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読書から考える人権 令和7年12月号掲載分

2026年1月27日

ページ番号:671755

今回は「自分にも他者にも優しくなれるメッセージ」が込められた絵本を紹介します。

淺川 裕俊さん 大阪市立西成図書館 館長

今回は、現役医師でもあるフランスの作家による「自分にも他者にも優しくなれるメッセージ」が込められた絵本を紹介します。

静かな語り口と柔らかなタッチの絵で個性豊かに登場人物を描いたこの絵本は、「自分の人生の主人公は自分だ」という自己肯定の力強いメッセージと、自分以外のだれかの背景を想像して思いやることの大切さを伝えてくれる一冊です。

 

『みんな みんな とっても すてき』

バティスト・ボーリュー著 チィン・レン絵 ひがき ゆみ訳

ひさかたチャイルド 2025年 ISBN 978-4-86549-340-5

 

休みの日、女の子は大好きな祖父(じいじ)と祖母(ばあば)の家に遊びに行きます。じいじの顔には、小さい頃にけがをした大きな傷が残っています。ある日、じいじは、傷ができたときの話をしてくれました。

「このきずがあったからこそ、けいけんできたこともたくさんある。じいじのきずあとみたいなものは、だれにだってあるんじゃないかな」

 

やがて二人は、エッフェル塔に上るため町へ出かけます。かつて医者だったじいじは、道中で昔の患者たちに出会うと、彼らのさまざまな体や心の傷について思い出しながら語り始めました。

「体のまがった人、けがをした人、はだの黒い人や白い人、やせた人や太った人……みんなそれぞれに、その体だったからこその思い出を話してくれた。その思い出を、じいじは"体の物語"ってよんでいるんだ。」

「どんな人にも"体の物語"があってね、人のことを見た目だけでからかうことは、その人の体の物語を知りもしないで、からかうことになるんだよ」

 

体の物語は、自分の物語、つまりは自分の人生の一部だ。体の物語はだれもが持っている。人の数だけ物語がある。

どんな体の物語も、幸せな終わりに変えていくことができる。そのために大切なのは、自分の時間を大切にすること、自分を愛すること、そして"今何をすれば自分が幸せなのか"と自分に問いかけることだ。

さらに「きみの体の物語をきかせて」「わたしの体の物語をきいてくれる?」と声をかけ合い、互いに分かち合うことで、気持ちが軽くなることもあるんだと、じいじは女の子に教えてくれました。

 


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