第2章 風水害に備える
2021年1月1日
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第2章 風水害に備える
大阪市は水害に弱い地形
大阪市には多くの川があり、江戸時代には「なにわはっぴゃくやばし」と呼ばれるなど水の都として発展してきました。弥生時代まで遡ると、現在の市域の半分まで海が広がり、内陸部でも湖が広がっていました。このような成り立ちから、市街地の多くが低地で水害に弱い地形といえます。
大きな被害をもたらす台風や集中豪雨
台風は、7月から10月にかけて日本に接近・上陸するものが多く、強い風とともに、広い範囲に長時間にわたって大雨を降らせます。また、台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上がり、さらに強風になって海水が海岸に吹き寄せられて海面が高くなる高潮が発生します。
そのほか、近年、限られた地域で短時間に降る、いわゆるゲリラ豪雨による浸水被害が多発しています。この集中豪雨をもたらす積乱雲(入道雲)は短時間で急激に発達するため、突発的に大雨が降ります。
想定される水害
大阪市で想定されている水害は、河川氾濫、内水氾濫、津波の3種類です。
- 河川氾濫
河川水位が堤防より高くなったときや、堤防が壊れたときに河川の水が市街地などに流れ込む氾濫です。
- 内水氾濫
市街地に降った雨が下水道などから排水することができずにあふれ、建物や土地・道路が水に浸かってしまう水害です。内水とは、下水道のポンプによる排水がなければ、降雨を河川へ排水できない地域の雨水のことです。
- 津波
南海トラフ地震、東南海・南海地震により津波が発生した場合の氾濫です。
都市型水害の特徴
大都市ではアスファルトで固められた部分が多く、大量の雨水が一気に下水道へ流れ込み、排水の処理能力を超え、マンホールや側溝から地上にあふれ、地下街や地下室を襲う災害も起こっています。
地下にいるときは、安全と思い込まず、雨の降り方や降っている時間に気をつけ、外で何が起きているのかを把握するようにしましょう。
階段を流れ落ちる水の勢いは強く、地上への避難は困難になりますので、地下への浸水が予想されるときには早めに避難しましょう。
風と雨の強さ
風の強さと想定される被害
- 平均風速10メートル毎秒以上15メートル毎秒未満(やや強い風) 傘がさせない
- 平均風速15メートル毎秒以上20メートル毎秒未満(強い風) 風に向かって歩くことができない
- 平均風速20メートル毎秒以上25メートル毎秒未満(非常に強い風) 車の運転を続けるのは危険な状態となる
- 平均風速25メートル毎秒以上30メートル毎秒未満(非常に強い風) 樹木が倒れ始める。瓦が飛び始める
- 平均風速30メートル毎秒以上(猛烈な風) 屋根が飛ばされるなど、木造住宅が壊れ始める
雨の強さと想定される被害
- 1時間雨量10ミリメートル以上20ミリメートル未満(やや強い雨) 長く続くときは注意が必要
- 1時間雨量20ミリメートル以上30ミリメートル未満(強い雨) 側溝などから水があふれることがある
- 1時間雨量30ミリメートル以上50ミリメートル未満(激しい雨) マンホールから水があふれることがある
- 1時間雨量50ミリメートル以上80ミリメートル未満(非常に激しい雨) 地下街に雨水が流れ込むことがある
- 1時間雨量80ミリメートル以上(猛烈な雨) 大規模な災害が発生するおそれが強い
避難情報が発令された場合には、以下の「避難フロー」を参考に適切な行動を取りましょう
津波避難施設(津波避難ビル・水害時避難ビル)
大阪市域の地形は比較的平坦であるため、津波や河川氾濫から身を守るためには少しでも早く「高い」場所に避難する必要があります。大阪市では、市民の皆さまの安全を守るために、津波浸水や河川氾濫による浸水のおそれのある22区(天王寺区・阿倍野区以外)を対象に、丈夫で高さのある建物を「津波避難ビル」・「水害時避難ビル」として指定を進めています。
避難情報が見直されました
「平成30年7月豪雨」の際、多くの自治体で避難勧告等が発令されましたが、自宅にとどまるなど避難しなかったことにより、多数の人の尊い命が失われました。これを受け、「避難情報」を住民が直感的に行動できる表現に変更し、警戒レベル5段階を取り入れることとなりました。
警戒レベル導入後の発令
- 警戒レベル5 災害発生 既に災害が発生している状況。命を守るための最善の行動をとる。
- 警戒レベル4 全員避難 速やかに避難先へ避難する。公的な避難場所までの移動が危険と思われる場合は、近くの安全な場所や自宅内のより安全な場所に避難する。
- 警戒レベル3 高齢者等避難 避難に時間を要する人(ご高齢者の方、障害のある方、乳幼児等)とその支援者は避難する。その他の人は、避難の準備を整える。
- 警戒レベル2 避難行動の確認 避難に備え、ハザードマップ等により、自らの避難行動を確認する。
- 警戒レベル1 心構えを高める 災害への心構えを高める。
大阪市からの避難情報について
大阪市では、防災スピーカーや携帯電話・スマートフォンへの緊急速報メールなどにより、必要な場合に避難情報を発令します。
- 警戒レベル3 高齢者等避難開始
発令時の状況
人的被害の発生する可能性が高まった状況
皆さんにしていただく行動
避難に時間を要する人(ご高齢者の方、障害のある方、乳幼児等)とその支援者は避難する。その他の人は、避難の準備を整える。
- 警戒レベル4 全員避難
発令時の状況
人的被害の発生する可能性が明らかに高まった状況・前兆現象の発生など人的被害の発生する危険性が非常に高い状況
皆さんにしていただく行動
速やかに全員避難する。公的な避難場所までの移動が危険と思われる場合は、近くの安全な場所や自宅内のより安全な場所に避難する。
- 警戒レベル5 災害発生
発令時の状況
既に災害が発生している状況
皆さんにしていただく行動
命を守るための最善の行動をとる
警戒レベル4は状況に応じて2回発令される場合があります。
避難情報の伝達手段
防災行政無線テレホンサービス(06-6210-3899 通話料有料)で確認できます。
- 携帯電話等 緊急速報メール、ホームページ、ツイッター、おおさか防災ネット、ライン、Yahoo!防災速報アプリ など
- 携帯電話以外 防災スピーカー(防災行政無線)、ケーブルテレビの字幕放送・防災情報サービス(利用料有料)、ガス警報器(利用料有料)、テレビ、ラジオ、地元組織への連絡、広報車 など
防災スピーカーのサイレン(警報音)パターン
- テロやゲリラなど武力攻撃に関する警報
サイレン(警報音)パターン サイレン14秒吹鳴
- 弾道ミサイル攻撃に関する警報
サイレン(警報音)パターン サイレン14秒吹鳴
- 大津波警報
サイレン(警報音)パターン サイレン3秒吹鳴、2秒休止、3秒吹鳴、2秒休止、3秒吹鳴
- 津波警報
サイレン(警報音)パターン サイレン5秒吹鳴、6秒休止、5秒吹鳴
- 警戒レベル4
サイレン(警報音)パターン サイレン10秒吹鳴、10秒休止、10秒吹鳴、10秒休止、10秒吹鳴
- 警戒レベル5
サイレン(警報音)パターン サイレン20秒吹鳴、10秒休止、20秒吹鳴、10秒休止、20秒吹鳴
- 緊急地震速報(震度5弱以上)
サイレン(警報音)パターン 緊急地震速報チャイム音
マイタイムラインの使い方
使いかた1 お住まいの地域は、どのような災害の危険性があるか確認しましょう
使いかた2 災害ごとに避難のタイミングと避難先を確認しましょう
大雨で河川氾濫が起きそうなとき
- 命を守るための避難行動
- 避難先の優先順位1 自宅・親戚宅・知人宅・職場など(浸水しない安全な場所)
- 避難先の優先順位2 最寄りの避難場所(浸水しない安全な場所)
- 避難先の優先順位3 最寄りの水害時(津波)避難ビル 高い建物や高い場所(浸水しない安全な場所)
使いかた3 命を守るために、掲載している情報やマイタイムラインを活用し、日頃からの備えを確認
避難の種類
自宅での避難について
- 自宅での居住の継続ができる状況であれば、自宅避難をしましょう。避難所では、環境の変化によって体調を崩す人もいます。また、プライバシーの確保が難しいため、住み慣れた家で過ごす方が、ストレスの少ない避難生活を送れます。食料や水など必要な物を日ごろから備え、可能な限り自宅避難できる準備を整えておくことが大切です。
- 自宅避難するには 家具の転倒防止をしましょう 備蓄品の準備をしましょう
- 地域防災拠点(避難所)に行きましょう。 地域防災拠点(避難所)では、安否情報や避難情報等、最低限の物資を得ることができます。
マンション(共同住宅)における防災対策
- 大規模な災害が発生した場合、マンションではライフラインが途絶える可能性が高く、復旧までの水、食料の確保や、高層階にお住まいの方への生活支援などの対策が必要になります。また、その間の生活を支えるために、管理組合や自主防災組織を中心とした支えあいの活動が不可欠です。
- いざというときに、「自助」「共助」でマンションでの生活を維持するためには、日常の活動やコミュニケーションがとても大きな影響を与えます。できるだけ日常の自主防災活動などへ参加するようにしましょう。
自主避難について
- 自主避難とは 警戒レベル3(高齢者等避難)、4(全員避難)など大阪市が発令する前に、自宅にいることに不安や危険を感じたら、自分の判断で避難することを言います。自分ひとりで避難するのが難しい方は事前に移動手段を含め、家族や親戚、知人の方などに協力のお願いをしておいてください。
- 自主避難する場所 は親戚や知人の家など安全な場所を事前に確保しておいてください。それができない方のために、大阪市では「自主避難所」を開設する場合があります。自主避難所は警戒レベル3(高齢者等避難)、4(全員避難)発令時に開設される避難所とは異なり、一時的に開設するものです。
- 「自主避難所」は、気象状況やお問い合わせ状況により開設を決定しますので、開設等の詳しい情報は市ホームページなどでお知らせします。
災害モード宣言
大阪府では、広域的な大規模災害が発生、もしくは迫っていることを府民や事業者の皆様へ呼びかけ、学校や仕事などの日常生活の状態(モード)から災害時の状態(モード)への切り替えを呼びかける「災害モード宣言」を導入しました。大規模災害時に大阪府が「災害モード宣言」を発信した場合には、府ホームページ、府防災情報メール、Yahoo!防災速報、各種SNS等での情報発信が行われます。
大阪府が災害モードを宣言した場合、本市は災害対応に係る広報内容とあわせて、大阪府から出された「災害モード宣言」の内容を市民の方々にお伝えします。
(宣言の目安)
- 台風 気象台予測での大阪府域における最大風速(陸上風速)30m以上の台風(気象庁発表「強い台風」以上相当)が、府域に上陸・最接近することが見込まれる場合に、府域への最接近予測時刻に応じた内容の呼びかけを、府域上陸・最接近の前日18時までを目安に実施。
- 地震 府域に震度6以上を観測した場合に実施。
その他自然災害等により、府域が重大な危機事態となったとき、又はおそれがあるときは状況に応じて実施されます。
特別警報について
特別警報は、「東日本大震災」や「伊勢湾台風」などに匹敵する大規模な災害が予想される場合に気象庁から発表されます。
特別警報が発表されたら
- 尋常でない大雨などが予想されています。
- 重大な災害が起こる可能性が非常に高まっています。
- ただちに命を守る行動をとってください。
非常事態
大阪市からの避難勧告・避難指示に従いただちに避難所に避難
外出が危険なときは、家の中で少しでも安全な場所に移動
「住居の位置」や「住居の構造」、「既に浸水が生じている状況なのか否か」によって「自宅外避難」の必要性は異なりますので、冷静な判断が重要です。災害から命を守ることができる行動を考えておきましょう。
冷静な判断が必要です。周囲の状況に応じた行動を。
浸水の中の避難は非常に危険。
特別警報の発表基準
気象
- 大雨
台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる大雨が予想され、もしくは、数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により大雨になると予想される場合 - 暴風
数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により、暴風が吹くと予想される場合 - 高潮
数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により、高潮になると予想される場合 - 波浪
数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により、高波になると予想される場合 - 暴風雪
数十年に一度の強度の台風や同程度の温帯低気圧により雪を伴う暴風が吹くと予想される場合 - 大雪
数十年に一度の降雪量となる大雪が予想される場合
津波・火山・地震
- 津波
高いところで3メートルを超える津波が予想される場合(大津波警報を特別警報に位置づける) - 火山噴火
居住地域に重大な被害を及ぼす噴火が予想される場合(噴火警報(居住地域)を特別警報に位置づける)
(注意)噴火警戒レベルを運用している火山では「噴火警報(居住地域)」(噴火警戒レベル4又は5)を、噴火警戒レベルを運用していない火山では「噴火警戒レベル(居住地域)」(キーワード 居住地域厳重警戒)を特別警報に位置づけています。
- 地震(地震動)
震度6弱以上大きさの地震動が予想される場合(緊急地震速報(震度6弱以上)を特別警報に位置づける)
(「特別警報の発表基準について」(気象庁ホームページより))
風水害から身を守るために
普段から備えておく
- 水害ハザードマップで、自分の住んでいる場所が、どの程度浸水するおそれがあるのか把握しましょう。
- 周りより低い場所など、危険な箇所を把握しましょう。
- 避難場所や避難ルートを確かめましょう。
- 側溝や排水溝などにごみや落ち葉は溜まっていないかなど、家のまわりの点検をしましょう。
- 浸水のおそれがある地域や低い土地に住んでいるかたは、土のうなどの準備をしておきましょう。
気象情報に注意する
テレビやラジオ、電話(177)、インターネットなどを利用して、気象庁から発表される警報・注意報などの情報に注意しましょう。
降雨情報
大阪市のホームページで、市内の雨の量などの情報がご覧いただけます。
むやみに外出しない
台風が接近しているときや豪雨のときは、外出しないようにしましょう。やむを得ず外出する際は、気象情報を確認し、少しでも危険を感じる場所には近づかないようにしましょう。特に堤防・海辺・河川への見物は事故のもとです。
風が強いとき
- 路上にいるとき
強風で瓦や看板が飛んだり、街路樹などが倒れたりします。無理して歩かず近くの頑丈な建物に避難しましょう。 - 屋内にいるとき
風圧や飛来物で窓ガラスが割れ、破片が吹き込む危険があります。風が強いうちは窓に近づかないようにしましょう。 - 海辺にいるとき
海への転落や高波に巻き込まれる危険があります。また、高潮のおそれもあるので、速やかに海辺から離れましょう。
大雨のとき
- 川辺にいるとき
上流の豪雨により、川が急に増水する危険があります。川などに近づかないようにしましょう。避難情報が出れば、速やかに建物の3階以上へ避難しましょう。なお、強風や豪雨の時には、防災スピーカーからの避難情報が聞こえないこともあるので、十分に注意しましょう。 - 車を運転しているとき
視界が悪く、ハンドル操作やブレーキがきかなくなることもあるので運転は控えましょう。また、アンダーパスなど道路冠水のおそれがある場所は通らないようにしましょう。 - 路上にいるとき
浸水してきたら、近くの建物の3階以上へ避難しましょう。その際は、なるべく階段を使って上の階へ行きましょう。また、水路・側溝は水量が増して危険ですので、近づかないようにしましょう。
早めに避難しましょう
- 「まだ大丈夫」「自分だけは大丈夫」と思い込まず、早めに避難することが命を守るポイントです。
- 大阪市から避難情報が出れば、ただちに必要な避難行動をとってください。
風水害時に避難するときは
河川氾濫の避難勧告のときの避難の考え方
- 1、2階建ての木造住宅やマンションの低層階など浸水のおそれがある階にお住まいの方→津波避難ビル・水害時避難ビルに指定されている災害時避難所や建物、近くの高い建物に避難
- マンションの3階以上など、浸水のおそれがない階にお住まいの方→自宅の安全な場所で待機し、安全を確保
- 動きやすくて安全な格好で避難
ヘルメットや防災頭巾などで風で飛ばされてくるものから頭を保護し、すべりにくい靴を履きましょう。裸足や長靴は危険です。荷物は最小限に、両手がふさがらないようにしましょう。 - 浸水している状況では近く高い建物に避難
既に浸水しているなかの避難は非常に危険です。まっ暗闇ですでに浸水している場合など、避難所へ行くのが困難な場合は、近くの3階以上の建物に一時避難しましょう。
やむを得ず浸水のなかを避難するときの注意点
- 深さに注意
歩行可能な水の深さは、男性で70センチメートル、女性で50センチメートルが目安です。ただし、くるぶし程度の浸水でも、流れが激しい場合は歩行せず高いところで救援を待ちましょう。 - 足元に注意
水面下にはふたの外れたマンホールや側溝などの危険な場所があります。長い棒などを杖代わりにして足元の安全を確認しながら歩きましょう。 - 一人で行動しない
隣近所に声をかけて集団で避難しましょう。はぐれないように体の一部をロープで結ぶとよいでしょう。 - 子どもや高齢者などへの配慮
高齢者や病人などは背負い、子どもには浮き輪をつけて安全を確保しましょう。
雷から身を守るには
雷鳴が聞こえるなど雷雲が近づく様子があるときは、落雷が差し迫っています。雷は、雷雲の位置次第で、海面、平野、山岳などところを選ばずに落ちます。近くに高いものがあると、これを通って落ちる傾向があります。グランドやゴルフ場、屋外プール、堤防や砂浜、海上などの開けた場所や、山頂や尾根などの高いところでは、人に落雷しやすくなるので、できるだけ早く安全な空間に避難してください。鉄筋コンクリート建築、自動車、バス、列車の内部は比較的安全な空間です。また、木造建築の内部も基本的に安全ですが、全ての電気器具、天井・壁から1メートル以上離れれば更に安全です。
(国土交通省メールマガジンより引用)探している情報が見つからない
