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018 息長川(おきなががわ)

2021年12月24日

ページ番号:32784

河内国伎人郷(クレサト・現平野区喜連)の豪族、馬史国人(ウマノフヒトクニヒト)が万葉集の巻20-4458番に詠んだ、「鳰鳥(ニホドリ)の 息長川(オキナガガワ)は 絶えぬとも 君に語らむ 言(コト)尽きめやも」に見える息長川は、通説では近江の天野川とされていますが、河内の川という説もあり、私たちは現在の今川がその流れを汲むものだと考えています。
そして「この歌は古今和歌六帖に僅か一文字違いで、『君に語らふ 言尽きめやも』(読み人知らず)と詠まれている、古歌の引用である」とする通説に対して、私たちは国人の歌が本元で、これが詠まれた奈良時代中期(756年)より、150年も後に編纂された、「古今和歌六帖」に載っている歌の方が、万葉集の歌を引用したものであると考えています。
つまり、巻20-4458番に詠まれた「息長川」は、奈良時代末期から平安初期に至る度重なる大洪水で、息長川の水源となる馬池谷筋が埋まってしまったため、この歌が「古今和歌六帖」に詠まれた頃には、豊かな水量を維持していた「息長川」が姿を消し、何処の川か分らなくなったからだと考えています。{大阪春秋(平成20年(2008年)秋号、平成10年(1998年)10月、100~108頁)を引用}


また、源氏物語の夕顔の巻では、初めての道行きに、光源氏が夕顔に対して、何の説明もなく突然に「息長川と契り給ふよりほかのことなし」として、「末永い愛を誓って『息長川』を繰り返した」と「息長川」を引用しています。
文学界の通説ではこの台詞は、古歌を書き写した屏風絵や歌扇に書かれ、また鳰鳥の歌も歌人に広く詠まれていたため、「息長川」と言えば「誠実な恋」を意味するものと考えられていたようです。しかし国人の歌意は恋ではなく、客人・大伴家持の挨拶歌に対する答礼歌であった(鴻巣盛廣説)と考えられ、両方の歌は僅か一字違いで、全く異なった意味の歌であると考えています。

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