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よどじん(平成27年4月)

2017年2月1日

ページ番号:303784

よどじんコーナーでは、静かに流れる人々の暮らし、何気ない風景、そして人の心に光をあて、みなさまの元にお届けします。
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「チームのために打ち続ける」

談笑する大平選手

 「選手交代、大平入ります!」ひときわ小柄な選手がコートに降り立つと、それまで劣勢だったチームの空気が明らかに切り替わった。
 抜群のスピードでコートを駆け回り、わずかなスペースを見つけ仲間からボールを受けとる。サークルの外から高く放たれたボールは、きれいな放物線を描き、吸い込まれるように3ポイントのネットを揺らす。
 
今月のよどじんは、
「デフバスケットボール日本代表」
#5 大平 良龍(おおひら よしたつ)選手

バスケやるけど、良龍はどうする?

バスケを始めたきっかけについて語る大平選手

 大平選手がプレーするのは、デフバスケットボールという聴覚障がい者によるスポーツ種目。生まれつき聴力が弱かった少年とバスケとの出会いは小学校3年生の時に訪れた。双子の姉が「私バスケやるけど、良龍はどうする?」と誘ってくれたのがきっかけだった。
 小学生チームながら週4回の練習をこなし、入部当初は弱小だったチームも、小学校6年生の時には県大会に出場するまで成長した。中学・高校と地元福岡で健聴者とのバスケの道を貫いた大平選手。その後、大学受験に見事合格するが、周囲を驚かせるある決断をする。

驚きの決断、その理由は「腰痛」

ハーフタイムが終わり、コートに向かう大平選手

 それは大学進学を辞め、スポーツトレーナーを養成する専門学校にいくという選択。家族や周囲の猛反対を押し切り、迷うことなくその道を選んだ理由、それは持病の「腰痛」だった。 小学生の頃から激しい腰痛に悩まされ、どうすれば良くなるのかと、様々な治療を受け続けていた。そして、いったいいつまで治療を続ければ治るんだろうかと、疑問が頭をよぎった。
 
 だったら、自分の腰は自分の力で治す。何と、自ら治療の担い手となる決意をしたのである。

君なら日本代表になれる

抜群のスピードと強いフィジカルでチームをけん引する

 周囲の反対を押し切りトレーナーへの道を歩み始めた大平さん。しばらくバスケとも距離を置いていたある日、大きな分岐点となる出会いが訪れた。
 友人の誘いで高校時代から週末だけ参加していたデフバスケの会場で、人並み外れた運動量でプレーする大平さんの雄姿を、当時の日本デフバスケットボール協会の理事が見逃さなかった。
 
 「君なら日本代表になれる。本格的にやってみないか?」心が大きく揺れた。
 出会いの2年後、2009年デフリンピック台北大会に向け来阪。21歳の若さで見事日本代表デビューする。

チームのために打ち続ける

ボールを受け取り、すかさずシュートを放つ

 デフバスケには、健聴者バスケにない奥深さがある。自身がフリーになった時「ボールを回せ!」の声が届かない。そして背後に相手選手が近づくも、その足音が聞こえない。すると独自の工夫が必要になる。常に周りを見渡し大きなアクションでボールを呼び込む。また、背後に手を回し、簡単には敵に後ろを獲らせない。
 大平選手はチームのポイントゲッターで、得意とするのは3ポイントシュート。しかし、どれだけうまい選手でも成功率は3割程度という。本当に打っていいのだろうか。常にその迷いと闘う。
 
 「僕がシュートを放ち、決めることでチームが前を向く。いつも監督や仲間が期待してくれている。だから僕は、チームのために打ち続ける」

つかみ取った代表切符

ベンチでは手話を交えたミーティング

今年7月には、代表として台湾(桃園)での世界選手権を迎える。しかし、それは決して容易な道ではなかった。
 2013年にブルガリアで行われたデフリンピックから帰国後、自分の将来像に迷い、なかなかモチベーションが上がらず、選抜入り確実と目されながらも、選考会の結果まさかの落選となる。驚いたのは本人よりも支えてくれていた周りの仲間だった。
 今、自分は何をすべきか。迷いを断ち切り、猛烈なトレーニングを積んだ。そしてベストコンディションで望んだ2次選考で何とか代表の切符を手にした。

ボールを手に笑顔の大平選手

 今大会で大平選手は、副キャプテンを務める。「実は小学校からずーっと副キャプテンなんです。キャプテンには縁が無い(笑)。でも自分は常に周囲の人間に気を配ることで、キャプテンとチームを支えてきた。僕だからできる仕事がある」
 
 自分の選んだ道を信じ、人生を切り開いてきた。そして、その分岐点でたくさんの仲間に支えられてきた。その勇気と感謝を胸に、2015年台湾・桃園大会で世界の強豪に立ち向かう。

大平選手プロフィール

シュートを打つ大平選手

ニックネーム:よしたつ
生年月日:1988年7月20日
家族:両親、姉3人
出身地:福岡県
居住地:淀川区東三国
身長:163cm
体重:60kg
職業:スポーツメーカー人事部
所属チーム:大阪Buddy’s

What’s デフバスケ??

デフバスケットボールの試合

 聴覚障がい(Deaf)を持つ選手がプレーするバスケットボール。
 基本的なルールは健聴者のバスケと変わりないが、選手達はチームメイトの声、ドリブルの音、審判の音がまったく聞こえない状態でプレーする。ろう者のオリンピック「デフリンピック」では古くから正式種目として採用され、4年に一度、世界選手権も開催されている。

第4回世界デフバスケットボール選手権大会 in 台湾(桃園)

平成27年7月3日(金)~12日(日)

世界の強豪に挑戦!!

強化委員会の奥野さん

 2002年にギリシャで始まった世界デフバスケットボール連盟主催による世界選手権は、2015年の台湾(桃園)で4回目を迎えます。日本からは男子・女子チームともに出場し、世界の強豪に挑みます。
 世界選手権への参加条件は、聴力(聞こえの良いほうの耳)の平均値が55db以上であること(身体障がい者手帳・聴覚6級以上が目安)。また、競技中は補聴器の着用が禁じられ、耳に頼らないプレーやコミュニケーション能力が要求されます。
 大会の日程などは日本デフバスケットボール協会のHPでご確認いただけます。がんばれ、日本代表!!
(写真は、強化委員会の奥野さん)

PDF版よどマガ!(よどじんコーナー)

広報誌よどマガ!のよどじんコーナー(PDF形式)はこちらからご覧いただけます。

 平成27年4月号 2面(PDF, 743.75KB)

 平成27年4月号 3面(PDF, 424.57KB)

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