LGBTを考える
~さまざまな性への理解と支援~
監修:NPO法人QWRC(くぉーく)梨谷 美帆
制作:教育委員会事務局生涯学習担当
本学習コンテンツは…
2022年11月11日に実施した「LGBTを考える~さまざまな性への理解と支援~」をタイトルとして、NPO法人QWRC(くぉーく)梨谷美帆さんの講演内容をもとに編集したものです。
本資料をとおして、LGBTを知り、性のあり方、ひとりひとりの違いを認め合い、誰もがありのまま暮らしやすい社会になるために、私たちができることを考える機会となれば幸いです。
LGBTってなに?
セクシュアル・マイノリティ(性的マイノリティ) ※の人たちの代表的な区分け頭文字をとった言葉。
「L」はレズビアン(女性同性愛者) 「G」はゲイ(男性同性愛者)
「B」はバイセクシュアル(両性愛者) 「T」はトランスジェンダ―(身体の性に違和感を持つ人)
LGBTのほかにも性的マイノリティを含める言葉として… LGBTQ+やLGBT+を使うことも!
「Q」はクエスチョニング(性的指向や性自認がはっきりしない人、決められない人、わからない人、
悩んでいる人など。)、クィア(性のあり方を包括的に表す言葉。)
「+」はプラス(性は多様でLGBTQ以外にもたくさんの性のあり方を表しています。)
※セクシュアル・マイノリティ(性的マイノリティ)
セクシュアリティ(人間の性のあり方)において、どこかの部分がマイノリティ(少数者)である人たちのこと。
セクシュアル・マイノリティであると自認する人は、概ね左利きの人(約10%)と同じくらいいるとも言われています。

なぜLGBTQ+のことを知る必要がある?
周りにいないから覚え
るきっかけがない。
聞いたことはあったが...
悪影響は?
「 LGBT 」に関する知識はあるものの課題意識が低く他人事と捉えてしまっている。
少子化といった社会への悪影響を懸念するなど、誤解が多い。
自認をする時期はさまざま。あなたもそうかもしれない…!?
●人ごとではない!自分に関係はないと思っていても、よく考えると自分も!?
●「 LGBTQ+」の言葉を知ってから、 高齢になってから気づくことも。
友人や家族、職場の同僚など周囲の人を不必要に傷つけないために…!
●それぞれのセクシュアリティを大事に!大切な人、親しい人を傷つけないために考えていくことが必要。
よりよく生きられる人を増やす社会を作るために!
●セクシュアル・マイノリティであると自認する人は、概ね左利きの人(約10%)と同じくらいいるとも言われています。
100%に近い人がよりよく生きられる社会にしていくためには「LGBTQ+」のことを知っておく必要があります。

セクシュアリティってそんなに大事?
セクシュアリティは喜びとウェルビーイング(良好な状態・幸福・安寧)の
源であり、全体的な充足感と満足感に寄与するもの
セクシュアリティとは人間ひとりひとりの人格に不可欠なもの
性と人権は必ず密接に結びついています。
より豊かに充実させるには、人間の幸福につながっていくもので切り離せないものです。
けでなく誰もが「セクシュアリティ」を持つ当事者です。 「セクシュアリティ」について考える・知る
ことは、よりよく生きるということにつながります。

セクシュアリティについて向き合うって?
自分は何者なのか?
どんな体やふるまいで自分を表現したいのか?
どのように他者と親密な感情を持つのか?持たないのか?
どのように他者と親密に関わるのか?
社会の中でどう自分が扱われたいのか?
●自分自身のことだったり、1対1の人間関係(夫婦、カップル、友達)の中で、どういう感情、関係性で関わるのか。
●1対2以上の社会の中で、自分は男として女としてどう生きていきたいのか、どう生きれば満足なのか。

「自分はどう生きていきたいのか?」を考えることがセクシュアリティと向き合うこと。
言葉にして、「性〇〇」「セクシュアル〇〇」ってちょっとドキッとする…
日本ではセクシュアリティについて話しにくい、話せない、話してはいけないという風潮があります。セクシュアリティに関する学習機会が少なく、日常の中で性的なことを口に出して考える、知識を伝える機会も少なく、自分自身がセクシュアリティに十分に向き合えていない場合もあります。
LGBTQ+の方たちは「どう生きていくのか?」を気軽に友だちや周りの人たちとシェアできないことが苦しく、困っています。
言葉や知識があると考えやすいので、LGBTQ+や周りの人たち、自分自身とも言葉を通して向き合うことが大事です。

セクシュアリティの考えかた
① からだの性別(生物学的性別・出生時にわり当てられた性別)
② こころの性別(性自認/性同一性・自分の性別を認識する個人の人格的感覚)
③ 性的魅力を感じる性別(性的指向)
④ 性別表現(社会的性役割・ふるまいや見た目の男/女らしさ・言葉遣い)
ほかにもいろいろ…
⑤ 恋愛感情を感じる性別(恋愛的指向)があります。

次ページからセクシュアリティについて、
詳しく見ていこう。
セクシュアリティの考えかた
①からだの性別 (生物学的性別)
現代は生まれた時に外性器の見た目で割り当てられるが…

性別はひとつ
歴史的に見ると…
男のからだひとつと
思われていました。

性別は ふたつ
解剖学などによって
性別はふたつ
「男・女」に分けられます。

からだはいろいろある
現在は…
概ね男女に分けられるけれど、男女の区別は無く、
男性も女性にも生まれつき様々なからだの状態があり、
からだがいろんな風に発達していくということが
染色体構造、遺伝子検査などで分かってきました。
DSDs
(性分化疾患)

セクシュアリティの考えかた
②こころの性別
性自認 (自分で認識している性)
性同一性(自分自身の性別を継続的、持続的に持っているもの)
シスジェンダー
割り当てられた性別と心の性別が一致している人もいる。
トランスジェンダー
生まれた時に割り当てられた性別と、自分が認識する
性別がちがう人もいる。
ノンバイナリー
男/女以外の感覚。中間・あいまいな感覚の人もいる。

セクシュアリティの考えかた
②こころの性別
性自認 (自分で認識している性)
性同一性(自分自身の性別を継続的、持続的に持っているもの)
トランスジェンダーの全体をみると ~
男/女という感覚を持つタイプの人を
バイナリーという。
生まれた時に割り当てられた性別とは異なる性別
(男/女のどちらかに)を自認する人。
男/女以外の感覚が、中間・あいまいな感覚の人を
ノンバイナリーという。
日本ではエックスジェンダーという言葉もよく使われます。
多様な感覚があるからこそ言葉が増えていきます。その言葉を使うことで同じような感覚の人と出会ったり、考えることができるので、当事者にとっては大事なものです。

トランスジェンダー
バイナリー
ノンバイナリー
トランス男性
(男性に移行:FTM)
トランス女性
(女性に移行:FTM)

たくさんの言葉がありますね。
セクシュアリティの考えかた
③性的魅力を感じる性別 (性的指向)
ヘテロセクシュアル
男性なら女性、女性なら男性と、異性に魅力を感じる人
レズビアン
自身を女性と認識して、同性である女性に魅力を感じる人
ゲイ
自身を男性と認識して、同性である男性に魅力を感じる人
バイセクシュアル
男女両方の性別に魅力を感じる人
パンセクシュアル
性別に関わらず魅力を感じる人
アセクシュアル
(エイセクシュアル)
どの対象にも性的魅力を感じない人
他者に対して性的欲求を抱かない人も、1つのセクシュアリティとして考えるんですね!

セクシュアリティの考えかた
④性別表現 (社会的性役割)
見た目や言葉遣い、ふるまいなどで「男らしい」「女らしい」という、
自分が見せたい性の特徴の表現。
女の人だったら化粧
するの好きでしょ!
男性だからこう
あるべき!
昔から決められたわけではなく、時代や文化・国などによって 異なります。
見た目のふるまいや服装が、その人の性自認、社会的イメージと一致しないこともあります。
例えば…
自分は女性だと思っていて、女性のからだにも違和感がないけれど、
ファッションや見た目やふるまいは、男性っぽいほうがしっくりくる!
服装やふるまいが異なる性別の表現のほうが自分らしいというタイプの人を、
クロスドレッサー/トランスヴェスタイトと言います。

社会の中でつくられたイメージなの?

セクシュアリティの考えかた
⑤恋愛感情を感じる性別 (恋愛的指向)
ヘテロロマンティック
異性に恋愛感情を感じる人
ホモロマンティック
男性なら男性、女性なら女性と、同じ性別の人に恋愛感情を感じる人
バイロマンティック
男女両方の性別に恋愛感情を感じない人
パンロマンティック
性別に関わらず恋愛感情を感じる人
クアロマンティック
友情と恋愛感情の区別がない、わからない人
アロマンティック
どの対象にも恋愛感情を感じない人
性的な感情がない人、性的な魅力は感じるけど恋愛感情がない人もいる。

クエスチョニング(Questioning)

LGBTQの「Q」ってなに?
性自認や性的指向に関する自身のあり方について迷いや疑問のある状態。
性自認や性的指向が揺れ動いている、迷っている、探している、あるいは決めたくない、固定しない状態、
グレーゾーンがあるということが自分らしいという人もいます。 この流動性(フルイディティ)を
ジェンダー・フルイディティ
セクシュアル・フルイディティ
と言います。
好きな対象や性別の感覚に揺らぎがある、その揺らぎを含めて自分らしい、
決まらないことも性の1つです。

セクシュアリティのあり方のイメージって?

そもそもひとりひとりちがう
しかし見た目ではわからない… 決めつけないで!
人はそれぞれ違うように、性のあり方もひとりひとり違った性が存在すると考えましょう。
見た目で性のあり方を決めつけない、その人のセクシュアリティを否定せずに尊重することが大事です。

LGBTQ+ユースどうしてる?
人はそれぞれ違うけれど、
多数派でない LGBTQ+固有の苦労があります。
セクシュアリティに関してもマジョリティの人が便利な世の中(決まり事やシステム)になっていて、少数派は不便だと感じるところがあります。
そこで LGBTQ+ユースが、
どんな感覚で暮らしているのか次ページから見ていきます。

LGBTQ+ユースどうしてる?
セクシュアリティに関する平均年齢(セクシュアリティの認知・開示)
セクシュアリティを
認知する年齢
14.3歳
初めて
カミングアウトした年齢
18.5歳
4.2年
セクシュアリティに関する平均年齢(セクシュアリティに関する情報)
セクシュアリティに関する
情報を得たかった年齢
12.5歳
セクシュアリティに関する
情報を実際に得た年齢
18.2歳
5.7年
誰かに相談したり伝えたりすることができない。自分のセクシュアリティについて認識するまでの期間が長く、
LGBTQ+ユースはどうしたらいいか悩み、考え続ける年月が非常に長いのです。不安や恐れを持たずに自身を
受容できるためにも、性の多様性に関する学びがすべての子どもたちに届いていることが重要です。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
「セクシュアリティが、周囲とちがうかもしれない」と初めて気づいたとき、どう思いましたか?

セクシュアリティを認知したとき、LGBTQ+ユースの69.9%が不安や恐れを感じ、
またセクシュアリティを振り返って、54.9%が相談をしたい/情報がほしいと回答しています。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
保護者へ相談できるか

教職員へ相談できるか

LGBTQ+ユースの91.6%が、保護者にセクシュアリティに関して安心して話せない、93.6%が、
教職員に安心して話せない状況にあります。インターネット、SNSでは攻撃的、差別的な表現が目立
ちます。インターネット、SNSを見る機会が多い子どもたちがこういった情報に触れずに、LGBTQ+
に関して正しく学ぶ機会を保障していく必要があります。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?(スティグマって?)
『LGBTQ+はこうだ』
という価値観を勝手に決めつける。
勝手に烙印を押す
スティグマ(偏見・差別)
≒
こんな風に言われる自分だから相談しても
わかってもらえないんじゃないか?
相談しても非難されて、
助けてもらえないんじゃないか?

不安
スティグマによって、地域・家庭・支援から
マイノリティが排除されていきます。

LGBTQ+はこうだ…

●病気
●トラウマのせい
●気の迷い
●性依存
●人格的に未熟である
●生産性がない
●生理的にきもちわるい
●ワガママ
●性病を持ってそう
●家庭・家族が作れない
●孤独死する
●権利主張がウザい…
社会・世間
LGBTQ+ユースどうしてる?
残念ながら援助職や社会への
安心感がない?

友人だけではリソースとしては
弱い…(特に若年層)


残念ながら自分から距離のある世間には
カミングアウトできない状況にあります。
友人に相談できても、本当に困った時の対処能力が弱い
LGBTQ+ユースはリスクがあります。
一人で抱え込まないよう、大人が受け止めていく社会、
情報提供していく社会づくりが必要です。
LGBT であることを誰にカミングアウトしてる?

「LGBT当事者アンケート調査2015」一部抜粋 ウェブ等での調査、調査実施主体:NHK(NHK,2020)
LGBTQ+ユースどうしてる?
孤独・孤立「あなたはどの程度、孤独であると感じることがありますか?」

孤独感が「しばしばある・常にある」10代LGBTQ+は29.4%、20代は27.2%感じています。
また、内閣府の全国調査と比較し、10代LGBTQ+の孤独感は8.6倍です。LGBTQ+ユースは、
孤独・孤立におけるハイリスク層です。概ね世界的にも同じ傾向にあり、支援が必要です。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?(セルフスティグマって?)
LGBTQ+に関するネガティブなスティグマが、
内面化して自分に取り込まれていく。
自らに偏見や差別の烙印を押す
セルフスティグマ
≒
LGBTQ+である私はおかしい。
LGBTQ+である自分は人から
蔑まれる存在なんだ。

自分自身が〝どうなのか“は別として、社会・世間から
向けられている偏見や嫌悪感が内面化され、
自分で自分に押された烙印と向き合い苦しみます。

LGBTQ+である私は…

●病気
●トラウマのせい
●気の迷い
●性依存
●人格的に未熟である
●生産性がない
●生理的にきもちわるい
●ワガママ
●性病にかかる
●家庭・家族が作れない
●孤独死する
●権利主張がウザがられる
社会・世間
LGBTQ+ユースどうしてる?
保護者との関係で生じた困難

89.1%のLGBTQ+ユースが、保護者との関係で困難経験ありと感じています。具体的な理由は、「保護者からLGBTQ
でないことを前提とした言動があった」、「保護者に自分のセクシュアリティを隠さないといけなかった」と回答しています。
保護者がセクシュアル・マイノリティに関して批判的な発言をしていたら、
LGBTQ+ユースは我慢して相談できない、親との関係性自体に困難や悩みを生じてしまうことがわかります。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
この1年で経験した、学校での困りごと

70.7%のLGBTQ+ユースが、この1年で学校での困りごとを経験しています。
具体的な理由は、『男女別整列や名前の「さん・くん」分けなど、不要に男女分けをされた』、「生徒が、LGBTQに
関してネタや笑いものにしていた」と回答しています。うち、33.6%が先生が要因となっている困難を経験しています。
学校では子どもにとって先生は味方であり、困りごとの原因にならないようにしたいです。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
メンタルヘルスの状況(※K6尺度)

メンタルヘルスを測るK6尺度で、10代のLGBTQ+は、気分障害・不安障害に相当する心理的苦痛を感じている者
(10点以上)が56.1%、厚生労働省の全国調査と比較し、7.2倍高い状況です。
LGBTQ+ユースは、精神障害におけるハイリスク層であると考えられます。

※K6(ケーシックス):うつ病や不安障害などの精神疾患の可能性がある人を見つけるための調査方法。
「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
この1年に経験したこと(心身不調・精神疾患)

10代のLGBTQ+の52.3%が、この1年で心身不調や精神疾患を経験しています。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
この1年の不登校経験(中高生)

この1年で10代のLGBTQ+の52.4%が「学校に行きたくない」と感じ、
LGBTQ+の不登校生徒は全国平均と比べ、中学生で5.4倍、高校生が10.6倍高い状況です。
不登校の要因の背景にセクシュアリティが関係していると考えられます。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
LGBTQ+ユースどうしてる?
相談できる人・場所の有無と、自殺・自傷の関係性

普段からセクシュアリティについて安心して話せる人や場所が「ある」群と「ない」群と比較すると、
相談できる人・場所が「ある」群は、自殺念慮が12.2ポイント、自殺未遂が2.2ポイント、
自傷行為が8.0ポイント下がっています。
セクシュアリティについて安心して相談できる人・場所があることが、精神的苦痛が減り、
自分らしく過ごすことができ、LGBTQ+ユースの自殺対策につながります。

「LGBTQの子ども・若年調査2022」一部抜粋 ※回答数2670人 SNS等インターネットで募集
調査実施主体:認定NPO法人ReBit
安心できる居場所
NPO法人QWRC(2003年~)
QWRCでは、多様な性のあり方を生きる人々のために、多くの活動
を行っています。様々な交流会を開催したり、当事者やその家族・
友人などのための電話相談、学校や自治体などへの講師派遣、
講座の開催や冊子の発行なども行っています。
居場所事業(交流会/シェアハウス)
相談事業 ( LINE相談/カウンセリング相談支援事業所)
他の団体や自治体との連携
(地方公共団体のLGBT相談/プライドセンター大阪)
講演・研修
アーカイブ事業

プライドセンター大阪
プライドセンター大阪は、大阪の天満橋にある常設LGBTQセンターです。
LGBTQだけでなく、その周囲の人、LGBTQに関して学びたい人など、
誰でも利用できます。

日常の中で ~どんなフォローをすればいい?~
[例えば…① LGBTQ+ユースはこんな時にちょっとしんどい]
あいつさーなんか女っぽいよな。
自分のこと男やのに「わたし」って言ってんねんでー

自分も本当は「オレ」とか「僕」って言うの
違和感あんねんけどな…
男子の制服よりもスカート履いてみたい。髪も伸ばしたい…
でも、まわりからは変に思われるのかな…

こういう場面ではどんなフォローをすればいい?

日常の中で ~どんなフォローをすればいい?~
[例えば…① LGBTQ+ユースはこんな時にちょっとしんどい]
あいつさーなんか女っぽいよな。
自分のこと男やのに「わたし」って言ってんねんでー

ひとことフォロー!
●「わたし」って大人になれば性別関係なく使うし、丁寧な言葉やで!
●その子が自分らしいと思って使ってるねんから、ええやん!
●〇〇さんの優しい雰囲気に合ってるやん!悪く言わんといてあげて!


常日頃から、ひとことフォロー!できるように、
伝えやすい「言葉」や「セリフ」を考えておくといいですね。

日常の中で ~どんなフォローをすればいい?~
[例えば…② LGBTQ+ユースはこんな時にちょっとしんどい]
なあなあ、好きな「男子」おるんやろー?
だれー?だれー?

「男子」か…
わたし、どっちかというと女子が好きなんやけどな…
でも恋愛感情ってよくわからん気もする…
男子が好きなのがあたりまえ?どう思われるんやろう…
わたしも楽しく話したいねんけど…

こういう場面ではどんなフォローをすればいい?

日常の中で ~どんなフォローをすればいい?~
[例えば…② LGBTQ+ユースはこんな時にちょっとしんどい]
なあなあ、好きな「男子」おるんやろー?
だれー?だれー?

ひとことフォロー!
言いたくない子かっておるし、みんながみんな男子好きって
わけちゃうし、好きな人がおらなあかんってこともないし、
「好きな男子おる」って決めつけん方がええで!
言いたくなったら言うし、無理に聞き出さんときー


思春期は共通の話題に息苦しく感じてしまう場面も多くなります。
「いろんな人がいるよ!」と、ひとことフォローできると、
LGBTQ+ユースもほっとできますね。

マイクロアグレッションとは
無意識の偏見や差別によって、悪意なく誰かを傷つけること。
マイクロアグレッションって?

例えば…
「いい意味でソレっぽくないね」
「別にセクシュアリティがどうって大した問題じゃないよ!」
「なんでカミングアウトするの?職場/学校と関係なくない?」
「(男性には)彼女いる?」「(女性には)彼氏いる?」
「(セクシュアリティを問われて)私はストレートだよ!」
「(バイセクシュアルの人に)異性を好きになれば結婚できるし問題ないよ!」
「(アセクシュアルの人に)まだ本当に好きな相手に出会ってないだけじゃない?」
・どういう言葉に決めつけがないの?
・決めつけがない言葉って何?

言葉を見直そう! ジェンダーニュートラルな言葉
「彼/彼女」「〇〇君/〇〇ちゃん」
「おねえちゃん/おにいちゃん」

「そこの黄色いシャツの方」など
ニュートラルな見た目・名前


「ママ/パパ」「母さん/父さん」

「親御さん」「名前」


「ご主人」「家内」「旦那」
「お嫁さん・お婿さん」

「パートナーさん」 「おつれあい」
「相方さん」 「名前」


「彼女/彼氏」
「ガール/ボーイフレンド」

「恋人」「好きな人」
「交際相手」


過去の経験や習慣で何気なく使っている言葉や、性による固定化
された言葉にするのではなく、多様な性の視点に立って意識的に
表現を見直していく必要があります。


カミングアウト
カミングアウトなんのため?
● 秘密を抱えている苦しさや孤独感を軽くしたい
● 自分の気持ちや考えを知って欲しい
● これまでの偏見や同調圧力での傷つきを癒したい
● サービスや援助を受けるための情報提供
● マジョリティのふりをしているのがしんどい
● 自分の気持ちや考えを理解して共感して欲しい
● 相手に「こうして欲しい・して欲しくない」ことがある
● 仲間が欲しい
・カミングアウトしないと、異性愛者・シスジェンダーとして扱われてしまう…。
・自分らしく生きるために必要なこと。
背景にどういう気持ちがあるのかを想像してあげることが大事です。

カミングアウトされたら?
● カミングアウトされたことは信頼の証!
● 無理に100%受け入れなくてもいい
● どうして欲しいか/して欲しくないかは本人に聞く
● アウティング(本人の了承なく、第三者に暴露すること)に注意して!
● わからないことは本人に聞く
・100%受け入れられなくても大丈夫です。否定はせずに「よく言ってくれたね!」と受け止めてあげてください。
・セルフスティグマが強いほどカミングアウトできません。周囲が普段からセクシュアリティについてニュートラルな
姿勢でいること、安心できる環境をつくってあげることが大事です。

「あたりまえ」の恋愛・家族って?
1. 親密で継続的なパートナーシップは男女で営まれる
2. 婚姻・パートナーシップは性的関係に基づく
3. 家族は婚姻している男女をベースに築かれる
4. 法律的家族=家族である
5. 婚姻やパートナーシップ間では子どもを持つことが前提
6. 子育ては男女一対の親で行われている
7. 親は子の遺伝的な親である
8. 誠実なパートナーシップは1×1の関係に限定される

「あたりまえ」の恋愛や
家族のイメージがあるね。
日本の家族・子育ても変化し、多様な性をカミングアウトができる社会になってきています。

恋愛や家族はすでにもっと多様!!
今日・明日からできること
1. 今日の講演内容のことを職場仲間に話す
2. 自分のセクシュアリティについて考える
3. 使う言葉を選んで話す
4. 男女の区別を片っ端から見直す
5. LGBTQ+を扱った本・漫画・映画に触れてみる
6. LGBTQ+に関連するイベントに参加する
7. フレンドリーを示すものを置く/身に着ける
(レインボーの小物、セクシュアリティに関する本、マンガなど)

おわりに
大阪市ではLGBTなどの性的少数者に対する理解を深め、だれもが自分らしく生きることができる社会の実現をめざしています。
LGBT当事者は周囲からの偏見や差別的な扱いを受け、傷つき悩んでいます。また、差別や偏見をおそれて、学校や職場、家族など身近な人にも相談できず悩み苦しんでいる人もいます。
私たちひとりひとりがLGBTについての正しい知識と理解を深め、だれもがありのままの自分らしく暮らしやすい社会、多様な性を認め合える社会の実現に向けて取り組むことが必要になっています。
リンク集
大阪市リンク先
◆大阪市の取組み 大阪市LGBT支援サイト
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000397620.html◆大阪市人権啓発・相談センター
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000095095.html