たくさんの人々を乗せ、日本、そして世界の海を航海してきた帆船「あこがれ」。その船内を紹介します。

●フォースル
「フォア・セイル」がなまった呼び方で、一番前(フォア)にあるマストに付ける大きな縦帆です。縦帆は斜め前から真横、斜め後ろのまでの風を効果的にとらえることができます。貿易風帯の安定した追い風で走るよりも、風向きの変化が多い海域で帆走するために発達した帆です。
●ガフトップスル
縦帆(じゅうはん)の上辺を支える帆桁(ほげた)「ガフ」の上に付ける帆で、「メインマスト」と「ミズンマスト」の両方に付いています、快調に帆走するとき、より多くの風をつかまえるために展げます。強風になってくると船体の傾きが大きくなるために早めにたたみます。この「ガフドップスル」を風が強くなったときに、マストの上でたたむ作業は、慣れるまではちょっと怖いかも・・・!
●トップスル
横帆の中心となる帆です。マストにある見張台「トップ」の位置にある帆という意味からこう呼ばれています。真横から後ろの風のときに大きな推進力を発揮します。
●メインスル
帆船の前から2本目のマスト「メインマスト」に張る最も大きな縦帆で、「あこがれ」の推進力の中心になります。
●ミズンスル
一番後ろのマスト「ミズンマスト」に張る縦帆で、ほかの2枚の縦帆とジブセイルとでバランスをとりながら使う。「フォア」「メイン」「ミズン」の3枚の縦帆をすべて開いたときが、最も快調に帆走できる。
●ステイスル
マストの間に張られた支えのワイヤ「ステイ」に付ける帆で、マストの間を抜けてゆく風をもとらえようとするときに使います。帆船レースなど特殊な場合を除いては、ふだんの航海でお目にかかることはほとんどありません。
●トギャラン
「トップギャラン」がなまった呼び方で、帆船「日本丸」や「海王丸」ではもっとなまって「ゲルン」とも呼んでいます。その名のとおり、最も高い位置にある横帆で、真横から後ろの風の時に使います。
●ジブ
船の舳先につける三角形の帆で、その位置のとおり「ヘッドスル」とも呼びます。帆走のための推進力のほかに、風上に向きを変える「タッキング」のときに船首の向きを変える役割もあります。