2025年1月21日 DPI日本会議副議長 尾上浩二 第11回大阪市交通バリアフリー基本構想推進協議会への意見 Ⅰ.面的整備の推進及び再開発計画との連動について (今回の基本構想を振り返って)  京橋地区、梅田地区、なんば地区については、重要な課題として、乗り換え経路の大幅な迂回、迂回経路のわかりにくさ等、様々な要素が複合している何十年来の面的整備にかかる課題が、各地区とも多く出された。しかし、ほとんどの課題について、「次回の大規模な整備において検討する」という回答に終始している。  一方で、京橋地区や梅田地区、なんば地区などでは、街は現在進行形で、再開発が進められているが、再開計画の枠組みで障害当事者の参画はなされておらず、基本構想と再開発は無関係で進んでいる。今からすぐに行うはずの再開発に「私たちの声を反映して、一緒に考えてほしい、できないのか」、という悔しい思いを味わっている。  象徴的な事例として、京橋地区を挙げるが、大阪市の基本構想は2022年から推進協議会での検討が始まったが、2024年の京橋公園、コムズガーデンの再開発計画には、障害当事者の意見を予め聞かれることはなく、推進協議会や京橋地区ワークショップでの問題提起を受けて、決定済みの計画が限定的に説明されるという経緯をたどった。その後、ワークショップ等での障害者委員の意見を踏まえ、バリカーの撤去など、部分的な改善が図られたものの、一部の改善にとどまった。 本来は、京阪京橋駅の中央改札から京橋東地下道へのエレベーターの設置など抜本的な解決の検討も望まれるべきであったと考える。しかし、例え、京阪モールの改修の段階までは無理だとしても、京橋公園への迂回経路の案内誘導、コムズガーデンの地下道内の案内誘導、エレベーターやトイレの仕様、点字ブロック、音案内の整備など、地元ワークショップで指摘された多くの課題について、基本構想の場で検討が深められるべきだったのでないだろうか。折角の機会が、残念でならない。 (前進した点) 再開発と基本構想との連動という問いかけに対して、事務局では、現状の主な課題や地区のバリアフリー化方針において、具体的に記載いただいた。課題の見える化が一定図られたという点では評価ができる。 また、大阪市の基本構想は、交通バリアフリー法に基づくもので、建築物は改善計画の対象とは十分に位置づいていないように聞くが、今回、現地確認やその他多くの課題を指摘する意見への対応案を検討する際には、交通事業者や道路担当課に留まらず、乗り換え連絡経路として機能している商業施設や地下街の関係事業者からも見解を聴取していただいており、課題を広く関係者と共有し、解決に向けて検討を行うプロセスを踏んでいただいたことは大きな前進だと考えている。 今回、努力いただいた点を踏まえて、今回で明らかになった基本構想議論を進める上での課題について、改善を図り、次回の基本構想でのスパイラルアップを目指していただきたい。 (今後の基本構想に向けて検討いただきたい課題と提案) 〇基本構想で出た課題を、再開発計画の関係者に効果的に伝達する方策を検討いただきたい。  単に現地確認で出された意見の羅列でなく、できる限り課題の整理を行い、解決方策の検討に結びつくような伝達をお願いしたい。 〇重点整備地区内での再開発計画については、今後、継続設置される推進協議会へ報告する仕組みを作っていただきたい。 〇現状の主な課題や地区のバリアフリー化方針は経路の複合的課題や面的課題や方針について記述的に記載されているが、その改善を図るための整備計画や進捗を把握するための評価項目は、設備のパーツの整備の有無に限られていることから、面的整備や迂回の解消などの円滑化の推進が図られているかどうかを現状では、計画化できないということになる。  評価、整備計画の項目建てがどうあるべきか、単にパーツの有無に終わらない項目の検討を行っていただきたい。 〇提案:上記の課題を実践的に検討するために、京橋地区において、一部の課題について、再開発計画と連動して継続的に協議することをモデル的に実施できないだろうか。   例えば、京阪京橋駅からメトロまでの乗り換え経路の迂回の解消、案内誘導の改善などの複合的な課題について継続検討するのはどうだろうか。 2 推進協議会で継続検討する項目について 天王寺・阿倍野地区、新大阪地区での継続検討課題について、引き継ぎ、検討いただくことになったが、優先順位と具体的な推進手法を検討いただきたい。 〇優先順位:どの地区においても案内誘導の問題が多く挙がっている。また、昨今、無人改札、無人の時間帯の拡大が顕著であり、多様な障害者が利用できるインターホン、発券機、精算機の課題が重要となっているので、①案内誘導、②多様な障害者が利用できるインターホン・発券機・精算機、この2点について、優先的に検討できないだろうか。 〇提案:推進協議会で検討すべきことと、地区で具体的な検討をすべきことがあり、地区での具体的な議論を踏まえることによって、推進協議会での検討も厚みを作ることができる。   そういう意味で、モデル事業的に、例えば、京橋地区で案内誘導問題、梅田地区でインターホン・発券機・精算機の課題を地区と一緒に検討することができないだろうか。 3 生活関連施設の指定について 京橋地区において、道路一本隔てて当初の重点整備地区案の枠外であることからか、都島区の障害者基幹相談支援センターが生活関連施設に指定されなかった。 障害者基幹相談支援センターは、障害者総合支援法に基づく相談機関であり、大阪市から業務委託を受けて運営している。障害者にとって、困ったときに頼ることができるもっとも重要な施設である。 基本構想においては、そのような公的な性格を十分に把握いただき、できるだけ指定されるようにご配慮いただきたい。 4 会議・ワークショップ資料における合理的配慮・情報保障について  各地区ワークショップで十分な検討が行われるよう、余裕をもった資料送付を配慮頂きたい。