表紙ページ 大阪市読書バリアフリー計画(仮称)(素案) 令和8(2026)年度から令和12(2030)年度まで 令和8(2026)年10月 大阪市教育委員会 目次ページ 目次 大阪市読書バリアフリー計画(仮称) 骨子 2ページ 第1章 基本的な考え方 3ページ 1 はじめに~読書バリアフリーとは~ 3ページ (1)読書バリアフリー法の概要 3ページ (2)医学モデルから社会モデルへ 3ページ (3)読書バリアフリーの対象と、読書に対する様々なバリア 4ページ (4)アクセシブルな書籍等、バリアを取り除く手段 5ページ 2 大阪市における読書バリアフリー 現状と課題 6ページ (1)本市における障がい者の状況 6ページ (2)現在の本市における読書バリアフリー関連施策の位置付け 6ページ (3)本市での取組状況 8ページ (4)本市における課題 9ページ 3 本計画の方向性 10ページ (1)基本方針及び2つの主な観点 10ページ (2)計画の進捗を測定する目標 10ページ (3)日本語の読み書きに困難のある人(来日者・帰国者等)について 11ページ 第2章 具体的な取組 12ページ 1 一人一人の特性に応じた読書環境の整備・充実、読書バリアフリーの普及・啓発 12ページ (1)アクセシブルな書籍等の提供・充実 12ページ (2)各施設の設備や支援機器、サービスの整備・充実 12ページ (3)読書バリアフリーの普及・啓発 14ページ 2 読書バリアフリーに関わる人や機関のネットワークづくり、人材育成 15ページ (1)関係施設・団体との連携 15ページ (2)人材育成・研修 16ページ (巻末参考資料)  障がいの「社会モデル」を理解するために 17ページ  読書のバリアを取り除くための主な手段(アクセシブルな書籍等・支援機器・サービス) 18ページ   「障害」の「害」のひらがな表記の取り扱いについて  大阪市においては、障がいのある方の思いを大切にし、市民の障がい者理解を深めていくため、「害」の漢字をひらがなで表記しています。  ただし、法令、条例、固有名詞等は漢字で表記しています。 2ページ 大阪市読書バリアフリー計画(仮称) 骨子 ■基本方針 一人一人の特性や状況に応じて、誰もが読書に親しめる環境の整備 ■主な観点 ・一人一人の特性に応じた読書環境の整備・充実、読書バリアフリーの普及・啓発 ・読書バリアフリーに関わる人や機関のネットワークづくり、人材育成 ■目標(成果・進捗把握) ・読書に関する支援を必要とする人と適切な支援とを結びつける 【指標】市立図書館におけるアクセシブルな書籍等の貸出点数 ・読書バリアフリーに関する市民全体の認知度の向上 【指標】市立図書館における読書バリアフリー啓発イベント・展示等の実施回数、参加者数 ■計画期間 令和8(2026)年度から令和12(2030)年度まで 3ページ 第1章 基本的な考え方 1 はじめに~読書バリアフリーとは~ (1)読書バリアフリー法の概要  読書は、学びや仕事、余暇など、生活の様々な場面を支える大切な活動です。しかし、目が見えにくい、文字を追いづらい、日本語の文章理解に時間がかかる、紙の本を持ったりめくったりすることが難しいなどにより、本を読むことが難しい人も多くおられます。また、そのような困難が存在すること自体、一般に認識されているとは言い難い状況があります。  このような、読書、ひいては情報獲得にあたって様々に存在するバリアを取り除き、誰もが等しく情報にアクセスできるようにするのが「読書バリアフリー」です。  読書バリアフリーを社会全体で実現していくため、令和元(2019)年に「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(いわゆる読書バリアフリー法)」が施行されました。冒頭第1条で「障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化(文字・活字文化振興法(平成十七年法律第九十一号)第二条に規定する文字・活字文化をいう。)の恵沢を享受することができる社会の実現」を謳い、第3条では、電子書籍等の情報通信技術の活用や、書籍等の量的拡充及び質の向上、障害の種類及び程度に応じた配慮について規定、さらに第8条で、地方公共団体に対して、地域の実情に応じた取組の推進に向けた計画の策定が努力義務とされています。  この法律の背景として、障がい者の権利保障についての大きな流れがあります。国連は平成18(2006)年、「障害者の権利に関する条約」を採択し、平成26(2014)年に日本において発効しました。この条約は、障がい者の自立、差別の禁止、社会的包摂(ソーシャルインクルージョン)などを一般原則とし、締結国に必要な措置を果たすよう定めています。条約批准に向けた国内法の整備として、平成25(2013)年に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行されました。この法律は、「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として」制定され、「障害のある人に「合理的配慮」を行うことなどを通じて、「共生社会」を目指」すものです(内閣府ホームページ)。  読書は個人の趣味にとどまらず、教育、就労、社会参加に直結する基盤でもあります。読書における障がいを取り除き、誰もが必要な情報にたどり着けるようにすることが、読書バリアフリー法のねらいだと言えます。   (2)医学モデルから社会モデルへ  読書バリアフリーを考えるうえで、「医学モデル」と「社会モデル」という2つの捉え方について言及します。医学モデルは、障がいを個人の心身機能によるものとし、リハビリなどをして社会に適応できるように「障がいのある人本人が乗り越えなければならない」とする考え方です。一方、社会モデルは、障がいは社会が作り出しているものであり、「障がいを取り除いていくことは社会の責務である」とする考え方です。社会モデルでは、困難の原因を個人だけに帰さず、環境や制度、周囲の配慮の不足によって生まれる「バリア(障壁)」に着目し、それを取り除くことで状況を改善できると考えます。 4ページ  たとえば、文字が読みにくい人がいたとき、医学モデルでは「視力や認知の問題」として捉えがちですが、社会モデルでは、「文字サイズを変えられない」「音声で読める資料がない」「読みやすいレイアウトになっていない」など、環境側の条件が読書の妨げになっている可能性に目を向けます。つまり、本人の努力だけではなく、社会の側の工夫で読書のしやすさは大きく変わります。  一般に「障がい福祉サービス」と呼ばれる取組は、必要な人に支援を届けるという点で有効です。ただし、支援の対象を「障がい者」とすることで、本人が障がいを受容していない場合や、障がい者手帳等の有無に関わらず困りごとを抱えている場合に、支援につながりにくいことがあります。  読書の困難は、年齢や体調、生活環境によっても生じます。たとえば、加齢による見えにくさ、長時間の文字読みによる疲れ、けがにより一時的に物が持てない、外国にルーツがあり日本語の長文が読みにくい状況など、様々な場面が考えられます。社会モデルの発想を取り入れることで、「障がいのある人のため」だけに閉じない、より多くの人に役立つ読書環境づくりへとつながります。  <参考>巻末『障害者差別解消法の施行に伴う本市における対応の手引き(令和4年9月改訂版)』一部抜粋 (3)読書バリアフリーの対象と、読書に対する様々なバリア ア.読書バリアフリー法が規定する対象と、留意すべき観点  読書バリアフリー法は、第2条でその対象を「視覚障害、発達障害、肢体不自由その他の障害により、書籍について、視覚による表現の認識が困難な者をいう。」としており、書籍等をそのままの形で読むことが困難な人を幅広く含む考え方が示されています。つまり、視覚障がいに限らず、また障がい種別で区切るのではなく、「読むことが困難である」という状況に着目している点がこの法律の特徴です。  本計画ではこの考え方に基づき、「読書を妨げるバリア」に着目して改善することを目指します。これは、前項で述べた社会モデルの考え方に立脚したものです。  また、広く情報保障に関しては、令和4(2022)年に施行された「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(いわゆる障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法)」で、第3条に4つの基本理念(1 障害の種類・程度に応じた手段を選択できるようにする、 2 日常生活・社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しく情報取得等ができるようにする、3 障害者でない者と同一内容の情報を同一時点において取得できるようにする、4 高度情報通信ネットワークの利用・情報通信技術の活用を通じて行う(デジタル社会))が掲げられています。デジタル技術の革新が進む中、新たな情報格差が生じることのないよう、ニーズや場面に応じて最適な手段で情報保障を実現する、という観点が重要です。   イ.視覚障がい者の実態  厚生労働省は、障がいのある人の実態を定期的に調査しています。「令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」によれば、身体障がい者手帳所持者のうち視覚障がい者は全国で推計273,000人、率にして約6.6%とされています。 5ページ  「平成18年身体障害児・者実態調査結果」によれば、視覚障がい者のうち「点字ができる」と回答したのは12.7%であり、見えない・見えにくい人のうち点字を理解するのは約1割であると言えます。また、同調査の「あなたは日常的にどのような方法により情報を入手していますか」という設問では、視覚障がいのある人の回答は「録音図書・デイジー」9.7%、「点字図書・点字資料」4.2%、「一般図書・新聞(ちらしを含む)・雑誌」16.7%でした(上位回答は「テレビ(一般放送)」69.3%、「家族・友人・介助者」53.6%、「ラジオ」42.9%)。見えない・見えにくい人にとって点字は自ら読み書きする手段として重要なものですが、点字による情報提供だけでは、点字の読み書きが十分にできない9割の方をカバーできないという視点も必要です。   ウ.視覚障がい以外の読書への困難  視覚障がい以外で読書に困難がある場合として、「障がいによって読書に困難のある人たち」「社会的環境や加齢によって読書に困難のある人たち」の大きく2つに分けて考えることができます。障がいによるものとしては、知的障がい、自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、ディスレクシア(読み書き障がい)、聴覚障がい、認知症、失語症があり、社会的環境や加齢によるものとしては、外国人、教育を十分に受けられなかった人たち、高齢者が挙げられます。  また、肢体不自由などにより、本を持てない、ページをめくれない人がいます。図書館や書店に行くこと自体が難しい、必要な支援をどこに相談すればよいかわからない、といった「アクセスのバリア」も考えられます。さらに、このような困難を複数抱えている人も少なくありません。  以上のことからも、その人の障がい種別(医学モデル)ではなく、その人の前に立ちはだかるバリア(社会モデル)に立脚したバリアフリーの実現という視点が重要であると考えます。  なお、聴覚に障がいのある人に対しては、音声情報へのアクセスを支援する施策として、市立図書館において字幕付きDVDソフトの提供を行っています。  <参考>『LLブックをすすめる』(藤澤和子・野口武悟・吉田くすほみ/著, 樹村房, 2026) エ.機運醸成に向けた出版社等への期待  以上述べたように、一般に流通する書籍をはじめとする活字メディア・視覚により提供される情報をそのままの形式では読めない・読みにくいという実態が幅広く存在していると言えます。バリアを取り除くための施策が求められるのはもちろんですが、その推進にあたって、情報を提供する側が、提供している形式に読書のバリアがあることを認識し、そのバリアを取り除く手段を理解する必要があります。たとえば、書籍のテキストデータが出版社等から提供されていれば、パソコン・スマートフォンなどのICT機器や専用機器によりアクセスが可能になります。読書バリアフリーに対する普及・啓発を行うことで、これらのバリアを取り除く機運醸成につなげる視点も必要です。 (4)アクセシブルな書籍等、バリアを取り除く手段  読書のバリアを取り除く手段は多様であり、困りごとの内容に応じて選べること、つまり、情報を受け取る経路を増やし、選択肢を広げることが大切です。 6ページ  代表的なものに、大活字本、点字図書、オーディオブック、デイジー図書等の音声読み上げに対応した電子書籍などがあり、これらは「アクセシブルな書籍等」と呼ばれています。拡大読書器は、視力が弱い人や加齢による視力低下がある人にとって、文字を無理なく追えるようにする助けになります。紙の本を拡大して読めるだけでなく、明るさやコントラストを調整できる機器もあり、読みやすさを個人に合わせて整えられる点が利点です。  また、音声読み上げに対応した電子書籍やマルチメディアデイジー図書などは、目で文字を追うことが難しい場合だけでなく、集中が続きにくい場合や、読みの負担が大きい場合にも役立ちます。必要な箇所に戻ったり、章や見出し単位で移動したりできる仕組みにより、理解の助けにもなります。  そのほか、リーディングトラッカー(読みたい行を見失いにくくする補助具)や、書見台、読みやすいフォントや行間を用いたレイアウト、やさしい日本語なども、読書のしやすさを高める重要な手段です。  これらについて、表(※)にまとめました。  ※巻末「読書のバリアを取り除くための主な手段(アクセシブルな書籍等・支援機器・サービス)」参照 2 大阪市における読書バリアフリー 現状と課題 (1)本市における障がい者の状況  大阪市において障がい者手帳を所持している人(令和7(2025)年3月31日現在)は、身体障がい者手帳135,072人、療育手帳37,561人、精神障がい者保健福祉手帳55,071人です。また、身体障がい者手帳の障がい種別のうち、視覚障がいは10,026人、肢体不自由は68,269人などとなっています。  大阪市では、障がいのある人等の生活実態とニーズを把握するために、おおむね3年ごとに「大阪市障がい者等基礎調査」を実施しています。令和7年度調査の中で、「情報収集や情報伝達のために、所有している情報通信機器はどれですか」(複数回答)では、「テレビ」が最も多く 61.4%、「スマートフォン」が56.5%、「パソコン」が21.2%となっています。また、前回(令和4年度)調査において、情報通信機器の使用用途は、「携帯電話・スマートフォンで家族・友人などと連絡をとる(LINE や携帯電話のメールを含む)」が61.5%、「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」が28.4%、「固定電話やファックスで家族・友人などと連絡をとる」が19.4%であり、主にコミュニケーションツールとして、情報通信機器が使用されています。一方で、「いずれも使わない」は17.9%で、情報通信機器を使用しない理由としては、「使い方が分からないので、面倒だから」が39.9%、「必要性を感じないから」が28.3%、「指先が動きづらく操作しづらい、操作できないから」が19.0%となっています。 (2)現在の本市における読書バリアフリー関連施策の位置付け ア.障がい福祉  大阪市障がい者支援計画・第7期障がい福祉計画・第3期障がい児福祉計画(令和6年3月策定)  第2部「障がい者支援計画」の第4章「地域で学び・働くために」の、「1 保育・教育」の項において、「施策の方向性(4)生涯学習や相談・支援の充実」を示しており、「図書館等の社会教育施設や地域施設について、障がいのある人が利用しやすくなるような整備を進めます。」 7ページ 「障がいのある人に読書の機会を提供するとともに、対面朗読サービスや郵送等による非来館型サービスなどの障がい者サービスや障がいのある人への理解を深める講座・講演会など、学習機会を提供します。」などとしています。また、同じく第2部「障がい者支援計画」の第1章「共に支えあって暮らすために」の、「2 情報・コミュニケーション」の項において、「施策の方向性(1)わかりやすい情報発信」を示しており、「障がいのある人が、社会の一員としてあらゆる活動に参加することができるよう、障がいの状況や特性に応じたわかりやすい情報発信や、ICT等を活用した情報提供に取り組みます。」としています。また、「施策の方向性(2)意思疎通・情報へのアクセスの支援」では、具体的な環境整備として、「障がいのある人の情報通信機器の利用促進」「市立図書館や学校図書館、点字図書館等の協働」「市立図書館におけるアクセシブルな書籍等の収集や製作の継続」「学校において障がいのある一人一人のニーズへの対応」を掲げています。 イ.教育・読書推進  大阪市教育振興基本計画(令和8年度(2026年度)~令和11年度(2029年度))  「基本的な方向2 豊かな心の育成」において、インクルーシブ教育推進の観点から、「障がいのある児童生徒は年々増加傾向にあり、これまで以上に、教員の障がいに対する理解並びに通常学級における合理的配慮への理解の深化及び専門性の向上を図るなど、本市が従来より進めてきた「共に学び、共に育ち、共に生きる教育」を一層推進していきます。」とし、多文化共生教育の推進の観点から、「多国籍化・増加する帰国・来日した児童生徒に対して、共生支援拠点における日本語指導や適応指導、母語・母文化の保障等の支援、学校図書館の機能を活用した支援を行うとともに、保護者の日本語能力や学校文化への理解の重要性に鑑み社会教育の分野において保護者対象の日本語教室を実施する等、学校教育・学校図書館・社会教育が連携し、多方面での取組を進めていきます。」としています。また、「基本的な方向8 生涯学習の支援」において、「市立図書館は、いつでも、どこでも、誰もが課題解決に必要な情報にアクセス可能な、創造都市の知識・情報基盤である「知識創造型図書館」の利用促進を図ります。」とし、さらに、「大阪市子ども読書活動推進計画」に基づき、「全ての子どもが生き生きと読書を楽しめるよう、家庭、地域、学校等が連携して取り組みます。」としています。  第5次生涯学習大阪計画(令和8年3月策定)  基本的な方向として「誰一人取り残さない生涯学習支援」を掲げ、具体的取組として「図書館において、点字図書、録音図書、LLブック、拡大図書(大活字本)、デイジー図書(音声デイジー・マルチメディアデイジー)等、アクセシブルな書籍の提供、対面朗読や郵送貸出サービス等の実施により、読書に困難を抱える人の利用支援の充実を図ります。」などを挙げています。  第5次大阪市子ども読書活動推進計画(令和8年3月策定)  「障がいのある子どもが、一人一人の状況に応じてアクセシブルな書籍等に気軽に触れることができ、読書を楽しめるよう、環境整備の充実を図ります。」としています。 大阪市多文化共生指針(令和2年12月策定、令和6年11月一部改訂)  6つの基本的方針の中に「日本語教育の充実」「外国につながる児童生徒への支援の充実」を掲げ、識字・日本語教育や多文化共生教育の推進、母語・母文化の保障などを位置付けています。 8ページ (3)本市での取組状況 ア.市立図書館  昭和49(1974)年に中央図書館で対面朗読、郵送貸出を開始して以降、「障がい者サービス」として各種のサービスを実施しています。アクセシブルな書籍等の利用申込・貸出は、すべての市立図書館で受け付けています。中央図書館は平成8(1996)年のリニューアル時に「障がい者サービスコーナー」を開設しました。拡大読書器はすべての市立図書館に設置しています。サービスの実施状況は表(※)にまとめました。  ※巻末「読書のバリアを取り除くための主な手段(アクセシブルな書籍等・支援機器・サービス)」参照 イ.市立学校園  各学校園において、児童生徒の状況に応じた対応を行っています。  教科書に関しては、拡大教科書・点字教科書の給付や、マルチメディアデイジー教科書の活用を進めています。また、個別の指導計画に基づく合理的配慮(ルビ付き教材、読み上げ対応など)を実施しています。  視覚聴覚の発達や集中力の持続に応じた環境の整備では、学習者用端末により、音声読み上げ、文字の拡大などの機能を活用しています。絵本の読み聞かせの際に大型絵本、パネルシアター、スクリーンで映す等の工夫を行っています。  デイジー図書をはじめとしたアクセシブルな書籍等が利用できる外部サービスなど、読書に関する情報を提供しています。   ウ.点字図書館(視覚障害者情報提供施設)  点字図書館は、身体障害者福祉法に定める視聴覚障害者情報提供施設として、視覚障がい者等に対し、点字図書や録音図書等の製作・貸出、対面朗読など、読書や情報の利用支援サービスを行う施設です。  大阪市立早川福祉会館(東住吉区)は、故早川徳次氏の寄付金をもとに、昭和37(1962)年に開設、平成5年度に建替を行い、貸室事業や点字・録音図書室事業をはじめ、幅広く障がい者の方々の福祉の向上を図る事業を行っています。  民間が運営する社会福祉法人日本ライトハウス情報文化センター(西区)は、大正11(1922)年、創立者の岩橋武夫氏が自宅を開放して点字図書館事業を開始したのが始まりです。現在地では昭和54(1979)年から情報提供施設を運営し、目の見えない人・見えにくい人が、見える人と等しく「情報」を活用し、「文化」を享受し、「コミュニケーション」を楽しむ社会の実現を目指しています。  これらの施設では、点字・録音図書の製作及び貸出、情報の点字・録音での提供、アクセシブルな電子書籍の提供、対面リーディングを実施するほか、ボランティア養成(点訳・音訳など)を開催しています。また、情報機器利用に対して個別の支援も実施しています。 エ.その他  市立図書館・福祉局障がい福祉課・市立早川福祉会館点字図書室・日本ライトハウス情報文化センターの4者で「関係機関連絡会」を定期的に開催し、情報共有、意見交換を行っています。 9ページ  福祉局の主催で、点字を初歩から学べる「点訳奉仕員養成講座」を定期的に開催しています。 (4)本市における課題  本計画の策定に際して、市の関係部署、関係機関連絡会(市立図書館・福祉局障がい福祉課・市立早川福祉会館点字図書室・日本ライトハウス情報文化センター)、各区の「大阪市子どもの読書活動推進連絡会」等を通じて、以下のような課題が挙げられています。 ア.既存のサービスの利用状況から見えること  市立図書館などが実施しているアクセシブルな書籍等の貸出、対面朗読等サービスの利用状況は、障がいのある人の割合に比して多くなく、潜在的なニーズが存在すると言えます。  スマートフォンやデイジー等再生機器の利用に苦手意識を持っている、また敬遠している人が一定数存在し、それらの方への支援の充実が必要です。  市立図書館や子育て支援施設で開催している絵本の読み聞かせなどの催しに、落ち着きがなかったり声を出したりする子どもが参加しにくい状況があるとの指摘があります。多様性を認めることで、どの子も参加しやすい環境整備が求められます。 イ.支援に携わる人材に関する課題  アクセシブルな書籍等の製作を担う人材が不足しており、ニーズに十分対応できていない状況があります。また、デイジー等再生機器の利用を個別に支援する際の人材が不足しています。  また、障がいのある人をどう受け入れ、どのように接すればいいかの知識が十分でなく、結果として現場で対応できていないという、施設職員やボランティアからの声があがっています。 ウ.学校における課題  学習者用端末が一人一台整備されていますが、端末で利用できる電子書籍等のコンテンツが十分でなく、読書バリアフリーへの活用は道半ばという状況です。点字教材など、各児童生徒の状況に合わせた教材を作成する人材が不足しています。各学校の予算が限られている中で、アクセシブルな書籍等を学校ごとに思うように買い揃えることができない状況もあります。  また、読書バリアフリーに対して、教職員の理解促進、児童生徒への伝達、保護者への普及・啓発が十分ではないという状況があります。 エ.その他  知的障がいのある人が読書を楽しめるよう、その人がわかりやすい表現に言い換えながら1対1で読書する代読方法が提唱されており、市立中央図書館で年1回開催している「LLブックセミナー」でも紹介されていますが、本市において組織的な実施に向けた議論ができていません。 10ページ 3 本計画の方向性 (1)基本方針及び2つの主な観点  基本方針は、「一人一人の特性や状況に応じて、誰もが読書に親しめる環境の整備」とします。  基本方針に基づき、2つの主な観点を掲げます。それぞれ次のとおりです。 観点1 一人一人の特性に応じた読書環境の整備・充実、読書バリアフリーの普及・啓発  文字が見えない・見えにくい、文字や文章が読めない・読みにくい、内容がわからない・わかりにくい、本を持てない・読書の体勢がとれないなど、様々なバリアを取り除き、誰もが読書を楽しみ、情報を得られるような取組を、近年急速に発達している情報通信技術の活用も含めて検討を行い、推進します。すでに大阪市では、市立図書館や点字図書館のサービスなど、一定の支援体制が整ってはいますが、前項(4)で列挙した課題は、読書バリアフリーについて「知られていない」ことにまず起因するものだと認識しています。このことから、既存の取組の継続実施とともに、それらを積極的に周知・広報することで必要な人への支援につなげること、あわせて、幅広い普及・啓発を行い、支援が必要かどうかに関わらず、すべての人が読書バリアフリーに対して理解を深め、社会全体をあげての読書バリアフリーの実現につなげること、これを今期計画では重視します。 観点2 読書バリアフリーに関わる人や機関のネットワークづくり、人材育成  図書館や関連施設、市職員(行政職員・教職員)や施設職員、ボランティアなど、関係する人や機関が日常的につながり、情報交換や連携を行うこと、また、研修や講座により知見を深めることで、より効果的に読書バリアフリーを推進します。また、当事者とのつながりの中で潜在的なニーズを発掘し、読書や情報取得につながるよう取り組みます。さらに、音訳や点訳などに携わる人を増やし、共助の視点で読書バリアフリーが実現できるよう、人材育成を進めます。  初めて策定する今回の計画では、まずは普及・啓発に力を入れながら現状把握とニーズの掘り起こしを進めていきます。その中で、どの支援が届いていないのか、どういった支援が求められているのかを明らかにし、関係機関の連携体制を整えていきます。そして、4年余の計画期間を通じて明らかになった課題について、次期の計画でさらなる解決策を具体的に示すことで、より実効性のある施策へと段階的に深めていくことができればと考えます。 (2)計画の進捗を測定する目標 目標1 読書に関する支援を必要とする人と適切な支援とを結びつける  【指標】市立図書館におけるアクセシブルな書籍等の貸出点数 目標2 読書バリアフリーに関する市民全体の認知度の向上  【指標】市立図書館における読書バリアフリー啓発イベント・展示等の実施回数、参加者数 11ページ (3)日本語の読み書きに困難のある人(来日者・帰国者等)について  日本語で書かれたものをそのままでは理解できないことから、日本語を母語としない外国につながる住民も、読書バリアフリーの対象です。本計画では、わかりやすい書籍等の普及を通じてこれらの人の読書バリアフリーの実現につなげつつ、具体的な取組は、「大阪市多文化共生指針」及び「同行動計画」の中で位置付け、推進することとします。 12ページ 第2章 具体的な取組 1 一人一人の特性に応じた読書環境の整備・充実、読書バリアフリーの普及・啓発 (1)アクセシブルな書籍等の提供・充実 〈施策の方向〉  一人一人の特性や年齢、発達段階等に応じて、誰もが自分に合った方法で読書に親しみ、必要な情報を得ることができるよう、拡大図書(大活字本)、LLブック、点字図書、さわる絵本、布の絵本、録音図書、デイジー図書など、アクセシブルな書籍等を継続的に提供します。  市立図書館では、市販のアクセシブルな書籍等の収集、ボランティアグループ製作の布の絵本やさわる絵本など、資料提供の充実に取り組みます。点字図書館では、利用者のニーズに応じて、資料の点訳・音訳・テキスト化等を行い、アクセシブルな書籍等の製作・提供を推進します。  また、学校への団体貸出等による資料提供、国立国会図書館やサピエ図書館が提供するアクセシブルな書籍等の活用を推進し、一人一人の特性や年齢、発達段階等に関わらず、誰もがそれぞれのニーズに応じて多様な読書方法が選択できる環境整備に努めます。  ※巻末「読書のバリアを取り除くための主な手段(アクセシブルな書籍等・支援機器・サービス)」参照 〈具体的な取組〉 ・市立図書館におけるアクセシブルな書籍等の収集・製作・提供の継続実施(市販のアクセシブルな書籍等の収集、ボランティアグループ製作の布の絵本やさわる絵本の収集など) ・点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の収集・製作・提供の継続実施(特定書籍の製作) ・市立図書館と点字図書館における図書館間貸出や学校への団体貸出の継続実施 ・市立図書館における電子図書館機能の充実(オーディオブックの導入検討など) ・市立図書館や点字図書館で製作した点訳・音訳資料等の、国立国会図書館・サピエ図書館への継続的なデータ提供 ・国立国会図書館やサピエ図書館との連携による図書館間貸出や資料ダウンロードの継続実施 ・国立国会図書館やサピエ図書館の個人利用方法の案内・周知 (2)各施設の設備や支援機器、サービスの整備・充実  読みたい本や必要な情報にアクセスして自分に合った方法で利用できるよう、各施設の設備や支援機器、各種支援サービスの整備を進めます。 ア.市立図書館 〈施策の方向〉  市立図書館では、市民の読書活動を支える身近な拠点施設として、アクセシブルな書籍等の収集・製作・提供を行っています。誰もが市立図書館を円滑に利用できるように施設設備のバリアフリー化を進めるとともに、拡大読書器やデイジー等再生機器、書見台などの読書支援機器の整備・充実を図ります。 13ページ また、郵送貸出や対面朗読など、図書館への来館や利用が困難な人に対する支援サービスの充実を図ります。 〈具体的な取組〉 ・館内の資料や閲覧スペースにたどり着くための誘導の工夫(ピクトグラム使用など、館内サインの見直し・充実) ・拡大読書器、デイジー等再生機器、書見台などの支援機器の充実・周知 ・各支援機器やサービス利用の操作支援の強化 ・読書バリアフリー関連図書展示の実施、「りんごの棚」等関連図書コーナーの全館設置 ・学校向け利用案内の整備(関連図書の紹介、貸出方法など) イ.市立学校園 〈施策の方向〉  学校ではインクルーシブ教育を推進するうえで合理的配慮の観点から、拡大教科書や点字教科書、マルチメディアデイジー教科書など、障がいの状況に応じてアクセシブルな書籍等を活用し、障がいのある子どもと障がいのない子どもが共に学ぶ学習環境・読書環境の整備を進めます。また、「共に学び、共に育ち、共に生きる教育」を推進する立場のもとに市立図書館等との連携を一層進め、一人一人のニーズへの対応を行います。  学校図書館機能や一人一台の学習者用端末等を活用して、児童生徒へ多様な読書方法があることを周知し、一人一人の特性に応じた読書支援や学習に必要な情報が入手できる環境整備を進めます。 〈具体的な取組〉 ・拡大教科書・点字教科書の給付、マルチメディアデイジー教科書の活用の継続実施 ・児童生徒のニーズを把握する取組 ・学校図書館におけるアクセシブルな書籍等の紹介・提供(「りんごの棚」の設置など) ・読書バリアフリーに関する取組事例の共有 ・教員、学校司書向け研修の実施 ・市立図書館による学校への支援、「市立図書館活用の手引き」の周知 ・市立図書館が提供する電子図書館サービスの周知・活用   ウ.点字図書館(視覚障害者情報提供施設) 〈施策の方向〉  市立早川福祉会館点字図書室は、点字図書館が有する専門的な機能を生かし、視覚障がい者等の読書活動を支援するため、対面朗読、デイジー等再生機器の貸出、郵送貸出等のサービスの充実を図ります。また、スマートフォンアプリや支援機器の講習会・体験会を開催し、利用者が必要な資料や情報にアクセスできる環境の充実に取り組みます。日本ライトハウス情報文化センターにおいても、同様の取組を行えるよう、市立図書館ほか関係機関間の連携を一層強化します。   14ページ 〈具体的な取組〉 ・対面朗読、デイジー等再生機器の貸出、郵送貸出等サービスの継続実施 ・利用者の要望に応じた資料の製作・提供 ・スマートフォンアプリや支援機器などの講習会・体験会の継続実施 ・サピエ図書館へのデータ提供の継続実施 エ.その他 〈施策の方向〉  各区、地域の福祉施設、子育て支援施設等において、必要に応じて市立図書館や点字図書館等のアクセシブルな書籍等や利用支援サービスの案内を行い、地域全体で読書バリアフリーを推進する環境整備に取り組みます。 〈具体的な取組〉 ・各区における読書バリアフリー施策の周知(区における対象者への補装具・日常生活用具費の支給時や情報・意思疎通支援用具の給付時など)   (3)読書バリアフリーの普及・啓発 ア. 情報発信の手法 〈施策の方向〉  アクセシブルな書籍等や読書支援機器、市立図書館や点字図書館のサービスを必要とする人が、求める資料や情報にアクセスして利用できるように、情報アクセシビリティに配慮して多様な手法で普及・啓発を進めます。  各区広報紙や生涯学習情報誌「いちょう並木」等の紙媒体での広報のほか、大阪市や市立図書館公式サイト、生涯学習情報提供システム「いちょうネット」等のウェブサイト、X(旧Twitter)・Facebook・LINE等のSNSを活用した情報発信を行います。また、読書バリアフリーやアクセシブルな書籍等への理解を深めるために、関連図書の団体貸出や読書バリアフリー資料の体験会、「LLブックセミナー」等のイベントを定期的に開催します。読書バリアフリー施策の推進を図るために、様々な機会や媒体を利用して広報を行い、必要な人に情報が届くように取り組みます。  また、障がいのある人やその家族が利用できる制度や施設を紹介した「福祉のあらまし」には、読書バリアフリーに関する制度やサービス実施施設も掲載しています。引き続き、わかりやすい情報提供に取り組みます。 〈具体的な取組〉 ・情報アクセシビリティに配慮したウェブサイトの作成・情報発信 ・市立図書館や点字図書館におけるアクセシブルな書籍等の資料リストの作成・公開 ・市立図書館における読書バリアフリー体験セットの整備・提供 ・読書バリアフリー関連施設・各サービスをまとめた紹介パンフレットの作成 ・読書バリアフリーに関する理解を促進するための講座やイベント等の開催(市立図書館・点字図書館との連携イベントの継続実施) 15ページ ・「福祉のあらまし」による読書バリアフリー関連制度やサービスに関する継続的な情報提供   イ.情報発信のターゲット 〈施策の方向〉  読書バリアフリー施策の推進には、読書に困難を抱える本人だけでなく家族や介護者、利用施設職員等への積極的な情報発信を行い、地域全体の理解を深めることが重要です。また、学校、福祉、医療等の関係者とも連携して、必要なタイミングで適切なサービスにつなげられるよう、効果的な情報発信に取り組みます。 〈具体的な取組〉 ・市や各区、市立図書館、点字図書館ウェブサイトにおける相互リンクの設置(それぞれのサービスを相互に紹介) ・生活援助サービス等の従事者研修・講習会における読書バリアフリー啓発パンフレットの設置など ・地域住民への理解のための啓発(「大阪市出前講座」のメニュー化など)   ウ.ニーズの把握 〈施策の方向〉  市立図書館や点字図書館の利用者の声や利用状況等の把握を行い、読書に困難を抱える人の潜在的なニーズの掘り起こしを進めます。 〈具体的な取組〉 ・市立図書館利用者のニーズの把握(利用者への聞き取りの検討など) ・読書に困難を抱える人の声を聴くための手法の検討 2 読書バリアフリーに関わる人や機関のネットワークづくり、人材育成 (1)関係施設・団体間の連携 〈施策の方向〉  市立図書館、点字図書館、学校園、福祉関係施設、医療機関、点訳・音訳グループ等の団体が相互に連携し、それぞれが有する知識や技術等の情報共有を図るとともに、所蔵資料や製作資料の活用を進めます。また、関係者が情報や意見交換を行う機会を設け、利用者のニーズや課題の把握に努め、市域における読書バリアフリーを支えるネットワークづくりを進めます。 〈具体的な取組〉 ・各施設の現状や課題の共有を図るための市立図書館や点字図書館等の関係施設連絡会の開催 ・読書バリアフリー資料の効果的・積極的な活用促進のための市立図書館、点字図書館、学校園の連携強化 ・各区の点訳・音訳グループ等の活動状況の把握、それぞれの取組を利用につなげる連携方法の検討 ・府、他自治体との連携、情報共有 16ページ (2)人材育成・研修 〈施策の方向〉  アクセシブルな書籍等の製作及び利用支援に関する人材について、養成や資質向上に関する取組を行います。また、市立図書館、点字図書館、学校園等の職員や、読書活動支援ボランティアに対して、障がいの特性や合理的配慮、アクセシブルな書籍等、読書支援機器の活用方法を学ぶ研修機会をつくり、読書支援に必要な知識や技能の向上を図り、読書バリアフリーを支える人材育成に取り組みます。 〈具体的な取組〉 ・市立図書館、点字図書館における対面朗読や製作ボランティア養成講座の継続実施 ・読書バリアフリーを支える人材の育成(アクセシブルな書籍等の利用案内やスマートフォンアプリ・支援機器等の利用支援を行う人材の育成) ・市立図書館、点字図書館、学校園等の職員や読書活動支援ボランティアへの研修機会の充実 17ページ (巻末参考資料) 障がいの「社会モデル」を理解するために 対象となる「障がい者」とは? 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)、その他の心身の機能の障がいのある人で、障がいや社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことを指します。 ◇障がい者手帳(身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳)を持っていない人も含まれます。 社会的障壁とは? 障がいがあると、多くの人が当然にできていることができなかったり、勘違いをされたり、理解されずに困ったり、つらい思いをしたりすることがあります。 これは、この社会には障がいのある人や高齢者、外国籍の人など様々な人がいるにも関わらず、そのことを考慮していない社会になっているからです。 そのため障がいのある人にとっては、困りごとや不利益をもたらす「社会的障壁(バリア)」が生まれてしまいます。 具体的には… 物理的バリア:階段や歩道の段差など、物理的なバリア 制度のバリア:障がいを理由に入学試験や資格試験、免許の取得を制限することによって生じるバリア 文化・情報のバリア:音声情報や文字情報など、必要不可欠な情報が提供されていないことで生じるバリア 観念(心)のバリア:障がいのある人への差別や偏見、障がいに対する理解がないことで生じるバリア これらのバリアは誰が解決していくのか? 医学モデル…「障がい」を個人の心身機能によるものとし、リハビリなどをして社会に適応できるように「障がいのある人本人が乗り越えなければならない」とする考え方。 社会モデル…「障がい」は社会が作り出しているものであり、「障がいを取り除いていくことは社会の責務である」とする考え方。 障害者差別解消法は「社会モデル」の考え方を取り入れています。 たとえば… ・階段しかないところでは、車いすでは上に上がれません。 ・スロープが設置されれば、車いすでも上がれます。 車いすを使用している人は、何も変わっていません。周囲の環境が変わったことで障がいが解消されました。 社会モデルに基づくと、誰にでも障がいはあり得ると考えられます。 たとえば… ・高い壁の上には届きません。 ・脚立を持ってくれば届くようになります。 障がいのある人もない人も、周囲の環境次第で、できることとできないことが変わってきます。 社会モデルでは、程度の差があるだけで、障がいのある人もない人も同じ前提です。 社会モデルを理解することが合理的配慮や環境の整備を行ううえで大事なポイントです! (出典) 『障害者差別解消法の施行に伴う本市における対応の手引き(令和4年9月改訂版) ~一人ひとりが障がい者差別の解消に向けた主体として~』を再構成  大阪市福祉局 https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000340671.html 18ページ 読書のバリアを取り除くための主な手段(アクセシブルな書籍等・支援機器・サービス) 各名称に「★」のあるものは、著作権法第37条第3項により利用対象が限られるものを含みます。 ※各項目で写真がけいさいされていますが写真説明は省略します。 ●著作権法第37条(視覚障害者等のための複製等) 著作権法第37条第3項では、視覚障がいやその他の障がい(発達障がい、知的障がい、肢体不自由等)により、視覚著作物をそのままの方式では利用することが困難な人のために書籍の複製等を著作権者等の許諾なく行うことを認めている。この規定により製作されるアクセシブルな書籍等を「特定書籍」という。点字による複製資料はだれでも利用することができ(第37条第1項)、録音やテキストデータ化、マルチメディアデイジー化等による複製資料は、視覚障がい等の理由により活字による読書が困難な人に利用が限られる(第37条第3項)。 名称 拡大文字資料(大活字本・拡大写本) カテゴリ みる 機能 大活字本は、大きな活字で印刷製本され出版されたもの。文字の大きさやフォント等は、出版社により異なる。拡大写本は、文字の大きさ・フォント・文字幅、行間隔・縦書きか横書きか・用紙の大きさ等をそれぞれの見え方に合わせて製作されたもの。複数の人を対象に製作されたものは、図書館等で貸し出しされている。拡大文字の教科書は「拡大教科書」といわれる。 主な対象者 見えにくい人 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館) 名称 LLブック カテゴリ みる 機能 写真やイラスト、ピクトグラム、やさしい日本語等を用いて内容が理解しやすいように工夫されたもの。「LL」はスウェーデン語でわかりやすく読みやすいを意味する「Lättläst」(レットレスト)の略。写真だけで内容がわかる「LL写真ブック」や、マンガの手法を使いわかりやすく表現した「LLマンガ」もある。 主な対象者 文字や文章が読めない人・読みにくい人(知的障がい、発達障がい、日本語の学習中等) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館) 名称 バリアフリー映像資料 カテゴリ みる 機能 映像の音声情報を手話や日本語字幕を付与し視覚的にわかるようにしたものや、視覚的な表現を音声で解説したものがある。手話・日本語字幕付きや音声解説付きで映像を楽しむことができる専用アプリもある。 主な対象者 聞こえない人・聞こえにくい人、見えない人・見えにくい人 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室 名称 拡大読書器 カテゴリ みる・支援機器 機能 図書等をディスプレイに拡大表示し、読みやすくするための機器。倍率、白黒反転等の機能を有し、カラーディスプレイのものは色の変更も可能。据え置き型、携帯型と用途に応じたものがある。 主な対象者 見えにくい人 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 リーディングトラッカー カテゴリ みる・支援機器 機能 読みたいページに当てて読んでいる行をハイライト(強調)させ、文字や文章を認識しやすくする補助具。拡大機能の付いたリーディングルーペもある。 主な対象者 学習障がい(ディスレクシア)の人、視覚過敏の人 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館) 名称 書見台 カテゴリ みる・支援機器 機能 本を読みやすくするために、開いた状態で一定の角度に保持できるようにした台。固定式のものや持ち運びができるものがある。 主な対象者 大阪市における利用窓口 - 名称 点字資料 カテゴリ さわる 機能 点字により製作されたもの。文章だけでなく、図等も触ってわかるように工夫されたもの(点図、触図、立体図等)がある。点字と活字を同じ用紙に印刷したものや、点字と活字を合本したものもある。 主な対象者 見えない人・見えにくい人(点字を読める人) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 点字携帯端末(点字ディスプレイ) カテゴリ さわる・支援機器 機能 点字データやテキストデータ等を端末に格納して点字で表示でき、持ち運んで使用できる。パソコンやスマートフォンと接続して、画面に表示されたものを点字表示することもできる。 主な対象者 見えない人・見えにくい人(点字を読める人) 大阪市における利用窓口 市立中央図書館(西区)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 点字付き絵本(点訳絵本) カテゴリ みる・さわる 機能 ユニバーサルデザイン絵本、バリアフリー絵本とも言われる。特殊印刷で点字や絵を触覚でわかるようにし、出版されている。また、市販の絵本に点字シート(透明シール)に書いた点字を直接貼ったものがあり、点訳絵本と呼ばれている。絵の説明や絵の位置などを触ってわかるようにしているのが特徴。 主な対象者 見えない人・見えにくい人(見える人と見えない人が一緒に楽しめる) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 さわる絵本★ カテゴリ みる・さわる 機能 様々な素材を使い触覚で絵を楽しめるように立体化して製作された絵本。本文は点字と拡大文字で表示している。 主な対象者 見えない人・見えにくい人(子ども向け) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館) 名称 布の絵本 カテゴリ みる・さわる 機能 紙を使わずに布等で作られた絵本。ボタンやスナップ、ひも、ファスナー等を動かして楽しめる。点字付きのものもある。読書バリアフリーを念頭に、肢体不自由者や知的障がい者等を利用対象として製作されているもの(「ふきのとう文庫」等)もある。そのほか、乳幼児用の知育玩具として市販されているものがある。 主な対象者 文字や文章が読めない人・読みにくい人(知的障がい、発達障がい、肢体不自由等) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館) 名称 オーディオブック(朗読CD) カテゴリ きく 機能 書籍等の本文全体または一部を朗読したもの。文学作品を中心にプロのナレーター等が朗読したものや電子音声(AIを使った合成音)によるものがある。BGMや効果音を使って聞いて楽しめる工夫がされたものも多い。文学作品以外のビジネス書や教養書のコンテンツも増えている。多くはオンラインにより提供されているが、朗読CDとしても提供されている。 主な対象者 一般 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室 ※いずれも朗読CDのみ 名称 録音図書★(音声デイジー・カセットテープ) カテゴリ きく 機能 録音図書は、本や雑誌の内容すべてを音声化し録音したもので、図や写真等の文字以外の情報も説明している。 音声デイジーは、国際標準規格「DAISY(Digital Accessible Information System)」で作られたデジタル音声資料。目次やページ情報(構造化情報)があるため、読みたい章やページに移動することができる。再生速度を変えることもできる。 主な対象者 見えない人・見えにくい人、その他活字による読書が困難な人 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 音声デイジー再生機 カテゴリ きく・支援機器 機能 音声デイジーを再生するための機器。機種によってはインターネットに接続して、データをダウンロードして再生利用できる。 主な対象者 見えない人・見えにくい人、その他活字による読書が困難な人 大阪市における利用窓口 市立図書館(中央(西区)、旭、阿倍野、城東、住吉、鶴見、西淀川、東成、東淀川、平野、港、淀川)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 対面朗読 カテゴリ きく・利用支援サービス 機能 希望の資料を対面で読むサービス。1冊の本を最初から読むだけでなく、必要な箇所の拾い読み、漢字の説明や記号をすべて読むなど、音訳者に希望を伝えることができる。オンラインによる利用が可能な施設もある。 主な対象者 見えない人・見えにくい人、その他活字による読書が困難な人 大阪市における利用窓口 市立図書館(中央(西区)、旭、阿倍野、城東、住吉、鶴見、西淀川、東成、東淀川、平野、港、淀川、オンライン対面朗読は全24館)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 電子書籍 カテゴリ みる・きく 機能 電子により出版されたもの。文字の拡大、白黒反転表示、ルビ表示等、アクセシブルな機能をもったものがある。テキストデータが含まれているものはパソコンやスマートフォンの機能を使用して音声で読み上げることができる。図形や写真等の画像に説明用の文字情報が付与されているものもある。 主な対象者 一般(ページめくりや文字拡大、音声読み上げ等の機能により、視覚障がい・肢体不自由等の読書バリアを取り除くことができる) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館) 名称 テキストデータ、テキストデイジー★ カテゴリ みる・きく 機能 テキストデータは、文字や記号のみで構成されたもの(プレーンテキスト)。文字の大きさや文字色等の装飾情報を含まない。 テキストデイジーは、国際標準規格「DAISY」で作られた電子書籍。目次やページ情報(構造化情報)があるため、項目やページ単位で移動できる。パソコンやスマートフォンの機能を使用して音声で読み上げることができる。 主な対象者 見えない人・見えにくい人、その他活字による読書が困難な人 大阪市における利用窓口 市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 マルチメディアデイジー★ カテゴリ みる・きく 機能 国際標準規格「DAISY」で作られた、音声情報が含まれた電子書籍。読み上げている文字をパソコンやタブレット端末の画面上でハイライト表示し、視覚と聴覚の両方で確認できる。音声のスピードや文字の大きさ、背景色を変更したりすることもできる。 主な対象者 見えにくい人、文字や文章を読めない人・読みにくい人(知的障がい、発達障がい、日本語学習中等) 大阪市における利用窓口 市立図書館(全24館)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター 名称 郵送貸出 カテゴリ みる・きく・さわる・利用支援サービス 機能 視覚障がい、肢体不自由等で図書館等の公共施設への来館が困難な人に、公共施設から郵送で図書等を貸出するサービス。 主な対象者 公共施設への来館が困難な人(視覚障がい、肢体不自由等) 大阪市における利用窓口 市立中央図書館(西区)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター ※市立図書館以外は視覚障がいの方対象 名称 りんごの棚(読書バリアフリーコーナー) カテゴリ 普及啓発 機能 「りんごの棚」は、アクセシブルな書籍等を集めて紹介するコーナーで、1993年にスウェーデンの図書館で始まり、世界各地に広がりつつある。市立図書館においても、読書バリアフリーコーナーや「りんごの棚」を設置し、点字図書やLLブック、布の絵本、デイジー図書等を展示して、一人一人の特性に応じて読書を楽しむための多様な資料があることを紹介している。 主な対象者 大阪市における利用窓口 市立図書館(順次開設中) 名称 国立国会図書館みなサーチ・視覚障害者等用データ送信サービス カテゴリ インターネットサービス 機能 みなサーチは、様々な障がいのある人が、自分が利用しやすい形式の資料を探すことができるサービス。点字、デイジー、テキストデータ、大活字本、LLブック、電子書籍、バリアフリー映像資料等、いろいろな種類の資料を検索できる。 視覚障害者等用データ送信サービスは、国立国会図書館が各機関から収集した視覚障害者等用データと、国立国会図書館が製作した視覚障害者等用データをインターネット経由で送信するサービス。利用者登録すると、みなサーチからデータのダウンロードが可能。 主な対象者 見えない人・見えにくい人、その他活字による読書が困難な人 大阪市における利用窓口 図書館経由で利用する場合は、市立中央図書館(西区) ※個人で利用する場合は、国立国会図書館サイトより対象者は直接登録可能 名称 サピエ図書館 カテゴリ インターネットサービス 機能 活字による読書が困難な人に対して、様々な情報を点字や音声データ等で提供する「サピエ(視覚障害者等情報総合ネットワーク)」の書誌データベース。登録した図書館や個人が点字図書・録音図書等約80万点以上のデータを利用できる。ダウンロードやストリーミングにより利用できるものもある。 主な対象者 見えない人・見えにくい人、その他活字による読書が困難な人 大阪市における利用窓口 市立中央図書館(西区)、市立早川福祉会館点字図書室、日本ライトハウス情報文化センター ※各施設経由で利用できるほか、各施設登録の対象利用者はサピエの個人会員登録申し込みができる。 名称 音声コード(Uni-Voiceなど) カテゴリ きく・支援サービス 機能 スマートフォンやタブレット端末、専用読み取り機器を使って音声を再生することができる2次元コード。多言語対応したものもある。印刷物にコードを埋め込むことで見えない人・見えにくい人にも音声で伝達できる。 主な対象者 大阪市における利用窓口 裏表紙ページ 大阪市読書バリアフリー計画(仮称)(素案) 令和8(2026)年10月 大阪市教育委員会 事務局 〒550-0014 大阪市西区北堀江4-3-2(大阪市教育委員会中央図書館内)