脳しんとうを発端とするいわゆる「軽度外傷性脳損傷」の周知や予防、措置の推進等を求める意見書
2024年12月3日
ページ番号:349548
平成28年3月29日可決
衆議院議長 参議院議長
内閣総理大臣 総務大臣
文部科学大臣 厚生労働大臣 各あて
いわゆる「軽度外傷性脳損傷」は、頭頚部に衝撃を受けた後、あるいは頭と脳を前後に素早く振るような、むち打ち型損傷後に発生することがある。主な症状は損傷後、記憶障害、錯乱、眠気、だるさ、めまい、物が二重に見える、あるいはぼやけて見える、頭痛、嘔吐、光や騒音に対する過敏性、バランス障害、刺激に対する反応の鈍化、集中力の低下等、複雑かつ多彩である。また症状は、すぐに始まることもあれば、損傷後数時間、数日、数週間、あるいは数ヶ月間後に発症することもある。
「軽度外傷性脳損傷」を引き起こす脳しんとうは、通常、生命を脅かすことはないが、治療を必要とする重篤な症状を引き起こす可能性があり、誰もが転倒、自転車事故、スポーツ等、日常の活動中に受傷する場合がある。
さらに、脳しんとうを繰り返すと、重篤な脳神経症状が後遺する可能性が高くなり、死に至る場合(セカンドインパクト症候群)もあるので、繰り返し脳しんとうを受けることは、非常に危険である。
平成24年7月に文部科学省が「学校における体育活動中の事故防止について」という報告書をまとめ、さらには平成25年12月には、社団法人日本脳神経外科学会から「スポーツによる脳損傷を予防するための提言」が提出され、同月には、文部科学省より「スポーツによる脳損傷を予防するための提言に関する情報提供について」の事務連絡が出されているが、実際の教育現場や家庭では、まだまだ正確な認識と理解が進まず、初期対応が遅れてしまうことも考えられる。
よって国におかれては、以上の現状を踏まえ、下記の事項について適切な措置を講ずるよう強く要望する。
記
- 脳しんとうが疑われる場合には、直ちに脳神経外科医の診断を受けることができるなど、適切に対応できる医療連携体制の構築を進めること。
- 脳しんとうについて、スポーツによる脳震盪評価ツール(SCAT3、PocketSCAT2)等を活用し、医療機関はもとより、国民、教育機関への周知・啓発を図り、予防措置を一層推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
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