『“寄り添う”をキーワードとした子どもの居場所づくり』
2024年3月31日
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今回のテーマは「子どもの人権」
蕚 由美子さん(一般社団法人子どもの居場所まーる 代表理事)
きっかけ
9年前、地元の中学校が落ち着かない状態となり、民生委員を含めて複数人が日常的に見守りに入ることになりました。授業中なのに騒がしくするなどの状態で、とても衝撃的でした。
ある日、ふと子どもたちを見ていると「この状態をいちばん残念に思っているのは子どもたちではないだろうか」、「子どもは、なんともできない大人を見て、信用も相手もしてないなぁ」と感じました。同時に「子どもの声を聞く、子どもたちに話しかけてもらえる大人としていることが必要」と強く感じたのです。そこから私たちの見守り方が変わりました。
寄り添う見守り
まずは、子どもたちと話せる機会を見つけます。例えば、とれかけのボタンを繕いながら「どうしたの?」とゆっくり話しを聞きます。繰り返し何度も。そうする中で、経済的な問題や家族関係の問題などを抱えている子がいる事が見えてきました。問題の解決はできないけれど、しんどい気持ちを聞くことはできます。子どもたちに寄り添いながら接していると、やがて心を開いてくれ、苛立ちの時のクールダウンに付き合わせてくれるようになりました。
子どもの居場所「まーる」の誕生
寄り添う事で子どもの心が開くことを実感した私たちは、学校でも家庭でもない子どもの居場所を作ろう!と、2016年7月『子どもの居場所まーる』を誕生させました。子どもが苛立つ原因に空腹があると思っており「まずはお腹を満たしたい」と子ども食堂の形態をとり、毎週金曜日に無料で食事提供を行いました。“ここを10年は続けよう。子どもたちも大人になるし、同じ地域のメンバーになるものね”と元気にスタートしました。
寄り添うが基本の活動
“まーる”は、小さい台所のある2部屋続きの小さなお家。40人を超える子どもたちがきて、みんなでカードゲームや宿題をします。17時頃にみんなでご飯を食べ、またみんなで遊ぶ。スタッフも同じ時間を共有するので、いつでも子どもたちの話を聞くことができます。揉め事があれば、すぐに双方の言い分を聞き解決をはかります。それはだめ・してはいけない、ではなく、どうしたらいいと思う?という言葉がけで。ここでも“寄り添う”が基本です。
ある頃から、就学前のお子さんを連れたお母さんたちが来てくれるようになりました。話していると、お母さんたちの生活もゆとりがある様には思えませんでした。親が元気で明るい事が子どもにとって何よりも大切なので、気楽に話ができる場だけでなく、お母さんたちの悩みが少しでも解消できるようサポートすることで、今ではお母さんの居場所にもなってきました。
居場所活動から広がるもの
スタッフも増えました。子どもが不登校だった人。早くに母親と死別された人。子どもや保護者の悩みを沢山聞いてきた人。「そうだね」と自然に言える人。
みなさんが“まーる”に来られた方と接する時には、子どもや親御さんの状態を見て“あの日の自分”にそっと寄り添うようにお話を聞いています。優しくされた経験がないと、人に優しくすることは簡単ではないと思っています。
今、お付き合いをしている子どもや親御さんが少しでもゆとりができ、そして悩みを抱えた子どもや親御さんの傍らに立つとき、「どうしたの?」と話しかけてくれるのではないかと期待して、いつもの曜日にいつもの場所で、活動を続けていきます。
一般社団法人 子どもの居場所まーる
所在地
連絡先
okaeri.ibasho.maaru2016@gmail.com
※コロナ禍は、食品配付に切り替え実施。最近は少しずつ会食活動を再開。詳しくは、お問い合わせください。
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