安心な社会保障と強い地域経済を構築するための地方財政措置を求める意見書
2023年9月28日
ページ番号:384868
平成28年12月13日可決
衆議院議長 参議院議長
内閣総理大臣 総務大臣
財務大臣 一億総活躍担当大臣
まち・ひと・しごと創生担当大臣 各あて
国は、日本が世界に誇る社会保障の充実・安定化とそのための安定財源の確保、及び財政健全化の同時達成を目指し、社会保障と税の一体改革を進めてきた。しかしながら先般、医療や介護などを支える消費税率の10%への引き上げが、平成31年10月まで再延期されることになった。
他方で、2012年には約1500万人だった75歳以上の高齢者数は、2015年には約1600万人、そして2025年には約2200万人と推計されており、このように急激に進行する高齢化への対策は確実に進めることが必要である。また、日本は、本格的な人口減少時代に突入し、2015年の人口減少幅は約27万人と過去最大となった。まさに、高齢化対策も少子化対策も待ったなしである。
さらに、これらの施策を支える安定財源を確保するための日本経済の底上げも正念場であり、GDPと雇用の約7割を占める“地域経済圏”の活性化が求められている。今こそ、地域資源や地域の特色に着目した、農林水産業の6次産業化や、魅力ある観光資源の開発など、産・学・金・官の連携による地域産業の創造と、地方への移住促進や小さな拠点、生涯活躍のまちづくりなど、将来にわたって活気ある地域づくりを本格的に推進すべきときであると考える。
よって国におかれては、すべての国民がひとしく住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、下記の事項について、安心な社会保障と強い地域経済を構築するための地方財政措置を講じられるよう強く要望する。
記
- 消費税率の引き上げ延期による地方における社会保障の充実施策の実施に支障が生じることのないよう、所要の財源を確保すること。特に、要望の強い保育の受け皿整備に係る財源については、地方負担分も含めて国の責任において適切に財源措置を講じること。
- 人材確保が喫緊の課題になっている保育士・介護職員などの処遇改善など「一億総活躍プラン」関連施策の実施についても、地方負担分も含めて国の責任において適切に財源措置を講じること。
- 人口減少社会への中長期的な課題に取り組む地方自治体をサポートし、地域の実情に応じて自主性・主体性を発揮し、地方創生を推進することができるよう、1兆円の「まち・ひと・しごと創生事業費」を中期的に継続すること。また、地方創生推進交付金についても、安定的かつ継続的に所要の財源を確保すること。
- 地方自治体が提供する社会保障の充実策をはじめ、福祉、学校教育、消防、道路や河川等の社会基盤の整備など、国民生活に密接に関連する多くの行政サービスを確実に実施するためには、地方一般財源の確保が不可欠であり、特に地方交付税総額については確実に確保すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。