帆船「あこがれ」とは

(2)成人研修プログラムとしての価値

 現代の成人もまたさまざまな問題に直面している。それを解決する方法の1つとして帆船訓練が考えられる。成人の抱える問題点に対応して、成人のための帆船訓練には次のニーズをあげることができる。

①健康づくりの場としてのニーズ

 現代の成人は、ストレス、肥満、運動不足等のさまざまな健康問題を抱えている。単に体力という身体的な健康問題だけでなく、精神的な側面、社会的な側面、あるいは情緒的な側面にいたる広い意味でも健康問題が指摘されている。その解決のために具体的な実践の場が重要であり、身体的側面だけでなく、総合的に生活習慣そのものを見直せる機会が必要とされている。そのためには宿泊をともない、かつ良い意味での厳しい状況の中で健康感覚を身につけられる場が要求されるが、帆船利用のプログラムはこうしたニーズによくマッチしているといえる。

②新しい余暇活動へのニーズ

 労働時間の短縮に伴う余暇を活用するには、計画性と創造性とともに、余暇を使う能力とそれを具体化する技術が必要になる。また、余暇活動を充実させるためには、楽しい体験の積み重ねが必要であり、また豊かな自然との協調も重要である。帆船に乗船する機会を多くの人に提供し、海洋レジャーのあり方を正しく認識し、高いレベルのレジャー体験を積むことができるようにすることは、今後の余暇の多様化・高度化によくマッチしている。

③社会研修の場としてのニーズ

 現代の社会人には、個人の価値意識が確立していなかったり、人生設計やライフデザインが欠如していることによる人間としての劣化現象を食い止め、人間性を回復して独創的な生活を築くことの必要性が叫ばれている。一方、業務の多様化や専門化にともない、あらゆる職場で積極的な職業研修が行われているが、専門的トレーニングの前提となる、職業人の基本としての社会性や協調性を身に付けさせることの困難性が指摘される。そのためには、画一化され使い古された研修でなく、新鮮かつ有意義な研修方法が求められている。それも単なる目新たらしさではなく、本質的な意味と教材としての質の高さが望まれており、帆船利用の訓練プログラムはこうしたニーズに十分応えるものである。

(1)青少年の帆船訓練に期待されるもの

(2)成人研修プログラムとしての価値

  • 帆船「あこがれ」をなぜ造ったのか?
  • 帆船「あこがれ」はどのようにして動かすのか?
  • 船の大きさ等・いろいろな船との比較
  • これまで
「あこがれ」に乗ってセイルトレーニングに参加した人の数