平成20年10月30日    大阪市長会見要旨

【『元気な大阪』をめざす政策推進ビジョンについて】

皆さん、今日はありがとうございます。

「元気な大阪」をめざす政策推進ビジョン(PDF:40KB)
このように特別会議室に集まっていただきまして、ここにございます「『元気な大阪』をめざす政策推進ビジョン」というのを皆様にご紹介しようということになりました。これから大阪がどういう方向へ向かっていくのかというのを、私なりにこの10ヶ月あまり、市長をやらせていいただいて、「元気な大阪つくりたい」、「元気アップ大阪や」いうのを言い続けてまいりました。私なりに時間をかけて、本当に、市長としましてですね、市民の皆さんの中に入っていったことによって、こんだけ市民の皆さんに大阪市は協力していただいているんだという現場に何度もぶつかり、なおかつ、現場、区役所単位で考えましても、職員、市の職員が、本当に、市民といっしょになって動いていくという、そういう機運も高まりつつあるという現状を目の当たりにすることができました。そういったものを見ることができたことによって、今日、こういう形で、政策推進ビジョンという形で、皆さんにお示しすることができるようになったというふうに考えております。もちろんこれはビジョンでございまして、ここからいろいろな肉付けを、私なりに、あるいは大阪市役所の職員と一丸となって、あるいは市会の先生方といっしょになって、そして市民の皆さんといっしょになって、肉付けをしていくことになるわけでございますけれども、やはりそのベースとなるものを、今日お示しできればということでまとめたものでございます。まとめるにあたっては、本当に、市役所の、私の周りにおります職員がいろいろと知恵を絞ってくれました。そういったものをきちんとここでご説明申し上げたいと思います。住民に一番近い、基礎自治体の長として、「これからの大阪市、こういうふうにしていきますよ。こういう方向性はどうですか。こんな大阪、どない思わはります」みたいなことを言えればという気持ちでお示ししてまいりたいと思います。 まず、これをご覧いただきます。

大都市、そしていちばん住みたいまちへ(PDF:51KB)
大阪は、もう皆さんご存知のとおり、大都市でございます。この『大都市、そしていちばん住みたいまちへ』という、このキーワードを私は、今後、使っていきたいなと思っています。本当に、インフラとしての大都市。しかし、本当に住みたいまちかどうかという部分は、私、選挙を通しましても、「こんな大阪で、子どもなんか育てられへんわ」とか、市民の皆さんからいろいろ厳しいご意見もいただいたりしておりました。
そういったものが20年度予算において、私の重点予算として、「子育て支援をやるんだ」とか、あるいは、「待機児童、保育所の待機児童を全面解消するよ」というような宣言につながっていくわけですが、その後、4月以降、市民協働チームといっしょになって、まちの中へ出かけ、そして、数は限られております人たちとの話し合いでございますが、本当に大阪のために働いてくださる、無償で奉仕してくださる人たちの中で、「何ができるんやろな、こんだけすばらしい人がいるのに」と思って、やっぱり、市民協働という、この『協働』ということばがキーワードになると思います。これをムーブメントに高めたい。さらに、そうしたところから元気な大阪の基礎を作っていきたい。そして、そこから広がっていく文化環境のまちづくりを進めたい。こういう方向性を出しました。 次です。

基本的な考え方と象徴的な取組み例(PDF:72KB)
基本的な考え方と象徴的な取組み例というように書いておりますけれども、要は、この間、10ヶ月余り、私、いろいろなこと言ってまいりました。ごみ減量の取組みを徹底するという、森之宮の焼却場の建替凍結宣言でございますが、これを進めていきたい、みんなで考えましょうということを申しました。そして街頭犯罪発生件数のワースト1、これは8項目についてすべてワースト1であるということ、申し上げましたけれども、それを返上したい。大阪府警、さらには大阪府とも協力をして、今後、もう具体的に動きを始めておりますが、地域安全対策本部の取組みということになるわけです。そして先日、先週ですが、放置自転車台数ワースト1を返上しますと。こういった具体的な方向性というものをすでにお示ししておりますが、こうしたものが出てきたのも、結局、私、まち中へ出かけさせていただいて、いろんな動きを見せていただいたから、堂々とこうしたことが言えていくことになったんだなあという気がしております。この3つの取組みを推進して、『協働』を大阪のまち全体のムーブメントにしたいということです。
では次です。

〜「元気な大阪」の基礎をつくります〜(PDF:30KB)
元気な大阪の基礎を作りたいということで、この4月からですね、元気アップ推進事業計画、総合計画審議会の中に4つの専門部会を設けまして、その4つの専門部会で、本当に様々な夢のあるお話をずっとやっていただいておりました。あまりにも夢が多岐にわたるので、メディアの方に入っていただかなかった部分は申し訳ないんですが、まとめるだけでも精一杯というような、市役所の職員の苦労もありまして。しかし、やはりせっかくそれだけいろんな意見が出ている中の、「これ、具体的に進めていったらおもしろいん違うか」、あるいは「本当にこれで行きましょう」という方向をそれぞれの部会から一つずつピックアップしてみましたので、皆さんにお示ししたいと思います。中間取りまとめという形でお示しします。

ものづくり企業の「『売り』づくり」を支援します(PDF:94KB)
経済力アップ部会で出ましたものづくり企業の「『売り』づくり」を支援しましょうということです。「『売り』づくり」ということばが、多分、造語と言っていいと思います。今まで大阪がものづくり、中小企業のものづくりというものは、非常に評価されております。それがうまくいって、市場のニーズとぴったりあって、何もなくても売れるということも当然あるんですが、中にはこのように、技術力に自信があって、新たな市場を開拓して事業を展開したいと思っていらっしゃっても、売れ筋の製品を別の市場で売ってみたがうまくいかない。新たな市場で売れるものを作りたいけれども、情報もネットワークも無いから、なかなかその一歩、踏み出すことがでけへんねんという方がたくさんいらっしゃるということも聞いております。ですからそこで、国内のみならず、海外の市場動向や詳細なニーズを熟知した企業OBなどの力を借りまして、コーディネーターとして、今、産業創造館がいろいろな取組みをやっておりますけれども、そこをさらに充実をさせて、コーディネーターとして製品を作るだけではなく、それを売るためのサポートまでをしようと。各地の市場動向、顧客ニーズを把握したり、そして、作っていらっしゃる方には、それをフィードバックしていくということから、それを「『売り』づくり」と名付けたムーブメント、動きにしたいなということで、経済力アップ部会から、「『売り』づくり」を支援しようやないかという話になってます。
次です。

もと市立博物館の活用を検討します(PDF:80KB)
文化・観光力アップの部会です。これ、お分かりになりますよね。大阪城天守閣で、本丸広場の中に、もと市の博物館がございます。もと市の博物館。平成13年に歴史博物館ができましてから、ここは閉館になったままでございます。すばらしい建物で、昭和6年にできました。非常にレトロな趣のある建物ですが、耐震基準を満たしておりませんので、耐震化をしないといけないんですけど、これをこのまま置いておく手はないやろと。この活性を検討したいな。かといって、今、市は、もう皆さんご存知のように、財政的余裕ございませんから、民間の知恵を借りて、なんとか活用でけへんやろうかということを、民間に投げかけていきたいと思います。もちろん、耐震は市がやるでしょう。さあ、これが何になるかということなんですが、大阪城天守閣がこのように見える。本丸広場がここです。そして、レストランになったらええんちゃうか、あるいは、カフェはどうやろか、あるいは、ホテルになったらどうやろか、みたいなことを考えていく中で、是非、民間の人たちに手を挙げていただきたいなと思います。ここが、例えばホテルになってですね、そんなにたくさんの収容はできないと思いますが、朝、目覚めて窓を開けたら、天守閣が光り輝いていると。それから、こっちは西になりますから夕陽がきれいやろなとかですね、いろんなことができるんじゃないかなと思っています。文化観光力アップ部会からは、「もと市立博物館の活用を検討しようや」という声が出ております。
次です。

一人ひとりの確かな学力と個性を伸ばします(PDF:108KB)
こどもの生きる力アップ部会です。これはですね、一人ひとりの確かな学力と個性を伸ばしたいということなんですけれども、つまり、先日来、大変に大きな話題になりました学力テストの公開問題。私は教育委員会に対しまして、本当に子どもの学力、つまり、子どもの生きる力ですね、学力というか、それをアップするために今一番欠けているといわれている、大阪の場合は応用力、発想力、展開力、そういったものを是非身につけられるような取組みはできないんだろうかということから、学力テストの公開ということを言っております。どういうことをするかといいますと、習熟度別の少人数授業を小学校3年生から中学校3年生まで、継続して実施しようやないかということで、これだけのスパン、習熟度別少人数授業をやろうという形に持っていきたいと思っています。これは先日行われました夢創造プロジェクト。朝原選手が、咲くやこの花高校においでいただいたときの、中学、高校といっしょに、陸上部でいっしょに走ってくださったその時の映像(※1)やと思いますが。こういう形で、一人ひとりの確かな学力と個性を伸ばす教育というものに取り組んでいきたいと思っています。
(※1)資料「一人ひとりの確かな学力と個性を伸ばします」の左下の写真は、19年度の「こども 夢・創造プロジェクト」の「朝原選手のキッズスポーツアカデミー」でのひとコマです。
次です。


サツマイモ、ゴーヤなどを使ってヒートアイランド現象の緩和をめざします(PDF:188KB)
安全・快適な暮らし力アップでございますが、さあ、この、サツマイモ、ゴーヤなどを使ってヒートアイランド現象の緩和をめざすということなんですけども、これ、お分かりになるでしょ。実は私も各部会、1回ずつ出てるんですけれども、ものすごく強烈に印象に残ったのが、サツマイモを、屋上緑化に使いたいという話があったんです。「何でや?」って言ったら、サツマイモは非常に横に広がっていく力が強いと。なおかつ、葉の面積も広くて、蒸散量が多い。ですから、気温の低減効果が高いということを本当に研究しておられる先生がおられまして、これは使いたいと思っています。ですから、今、これ市役所の屋上をご覧いただいています。屋上緑化。こういう形で庭園を作って、土があるわけですけれども、この場合のサツマイモの場合はですね、ポッド、植木鉢というか、あれはなんていうの?プランター?プランターで十分に対応できる。あるいは、研究されている方は、水耕栽培やってらっしゃるのですが、ちょっとそっちは費用がかかる。ただ、プランターで十分に横に広がっていって、それが屋上緑化であり、なおかつヒートアイランド現象の緩和につながるというデータがあるということですから、そういう見えるデータを活用しながら、大阪市内でいろんな場所で実験的にやってみませんか。市役所、あるいは区役所の屋上でサツマイモをつくるというのは、非常に面白いと思いました。これは小学校で、ゴーヤとかヘチマとか、やはり実のなるものを作っている。ひょうたんなども作っているそうです。ものができるということに対する子どもたちの興味と同時に、これがツル性の植物でありますことから、中の教室の温度を下げてくれるという効果も十分あるという、壁面緑化でございます。こういったことで、例えば、大阪市内でできたサツマイモの品評会、屋上でできたサツマイモの品評会なんて、もしできれば楽しいなと思って、これはもう来年、やってみたいなと思ってます。
こういった4つの部会から、いろいろな具体的な取組みの中を一つひとつご紹介したわけですが、次をご覧いただきます。

〜「文化」「環境」のまちづくりを進めます〜今後のまちづくりの方向性(案)(PDF:27KB)
文化・環境のまちづくりを進めるということで、今のは個別の取組みで、こういった目新しいといいますが、具体的にこういう方向へ進みたいと思いますという一つを各分野からご紹介したんですが、「じゃあ、総合的に大阪市をどういうふうに持っていきたいねん」という話になると思います。
次です。

水辺の文化都心・中之島(PDF:618KB)
これはもう皆さん、よくご存知の中之島でございます。中之島は水辺の文化都心と言って間違いない場所だと思います。多様な文化や芸術が味わえる水辺の文化都心をさらに充実していきたいと思っております。おかげさまで先日開通いたしました中之島新線、また新たな魅力を持ったまちとして浮かび上がりつつあります。来年、『水都大阪2009』という、その中心ステージにも、この中之島はなると思います。両方を水に囲まれているということでありますとか。ここにですね、中央公会堂はここなんですが、このエリアに、水上劇場といいますか、テラス劇場っていうんですか、水に向かったステージ。客席が水に向かうのかな。このあたりで、例えばパフォーマンスをやっていただくとか、音楽会をやっていただくとか、っていうエリアにしたいと思っています。さらにここに、これはバラ園に向かうルートですが、ここに、水辺に開かれたレストランも、是非作りたいと思っています。川を眺めながら、あるいは、季節折々の花を眺めながら、中之島で食事をするという、そういう形ができれば、きっとすばらしい所になるだろうと思います。そしてここには、もう皆さんご存知のように、剣先公園の先には、高さ30メートルぐらいに達する噴水を造ろうとしています。これが中之島の東部。ここで、東洋陶磁美術館ございますし、中央公会堂があるし、図書館がある、そして市役所がある。ここが重要文化財の橋やという、この東のエリアと、一方、西には、ここ、近代美術館の用地として取得している土地でございますが、中之島新線ができたことによって、さらにこの辺りの賑わいを作っていかないといけないなということで、来年の夏には、ここでシルクドソレイユの公演をやっていただくことになりました。その他にもビーチバレーとかの賑わい創出のエリアとして、当面は使いたいと思っています。そして、この中之島通りなんですが、片側2車線の合わせて4車線の道路を中之島新線の工事の期間中、それぞれ1車線ずつに規制してました。そのおかげでずいぶん、交通渋滞がおきるとかあったんですが、長いこと、皆さん、もう1車線ずつで慣れはったやろ、いうことで、慣れていただいた、他へのルートも確保していただいた、分かったやろうということで、片側1車線のままいきます。ですから、片側1車線で、この中之島通りは、車は、(両方で)2車線。じゃあ、その幅はどうすんねん。歩道にします。人が歩いて、もちろん中之島新線にも乗っていただきたいんですけども、歩いてこの全体の雰囲気を楽しんでいただけるような、安心して歩けるような、そういう空間を作っていきたい。音楽家の活動とかですね、ここにも書いてます、「民間活力を導入し、国際・情報・文化ゾーンにふさわしい開発を誘導」していくエリアだというふうに考えておりますし、これは、中之島を中心として、この辺り、「歴史文化の資源を活用した民間のまちづくり活動」があります。あるいは、「路面型店舗等の立地を進展」するというエリアもありますが、この図では中之島をこういうふうにしたいという説明でございます。
次です。

『海の御堂筋』構想(PDF:402KB)
それを今度は、もう一つ上に目線を上げていただきますと、この緑で囲みましたところ、新たなネーミングとしまして、『海の御堂筋』という名前を付けたいと思います。『海の御堂筋』構想。御堂筋っていうのは、もう皆さんご存知のように、大阪市が70年以上前に整備しましたすばらしい道路でございます。そのすばらしい道路を築き上げてきたのは、70年にわたってきちんと大阪市が行政指導をしたり、高さ制限をしたり、まち並みというものを、どうあるべきかということを考えてつくってきた、その名前が御堂筋であるということをもらいます。大阪城からこの大川、さらには、この2つの川を経て、安治川から大阪湾に注ぐエリアというのは、昔から本当に世界に開かれた大阪を象徴する大阪湾につながっております。その世界につながった大阪というものをもういっぺん、この海の御堂筋が成したものですよというものを、是非、大阪市民だけではなく、多くの人に知っていただきたい。これが水の回廊ですね。来年は『水都大阪2009』というイベントをやりますので、そのイベントを一過性のものに終わらせないためにも、この『海の御堂筋』構想として、この水の流れるエリアをどうきちんと開発する、あるいは、誘導する、そして今後、建っていく建物、あるいは、建て直す際に、「水を向きませんか」ということを言っていく。「『海の御堂筋』を向いた都市展開をしませんか」ということを言っていきたい。そのために、このゾーンは『海の御堂筋』ですよと。そうしますと、この安治川の河口からあがってきまして、ここには中央卸売市場があり、その向かいには、大阪発祥の、というか、大阪の海運、舟運発祥といわれる川口がございますし、もと府庁があった江之子島もここにあると。ずっと上ってまいりますと、市役所のある中之島を経て大阪城に至る、ここを『海の御堂筋』と名付けたい。水辺を生かしたまちづくりを進めていくためにも、さらには、『水都大阪2009』を一過性のイベントにしないためにも、これは、私は非常に大きなネーミングになるというふうに思っております。
次です。

臨海部のまちづくり(PDF:520KB)
今度は、ここからさらに海のほうに目を転じますと、臨海部のまちづくりでございます。この臨海部のまちづくりということで言いますと、これが夢洲になりますが、やはり、先ほども「『売り』づくり」と言いましたけれども、ものづくりをするにあたって、何を作るんか、そのできたものにどういった価値があるのか、それを高付加価値化すると。それを支援するアジア交易の産業物流拠点の形成をこの先行開発地区でやりたいと思っています。このトンネルが来年、供用開始。来年度ですね。平成21年度に供用開始になる夢咲トンネル、今、建設中でございます。この夢咲トンネルができることによって、ここにあったコンテナの業務をこちらへ移すことにより、今、この8月にフェリーが着くようになりましたATCの前のR岸壁です。このR岸壁も、フェリー埠頭として整備していきたいと思っています。その他、建ってからもう23年になりますインテックス大阪の老朽化が言われています。インテックス大阪のこれは、「商談機能の充実と、規模・配置の検討」と、ここに書いてございますけれども、このままの場所でええのか、インテックス大阪というものがこの場所でいいのか、あるいは、今、確か、7万uやったと思うんですが、その広さでええのかとか、いろいろな意味を含めまして、もういっぺんここを再検討する。それから、問題のWTCはまだどうなるか分かりませんが、ここへ府庁、来ていただければ、また違う絵の描き方になると思いますけれども、大阪の中心、ある意味の中心という形で、海に開かれた、世界に開かれたまちとして、是非、ここの整備もきちんとしていきたい。さらには、今、コンテナで、随分、住んでいらっしゃる方の歩行環境が悪いというような話も、きっと改善できるやろうというふうに思っております。高付加価値ものづくり産業の発展を支えるまちづくりとしてこの臨海部を考えたいと。それから、ここには、ちょっと隠れております、これが夢洲やから、舞洲、このへんになるんですかね。舞洲では、すでに大型物流拠点としての倉庫、それも地域にやさしい倉庫づくりというものが進んでいるのは、ご存知のとおりでございます。 このように、臨海部のまちづくりを考えました。
以上でございます。

『風の道』の展開(PDF:216KB)
さて次は、今後のまちづくりの方向性として、環境ということです。『風の道』の展開。『風の道』って、なかなか、ぴんとこないんですけれども、海に面している都市大阪。なおかつ生駒があって、そこからぐんと下りてから、平野部がずっと海に向かって広がってる、この地形を何とか利用でけへんやろうか。陸風、海風ということば、ご存知だと思いますけれども、昼夜の気温の寒暖差を利用して、その通りやすい、風が通りやすい環境を整えることによって、自然の涼風をヒートアイランドの冷却に使えないかという研究に力を入れていこうということで、実は先日、環境サミット、神戸で行われたんだと思いますが、その時にお越しになっていたイギリスの環境大臣とお会いした際に、この『風の道』の構想の話、「今、やってるんですよ」って言いましたら、すごく興味を持たれまして、「これは、国に帰ってから研究するわ」って、おっしゃってたぐらいです。長堀通りが東西に向かって、一番広く、海に向かってつながっていますので、このモデルは長堀通りでまずやろかということを考えております。樹木をきちんと整備したい。風が通りやすい環境や、あるいは公園をどう利用するのか。公園は、完全に日中、大変に気温が高くても、この部分はサーモグラフィーで撮ると、真っ赤にはならないエリアですので、そういったところの寒暖差を利用しながら温度を下げる方向はないかというのを考えていきたいと思っています。
次です。

「大阪パークフロントまちづくり」(PDF:231KB)
もう一つ、パークフロントのまちづくり。公園の前ということになるんですけれども、これは靭(うつぼ)公園です。靭公園、本当にきれいになりました。ものすごくきれいになって、公園がきれいに整備されることによって、まわりの環境が違ってくるっていうことが、最近、靭公園にいらした方、お分かりになると思います。お店がずいぶん、おしゃれな雰囲気になった店が出てきて、まち自体が非常にいい感じになってきてますが、これを行政として、そうなるのを待つのも、まあいいんですけれども、今、公園用地があって、その横に新しいものが建つという時に、そこと協力しながら、こういう、これ、久宝公園のイメージ図なんですけども、誘導していくことは可能なんちゃうかというふうに、考えておりまして、それを、『大阪パークフロントまちづくり』として考えていきたいというふうに思っております。大規模建築物が建つ際に、事前協議制というのがあるらしいんですけれども、その大規模建築物の事前協議制度を活用することによって、トータルなまちのデザインというものができるんではないか、公園を入れ込んだ形でできるんではないかということも、進めてまいりたいというふうに思っております。
以上です。

大都市、そしていちばん住みたいまちへ(PDF:51KB)
このように、申してまいりましたが、3つの柱からなる政策推進ビジョン。いろんな形で、つまり、ポイントからちょっと後ろへひいて、そこからまたさらに大きくひいてという形で、今日はお示しいたしました。こういうプレゼンテーションをさせていただいた一つの大きな理由が、やっぱりここなんです。私がまちに出させていただいて、いろんなお話しをさせていただいて、これだけ大阪市のことを好きで、大阪市のことに前向きに取り組んでくださる市民の方がいらっしゃる間に、この市民協働を是非ムーブメントに高めたい。そこから、今でも大都市といわれている大阪を、そして、いちばん住みたいまちへということを堂々と言っていける、そういうまちにしたい、そういうまちにつくり直したいというふうに思っております。今後のまちづくりの方向性について、主だったものをご紹介申し上げましたが、最初にも申しましたように、これは本当に一例ということで、今後、大阪市議会や、あるいは市民の皆さんに、いろいろなアイデアをいただきながら、さらなる肉付け、あるいはさらなる転換ということが可能な案になっていると思います。是非、メディアの皆さんからもいろんなご意見、あるいは、方向性の指示等もいただきながら、「ここ、こんなんできるんちゃうの」っていうアイデアもありましたら、是非、寄せていただきたいと思います。以上、『大都市、そしていちばん住みたいまちへ』という私の政策推進ビジョンをお話し申しました。
次に、まいります。

【緊急金融対策】

続きまして、緊急金融対策について、ご説明申し上げます。今、申し上げたのは、中期的に大阪を元気にする方向性を示したビジョンでございますが、そのビジョンの大きな担い手でございます中小零細企業が、現在、非常に厳しい経済環境の中で苦境に立っているということでございます。
中小零細企業の皆さんが直面している問題に即座に対処しなければ、大阪を元気にする主役と言ってもいい、中小零細企業の皆さんに、本当にそっぽを向かれる大阪市になってしまうんやないかと思います。
ビジョンで描く元気な大阪づくり、今申しました元気な大阪づくりを実現するためにも、大阪市の緊急金融対策を、明日10月31日から実施いたします。実施にあたりまして、私の考えを皆さんにお伝えしたいと思い、この時間を取りました。
すでに、わが国におきましても、急激な円高や株価がバブル崩壊後の最安値を割り込む事態が生じるなど、実態経済にも具体的な影響が及びつつあります。
昨日開催されました全国財務局長会議におきましても、11の財務局すべての地域で、7月から9月の経済動向の判断を引き下げたことが報告されまして、およそ10年ぶりに景気の減速が日本全体に及んでいるということが明らかになりました。
先行き景気悪化の懸念材料も山積しておりまして、大阪市の経済局には、「金融機関の融資態度が非常に厳しい」といった声が多数、すでに寄せられております。
こういった状況に対応すべく、国においては、今月の21日に『原材料価格高騰対応等緊急保証制度』を策定するなど緊急経済対策が実施されることになりました。
本日夕方、政府から追加景気対策が発表されると聞いておりますけれども、大阪市では、現在、あらゆる角度から経費の節減に努めるべく、経費節減の素案を取りまとめて、極めて厳しい財政難の克服に取り組んでいる状況はあるものの、こうした苦しい財政状況とは言いながら、現時点で何とか搾り出すことのできる最大限の支援策といたしまして、今般の国の対応に加え、本市独自の取組みとしまして、お手元の資料にございますように信用保証料の2分の1補助などを盛り込んだ緊急金融対策を取りまとめたところでございます。
未曾有ともいえる経済状況の中で、特に中小零細企業というのは最も早く、そして最も深くその影響を受け、かつ打撃も大きいと考えられ、加えて年末の資金需要期を迎えて不安な思いを抱いておられる経営者がたくさんいらっしゃるということでございます。
この緊急金融対策は、今日の経済状況に対する私の危機感の表明であり、中小零細企業を中心としたすべての大阪経済の担い手に対する私からのメッセージでございます。この思いを、地域金融を支える金融機関をはじめ、関係各方面の皆さんにも十分ご理解賜りたいと思います。将来の大阪の発展のために、真摯にそれぞれの立場における社会的責任を、是非、お果たしいただきたい。そうしたご尽力をお願いするというメッセージでもございます。
なお、この制度をより有効・適正に運用するため、迅速で必要にして十分な資格審査に努めたい。新銀行東京に見られたような不適正な制度悪用例が判明した場合は、厳正なる対処を持って当たるよう事務レベルにも指示をしております。是非、皆さんもきちんとこういった情報をお伝えいただいたうえで、そして、本当に今、大変な思いをされている中小零細企業の皆さん、この制度をお使いいただきたい。
今後とも、本市としては、経済状況や国の状況を十分に注視し、中小零細企業の目線にあった対策を柔軟かつ速やかに実施してまいりたいと考えております。
本当に長くなりまして、申し訳ございませんでした。
私からは以上でございます。
質疑応答
記者
2つ、お伺いします。今回、提示していただいたこのビジョンというのは、前段に関しては、向こう3年間というか、市長の今の任期中に何がなんでもやらなきゃいけないようなものであると思います。後段のまちづくりの構想に関しては、さらにその先を見越したもので、もっと大枠のものでないかと私は理解しているんですが。それでまず、向こう3年間の元気アップビジョンのほうに関してなんですけれども、この計画の中で、「とにかくこれだけは、何をさしおいても絶対やらなあかんねん」という部分は何なのかということをまずお伺いしたい。後段のまちづくりのほうに関しては、これはちょっとディテールになるかもしれないんですけども、「『海の御堂筋』構想」というのがありますけれども、陸の御堂筋、今日もお昼に(市長と近畿地方整備局長との面談の際に話が)あった、道路の御堂筋は、人の交流というか、物流で幹線となっていると思うのですが、今、「『海の御堂筋』構想」を実現したとして、ちょうど、その交差点になる部分というのが、ここではないかなと思うんですが、そのあたりのイメージというのは、市長ご自身、どう思われますか。中之島なり、市役所なり、ちょうどそうなるのかなと思って、この話を聞いていたのですが、そのことについてどう思われるのかということを、教えてください。
市長
なるほどね、ありがとうございます。この次の画面(基本的な考え方と象徴的な取組み例)でございます。やっぱり最重点というのは、この3つ(「街頭犯罪発生件数ワースト1を返上します」「放置自転車台数ワースト1を返上します」「ごみ減量の取組みを徹底します」)をとことん(やっていく)。これ(「ごみ減量の取組みを徹底します」)は別にしましても、「これ」(「街頭犯罪発生件数ワースト1を返上します」)、「これ」(「放置自転車台数ワースト1を返上します」)というものは、きちっと来年の予算をつけていきたい。これ(「ごみ減量の取組みを徹底します」)はもうすでに、いろいろと動きも始めていますけども、これを任期中に優先順位をつけるとしたら、この3つはまず最初に来ると思います。その先に来るもの、できるものからやっていくという姿勢でございますので、例えば、博物館の後の建物をどうするかというものも、ある程度、方向性を出せば、民間からの募集に移っていけるという形になるでしょう。それと同時に、耐震にいくらぐらいかかるのかという調査をやっていきたいと思っています。教育のもの、教育の方向も、教育委員会と、予算を作る段階、予算を練っていく段階で、いろいろ出てくるでしょうが、これも任期内にやらんとやっぱりあかんと思っています。「『売り』づくり」は、これはもう。ですから、個別のものは全部やっぱり任期内にやりたいという思いで、やっています。中長期のものにつきましては、今、お話ございましたが、僕はやっぱり、先日、中之島新線の開通のときに知事がおっしゃったことばで私も全く同感だというのは、「本当にすごい時期に知事になり、すごい時期に市長になった」と。そういう歴史がまさに変わろうとしているときに、ぽーんといきなり外から入った人間です。ですから、そういった経緯というものをなかなか分からない部分はあるにしても、やっぱり、せっかくこれだけきれいになってきた水辺環境、ここをきちんとやって、水都大阪というものを継続的に売っていきたい。売っていきたいというのは、観光客に向けて売っていきたいと同時に、大阪に住んでいただく人たちにとって、大阪が持っていた水辺空間というものは、これだけ豊かなものなんですよというものを、是非、感じ取っていただきたいという思いでおります。
御堂筋ですね、そうですね、ここがクロスする地点に確かになります。だからといって、それを意識しているわけでもなく、東西軸、南北軸をたまたま『御堂筋』と名付けたところの中に市役所があるというだけで、市役所自身もいろんなイベント、これから12月に入りますと、光のルネッサンスを始めますし、今年は去年以上のお客様に来ていただけると思います。文化ゾーンとしての、日銀の前とここという部分は、やっぱり一つの要という認識だけで、そこがたまたま市役所だったと、そういうふうに思っています。ありがとうございます。
記者
今回のビジョンについて幾つか、今挙げられたような事業が挙げられている訳ですけれども、事業費は必ずしも明確になっておりません。見たところ、必ずしも予算規模として大きなものを要する事業ではないものが並んでいると思います。それは、市を取り巻く財政環境とか、そういうやむを得ない環境もあるでしょうし、おそらく市長ご自身のポジティブな考え方も、もしかしたらあるのではないかと思います。その辺り、ことばが悪いですが、スケールの小さなビジョンになっているように思います。その点について、どうお考えでしょうか。
市長
はい。ありがとうございます。スケールが小さいビジョンになっているというふうに言われました。そうなのかもしれませんが、大きなスケールで考えなければならない部分というのは、今、大阪で開発ということで言いますと、北ヤード、あるいは阿倍野、さらには臨海エリアといった大きなエリアの開発みたいな方に目が行きがちです。そうじゃないという部分を、私は市民の皆さんからヒントをいただいたというふうに思いますので、予算規模のことを考えずに、自分はこういうまちをつくっていきたい。260万都市で、市民税よりも法人市民税収入のほうが大きいという大阪市の特性はございますけれども、それを一番住みたいまちへつくり上げていくんやという部分で、今までも例えば、過去にいろんな政策が打たれた。大きな予算を必要とする大事業といわれる部分に抜け落ちてたのは、それこそ、一人ひとりの大阪市民の生活、生きていく暮らしの楽しみ、あるいはまちを歩き回ることによって得られる人生の楽しみ。そういったものを、是非、めざしていきたいことの一つに挙げたい。あえてそう思いました。ですから自分として、予算規模がどうのこうのとかいうのは一切考えておりません。これが幾らぐらいかかるのかっていうのは、これから予算を決めていく中で、一応、「私のビジョンはこうや」と、「これに合わせた予算を作ってくれよ」というのは言いますが、それと同時に、当然、市会の方のご意見もあり、市民の皆さんの意見も出てくる訳ですから、そんな中で修正し、より良いものに作り上げていけばいいかなという気持ちでございます。
記者
今日昼にありました、直轄国道の見直し(についての近畿地方整備局長と)の協議の中で、「御堂筋の権限を移譲してほしい」というご要望を行われていましたけれども、改めてその理由を教えていただきたいのですが。
市長
はい。これは、権限移譲という地方分権の大きな流れの一つで、国がそういうことをしていこうという流れが、まずありました。まずそういった流れの中で、大阪市にとりまして御堂筋の存在、御堂筋というものが、71年前に大阪市民が築き上げた道路であると。それが50年前に国道として、確か指定されたんだと思います。ちょうど50年前。ですから半世紀経って、この間、御堂筋をどう賑わいの空間として作り上げていくねんということを考えていくうえで、やっぱり国の規制とかいろいろある中で動くよりも、市が主体となって動いていきたいと。それが今回言われている地方分権の一つの大きな柱だと。ですから、今日、(近畿地方整備局)局長に何度も言いましたように、権限移譲していただくと同時に、財源措置もお願いするということを申し上げた次第です。大阪市民にとって御堂筋は、やっぱりかけがえのない財産であり、かけがえのない通りです。ですから、「大阪市の道や」ということを、公に認めていただきたいということでございます。
記者
今日、政策推進ビジョンについて、市民の方にインタビューしましたら、平松市長が大阪市をどのようにしたいのか、そういうメッセージがなかなかちょっと見えてこないというご意見もあったんですけれども、今日の政策推進ビジョンを打ち出したことで、市長のその思いというのは市民の方に伝わるというふうにお感じですか。
市長
どういう方にお聞きになったかによって、響き方が個々それぞれに違うと思います。私はこの間、まち中でいろいろ大阪市にご協力いただいている方の中に入る機会のほうが多かったので、そういったご協力いただいている方の動きを、是非市民運動として、協働の場面で、市役所、区役所といっしょに動いていただきたいという形でやってまいりました。ですから、大阪市にお勤めになっていらっしゃる方、あるいはほとんど市政というものを主体的に考えていらっしゃらない方にとっては、違うと思いますが、私が今までお会いした方の中でこういう話をすると、「おもろいな」とか、「それはここでこうやったほうがええで」とか、いろいろ建設的な意見は出てくると思うんです。「平松ビジョンは何やねん」って、よく言われるんですよ。私は市民といっしょだ、市民目線というものが私の姿勢だと思っています。その市民というものも、「大阪を良くしたい」、「大阪が好きやねん」、「大阪はええまちや」と、そういう部分に立っていただく人たちといっしょに動きたいと思っています。これが「具体的やないやん」と言われたら、確かにそういう部分はあるかもしれませんが。この「街頭犯罪発生件数ワースト1を返上します」は、具体的でしょ。街頭犯罪発生率ワースト1、もう何年も続いているんですよ。これをなくすのを市民といっしょにやりましょういうのも具体的やと思いますし。それから放置自転車の台数も、2007年の調査で5万台だったので、その後、市民の協力を得ていますので、少しはこの間の数字より減っていると思いますけれども、ワースト1を返上しようという動き、これも具体的やし。「どんな大阪にしたいねん」って言ったら、この2つ(「街頭犯罪発生件数ワースト1を返上します」「放置自転車台数ワースト1を返上します」)から見えてくるのは、安全で安心なまちづくりでしょ。それを今まで、お題目として「安心安全なまちづくり」ということを、日本中のあらゆる自治体で言ってますけど、これを具体的に悪いと言われている部分を直していくというのを、堂々と大きな声で言い出したというので、私は(具体的に)出てると思うんですけどね。そんな気するんですけどね。いろんなものが出てるから、迷ってらっしゃるっていう部分があるんかもしれませんが、やっぱり基本は「大都市、一番住みたいまち」に大阪をしたい。「どんな大阪にしたいねん」って言われたら、「いや、一番住みたいまちにしたいんですわ」って言うと思っているんですけど。だから、ほんまに何年かかるか分かりません。最後のほうの『風の道』にしても、『海の御堂筋』にしても、景観がほんと50年後の話になるのかもしれない。でも、その方向に向かって歩き始めませんかということを、是非言いたいということでございます。
記者
今の、具体的でないかどうかという話ですが、例えばですね、環境、そのごみの減量とかいうことに関してですね、今確かに専門家の方の意見を聞いている最中とはいえ、市長としてはどれぐらい減らしたいんだ、どれぐらいの意気込みなんだというのは、題目だけ挙げられても、そこからどの程度の意気込みかというのは見えてきません。それから、例えば中学校の給食の問題とか、公約に掲げられたもので今回入ってないものとかあると思います。これも外部の専門家の方に今かかっているからということで入ってないのかもしれませんけれども、じゃあ例えばそういう、市長がこれまで言ってこられたもので入っていないというのはどうしてかという疑問もありますし、その辺りについてちょっと説明いただけますか。
市長
はい。中学校給食は、もう施政方針演説で言っております。なおかつその20年度予算の際にも、それに向けて研究を始めると言ってますので、私はもう既定方針だということで進めていきたいというつもりでございますので、あえて政策推進ビジョンの中には入れておりません。環境の問題でございますけれども、CO2(二酸化炭素)の削減にあたって、本当に何が一番効果的なのかというのを、どういう方たちに実証していただければいいのかという形で、今その人選も含めて、市民の方との会話も含めて、分かりやすい方法は何だということを探っております。2年間以内ぐらいに結論を出したいということで動き始めておりますから、大きい声で言っていける時がくると思います。
環境も3本柱の一つだということは間違いありません。
記者
同じく、このビジョンの具体性の問題なんですけれども、市長の本気度を示す意味でも、例えばこのサツマイモとかゴーヤとかを学校のほうに広げていくというふうな話がありましたけれども、3年間の間で、1年目はこれぐらい、3年目はこれぐらいと、そういうふうにすればある程度、その事業費としてはこれぐらいかかるというものを試算できると思うんですけれども。この話の中には、例えば旧博物館の耐震化についても、それが数億であれば、「いいんじゃないの」とか、数十億であれば「そんなもん耐震化しないで、壊したらいいんじゃないのか」とかいう意見もきっとあると思うんですけれども、その事業費の規模が無い中でのその話というのは、なかなか市民に意見を求められても、その判断基準が示されてないようにも思います。今の段階で、そういう事業費的な概算を、あえて出さないというご判断なのかどうか、そのあたりのお考えをお聞かせください。
市長
はい、その辺の基準というものを、私、熟知していないという面はございますが、例えば、博物館の耐震化費用、概算で2億ぐらいと聞いていますが、果たしてそれが本当に2億かどうかいうのは、きっちりやっていないので。ただ、予算を立てていく上では、たぶんそれがおおよそ2億という形で出てくるのかなと思っています。サツマイモとゴーヤの壁面緑化、屋上緑化という部分にいくらかかるのかというのは、まだ調査はしておりませんが、水耕栽培はむちゃくちゃ高いんですって。私、水耕栽培だったら安いだろう、水耕栽培だったら、水でいっぱいサツマイモができるというのはおもしろいと思ったんですが、水を循環させなければいけないとか、逆にいろいろな装置にお金がかかるので、プランターを4つくらい並べる方が、一番費用対効果は上がるということです。問題点あるんですよ。秋口に虫がいっぱいくる。秋口にくる虫をどうするか。イモムシなんですが、「それをどうするねん」っていう話が出ておりましたが、これは、やれる範囲で、来年からやろうと思っています。その予算がいくらになるのかというのは、予算規模を立てて、21年度予算を立てていく中で、場所があるのかも含めてどれぐらいやれるのかと。ツル性の植物に関しましては、小学校、中学校、義務教育の学校の中で、やれるところ、どんどんやっていこうと思っています。もう既にやっているところもありますんでね。都島の小学校では毛馬きゅうり作っているそうですが。
記者
また繰り返しの質問になるかと思うんですけれども、『街頭犯罪発生件数ワースト1返上』、『放置自転車台数ワースト1返上』と、今までも例えばいろんな自治会であるとか、大阪府警も、街頭犯罪を減らそうということで活動を続けている中で、あえてここで大阪市がもう一度、こういったものを掲げるとなると、何か、市民としては、具体的な何かしらがあるんじゃないかと期待してしまう部分があるんですけれども、新しい何か方策とかですね、具体的なものがあまり見えてきていないなと。今まで取り組んできた人たちの活動であるとか、今までの結果を見て、問題点とか、いろいろ感じていらっしゃるのであればその辺り、教えていただけますか。
市長
地域安全対策本部を立ち上げて、2回、会合を行いました。その2回の中で、各区から問題点であるとか、あるいは3つぐらいのモデル区をまず設けたいというふうに申しておりますので、その方向で、今までとは違った動きはもうその段階で出てくると思います。それと、その犯罪件数、発生件数というものをどう見るかということなんですが、なかなか今までは、この地区がここまで危険だ、安全ではないというようなことが表へ出るのを嫌がるという気風もあれば、あるいはその所轄警察が、「何をしてんねん」と言われるからというのでなかなか出さない、出せないという部分も、やっぱり情報公開する中で、市民運動として取り組んでいきたいというのが、僕は大いに違うところだと思います。確かに、青色防犯パトであるとか、あるいは子ども見守り隊であるとか、地域で本当に地道にやっていただいている方の数もずいぶん増えました。ずいぶん増えましたけれども、「増えたなぁ、良かったなぁ」で終わらせるのではなく、それを区役所あるいは警察との連携をきっちりと図りながら、NPO、そしてもうリタイアされた方たちの動き、そして警察OBの方たちの協力を得るとか、いろいろな方法・手段が、まだまだ取れる領域だと。なおかつ、何べんも申しますが、この4月以降、市民協働の動きをやらせていただいている中で、これやったら、大阪やったらできるんちゃうか、この市民の人たちの動きと、あるいはNPOの動きと、それから警察の動き、行政の動き、我々市役所・区役所一丸となってやれば、きっと出来ないはずはないという気にさせてくれるほど、「大阪が好きや」という方たちが多いという現状から、これはもう駐輪問題も同じで、地域の協力なくして、駐輪問題の向上は私は望めないと思っています。先日も、この市役所の8階で会議を持たせていただいた時に、より一層、その思いは強くなりました。どこでも言っていることです。しかし、大阪が飛び抜けてできていない。「そんなはずはないやろ」そういう発想から、「きちっとやりましょうや、見える形で」ということを言っていきたい。僕の頭の中で言うと、例えば今まで、「予算が無いから」とか、「それはもうこの範囲でやってくれ」とか、地元からお金を出していただくとか、そんなことをやっていたんですけど、これはもう重点施策で僕はやりますので。僕の重点予算枠は使わせていただきます。市長の重点予算枠ございますから、これを重点施策として打ち出す以上、有効な重点施策の予算として、実行させていただくと。それが大阪の値打ちを上げると信じているから、そっちへ進もうとしています。
 

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