魚介類による食中毒にご注意ください!
2022年4月1日
ページ番号:552847

はじめに
魚介類を原因食品とする食中毒として、これまでもっとも発生件数の多かったのは腸炎ビブリオによるものです。この細菌は海水や海中の泥に潜み、夏になり海水温が上がると活動が活発になるため、食中毒が発生しやすくなります。平成13年に生食用鮮魚介類の規格基準が制定され、予防対策が強化されたことなどにより発生件数は減少していますが、今後も油断をせずにしっかりと対策を続けていくことが重要です。
一方で、魚介類を原因食品とする食中毒で注意をしなければならないのが、「アニサキス」や「クドア・セプテンプンクタータ」などの寄生虫によるものや、「ヒスタミン」という化学物質による食中毒です。

アニサキスによる食中毒について
アニサキスとは?
- 魚介類やクジラ、イルカなどの海獣に寄生する寄生虫です。
- アニサキス幼虫は白色であり、長さは2~3㎝、幅は0.5~1㎜で糸くずのように見えます(肉眼で見えます)。
- アニサキス幼虫は、普段は魚の内臓に寄生していますが、寄生していた魚が死んで時間が経つと筋肉部へ移動します。
- 人が生きたアニサキス幼虫を食べてしまうと、胃壁や腸壁に刺入して食中毒(アニサキス症)を引き起こすことがあります。

白い糸くずのように見えるのがアニサキス幼虫

サバの内臓に寄生している様子(赤丸で囲われた部分)。
内臓に寄生している時は渦巻き状になっているものが多く、写真のように半透明の粘膜の袋(シスト)に入っているものも見られる。
アニサキスの生活環
アニサキスは海の中で、次の1から5を繰り返しています。
- 海水中でアニサキスの卵が孵化して幼虫となる。
- 幼虫はオキアミなどの海産甲殻類に捕食され、その体内で成長する。
- オキアミなどを捕食する魚介類(サバ、スルメイカなど)に取り込まれ、その体内に寄生する。
- 魚介類を捕食する海獣(クジラやイルカなど)に取り込まれ、その体内で成虫となる。
- 海獣の糞とともにアニサキスの卵が海水中に排出される。
アニサキス幼虫は海獣の体内で成虫になりますが、人の体内で成虫になることはできません。そのため人が生きたアニサキス幼虫を摂取しても普通は排泄されますが、まれに胃壁や腸壁に刺入し、アニサキス症を引き起こすことがあります。
症状は?
主に「急性胃アニサキス症」と「急性腸アニサキス症」があります。
急性胃アニサキス症
食後数時間後から十数時間後に、激しいみぞおちの痛み、悪心、嘔吐を生じます。
アニサキス症の多くが、この急性胃アニサキス症です。
急性腸アニサキス症
原因となる食品は?
これらの魚介類を生や生に近い状態で食べ、生きたアニサキス幼虫が胃に入るとアニサキス症を発症する場合があります。
予防方法は?
アニサキスによる食中毒を防ぐには、次のことが重要になります。
- 鮮度を徹底すること
- アニサキス幼虫がいないかよく確認すること
- 加熱または冷凍処理により、アニサキス幼虫を死滅させること
1.鮮度を徹底すること
アニサキス幼虫は、普段は魚の内臓に寄生していますが、寄生している魚が死ぬと筋肉部分に移動します。魚を購入する際は新鮮なものを選びましょう。
また、丸ごと1匹で購入した際は、できるだけ速やかに内臓を取り除きましょう。
2.アニサキス幼虫がいないかよく確認すること

腹骨周りの筋肉部分にアニサキス幼虫が入り込んでいることがあります。内臓に幼虫を多く見つけるようであれば、腹骨周りを刺身にすることは控えるのも重要です。
3.加熱または冷凍処理により、アニサキス幼虫を死滅させること
アニサキス幼虫は加熱※1または冷凍※2処理により死滅させることができます。
※1 60℃で1分、70℃以上では瞬時に死滅します
※2 マイナス20℃で24時間以上の冷凍で死滅します
一般的な料理で使用する程度の食酢による処理(酢じめなど)、塩漬け、醤油やわさびでは、アニサキス幼虫は死滅しません!

クドア・セプテンプンクタータによる食中毒について
クドア・セプテンプンクタータとは?
- クドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。
- 大きさが0.01ミリメートル程度と非常に小さいため、肉眼では見えません。
- ヒラメの筋肉に寄生することが知られており、この寄生虫が多く寄生したヒラメを生で食べると、下痢などの症状がでます。

クドア・セプテンプンクタータ顕微鏡写真。非常に小さいため、肉眼で見ることはできません。
(写真提供:大阪市立環境科学研究所)
症状は?
原因となる食品は?
予防方法は?
加熱(中心温度75℃5分以上)または冷凍(マイナス20℃で4時間以上)処理により病原性が失われることが確認されています。
非常に小さいため、アニサキスとは違い肉眼で確認して取り除くことはできません。
なお、ヒラメは生で食べることが好まれていますが、冷凍すると品質が低下することから、現在、冷凍以外の食中毒予防方法についての研究が進められているところです。また、生産地(養殖場)でも、クドア・セプテンプンクタータ保有稚魚の排除、出荷前のモニタリング検査や、飼育環境の清浄化などの取り組みが進められています。

ヒスタミンによる食中毒について
ヒスタミンとは?
- アミノ酸の一種であるヒスチジンから作られる物質です。
- 人がヒスタミンを多く含む食品を摂取した場合、アレルギー様のヒスタミン食中毒を発症することがあります。
- 食品で特に問題になるのが、魚介類の温度管理が不適切であった結果、細菌(ヒスタミン生成菌)が増殖してヒスタミンが多量に作られてしまうケースです。
症状は?
通常、食後数分~30 分位で顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんま疹、発熱などの症状を呈しますが、たいてい6~10 時間で回復します。
重症になることは少なく、抗ヒスタミン剤の投与により速やかに治癒します。
なお、ヒスタミンが多量に含まれている食品を食べた場合は、唇や舌先にピリピリとした刺激を感じることがあります。
原因となる食品は?
ヒスタミンはヒスチジンから作られます。そのため、ヒスチジンを多く含む魚(イワシ、マグロ、カジキ、ブリ、アジ等の赤身魚)やその加工品が原因となります。
予防方法は?
ヒスタミンは熱に安定であるため、一度作られてしまうと加熱しても分解できません。
そのため、「ヒスタミンを作らせない」ことが最も重要になります。
- ヒスタミン生成菌を増殖させないように、魚は常温で放置せず、低温管理を徹底しましょう。ただし冷蔵保管でも安心はせずできるだけ早く調理しましょう。
- 鮮度の低下した魚は、すでにヒスタミンが増えている可能性があるため使用しないようにしましょう。
- 魚の解凍は冷蔵庫で行い、常温での解凍は避けましょう。
- 一旦解凍したものは再凍結しないようにしましょう。
食品中にヒスタミンが含まれていても、外見や臭いに変化はありません!
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