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「南海トラフ巨大地震の津波による浄水場の取水影響に関する検討結果」および「大阪市水道局における影響と対策」について

2021年10月4日

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1 南海トラフ巨大地震の津波による浄水場の取水影響に関する検討結果

 大阪市水道局、大阪広域水道企業団、阪神水道企業団では、同じ淀川を水源とする水道事業体として協同し、今後発生が懸念されている南海トラフ巨大地震の津波を想定した浄水場の取水影響について、京都大学防災研究所や近畿地方整備局淀川河川事務所の協力のもと検討を行いましたので、その結果をお知らせします。
 なお、津波の想定規模は、平成25年8月に大阪府が発表した南海トラフを震源とするマグニチュード9クラスの地震によるもので、発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらすとされる最大クラスとしています。

1-1 検討条件

  • 検討で用いた津波は、平成25年8月に発表された大阪府の想定と同じ波形を採用
  • 浄水処理を行う上で重要な指標となる海水中の塩分物質(塩化物イオン等)や、津波による河川底泥の巻き上げから生じる濁度について、津波に伴う淀川上流への遡上・拡散を高度なシミュレーション解析によって評価
  • 海水の遡上を防ぐ役割を担う淀川大堰の状況や河川の流量も考慮
  • 淀川河川事務所が行った津波に対する淀川大堰強度の照査結果を踏まえ、淀川大堰は津波を受けても機能確保できるものとして検討

1-2 検討結果

  • 大阪湾に来襲した津波は、淀川大堰を乗り越え、淀川河口から約28km上流(高槻市付近)を越えて遡上し、水位が上昇

<海水の影響>

  • 津波が淀川を遡上することで淀川が海水の影響を受け、水中の塩化物イオン濃度が上昇し、水道水質基準である200mg/lを超過する範囲は、河口から約14.2km上流の東淀川区大道南1丁目(豊里大橋)付近まで
  • その結果、3水道事業体の取水口11箇所のうち、取水地点で塩化物イオン濃度が水道水質基準を超えて上昇するのは、阪神水道企業団尼崎浄水場の淀川取水口と大阪市水道局柴島浄水場の柴島取水口の計2か所のみ
  • これにより、津波の遡上が収まり河川の流れによって海水が流下するまでの間、淀川取水口で最大約34時間※、柴島取水口で最大約30時間※にわたって、水中の塩化物イオン濃度が水道水質基準を超過
    ※河川の流量が非常に少ない76立方メートル/秒の場合
  • 津波収束後、淀川大堰の操作によって海水が流下する状況が変わり、海水影響が軽減

<濁度等の影響>

  • 津波による河川底泥の巻き上がりにより、河川水の濁度は大阪市水道局庭窪浄水場の庭窪第2取水口を含む下流側の取水口(計9か所)で上昇※
    ※河川底泥に堆積した鉛やヒ素等の重金属といった有害物質も含めて、濁質分は浄水処理で除去できるため、水道水への影響はない


参考資料

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2 大阪市水道局における影響と対策

 「1.南海トラフ巨大地震の津波による浄水場の取水影響に関する検討結果」を踏まえた、大阪市水道局における取水への影響や対策はつぎのとおりです。

2-1 結果の概要

  • 本市取水地点で塩化物イオン濃度が上昇するのは、柴島浄水場の柴島取水口の1か所のみ
  • 津波の遡上が収まり河川の流れによって海水が流下するまでの間、柴島取水口で最大約30時間(河川の流量が76立方メートル/秒の時)にわたって、水中の塩化物イオン濃度が水道水質基準である200mg/lを超過
  • 河川中の濁度が上昇するのは柴島取水口、一津屋取水口、庭窪第1取水口、庭窪第2取水口の計4か所であり、柴島取水口では最大約600度

2-2 水処理への影響

  • 通常の浄水処理では、水中の塩化物イオンを除去できないため、本市の取水口(計5か所)のうち、柴島取水口で取水停止
  • 海水の影響を受けない一津屋取水口、庭窪第1取水口、庭窪第2取水口、楠葉取水口は取水可能
  • 柴島取水口が取水停止となるため、柴島浄水場の取水施設である一津屋取水口から最大量の取水を行っても、柴島浄水場の浄水処理量が最大約30時間にわたって、柴島浄水場の1日最大給水量(昨年度実績534,200立方メートル/日)の4割程度まで低下
  • 河川中に巻き上がった濁質や有害物質については通常の浄水処理で除去できるため、水道水への影響はない

2-3 柴島取水口の取水停止時にも給水を継続させるための対策と効果

(対策)

  • 津波が到達する約2時間半の間に、全浄水場の浄水処理量をアップ
  • 配水池等に蓄えている水道水の活用
  • 海水影響を受けない庭窪・豊野浄水場のフル稼働による配水運用

(効果)

  • 本市全体の浄水処理量は1日最大給水量(昨年度実績1,313,600立方メートル/日)に相当する水量確保が可能
  • 取水停止後の十数時間は市内全域で給水継続が可能

2-4 長時間にわたって海水の影響を受けた場合の給水への影響

  • 約30 時間にわたって海水の影響を受けた場合、給水を継続させるための対策を実施してもなお、管路ネットワークの状況により十分にバックアップできないため、柴島浄水場から給水する市内の一部地域で断水(市内人口の約4%)や低水圧(市内人口の約10%)の恐れ
    注)地震動による水道管の破損等による給水影響は現在精査中で、これらを考慮すると市内で想定される断水率は上がる可能性がある

2-5 断水が発生した場合の対応

  • 給水車による応急給水の実施
  • 市危機管理室と連携した水缶詰の活用 等

 水道局では、こうした検討結果や現在精査中の管路被害予測等の結果を踏まえて、ソフト・ハード両面から総合的に対策を検討し、本年秋頃の修正が予定されている「大阪市地域防災計画」に反映するとともに、今後とも大規模・広域災害となる南海トラフ巨大地震等に対して水道事業者としての使命が果たせるよう取り組みます。
 また、本検討を進める中で、津波収束後、淀川大堰の操作によって海水が流下する状況が変わり、海水影響の軽減に繋がることがわかりました。今後、こうした検討結果も踏まえ、給水の継続あるいは早期回復に向けて関係機関と協議調整していきます。
 大規模・広域災害に対し、「公助」に加えて「自助」「共助」の重要性が増す中、市民・企業の皆様においても、地震災害に備えてご家庭・事業所での水・食糧等の備蓄をぜひお願いします。

3 南海トラフを震源とする地震発生時の淀川大堰の強度確保等に関する国への要望

 水道局は、南海トラフを震源とする地震発生時の淀川大堰の強度確保等について、同じ淀川を水源とする水道用水供給事業者とともに、国へ要望を行いました。

1 日時

 平成27年8月4日(火曜日)10時

2 要望先

 国土交通省近畿地方整備局

3 要望者

 大阪広域水道企業団、阪神水道企業団、大阪市水道局

4 要望内容

 淀川大堰の耐震対策の迅速かつ確実な推進
 琵琶湖・淀川水系全体の運用についての柔軟な対応

「南海トラフを震源とする地震発生時の淀川大堰の強度確保等に関する要望書」

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