よどじん(平成26年11月)
2017年2月1日
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「心を受け入れる ということ」

大阪市には、何らかの事情で親と離れて暮らさなければならない子ども達が約1,300人いる。
淀川区にある自宅で、里親としてこれまでに30人以上の子どもを守り育て、現在大阪市里親会の会長を務める人物がいる。
今月のよどじんは、
「大阪市里親会」会長 梅原啓次さん
三津屋にある静かな住宅街。玄関にお邪魔すると、1階の居間から子ども達がにぎやかに走り回る足音や、たくさんの笑い声が響く。その奥から、がっちりした体格にちょっと強面!?の人物が現れた。
梅原啓次さん、61歳。
私も協力する!

梅原さんが里親として初めて子どもを迎え入れたのは今から15年前のこと。その2年前にも打診はあったが、当時まだ幼かった梅原さんの長女が戸惑いをみせたことから断念。そして2年後に再度家族で話し合ってみると、小学6年生になった長女から「私も協力するわ!」と頼もしい一言。そこから梅原家の里親としての暮らしがスタートした。
「私一人が『じゃあ始めよう』と言って出来るものではないんです。里親として一番大事なのは、温かい家庭環境でゆっくりと子ども達の心を育てることなんです」
専門里親の道

一口に里親といっても、その種類はさまざま。親の病気や離婚により養育できなくなった子を一定期間預かる養育里親や、養子縁組を前提とした養子里親、また虐待経験など心理的ケアが必要な専門里親など。
梅原さんは養育里親の経験後、9年前から専門里親として活動している。一番身近で安心する存在であるはずの親からの暴力、育児放棄。誰のことも信用できなくなり、閉ざされる子ども達の心。そのような境遇を経験し梅原さんの下を訪れた子ども達は、万引き、飲酒、喫煙など、次々に様々な問題を引き起こす。
心を受け入れるということ

深い苦難の中で育ってきた子どもほど、自分のことをどこまで受け入れてくれるのか、この人はどこまで信頼していいのか、と大人の反応を試すような行動を頻繁にとるという。しかし梅原さんは、その行為に対して怒鳴りつけることは絶対にしない。何度も何度も怒鳴られて、叩かれて生きてきた子ども達は、そうすることで「やっぱりか」と深く心を閉ざしてしまう。
「大切なのは『心を受け入れる』ということなんです。何故してしまったのか、何故することになってしまったのか、子ど
もの声を聞き、心にそっと寄り添い、その後ろに隠れている背景にしっかりと目を向けてあげるんです」
やっと出会えた

今でも忘れられない一言がある。
家庭で凄まじい虐待を受け「大人はみんな敵や!」と暴れまわり、手がつけられなかった女の子がいた。
しかし、ゆっくりと時間をかけて、愛情を持って育てたことで、その子が「やっとや。やっと信頼できる大人に出会えた」と涙ながらに言ってくれたこと。
別世界ではない

朝起きて夜眠るまで、家族と過ごす。同じ大人、家族が常に寄り添う温かい家庭の下で心を育む。梅原さんは家庭で育てることの重要性を訴える。
「私のような専門的な養育を必要とする専門里親もあれば、親御さんの病気や離婚などで養育できない一定期間を預かる養育里親など様々な形のサポートがあります。けっしてハードルの高いものではないし、別世界で起きていることではありません」

たくさんの成長を見守ってきた梅原さん。今では里親会の代表として、里親制度の普及活動や、里親さん達の心のサポート活動に日々奔走する。
「子ども達には家族の安らぎと、生きる喜びを感じて欲しい。そして、それを支える里親さんには、子ども達の心の変
化に寄り添える喜びをたくさん感じて欲しいと思います」
ただひたすらに健やかな成長を願う溢れんばかりの思いが、今日も子ども達の心をそっと育む。
関連リンク
PDF版よどマガ!(よどじんコーナー)
大阪市里親会

大阪市里親会では、さまざまな研修会や里親子が一堂に会する総会、夏季一泊レクリエーション、秋季みかん狩りなどの行事を実施しています。また、経験豊かな先輩里親との交流も行っています。
大阪市里親会シンポジウム「親とくらせない こどもたちの今」
本シンポジウムは終了しました。
平成26年11月29日に、大阪市里親会のシンポジウムが淀川区民センターで開催されます。
- 日時 平成26年11月29日(土) 午後1時~4時
- 場所 淀川区民センター(淀川区野中南2-1-5)
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