自然発火にご注意ください!
2024年12月23日
ページ番号:640444

酸化熱による自然発火について

てんぷら油が関係する火災事例
- 一般住宅において、調理後にフライパンに残った高温の油をキッチンペーパーで拭取りゴミ箱に捨てたところ約3時間後にゴミ箱から出火した事例

再現実験した結果、4時間後に発火
- 飲食店において、フライヤーで使用済みの油を交換する際に回収した大量の油カスを長時間放置していたところ出火した事例
- 飲食店において、天ぷらを揚げた際に出た天カスを山積みにしていたところ、その天カスから出火した事例

天カスから出火

マッサージオイルが関係する火災事例
- エステティックサロンにおいて、マッサージオイルが染み込んだタオルなどを洗濯し衣類乾燥機で乾燥後、畳んで積み重ねた状態で置いていたところ、そのタオルから出火した事例

再現実験しタオルを畳んだ状態

畳んだタオルを広げてみると…
- クリーニング店がエステティックサロンから回収したバスタオルやガウン等を洗濯し乾燥後、配達用のトラックに積み込んでいたところ、バスタオルから出火した事例
- コインランドリーにおいて、マッサージオイルが染み込んだタオル等を洗濯後に乾燥機を回したまま放置していたところ、乾燥機と中に入っていたタオル等が焼けた事例

乾燥機と中に入っていたタオル等が焼けています。

酸化熱による自然発火とは?
自然発火を起こす要因としては、酸化熱、吸着熱、物質の分解熱、発酵熱、重合反応熱などがあります。
物質は、状態の変化や化学変化を伴う際、熱を吸収したり発したりします。
熱を吸収する例として、汗が蒸発(気化)するとき、体温が下がります。これは、汗が液体から気体に変わる状態変化が熱を周囲から吸収する反応(吸熱反応)だからです。

使い捨てカイロが温かくなるのは、中の鉄粉が酸化されて酸化鉄になることを利用しています。つまり、物質の酸化反応は発熱反応ということです。

油も同様に油の酸化反応には、発熱を伴います。
油の自然発火の元は、油の酸化発熱によるものです。
つまり、酸化されやすい=自然発火しやすいということです。
特にサラダ油などの不飽和脂肪酸を多く含む油は酸化しやすいです。また、他にも油が酸化されやすいかどうかを左右する要素があります。
それは、「油の反応表面積」です。酸素に触れる面積が大きいほど酸化速度が速くなります。

反応表面積が小 ⇒ 酸化しにくい
油をキッチンペーパーやタオルに染み込ませると、同じ量でも酸素と触れる面積が大きくなります。

反応表面積が大 ⇒ 酸化しやすい
しかし、酸化発熱だけでは、油の発火点まで温度を上昇させるのは難しいので、発火するまでには「予熱」と「蓄熱」の条件が必要となります。

予熱
サラダ油を例に考えてみると、サラダ油の発火温度は約350℃ですから、常温からサラダ油を発火させるためには350℃近く温度を上げなくてはいけません。しかし、高温のサラダ油をタオル、キッチンペーパーで拭き取った、又は乾燥機で温めたなど予熱がある状態であれば発火までに必要な温度が小さくなるため自然発火の可能性を高めることになります。


蓄熱
発熱よりも大気中への放熱が勝った状態だと、いくら酸化発熱しても温度は上昇しません。
温度上昇させるには発熱した熱を蓄熱させる環境が必要になります。

しかし、油の反応表面積を大きくしすぎれば、蓄熱要素が欠けてしまいます。
また、蓄熱要素を大きくしすぎれば、反応表面積が小さくなり酸化されにくい環境になってしまいます。なので、自然発火の条件は、反応表面積と蓄熱性のバランスが重要となります。


火災になった理由とは?
油脂類である天ぷら油(調理用油)やマッサージオイルなどが、余熱(調理熱や乾燥熱)が加えられた状態で酸化反応を起こし発熱し、その発生した熱が放熱されずに蓄熱したことが原因で出火したと考えられます。
また、温度が10℃上がれば酸化速度は2倍になると言われていますので、放熱できない環境であれば相乗的に温度が上がり火災に至ります。

自然発火による火災を起こさないために!
酸化反応は目には見えませんが、いろいろな物質が常に酸化反応して熱を作り出していることを理解し、放熱する環境を整えてあげることが重要です。もし、発熱と放熱とのバランスが崩れ蓄熱する条件等が整えば、稀に火災へと発展する危険性があることを十分に理解することが火災を起こさないために一番重要だと考えています。
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