワーカー(CSW)
コミュニティソーシャルワーカー(CSW)は、現状の福祉サービスでは対応が難しい課題や、自分自身の悩みやご家族の悩みなど複合する問題について、いっしょに考え、解決に向けて取り組む福祉の専門家です。
エリアごとにCSWがいますので、まずはお気軽にご相談ください。
詳しくはこちらをご覧ください。

苅田南地域活動協議会 会長 渡邊 博彦(わたなべ ひろよし)さん
「相手の気持ちに寄り添い、優しさをこめたあいさつ・声かけを」
続けること 熱意が大事
地域でのあいさつの取組みについて教えてください。
あいさつは、もともと各地域で自主的に行われています。区役所と地域で協力しあう取組みとして「あいさつ運動」がはじまりましたので、地域で集まる会合や行事で「あいさつ運動」のPRをしています。会長という立場の私が率先してPRすることで広がっていくと思います。いろいろな取組みがありますが、続けていくためにはやっぱり“熱意”が大事だと思います。
あいさつの中で、印象に残ったことはありますか。
「うちでもやるよ」、「PR用のあいさつバッジもらってきて」と声かけがあったときは、広がっている実感があってうれししいです。
子どもたちからあいさつをしてくることも増えてきたように感じますし、小中学生の登下校時の見守り活動をしている「見守り隊」からは、朝「いってらっしゃい」と声をかけるとうれしそうな表情になる子もいると聞きました。
優しさをこめた声かけ
「いってらっしゃい」と声をかけてもらって、うれしかったんですね。
私は、人は優しさが一番大切だと思っています。あいさつも、相手の気持ちを考えて、心や表情に優しさを込めた声かけが必要だと思います。
あいさつが自然にできる地域のつながりをつくっていく
今後、あいさつ運動がどのように広がればいいと思いますか。
あいさつが自然にできる地域にすることでつながりを作っていくことが大事だと思います。なかなか、コミュニケーションがとりづらい時代になってきていますが、優しさをこめたあいさつ・声かけから、地域のコミュニケーションを豊かにし、人と人とのつながり、優しい気持ちでお互い見守ることができるまちを育んでいきたいと思います。
渡邊 博彦さん、ありがとうございました。
渡邊 博彦さん
住吉区地域活動協議会会長会 代表幹事
苅田南地域活動協議会 会長
探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先
大阪市住吉区役所 教育文化課
〒558-8501 大阪市住吉区南住吉3丁目15番55号(住吉区役所3階)
電話:06-6694-9989
ファックス:06-6692-5535