2024年10月23日 DPI副議長 尾上浩二 説明資料 第10回大阪市交通バリアフリー基本構想推進協議会への意見 Ⅰ.再開発計画との関係について  梅田、なんばのこれまでの幾度もの再開発計画、街のリニューアルについて、障害者の意見が聞かれることがなかった。 今後、基本的に、重点整備地区で新規に出た再開発計画や大規模改修工事については、継続して開催されることになっている基本構想推進協議会へ報告し、障害者の意見を聞くこととし、現在、動いている再開発計画に関して、推進協議会、ワークショップで出た意見を反映していただきたい。 以下、地区ごとの重点課題を指摘する。 (梅田地区の再開発問題) 〇三番街・茶屋町、阪急ターミナルビル等の再開発計画への意見反映。 〇うめきた2期計画のデッキへのエレベーターも11人乗りですでに長蛇の列。 (梅田地区の重点課題) 〇東梅田からディアモールへのメインストリートへのアプローチが階段しかない。 〇サウスゲートビル正面玄関からJR中央改札付近に向けての経路、JR中央改札付近から地下街の阪神電車、西梅田方面のメイン通路へのアプローチが階段、エスカレーターしかない。 〇ノースゲートビル、ルクア、アトリウム広場、カリヨン広場につながる経路はエスカレーター、階段が主経路になっており、障害者の円滑な移動が阻害されている。 〇街全体を俯瞰的にみることができるバリアフリーマップの掲示、エレベーターへの番号の附番が必要。 (なんば地区の再開発問題) 〇「グレーターなんば」構想(なんば駅周辺における空間再編推進事業など)、南海「なんば」駅周辺の再整備計画、新なにわ線(なんば駅)の新設計画への意見反映。 (なんば地区の重点課題) 〇地下鉄千日前線東改札、近鉄東改札から御堂筋北改札付近の地下街に直接行き来できるエレベーターが必要。 〇現基本構想では千日前通は地下と地上の移動の円滑化を図るゾーンであったが、民間ビル利用のエレベーターしかない(わかりにくい、時間制限あり)。24時間運行の公共エレベーターの設置が必要。 〇なんば地下街全体を俯瞰できるバリアフリーマップの設置。 (京橋地区の再開発問題)  〇京阪京橋駅リニューアル計画。 〇京阪京橋駅からOBP、大阪城公園にかけてのデッキの各交通結節点の整備計画。 〇上記の再開発計画やイオン跡地の再整備及びその周辺整備計画への意見反映。 (京橋地区の重点課題) 〇京橋公園の入り口のバリアフリー化(バリカー撤去)。 〇京阪京橋駅から地下鉄への乗り換え経路の円滑化(京阪京橋駅改札付近にエレベーターの設置) 〇JR と京阪の間の広場から、京阪東側への移動の円滑化。 Ⅱ.資料2に関連して(全地区共通の問題点)  前日16時時点においても資料3が提示されておらず、委員として意見を出しようがない。事前説明で提示された資料2に限って、現時点で気が付いた範囲の意見に止まらざるを得ないことを断っておく。 1現、基本構想で課題とされていた事項について、現在も解決されていないものが多い。前回と同じく、「大規模な改修の折に検討する」と言った安易な先送りを繰り返すのでなく、これまでの現基本構想整備における取組の総括を十分に行い、今後の整備方針を検討すること。 〇例)京橋地区の京阪京橋駅から、メトロ京橋駅への乗り換え経路改善のための京阪改札付近へのコムズガーデン地下道へのエレベーター設置、京橋公園のバリカー撤去は、現基本構想策定時にも課題として提起されてきたことであるが、コムズガーデン再開発計画に関して障害当事者の意見の聴取がないままで工事が進行していることについて、説明も総括もない。 2天王寺・新大阪地区の第3回ワークショップに向けた第7回推進協議会においては、地区ワークショップで出た意見をマップでまとめて、提示された上で、意見への対応方針が示された。今回は提示がされなかったのは残念であるが、せめて、同様のものを第3回地区ワークショップ、及び第11回推進協議会で提供されたい。 (以下 第7回推進協議会資料より 図形 天王寺駅の課題をマップにまとめたもの) 3 第7回、第8回推進協議会で、「全地区共通の方針への修正・追加が行われた事項」、「継続して推進協議会で協議を行うと確認された事項」について、後退する方針を提示することは、これまでの協議を一方的に反故にすることであり、あってはならない。これまでの協議の内容を十分に踏まえた方針となるようにされたい。 Ⅲ.資料2に関連して(梅田地区の問題点) 1 生活関連施設及び生活関連経路の設定について 〇うめきた公園などの都市公園や、小中学校などの避難施設の記載がまったくない。避難施設や経路にかかる設定については慎重な検討が必要とされてきた経緯がある。再確認をお願いしたい。 2 駅舎等に関する項目(1視覚障害者誘導ブロック)について 〇視覚障害者誘導ブロックの途切れている箇所への対応について、「対応が困難」という方針が示されているが、連続敷設に向けた整備を行うことの全否定はこれまでの経過を無視したものであり、整備に向けて努力する旨の記載に変更されたい。 (経過:全地区共通骨子に「1.視覚障がい者誘導用ブロック」について、「管理境界部における、連続的な敷設や敷設位置の検討」を行う旨の追加修正が行われた(第8回推進協議会)) 3 駅舎等に関する項目(3案内誘導)について 〇梅田地区全体の構図がわかるマップ、バリアフリールートの表示、エレベーターへの付番の必要性についての意見に対して、「施設管理者個々の対応の参考」とすべく「誘導サインについて共有する」という方針が示されているが、梅田地区全体の共通した対応の必要性が問われていることに対して、応答する方針をしめしていただきたい。 〇「移動経路の案内をわかりやすくしてほしい」という意見に対して、「サイン整備検討協議会による共通ツールに基づき設置」と方針が示されているが、そもそも、サイン整備検討協議会は、バリアフリールートの案内表示についても検討されているのか疑問である。障害者の事情を加味しない従来ルールを根拠に当事者視点でのチェックに基づく意見を否定することは、基本構想の取り組みを否定することになるので、これまでの検討経過を踏まえたものに修正いただきたい。  (「協議会において、好事例を共有するなど、案内・誘導や事業者間の連携の方法について継続的な検討」(第8回推進協議会)) 4 駅舎等に関する項目(4切符の購入)について 〇券売機の画面の高さ、精算機・券売機の画面のタッチパネル(視覚障害者利用不可)等の意見について、「メーカ製作機器である」、「駅係員で対応している」と改善課題でないという方針になっているが、「券売機 や精算機 等の 仕様(障がいの特性に応じた操作性を確保、遠隔対応型等の双方向のコミュニケーションが可能等)」は継続検討課題となっていることを踏まえた方針に修正いただきたい。 5 駅舎等に関する項目(6 エレベーター)について 〇エレベーターの大型化について、大規模改修時に実施とされているが検討されないのでないかという意見に対して、「ホーム拡幅や歩道拡幅の制約があり困難」と断定的に一切を否定する方針となっている。これは、「基本的に15人乗り以上とし、可能な限り17人乗りを検討(※)基本的に15人乗り以上とし、可能な限り17人乗りを検討(※)」という全地区共通骨子が修正された経緯を無視するものである。各事業者ごと、箇所ごとの検討を封殺し、入り口ですべての大規模化が不可能であると切って捨てる方針は撤回いただきたい。 6 駅舎等に関する項目(11 トイレ)について 〇トイレの配置計画、機能分散、大型ベッドの設置等に関する意見に対して、「トイレ改良工事実施時に仕様を検討する」と方針が示されているが、推進協議会で継続的に検討すべき課題として、「バリアフリートイレの機能分散、オールジェンダートイレの設置、大人ベッドの設置位置や仕様」が挙がっていることについても踏まえられたい。 Ⅳ 資料2に関連して(なんば地区の問題点) 1駅舎等に関する項目(4切符の購入)について 〇蹴込みが浅く操作できない、照明が反射して利用できない、設置位置が高い、点字が左側で利用しくにいなどの意見に対して、「ガイドラインに沿った整備を行っているために改善を想定しない」という方針であるが、ガイドラインは最低限の基準を定めるものであり、これを以外は対応しないのであれば、当事者の意見を聞く意味がないと思われる。また、ガイドラインには、「表示画面・操作画面は、外光・照明の反射により、見にくくならないよう配慮することが望ましい。」とあり、ガイドラインに準拠するのであれば、対応すべき課題である。 2駅舎等に関する項目(11 トイレ)について 〇すべての人が利用しやすい配置計画、設計、大型ベッドの設置、トイレの形状等の意見について、「限られた空間で整備を行っている」という現状追認でとどまり、今後の改良に向けての方針が示されていない。推進協議会で継続的に検討すべき課題として、「バリアフリートイレの機能分散、オールジェンダートイレの設置、大人ベッドの設置位置や仕様」が挙がっていることについて、十分に踏まえ、今後のなんばウォーク全体での改良も見据えた改善方針を示していただきたい。 3道路・交差点に関する項目(4休憩施設)について なんば地区はベンチやレストスペースが少ないという意見に対して、「環境悪化につながることから設置していない」と切って捨てているが、梅田地区などでは設置できていることも念頭におき、今後の街の改良時においても検討の余地がないのか。 4道路・交差点に関する項目(駅前広場)について 〇なんば広場のステージに車いすで上がれないという意見に対して、「段差はベンチであるから、スロープ設置が困難」と切って捨てているが、ベンチと称する台をステージとして利用することも、車いす障害者が同伴者と共に段差に上がりたい場合も考慮すると、段差の一方向をスロープにすることを否定する根拠になりえないのでないか。 5その他に関する項目(建築物等)について 〇ビックカメラのエレベーター表示、地上階からエレベーターがわかる案内表示がされることはとてもありがたい。具体的な表示がわかりやすくなるようにぜひ障害者の意見を踏まえて実現していただきたい。 Ⅴ.資料2に関連して(京橋地区の問題点) 1 駅舎等に関する項目(2音声案内)について 〇大阪ビジネスパーク駅において双方向コミュニケーションの音声案内がほしいと言う意見に対し、「ガイドラインに沿った整備をしている」という回答に留まっているが、券売機・精算機の双方向コミュニケーションについて継続協議することを踏まえた方針とされたい。 2 駅舎等に関する項目(3案内・誘導)について 〇案内誘導サインの改善についての意見に対して、「地域全体で案内誘導方法の統一的な考え方が示されれば、案内整備を検討する」という方針となっているが、ここには、大阪市として、「地域全体の案内誘導の統一的な整備方針をさだめ、整備を検討する」などの方針案を記載すべきでないか。 3 駅舎等に関する項目(4切符の購入)について 〇券売機の高さ、照明の反射で見えないなどの意見に対して、「ガイドラインに沿った整備」としているが、ガイドラインは最低限の基準を定めるものであり、これを以外は対応しないのであれば、当事者の意見を聞く意味がないと思われる。また、ガイドラインには、「表示画面・操作画面は、外光・照明の反射により、見にくくならないよう配慮することが望ましい。」とあり、ガイドラインに準拠するのであれば、対応すべき課題である。併せて、「券売機 や精算機 等の 仕様(障がいの特性に応じた操作性を確保)」は継続検討課題となっていることを踏まえていただくことが必要である。 4 駅舎等に関する項目(6エレベーター)について 〇京阪京橋駅の「ホームへのエレベーターが混雑する」という意見に対して、「エレベーターの複数化は困難」と一方的に拒絶しているが、エレベーターの複数設置(複数ルートの設置)は、国のバリアフリー政策でも目標と掲げられているところであり、京阪京橋駅、京阪モールのリニューアル計画等も踏まえ、将来的な改修への改善方針も含めて、検討されたい。 〇片町口のエレベーターは、費用的な面で困難としているが、今後の再開発計画でデッキの延長、拡充整備、京阪モールのリニューアルなどを踏まえて、将来的な改修への改善方針も含めて、検討されたい。 〇京阪東地下道へのエレベーター設置については現基本構想検討時からの20年来の課題である。問題解決の課題が多いという感想だけで終わっているが、京橋のバリアフリー化において、重要な課題であること認識し、将来的な改修への改善計画も含めて、検討されたい。 〇コムズガーデンのエレベーターに法令上窓を設置できないとされているが、通常のエレベーターは窓がある。なぜできないのか、再確認いただきたい。   5 駅舎等に関する項目(11トイレ)について 〇推進協議会で継続的に検討すべき課題として、「バリアフリートイレの機能分散、オールジェンダートイレの設置、大人ベッドの設置位置や仕様」が挙がっていることについて、十分に踏まえて、整備計画に生かしていただきたい。 6 道路・交差点に関する項目(その他)について 〇京橋公園のバリカー撤去についての意見に対して、「S字バリカーは撤去予定」という回答であるが、設置予定であるC字バリカーについては言及がなく、不誠実な回答である。都市公園のガイドラインについては車止めの設置はしないことが望ましく、設置する場合には、車いす等の進入に支障がないか慎重に検討することとされている。バリカー問題は、現計画検討時から課題となっていた事項であり、障害者等の進入に支障がないのか当事者意見を十分に踏まえる機会を設けていただきたい。 ●OsakaMetro インターホン(無人改札)検証会報告 概要版 日程:10月16日(水) 時間:13時より14時 集合場所:OsakaMetro 谷町9丁目 東改札(無人改札) 検証インターホン:集合場所設置のインターホン(改良版) 参加団体 大阪市身体障害者団体協議会、大阪市視覚障害者福祉協会、大阪市聴言障害者協会、大阪市手をつなぐ育成会、障大連(DPI日本会議加盟団体) ※身体、視覚、聴覚、知的 当事者・支援者が参加 ※OsakaMetroからも駅務課様他同席頂けた。 検証会趣旨  改札が無人となり、代替えとして設置されているインターホンについて実際に駅を利用する障害者にとって利用しやすいものであるかどうかの検証を行った。  検証結果を、書面でメトロへお伝えし、今後の改善に役立てて頂く。 写真1枚(意見交換のようす、インターホン近くに集まって話をしている全体を撮影) インターホン(改良点など)イラストと説明文 (説明文は以下4点) ・車いす利用者にも対応できるように、インターホン前面にカメラを設置 ・車いす利用者にも押しやすいように、呼び出しボタンを増設(凸) ・点字シールを増設(呼び出しボタンの案内と、インターホン越し駅係員に見せるカードの説明文) ・インターホン機体下部(床から100㎝ほどの位置)に、ポスター、カードにコミュニケーションが取りにくいお客様にも対応できることを記載。 (説明文はここまで) 検証当日の調査項目 ①無人改札であると容易に知ることができるか ②インターホンが連絡方法であると容易に知ることができるか ③インターホンに容易にたどり着けることができるか ④インターホン操作が容易にできるか ⑤インターホンでのやりとりはスムーズに行えるか ⑥その他(無人改札化による課題など) 写真1枚(検証したインターホンを撮影。点字ブロックが連続していないことがわかる) 出された意見(抜粋) ①無人改札であると容易に知ることができるか ・わからない(身体、視覚、知的) ・無人であることがわかりやすく表示されていない・改札内部が暗くて内部が見えない(身体、知的) ・無人改札であるという音声アナウンスが欲しい(視覚) ②インターホンが連絡方法であると容易に知ることができるか ・インターホンがあるということは音声アナウンスでわかる(視覚) ・インターホンがあることはわかるが、音声だけの連絡方法で聴覚障害者はどうやってコミュニケーションを取ればいいのか、まずとまどう。対応できるのか?(聴覚) ・文字での表記を理解することが難しい、文字以外の表記が必要(知的) ・機械の上にピクトグラムの設置をすれば、初見でも何の機械か分かりやすいと思う。(外国人にとっても)(知的) ・音声案内があるので、インターホンを利用するしかないのか、と思う。(身体) ③インターホンに容易にたどり着けることができるか ・点字ブロック敷設が欲しいが、せめて、インターホン前に警告ブロックの敷設は必要(視覚) ・いろいろな所から音が聞こえる。インターホンの音声案内間隔(30秒)を短くしてほしい(視覚) ・たどりつくことはできる(聴覚) ・券売機のような「蹴込み」がないので一定以上は手を伸ばす必要がある(身体) ④インターホン操作が容易にできるか ・ボタンがどこにあるか探すのが難しい、どのように操作すればいいかわかりずらい(視覚) ・ボタンが2つありわかりずらい、1つに統一した方が良い(視覚、知的) ・モニターを設置してほしい(聴覚、知的、身体) ・カードをかざすと係員が来る、ということがもっと簡単に伝わる工夫が必要(聴覚、知的) ・インターホン利用方法(手順)については、イラスト等を交えた説明があればわかりやすくなるのでは。(例えば、①押す、②(インターホンで)話す、③(カードを)出す) など(知的)   ⑤インターホンでのやりとりはスムーズに行えるか ・音声での案内は とてもよかった(視覚、身体) ⑥その他(無人改札化による課題など)  駅員が激減すれば、災害時障害者は取り残されてしまうのではないか、対策が必要(身体) (ここまで)