よどじん(平成26年12月)
2017年2月1日
ページ番号:289231

「虹の見えるまちへ」

L(レズビアン)、G(ゲイ)、B(バイセクシャル)、T(トランスジェンダー)。日本では約5%といわれるLGBT(性的少数
者)の存在。
自らの人生の中で様々な苦境を乗り越え、社会問題の解決に向けて淀川の地から走り続ける人がいる。
今月のよどじんは、
「虹色ダイバーシティ」代表 村木 真紀さん
もうこの地では住めない

高校を卒業すると同時に、逃げるようにして故郷を出た。
小学生の頃からまわりの女子生徒との会話にうまくついていけず、いつも不安な気持ちを抱えていた。異性の話になると生じる違和感。18歳の時に初めて同性からの告白を受けて、素直な自分の心に気づいた。でもこんな気持ちを誰に打ち明ければいいんだろう。どうすればいいのか分からない。
悩んだ末の答えが故郷を出て暮らすことだった。
5度の転職

関西の地に舞い降り、大学を卒業した後に大手メーカーに就職。しかし職場での同僚・上司の何気ない会話が心に刺さる。そしてその気持ちを打ち明けられない苦しみが何度も襲う。苦悩と挫折の中、5度の転職を繰り返す。
転機が訪れたのは今から3年ほど前。会社の有給休暇を活用しながらLGBTの権利擁護活動に参加する暮らしを続けていたが、だんだんと活動が本格化し休暇が追いつかない状態に。しかし、ちょうどその頃米国ではオバマ大統領が2期目の就任演説でLGBTの権利について言及。
自分に風が吹きはじめている。
そう感じていた。
歩みだした道

平成23年に友人と共に「虹色ダイバーシティ」を設立。大きな一歩をふみだした。はじめは手探りの状態でスタートさせた活動だったが、今では企業向けの講演会、コンサルティング業務など全国を飛び回るまでとなった。
そして今年の7月から、淀川区役所と事業提携したLGBT支援事業をスタート。コミュニティスペースや電話相談の開設など、全国的に例を見ない自治体との協働による活動を展開している。
淀川区との出会い

活動拠点を淀川の地としたきっかけは、ふとしたことから。それまで自宅や市内のシェアオフィスなどで活動していたが、本格的な拠点が定まらなかった。そんなある日、多様性を意味する「ダイバーシティ(※1)」というワードをパソコンで検索。すると、出てきたのは「ダイバーシティ研究所(※2)」という団体だった。その代表である田村太郎氏に活動場所の相談をすると「うちにおいでよ」と一言。そこに間借りする形で拠点が淀川区となった。
でも、正直言うと最初は怖かった。後に村木さんは語る。LGBTの当事者には必ず対峙する壁がある。家族、学校、職場、そして生活する地域。淀川区に事務所を構えた当初も「理解してもらえないかもしれない」という不安とのたたかいが続いた。
※1 ダイバーシティ:「多様性」を意味する言葉。性別や国籍など外見的な違いや、
価値観、生き方など内面的な違いに関わりなく、互いが認め合い共に生きる、という考え。
受け入れてくれるまち

LGBTの社会問題の中で、最も大きな課題として若年層の自殺問題がある。社会との接点が少なく相談できる人間が居らず、言葉にできない不安感。社会の認知度が乏しく情報が届かないが故に引き起こされる孤立感。
「だからこそ、行政がアクションを起こしてくれたということが本当にうれしい。住んでいるまちがLGBTを受け入れてくれているという姿勢。そのことが、当事者が生きていくための大きな大きな心の支えとなるんです」
『虹』の見えるまちに

代表として全国を駆け回る毎日の村木さん。かなえたい願いがある。
「私は28歳でやっと自分の苦悩を親に伝えることが出来ました。家族・知人が自分たちの存在を認めてくれているという安心。そして生まれた地域で安心して生きられるという幸せ。それらは何にも代えがたい喜びです。私たちが掲げる虹色のマークが表すものは、性の多様性。互いが認め合い、自分らしくいきいきと生活できるまち、いつでも『虹』の見えるまちを創りたい」
苦難を乗り越えてきた強い心と、困難に立ち向かうゆるぎない覚悟が、虹色の未来を描きだす。
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