ページの先頭です

大阪市消費者保護審議会にあっせん・調停を付託した「認知機能が低下した高齢者に対する着物等の次々販売に係る紛争案件」の報告書を公表します

2021年6月29日

ページ番号:538175

 大阪市消費者保護審議会にあっせん・調停を付託した「認知機能が低下した高齢者に対する着物等の次々販売に係る紛争案件」が解決し、令和3年6月28日付けで市長に報告がありましたので、報告書を公表します。

1 付託案件の概要

(1)申出人

契約当事者である80歳代女性(年金生活者)の親族

(2)相手方

着物等の販売事業者

(3)付託年月日

令和2年9月30日

(4)紛争の概要

 商店街にある相手方事業者の店舗で安価なバッグを購入したことをきっかけに、令和元年5月からの8か月の間に、店頭において、また展示会や高級ホテルでの食事会、旅行会などに誘われ、勧められるままに高額な訪問着、袋帯をはじめとする着物やアクセサリー等を次々と31回にわたり合計で約3,445万円を超える契約をさせられた。
 老後のために蓄えた預貯金等を全て支払いに充ててしまい、その後は、年金で支払うことを前提に、年金の大半を返済に充てる自社割賦の契約をさせられ、生活が困窮するに至った。
 契約当事者は、要介護1の認定を受け、訪問介護サービスを受けており、金銭の管理ができないことや高額な契約を結ぶなどの認知機能の低下が見られる。
 契約当事者の親族である申出人がこうした状況に気がつき、相手方事業者に購入した商品を引き取り、支払った代金を返金してほしい旨、大阪市消費者センターに相談した。

2 解決の概要

 相手方事業者が、契約当事者に対し、1,500万円を3回に分割(700万円、500万円、300万円)して返金すること及び約220万円の残債を放棄すること等を内容とする合意が令和3年2月24日付けで成立しました。

3 報告書に示された審議会の考え方の主な内容

(1)認知症高齢者に対する販売の問題点について

 認知症高齢者の状況について、認知症医療の専門家からの意見聴取を行い、問題点を明らかにしたうえで、それを背景として、事業者がその事情に付け込み、不必要なものを大量に購入させるといった消費者被害が多数発生していることを指摘しています。

(2)過量販売の問題点と消費者契約法第4条第4項の適用について

 認知症高齢者等に大量の不必要な商品を購入させる消費者被害が増加したことを受け、平成29年6月に施行された消費者契約法改正で新設された過量販売による取消し(第4条第4項)の具体的な要件を示し、本件紛争案件のほとんどの契約が過量販売に該当することを明らかにしています。

(3)一連の売買契約の公序良俗違反(民法第90条)について

 契約当事者の判断能力が低下していること、その財産を著しく毀損することを知りながら、客観的にみて必要のない極めて高額かつ多数の着物等を過剰に販売したものであり、ほとんどの契約が公序良俗に反し無効であることを指摘しています。

4 大阪市消費者保護審議会によるあっせん・調停

 市長(消費者センター)によるあっせんでは解決が困難なもののうち、市民の消費生活に著しい影響を及ぼす案件は、消費者保護審議会によるあっせん・調停に付託することができます。消費者保護条例の改正により、平成19年度から運用を開始しました。
 あっせん・調停は、審議会の苦情処理部会(部会長:松尾知子 関西大学法学部教授)の委員が行います。
 結果は審議会の考え方を示した報告書として公表しますので、個別案件の被害救済だけではなく、同種案件の被害救済や未然防止に資するものです。

 消費者保護審議会の概要、委員名簿、根拠規定等や苦情処理部会の概要、過去の紛争案件の処理については、消費者センターホームページ「消費者保護審議会」のページをご覧ください。

5 高齢者や周囲の方への注意喚起

 認知機能が低下した高齢者の被害は、着物の次々販売のほか、会場に通う高齢者に健康食品や健康器具を次々と販売するいわゆる「SF商法」でも、数千万円に及ぶ被害が発生しています。
 大阪市消費者センターでは、「エルちゃんのトラブルバイバイ♪ニュース」を発行して、区役所や地域包括支援センター等に送り、注意を呼びかけています。
 こうしたケースでは、高齢者本人は喜んで通っている場合が多く、周囲の方の見守りが大切です。
 また、展示会のお手伝いの仕事だと言って誘い、高額な着物を次々と買わせる手口にもご注意ください。

 

 

報告書

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

参考資料

Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)別ウィンドウで開く
PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする
  • LINEで送る

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市市民局 消費者センター

〒559-0034 大阪市住之江区南港北2丁目1番10号 ATC(アジア太平洋トレードセンター)ITM棟3階

電話:06-6614-7521

ファックス:06-6614-7525

メール送信フォーム