令和6年度 第4回こども・子育て支援会議 こどもの貧困対策に関する推進計画策定部会 会議録
2024年12月23日
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令和6年度第4回こども・子育て支援会議こどもの貧困対策に関する推進計画策定部会 会議録
1日時 令和6年11月27日(水)10時~12時
2場所 大阪市役所 屋上階P1会議室
3出席者
(委員)7名
山野部会長、遠藤委員、加藤委員、北委員、藤井委員、横山委員※、與口委員
※ウェブによる参加
(大阪市)
山口港区長、武市平野区長、高井こども青少年局理事兼こどもの貧困対策推進室長、瑞慶覧こども青少年局こどもの貧困対策推進担当部長、松村こども青少年局子育て支援部長、久保こども青少年局企画部こどもの貧困対策推進担当課長、中村こども青少年局企画部企画課長、友清こども青少年局企画部青少年課長、小山こども青少年局子育て支援部児童支援対策担当課長、神尾こども青少年局子育て支援部保健副主幹、久山こども青少年局子育て支援部こども家庭課長、片岡教育委員会事務局指導部首席指導主事兼中央こども相談センター教育相談担当課長、東川政策企画室企画部政策企画担当課長※、西田市民局ダイバーシティ推進室雇用女性活躍推進課長、阿部福祉局総務部経理・企画課長代理、近藤福祉局生活福祉部生活困窮者支援担当課長、片桐健康局健康推進部健康施策課長、岡田都市整備局企画部住宅政策課担当係長※、本教育委員会事務局教育事業推進担当部長兼第1教育ブロック担当部長、こども青少年局こどもの貧困対策推進担当部長、伊藤教育委員会事務局総務部教育政策課長、関谷教育委員会事務局指導部首席指導主事、松田教育委員会事務局学校運営支援センター事務管理担当課長
※ウェブによる参加
4議題
(1)「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)」案について
(2)その他
5議事録
〇大迫こどもの貧困対策推進担当課長代理
皆様お待たせいたしました。定刻となりましたので、ただ今から、第4回「こども・子育て支援会議 こどもの貧困対策に関する推進計画策定部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては大変お忙しい中、御出席いただき、誠にありがとうございます。本日司会を務めさせていただきます、こども青少年局企画部企画課こどもの貧困対策推進担当課長代理の大迫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。まず、本日の出席者につきましては、お手元に配付しております委員名簿及び本市出席者名簿のとおりでございます。なお、横山委員におかれましてはウェブでのご出席となっております。横山委員、音声は届いておりますでしょうか。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。また、本市出席者の一部につきましては、現在別の公務が重なっており、終了次第こちらの会議に出席させていただく予定です。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。本日、7名中7名の委員にご出席をいただいておりますので、定足数を満たしておりますことをご報告いたします。
それでは開催にあたりまして、こども青少年局こどもの貧困対策推進室長の高井から御挨拶申し上げます。
〇高井こどもの貧困対策推進室長
こどもの貧困対策推進室長の高井でございます。計画策定部会開催にあたり、一言御ご拶申し上げます。皆様にはお忙しい中、本日ご出席いただき、誠にありがとうございます。また、日頃より本市の様々な施策にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。本日は、第4回の策定部会となります。8月にご提示しました、「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)」について、皆様からいただいたご意見を反映した計画案を作成いたしましたので、内容について確認いただき、ご議論いただきたいと思います。特に、支援を必要とする方々に必要な支援を届けるためのアクセシビリティの観点など、議論の中でいただいたご意見等を踏まえて、新しく重視する視点を追加させていただいたほか、計画のもと実施していく施策の中身や目標についても改めてご提示させていただきます。本部会での確認の後、こども・子育て支援会議に報告し、市民の皆様へのパブリック・コメントを実施する予定としております。委員の皆様方には、それぞれの専門分野から、忌憚のない御意見を賜り、計画をより良いものとしていきたいと考えております。活発なご議論をお願い申しあげまして、私の挨拶とさせていただきます。
〇大迫こどもの貧困対策推進担当課長代理
それでは議題に入ります前に、本日配付しております資料の確認をさせていただきます。なお、事前に資料をお送りさせていただいておりますが、その後若干修正等がありましたので、本日はお配りさせていただいている資料をご覧いただきながらご議論いただければと思います。よろしくお願いいたします。それではまず、「第4回こども・子育て支援会議 こどもの貧困対策に関する推進計画策定部会 次第」と記載したレジュメでございます。次に、資料1といたしまして、「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)の骨子(案)について」、資料2として、「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)案」、資料3として、「次期計画における計画の目標の設定について」、資料4として、「令和6年度計画策定スケジュール(予定)について」となってございます。その他、本日追加資料として、山野部会長から資料を1枚配付いただいております。なお、前回までの資料をフラットファイルに綴って委員のみなさまの机上に置かせていただいておりますので、適宜御参照いただければと存じます。不足している資料はございませんでしょうか。ありがとうございます。
それでは、以後の会議の進行は山野部会長にお願いいたしたいと存じます。山野部会長、よろしくお願いいたします。
〇山野部会長
皆さん、おはようございます。今日は大阪の貧困調査について一言お話ししたいと思います。この調査は、こどもの特別支援ニーズに関する学会や公衆衛生学会など、さまざまな場で注目されています。コロナの影響についても、シンポジウムで議論されることが多いです。帰りにお持ち帰りいただければと思いますが、この貧困調査を2回実施し、国の関係者を交えた大きなコンソーシアムの大会を今年の2月に開催しました。今回のご案内はその第2弾となります。昨日も文科省に別件で呼ばれて行ってきましたが、自治体の皆さんにとっては、補助金や制度が非常に助けになると思います。こども家庭庁や文部科学省も大阪に来てくださるので、貧困問題がこの会の重要なテーマであることを紹介させていただきました。
本日の議論は、調査結果を踏まえて施策をどう作っていくかを考える重要なものになると思います。皆さんの忌憚のないご意見をお待ちしております。それでは、まずは議題1の「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)案」について、事務局からご説明をお願いします。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
こども青少年局企画部こどもの貧困対策推進担当課長の久保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
資料1及び資料2により説明させていただきますので、合わせてご覧ください。
本日は、「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)」の案についてご議論をいただきたいと考えております。この間、本計画策定部会において6月から8月までで3回の会議を開催し、昨年度実施いたしました「子どもの生活に関する実態調査」の結果から、本市の現状と課題を整理し、それに対してこどもの貧困の解消に向けて目指していく計画の基本理念や、取り組んでいく施策体系、新しく計画に目標を設定していくことなどについてご説明させていただき、ご審議いただいてきたところです。本日は、前回までにいただいたご意見等を踏まえ、次期こどもの貧困対策推進計画の全体案を取りまとめましたのでご確認いただきたいと思います。本日いただいたご意見を踏まえまして、こども・子育て支援会議に報告の上、12月には広く市民の皆様へのパブリック・コメントを実施し、2月、これが最後の部会になる予定でございますが、また改めてご確認いただき、最終、こども・子育て支援会議で内容を確定させるというスケジュールで予定させていただいております。説明につきましては、前回ご意見等をいただいて修正させていただいた点や、新しく追加した点、初めてお示しさせていただく点を中心にご説明をさせていただきます。
それでは、資料1をご覧ください。「(仮称)大阪市こどもの貧困対策推進計画(第2期)の骨子(案)」でございます。本日、主にご説明させていただく部分についてですが、2ページをご覧ください。第2章計画の基本的な考え方について、1の基本理念は前回ご議論いただいておりますので、2重視する視点、3施策体系、4計画の目標と指標、3ページに移りまして、第3章主な取組についての部分を、資料2、資料3により、ご説明させていただきます。資料2の47~48ページをご覧ください。今回、基本理念のもとに、「重視する視点」という項目を新たに設けさせていただいております。この項目につきましては、もともと現計画にはあったものです。前回までの資料にあります、「計画の概要版」の資料をご覧いただけますでしょうか。第1回策定部会の資料4-2、右上に【概要版】と記載された資料になります。4ページから5ページの見開き部分、上の方に、重視する視点として6つの視点を掲載しておりますが、(3)から(5)については、個別のニーズを抱えた対象者への支援の必要性として、主な課題や個別の施策に記載する内容と重複するような部分もあったこと、また、(1)、(2)と(6)については、新たな基本理念に包含されるものとして、次期計画においては削除する旨、第2回策定部会においてご説明させていただいたものです。一方で、前回與口委員をはじめ委員の皆様から「支援を必要とする人に必要な支援を届ける」にはホームページに事業の内容を掲載するだけでは不十分であり、誰もが事業などを知ることができ、利用しやすくする必要がある、つまり、アクセシビリティの確保が重要ではないかといったご意見をいただきました。施策1~4の続き、施策5として設定することも検討いたしましたが、アクセシビリティの確保につきましては、一部の施策、事業にだけ必要な視点ではなく、全ての施策に通じて必要な観点でございますことから、まさに重視する視点ではないか、という結論に至りました。そのため、元々の重視する視点6項目のうち、基本理念に包含されるとしていた、施策全体にかかる項目である、(1)、(2)、(6)とともに「アクセシビリティの確保」を加え、重視する4つの視点とさせていただいたところです。
なお、元々ございました(1)、(2)、(6)も、こども大綱等を勘案して表現を修正しておりますので、簡単に内容をご説明いたします。
改めて、今回の資料2の47ページをご覧ください。重視する視点の、1つめといたしましては、「こども・若者が幸せな状態で成長できるための支援の推進」でございます。貧困と格差の解消を図ることは、良好な成育環境を確保し、すべてのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸せな状態、ウェルビーイングで成長できるようにするための前提であるとして、取組を進めていく旨を掲げております。
次に2つめとして、「切れ目のない支援の推進」でございます。こどもは、乳幼児期から学童期、思春期、青年期における様々な学びや体験を通じて成長し、若者として社会生活を送るようになります。貧困の状況にある者の妊娠から出産まで、そしてそのこどもがおとなになるまでの家庭の各段階における支援が切れ目なく行われるよう、施策を推進していく旨掲げております。
そして、3つめとして、「社会全体で取組みを推進」でございます。こどもの貧困は、家庭の自己責任としてのみではなく、社会全体で受け止めて取り組むべき課題であるとの認識のもと、家庭、学校園、児童福祉施設、企業、地域などの社会のあらゆる分野のすべての人々が相互に協力し、社会全体でこどもの貧困の解消に向けて取り組みという旨を掲げております。
最後に4つめは、「アクセシビリティの充実」でございます。こども・若者や子育て当事者に支援を届けるにあたっては、そもそも支援が必要な状況であることが自覚できていない、相談先や利用できる資源の情報を知らない、知っていたとしても手続きが複雑で難しいといった課題があるほか、SOSを発しても周囲が受け取れていない場合があることにも留意する必要があるとして、そのため、こども・若者や子育て当事者に必要な情報や支援が届くよう、いろいろな方法により利便性の向上に取り組んでいく旨掲げております。以上4つが「重視する視点」となります。これら4つの視点を重視して、こどもの貧困の解消に向けた対策を推進してまいりたいと考えております。
次に、施策体系につきましてご説明させていただきます。
資料2の48~49ページをご覧ください。施策体系として、現計画と同様に4つの施策により計画を進めていくことについて前回ご説明させていただきました。内容については変わっておりませんが、≪施策1 学びの支援の充実≫につきまして、前回の議論においていただいた、「質の高い教育」が何を指すか分かりにくいといったご指摘を踏まえまして、下から3行目の「質の高い教育」の前に「幼児期から高等教育段階まで」との文言を追加させていただいております。
また、49ページの≪施策3 生活基盤の確立支援の充実≫につきまして、最初に「こどもの貧困は家庭の自己責任ではなく、社会全体で受け止めて取り組むべき課題ではありますが」とあった記載を削除させていただいております。その部分については、施策全般に関わるため、先ほどの重視する視点(3)の中に「こどもの貧困は、家庭の自己責任としてのみではなく、社会全体で受け止めて取り組むべき課題である」とこどもの貧困解消法の文言に合わせて修正した上で、記載させていただいております。
次に、ページを1枚めくっていただき、施策体系の中身となります。4つの施策の中で、具体的に取り組んでいく内容を示すものとなります。51ページからが詳細の内容となりますのでご覧ください。また、これに基づく具体の事業の内容は、58ページ以降に記載しております。具体の事業については、今後令和7年度から実施する事業などを加えていくため、現時点のものとなっております。各事業については数も多いため個別の紹介は省略させていただきますが、のちほどご確認いただければと思います。
それでは各施策の中身を説明させていただきます。51ページをご覧ください。四角囲みの中ですが、施策1では「学びの支援の充実」として、「家庭の経済状況が理由で学校生活が制約されたり進路が狭まったりすることなく、すべてのこどもが、夢や希望を持ち、挑戦できるよう、将来の貧困の予防や、教育の機会均等を保障する観点から、こどもが安心して多様な体験や遊びができる機会や、学習する機会を確保できるよう取り組むとともに、適切な進路選択ができるよう取り組みます。」具体的には、その下の(1)「幼児教育・保育の無償化と質の向上を図」ってまいります。幼児期の教育・保育は人格形成の基礎を培う重要なものであることから、幼児教育・保育の質の向上に加え、家庭の経済状況に関わらず、質の高い幼児教育・保育が受けられるよう、経済的な負担軽減に取り組みます。
そのほか、(2)「一人一人の状況に応じた学力向上の取組の推進」では、児童・生徒一人一人のそれぞれの抱える課題や実情に応じたきめ細かな指導や継続的な支援を行うことを通じて、学習意欲の向上や学習習慣の定着を図るための取組を充実するなど、学力の向上に取り組みます。
また、(3)「学びを保障し、望む進路の選択ができるよう支援」では、不登校やいじめ、対人関係や学習・進路などの様々な悩みや課題を抱えたこども・若者が存在する中、そこに至る原因や背景は多様化・複雑化していることから、引き続き相談しやすい体制の充実を図るとともに、学校や区役所、関係機関等がより緊密に連携し、適切な支援や、望む進路の選択ができるよう、きめ細かな相談支援に取り組みます。
次のページの(4)「多様な体験や学習の機会の提供」では、多様な体験や学習の機会を得るようにするため、取組を進め、こども・若者が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けることができるよう取組を推進します。
施策2は「家庭生活の支援の充実」になります。こどもの育ちには保護者・養育者の育ちも必要です。子育てと家庭教育の双方の観点で、こどもとともに育つ保護者・養育者への支援・応援をきめ細かに行い、そのウェルビーイングと成長を全ての人で支えることが重要です。
また、子育て当事者が、身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てることができ、どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持つことができるような支援が必要です。そのため、家庭の経済状況やこども・若者を取り巻く家庭環境にかかわらず、こども・若者一人一人が健やかに成長できる養育や教育環境が整えられるよう取り組みます。具体的には、(1)として「子育て家庭における養育や教育を支援」してまいります。在宅で子育てをしている家庭を含め、すべてのこどもと家庭を対象として、個別ニーズに応じた様々な子育て支援を充実させていく必要があるため、各区保健福祉センターにおいて、子育てに関する総合的な相談や支援を行うとともに、身近な地域において適切な相談や支援が受けられるよう取り組みむとともに、周知・啓発を図り、家庭において発達段階に応じた適切な養育や教育ができるよう支援してまいります。
また、(2)の「こども・若者や子育て当事者の健康を守る取組を推進」については、妊娠期から子育て期に至るまでの様々な機会を捉えて支援が必要な方を早期に把握し、こどもや子育て当事者が必要な支援や医療を受けられるよう関係機関と連携して取り組むとともに、思春期特有の悩み等についての相談体制を確保し、生命の尊さや性への正しい理解を深めるため、家庭、学校、地域等が連携して思春期の健康を守る取組を推進します。
次のページの(3)では、「ひとり親家庭等、特に支援が必要な家庭を支援」するとして、ひとり親家庭が抱える様々な課題や個別ニーズに対応するため、各家庭のそれぞれの状況に応じて、必要な支援につなげることができるよう当事者に寄り添った支援の充実を図ります。また、養育費に関する相談支援や取決めの促進について強化を図ること、さらには、予期せぬ妊娠等に悩む妊婦等に対しての、妊娠期から寄り添った相談支援等を行うとともに、とりわけ行政とのつながりが希薄であることが課題となっている若年のひとり親家庭に関しては、孤立を防ぎ、確実に必要な支援や行政サービスにつなげることができるよう施策の充実を図ります。
次に施策3「生活基盤の確立支援の充実」についてです。経済的困窮は、こどもの貧困問題の根幹にある課題であり、現在の貧困を解消するとともに将来の貧困を防ぐため、経済的に厳しい状況が見られるひとり親世帯など個々の世帯の状況に応じた生活基盤の安定を図るための支援が必要です。そのため、就業支援や仕事と子育ての両立支援、各種サービスの自己負担の軽減を含む経済的支援の充実に取り組むとともに、各種支援制度を必要とするこども・若者、子育て当事者に、より効果的・確実に届くように取り組みます。具体的には、4つの取組がありますが、(1)では「就業の支援」として、ひとり親世帯や、若者、生活上の困難を抱える子育て当事者など、それぞれの状況に応じたきめ細かな就業支援、情報発信の強化に取り組みます。
次のページ(2)「施設退所者等の自立の支援」では、児童養護施設等の退所児童は様々な事情により、職場の人間関係や金銭関係等の課題を抱える場合が多く、また、母子生活支援施設を退所した母子についても、DV被害や児童虐待により心理的なケアを必要とする母子の割合が高く、生活自立が困難、対人関係が苦手などといった課題を抱えたまま短期間で退所し、退所後も養育環境の見守り支援が必要な母子も増えているといったことがあるため、これらの施設の退所者が自立できるよう、相談支援等の取組を推進します。
また、(3)「仕事と子育ての両立」については、子育て世帯においては、収入面だけではなく、家庭で家族がゆとりを持って接する時間を確保することが、こども・若者の健やかな育ちには欠かせないことから、仕事を無理なく継続できるよう、多様なニーズに対応する子育て支援サービスや学齢期の放課後活動の充実など、仕事と子育てを両立できる環境づくりに取り組みます。
さらに、(4)では、「経済的な負担の軽減」について記載しております。本市では、国の制度に加えまして、こども医療費助成や保育料の負担軽減、学校給食費の無償化など、様々な子育てに伴う経済的な負担軽減に取り組んでおります。しかしながら、実態調査におきまして、ライフラインに関わる生活上の困難の経験に比べ、こどもにできなかった経験、いわゆるはく奪指標の改善の割合が小さくなっている傾向が見られたことなどから、家庭の状況に関わらず、すべてのこどもが夢や希望を持ち、挑戦できるよう、子育てや教育に関する経済的な負担の軽減に引き続き取り組みます。 最後に55ページをご覧ください。
施策4「つながり・見守りの仕組みの充実」となります。社会構造の変化に伴い、人と人とのつながりや地域コミュニティが希薄化し、周囲との交流がなく、社会的に孤立する傾向はこども・若者や子育て当事者にも広がっています。社会的に孤立すると、必要な支援を届けることが難しくなることから、貧困が連鎖する要因ともなります。そのため、学校園や地域、関係機関との連携により、困難な状況にあるこどもを早期に把握し、当事者に寄り添いつつ、プッシュ型・アウトリーチ型の支援を届けるとともに、こども・若者や子育て当事者が地域で孤立することなく、安心して暮らすことができるよう取り組みます。また、地域において、こども・若者や子育て当事者を支援するため、様々な活動主体が取組を行っており、活動のさらなる活性化が図られるよう取り組みます。具体的には、(1)「こども・若者や子育て当事者のつながりを支援します」、また、(2)「社会全体でこども・若者や子育て当事者を支援する取組を推進します」とありますが、特に(2)では、本市では、支援が必要なこどもや家庭を発見し適切な支援につなぐ仕組みとして、平成30年度から大阪市こどもサポートネットをモデル7区で実施し、令和2年度からは全区展開しています。これまでも、学校と区役所の協働でアセスメントを行い、適切な支援につないでいますが、問題が複合的に絡み合っており、課題解決に至らない世帯も存在するため、さらに利用可能な支援先をもれなく提供し利用につなげるとともに、これまで以上にきめ細やかな充実した寄り添い型の支援を行えるよう、サポート体制の充実を図ります。
また、すべてのこども・若者や子育て当事者が、身近に安全に安心して過ごせる居場所を持つことができるよう、社会全体で支えていくことが必要なため、こども食堂など地域の居場所の自主的・自発的な活動が安心・安全に取り組まれるよう引き続き側面的支援を行うとともに、こども・若者や子育て当事者とこども食堂等の活動団体が、お互いに安心してつながることができるよう、広報・周知活動の充実を図ってまいります。以上が、「重視する視点」、「施策体系」と「主な取組」の内容となります。
〇山野部会長
ご説明ありがとうございました。議論に入る前に、この部会については公開することを決定していますが、本日は傍聴希望者の方はいらっしゃいますか。
〇大迫こどもの貧困対策推進担当課長代理
本日は、傍聴希望者の方はいらっしゃいませんでした。
〇山野部会長
ありがとうございます。それでは、一旦ここで区切らせていただいて、議論をしていきたいと思います。ただいまの重視する視点と施策体系のところまでで何かご意見があるという方はいらっしゃいますでしょうか。
〇藤井委員
3点あるのですが、よろしいでしょうか。まず、47ページの「社会全体で取り組みの推進」についてです。先ほど気になったのは、4行目にある「こどもの貧困は家庭の自己責任としてのみではなく」という部分です。この表現だと、家庭に最も責任があるように受け取られかねません。計画の意図に反する可能性があるので、誤解を与えないように表現を変更すべきだと思います。
次に、2点目ですが、53ページの「就業を支援します」の部分についてです。ここには子育て当事者の就労支援と若者への就業支援という2つの要素が含まれています。その2の「施設退所者等の自立を支援する」という箇所についてですが、4行目に「施設退所後の相談支援の充実に取り組みます」とあります。相談支援だけでなく、企業の協力が重要だと思います。これからは企業の社会貢献が求められ、多様な人材の雇用条件を整備する中でこの問題も考えるべきです。企業との連携を表現として加えると良いのではないでしょうか。
最後に、3点目は55ページの「つながり、見守りの取組の充実」の部分です。ここでは教育、福祉・健康、地域の三者の連携が強調されており、とても良いと思います。囲みの4行目にある「そのため、学校、園や地域、関係機関との連携によって」という箇所にも、福祉と健康を明記して、三者連携が中核であることをはっきり示すと、全体の表現がより一貫すると思います。以上、3点になります。
〇山野部会長
はい、細かく見ていただいてありがとうございます。ご意見も感謝いたします。それでは、話が広がりすぎないように、藤井委員がおっしゃったことに関連する意見がありましたら、まずここでお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。
まず1点目は、自己責任の表現についてです。2点目は、54ページにある生活基盤の確立に関して、企業の協力をもう少し明確に記載すること。そして3点目は、連携する機関、つまり教育や福祉、保健の3者連携を明確に書くことについてです。この3点について、まず1点目についてご意見はありますか。実は私も先ほどから携帯で調べてみました。すみません、私の意見としても、同じ意見です。先ほどのご説明の中で、法律の条文に合わせたとおっしゃっていましたが、解消法の捉え方としては、「自己責任ではない」という考え方が広まっています。有識者のコメントでも、社会全体で受け止めることが重要なポイントとされています。法律の通りに事務局としては考えられたと思いますが、明記してしまうと誤解を招くかもしれません。私もこの部分が気になったので、同じように引っかかる方が市民の中にも多いのではないかと懸念しています。この解消法の大きなポイントは、「自己責任ではなく」という部分だと思います。それをどのように表現するかについて、私も同じ意見です。条文は確かに「自己責任のみではなく」となっているので、法律からそのまま引用したということであれば、事務局のおっしゃっていることは理解できます。事務局の意図は、第一義は親と強調したいわけではないと思いますので、その部分が誤解される可能性があると感じます。1点目についてはよろしいですか。では、2点目についてご意見いかがでしょうか。
〇與口委員
この点に関しては、全くその通りだと思います。企業にも取り組みを求め、これからの5年間で企業が、急速にその方向にシフトしていくことは間違いありません。理由の一つは労働力不足があるからです。企業は、特定の人だけを採用するのではなく、採用の枠を広げる必要に迫られています。ダイバーシティ&インクリージョンへの戦略的な取組、とも言えます。ですので、その点を明記していただくことで、むしろ企業を後押しすることになると思います。私はこの意見に賛成です。
〇山野部会長
ありがとうございました。私も後で述べようと思っていたのですが、與口委員のご意見に大賛成です。先ほど申し上げたプラットフォームで、皆さんと集まって議論しようというのは、公衆衛生学会に参加しておられるお医者さんとつながっている企業が、社会課題を当然のこととして捉えているからです。これらの企業は、薬剤関係や実験系の企業であり、無料で参画するという基盤があります。私もいろいろな分科会で質問しましたが、企業が社会課題として捉えていることがわかりました。しかし、残念ながら、私がプラットフォームを立ち上げて企業の皆さんを巻き込もうとしているのは、教育の分野では営業がこどもの数だけ利益になるという考えがあるからです。私は日本学術会議の委員も務めていますが、ギガスクールで学校に投入されるアプリなどが、営利目的に走ってしまう企業もあるのではないかという議論があります。そのため、企業を巻き込んでやっていくには、貧困の調査を報告したり、情報を共有することが大事だと思います。この点に関しても、雇用の分野では発達障がいの理解が進まない限り、なかなか対応が進まないかもしれません。ぜひ、企業の協力と理解を幅広く求めることが必要だと思いました。ありがとうございます。
では、3点目の関係機関との連携、具体的に教育、福祉、健康、医療・保健を明記するのはどうだろうというご意見でした。ここについてはどうでしょうか。
〇横山委員
保健の専門家として、ぜひここに福祉・保健を含めていただければと思います。保健師が関わる場面が多いと拝見しましたし、その他の福祉関係の方も入られるはずです。明記していただくことで、全体の整合性を取っていただければ非常にありがたいです。ありがとうございます。
〇山野部会長
ありがとうございます。1点、私が気になったのは、例えばハローワークなどの就労部門についてです。これについてはどうでしょうか。少し気になりました。
〇藤井委員
ここは「繋がり、見守り」ということでしたので、先ほどの学校、教育、福祉、地域に加えて関係機関も含まれます。地域生活課題という観点から言えば、社会福祉上の地域生活課題には、保健、医療、福祉だけでなく、居住、教育、そして先ほどの就労も含まれますので、これらの言葉を並べても良いのではないでしょうか。
〇山野部会長
ありがとうございます。この見守りの部分で、高校年齢のこどもが中退して就職に繋がる際、若者支援に繋がって働くことが難しいという現状があります。特に若者年齢、中学、高校生は、就労に関してこども・若者支援対策推進法で動いてはいるものの、貧困の若者がそこでつまずき、次のステップに進めないという問題が大きいと感じました。ですので、3つプラス就労という形でこの問題をどのように取り入れるか、事務局で検討していただけるとありがたいです。それでは、他の視点でいかがでしょうか。
〇横山委員
最近、不登校が増えておりますが、大阪市でも同様の状況が見られるかと思います。不登校に対する支援は、どの部分に含まれているのでしょうか。たとえば、不登校のまま高校を中退したり、中学に行かなくなった場合、就労支援だけでなく、さまざまな支援が必要になると思います。隙間支援として、必要な支援をどのようにされるのかをご教授いただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
〇山野部会長
ありがとうございます。それは、不登校支援が重視する視点と施策体系の中でどこに当てはまるのか、という意味でよろしいでしょうか。
〇横山委員
はい。例えば、53ページの括弧3の部分に「特に支援が必要な家庭」と書かれていますが、そこに含まれるのか、または「多様な体験や学習の機会を提供する」という部分に含まれるのか、どのように今後施策として支援されるのかを教えていただければと思います。
〇山野部会長
ありがとうございます。では事務局、お願いします。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
ご質問ありがとうございます。事務局からお答えいたします。まず、施策体系についてですが、「施策1
学びの支援の充実」の中の括弧3、「学びを保障し、望む進路の選択ができるよう支援します」という箇所が、主に不登校に関する施策となっています。ご質問の具体的な事業については、63ページの一番下にある「不登校児童・生徒支援の取組」で説明されています。例えば、「登校支援室『なごみ』の運営」や、次のページに進んでいただくと、「校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)のモデル設置」、さらに「大阪市教育支援センター」「不登校児童通所事業」「メンタルフレンド訪問援助事業」などが含まれています。また、61ページの「相談しやすい体制の充実」というところには、まず「こどもサポートネット」について記載されています。また、悩みがある場合のスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用、教育相談の充実についても触れられています。そして、高校中退者への支援策も、この部分に含まれます。以上でございます。
〇山野部会長
ありがとうございます。現在の大きな課題になります。昨日、こども家庭庁や文科省とお話ししたときも、不登校がどの自治体でも、そして国全体で最も重要な課題となっていることを改めて感じました。それに関連して、先ほどのご回答の3番の「学びを保障し、望む進路の選択」という部分が、まさにこの問題に対応するための取り組みなのではないかと考えています。また、施策4の「繋がり、見守りの仕組みの充実」にも関係してくると思いますし、この施策体系のあちこちに関連しているのではないかと思っています。つまり、学びの保障だけにとどまらないということですよね。横山委員の意図としては、不登校という課題を重点的に施策体系の中で具体的に打ち出すべきだという意見という理解でよろしいですか。
〇横山委員
見える形で示していただけると、さらに理解しやすいかと思いましたが、ご説明のおかげでとてもよく分かりました。現在、学校教育を画一的に受けるだけでなく、フリースクールなどの支援があります。フィンランドでは、高校や中学を卒業すると、手に職をつける学校に進むか、アカデミックな分野に進むかを選べる仕組みがあります。日本でも、その子の才能を伸ばせるような仕組みがあるとありがたいと感じています。このような方向性が含まれるのであればとても嬉しいですし、このままでも大丈夫です。ありがとうございます。
〇山野部会長
ありがとうございました。私も同じ意見です。同じ意見として、前段の課題として挙げられるのか、あるいは横山委員がおっしゃったように、不登校は様々な場で明らかになりつつあり循環しています。現在、不登校は特定の難しさを抱えたこどもたちだけでなく、親のリストラやコロナ後の親の精神疾患など、幅広い要因で増えています。昔と比べて問題が広がっていることは、現場の先生方が一番よくご存知だと思います。その結果、不登校からニートになり、働けなくなり、貧困に陥るという循環が起きているのです。私は数値をデータから出しており30パーセントが循環してしまっています。このような循環を社会課題として前段に取り上げ、施策がそれを網羅していることが分かると良いと思います。先ほど課長の説明では、様々な要素を網羅しているとのことでしたので、一つの施策だけではないと感じました。全体に含めることができればと思います。ご検討ください。他に何かご意見はありますか。
〇遠藤委員
54ページの「(2)施設退所者等の自立を支援します」の部分についてですが、先ほど就業支援についての話が出ていました。この「自立を支援する」という中に、退所児童の就業支援が含まれているのかどうか、気になります。児童養護施設の退所児童は非常に複雑な課題を抱えており、進学したくてもなかなかできなかったり、働いても長続きしなかったりと、さまざまな課題を抱えています。退所後に再び児童養護施設に相談に来るこどもが多いかというと、措置が切れた段階でつながりが途切れてしまうこどもも多いのが現状です。自立を支援するという部分について、実際に養護施設の職員から聞くところによると、入所児童の対応で精一杯で、自立支援が十分にできているかというとできておらず、自立支援という言葉だけが先行している現状があります。そのため、具体的な支援につながる取り組みがあれば良いと考えています。また、母子生活支援施設についてですが、心理的なケアが必要な母子が増えています。これは児童養護施設のこどもにも同様に必要なケアです。母子生活支援施設を退所した後も、親子が近隣に住むことが多く、こどもが学校を変わらずに済むようにしています。退所した母子に対しても支援できるような具体的な取り組みがあるのか、教えていただけるとありがたいです。
〇山野部会長
遠藤委員、ありがとうございました。今、施策体系の意見をいただいて、この後、具体的な計画のところでご説明があるので、そこでされますか。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
具体的な個別の事業についての説明は、今回は省略させていただこうと思います。すみません。遠藤委員からご質問があった点に関しましては、資料2の74ページに記載されています。たとえば、「社会的養護自立支援拠点事業」の項目では、退所して就職した児童が社会生活への適応を容易にするため適切な指導や助言を行うことが示されています。また、一番下の部分には母子生活支援施設についての記載があり、その辺りになります。
〇遠藤委員
ありがとうございます。53ページに「就業を支援します」という言葉がありますが、54ページの施設退所者の自立に関する部分には、就業支援があまり含まれていないように感じられます。53ページの1の部分に含まれているのか、またそれが施設退所者にも適用されているのか、その点について教えていただければと思います。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
含んでいるイメージで記載させていただいております。
〇山野部会長
ありがとうございます。54ページについての意見としては、施設退所者についてもう一歩踏み込んで明記した方が良いのではないかというご意見ですか。
〇遠藤委員
そうですね。そのように思いました。就業のことに関しては特に問題ありません。
〇山野部会長
ご意見と捉えて、また検討していただくということで、ありがとうございました。他、委員の皆さんよろしいでしょうか。
〇横山委員
もしよろしければ、もう1点お話しさせてください。53ページの(3)の部分についてですが、「予期せぬ妊娠等に悩む妊婦に対して」というところで、このような妊婦さんを把握することは実際難しいことが指摘されています。出産前に把握することが重要ですが、人によっては異なる場合もあります。こうした方々を早期に把握するためには、医療機関との連携が必要だと思います。先ほど、福祉と保健を含めるという意見が出されましたが、医療機関も含める必要があるかもしれないと考えています。ご検討いただければと思います。
〇山野部会長
ありがとうございました。「保健・医療機関」という形で出したらどうでしょうか。先ほども少し申し上げましたが、そのように考えています。他にご意見はございますか。加藤委員、北委員、いかがでしょうか。
〇北委員
53ページの部分で少し気になるところがあります。「若年のひとり親家庭に関しては孤立を防ぎ」という点ですが、若年ひとり親家庭については、こどもが小学生以下であることを指しているのでしょうか。私たちの団体では、小学生以下のこどもがいる家庭を「若年ひとり親家庭」と呼んでいます。また、孤立は若年ひとり親家庭だけでなく、ひとり親家庭全体の問題であると考えています。
〇山野部会長
親がですね。親が若年、10代の親がすごくしんどいというところ。
〇北委員
そうですね、その点が少しわかりにくかったです。この言葉だけを聞くと、「若年ひとり親家庭」というのは、通常、小学生以下のこどもがいる家庭を指しているという認識があります。私たちの団体では、全国的にそのように理解していますので、そこに違いがあるのかなと気になりました。
〇山野部会長
その限定はいいのでしょうか。この「若年の」をつけるという。
〇北委員
「若年でひとり親になった方」ということですよね。ですから、その点をもう少し分かりやすく書かれていると良いのかなと思います。
〇山野部会長
ありがとうございます。それでは、今のは別の意見として受け止めますが、このように限定してもよいのでしょうか。ひとり親家庭全てではないでしょうか。
そんなことはないですか。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
実態調査の結果の中で、ひとり親家庭の若年層について分析を行っています。そこで、行政とのつながりが他と比べて希薄であったことを踏まえまして、このように記載にさせていただいております。
〇山野部会長
「特に」などを入れられるとか。ひとり親家庭全体にされると思うが、ここだけにするように見えてしまいます。
〇久山こども家庭課長
こども家庭課長です。この実態調査の中で、若年で親になった方の課題が、前回、柱にもあったと思います。そこと合わせる形で、とりわけつながりが希薄であることが見えていましたので、そういった文脈で記載させていただいていますが、もう一度表現を工夫したいと思います。ひとり親家庭全体も大事ではありますが、重点を置く部分としてこのように記載しております。
〇山野部会長
なるほど。ありがとうございました。本当に10代の親は非常に課題でした。大阪市は特にクリアに見えていたので、打ち出されたっていうのはすごくいいことだと思います。
〇加藤委員
失礼します。特定の部分ではなく、全体的に感じたことは網羅的に書かれていて、大きな抜け落ちはないと思います。ただ、私が気になったのは幼児期の教育についてです。もう少し厚みのある内容を書かれた方が良いのではないかという思いがあります。小学校以降の具体的な施策は充実していますが、幼児期の施策については、例えば保育料の無償化などがありますが、こども青少年局では全戸訪問を実施されていることなどを、もっと前面に出しても良いのではないかと思います。ただ、幼稚園や保育所には私立も多く、把握しづらい部分があるのは事実だと思います。 しかし、幼児期からのサポートが将来につながっていくのではないかと思います。私自身具体的な提案はありませんが、厚みのある施策内容が文面に出れば良いのではないかと思います。他にも51ページの「幼児教育・保育の無償化と質の向上」の部分ですが、質の向上と無償化だけで終わっています。もう少し厚みを持たせることで、一連の流れとして貧困対策として捉えやすくなるのではないかと考えています。これは私の感想として受け取っていただければ結構です。以上です。
〇山野部会長
ありがとうございました。私も親支援プログラムを長年行っており、現在はそれを基にNPOを立ち上げ、赤ちゃんの全戸訪問を4ヶ月で行った後、すぐにプログラムを受け入れられるようにしています。このプログラムを再委託して自治体で動かしているところもあります。今おっしゃられたように、次へのステップへの取っかかりになっています。赤ちゃんを抱えるお母さんが様々な情報を得て、次のステップに進めるようにするものです。大阪市でもそのような取り組みをされていると思いますので、こうした内容を厚みとして織り込むことができないかと私も考えました。親が親として成長していくことの手助けも含めて行われていると思いますので、はい。
〇藤井委員
具体的にどのように記載を変えるかということはさておき、加藤委員の意見には大賛成です。少し余談になりますが、私が地域福祉で取り組んでいる社会福祉施設の連絡会では、最も重要な点として保育園の参加があります。そこで、こどもの問題が幼児期から早期に発見されることが可能になります。これまでは保育園の中で問題が閉じ込められていましたが、社会福祉に繋がることで早期発見が可能となっています。何を言いたいかと言いますと、全世代型社会保障や社会福祉が言われている中で、赤ちゃんから幼児期をしっかりと支援することが、全世代的な社会福祉の充実に繋がるという大きな観点からも重要です。どこをどう変えるかというよりは、この議論については賛成ということで意見しました。
〇山野部会長
ありがとうございます。皆さんと深い議論ができると、事務局は困られるかもしれませんが、すごく勉強になると思います。ありがとうございます。今の話で言えば、「つながり・見守りの仕組みの充実」といった部分が、乳幼児からのつながりを明記し、見える化されているかどうかを後でチェックしていただけたらと思います。藤井委員の意見で言うと、重層支援がこども領域ではなく、高齢者中心に始まっている現状があります。しかし、ある市では、こどもの方が成功しやすく、重層支援もみなさんがイメージしやすく、参画する人が多いとの意見が出されています。乳幼児期から地域とつながっていくことを読み取れるように記載できると良いと思います。ありがとうございました。たくさん意見が出ましたが、最後に、今のつながりのところで55ページの下から2行目に企業やNPOと書かれています。冒頭の藤井委員の2点目の話とも重なりますが、ちょうど山口区長が来られて、NPOや研究とリンクさせながら、私もJST(国立研究開発法人科学技術振興機構)の補助金を受けてスクリーニングYOSSを開発してきました。同じように、発達障がいのこどもたちの支援ツールやデジタル保健室のことで、山口区長のところに行ったと話をされていましたけれど、デジタル技術を用いて、企業やITを活用しながら支援を行うこと、また発見するだけでなく、支援メニューにもデジタルを取り入れ、企業と共同で進めていく体制があると良いと思います。どのように表現するか検討が必要ですが、これだけでは少し弱い印象があります。昨日も東京のある中学校に行って、多くの企業と連携して取り組んでおり、それによってこどもたちの学力が上がり、不登校が減少しているという結果を出されていました。そういう意味で、デジタルや企業と連携しながら進めていけるような間口を広げることができればと思います。ここは施策案ですから、具体性がなくてもいいかと少し思いました。お願いします。それでは、すいません。たくさんご意見をありがとうございました。先ほどの資料の途中だったんですけど、次の計画の目標と指標以降について、事務局からご説明をお願いします。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
それでは、続きまして、計画の目標と指標についてご説明させていただきます。まずは、目標の設定につきまして、資料3の2ページをご覧ください。前回策定部会でご説明させていただきましたように、次期計画においては、新たに数値目標を設定したいと考えております。目標設定の考え方としては、計画の基本理念の実現に向け、支援を必要としている人に必要な支援が届いているか、家庭の経済状況によりこどもの生活が制約されることなく夢や希望を持ち挑戦できているかといった観点で、貧困対策の計画としてどのような状態を「めざす姿」として設定すべきかを検討しました。その上で、めざす姿の達成度をみるための項目として、一番近いと考えるものを実態調査等のアンケート項目から設定し、令和10年度実施予定の次回の実態調査等において達成状況を確認したいと考えております。前回お示しさせていただいたこども食堂などの利用状況を含み、今回4つの目標を設定いたしましたので説明させていただきます。
それでは、1枚めくっていただき、1つめ「こども食堂などの利用状況」でございます。左側が、本市における困窮度別に見たこども食堂などの利用状況、右側が内閣府の同様の調査の結果となっております。こども食堂などの利用率は、全国と比べると高い傾向にあることがわかります。しかしながら、利用したことはないが、あれば利用したいと回答した層が存在していることから、こども食堂等の地域資源の利用を希望している層が確実に利用に繋がるよう、困窮度Ⅰ~Ⅲの層の利用状況を設定していきたいと考えております。左上の図にありますとおり、今回の実態調査で、困窮度Ⅰであれば一番左の13.2%がこども食堂などを「利用したことがある」と回答していますが、その右側に17.2%の「利用したことがない(あれば利用したい)」と回答したこどもの割合があるため、この合計した30.4%が困窮度Ⅰにおけるこども食堂などの利用を希望しているこどもであり、この30.4%のこどもが利用できる状態を目指し、目標値として設定したいと考えております。困窮度Ⅱ・Ⅲについても同様の考え方で目標値を設定してまいります。
次に、4ページをご覧ください。2つめ「平日の放課後におけるこどもの過ごし方」についてでございます。実態調査においては、「授業以外の勉強時間」や「読書時間」は、困窮度が高くなるにつれ、「まったくしない」と回答する割合が高くなっており、「学習理解度」についても、困窮度が高くなるにつれ「よくわかる」と回答した割合が低くなっておりました。そのような状況の中、こちらに掲載しているように困窮度が高くなるにつれ、「塾」や趣味などを含む「習いごと」で過ごすと回答する割合が低いといった傾向が見られました。そこで、経済的な状況にかかわらず、塾や習いごとに行きたいと思う人が行ける状態を目指して、目標値を設定したいと考えております。目標値の考え方ですが、左の表の「塾」の一番上、中央値の割合が36.1%となっており、困窮度ⅠからⅢの方が、中央値以上の方と同様の数値になることを目標として、この数字を目標値として設定したいと考えております。習いごとについても同様の考え方で38.5%を目標値として考えております。
次のページを御覧ください。こちらは実態調査の結果をもとに、塾や習いごとをしている経験の差による、こどもたちが普段考えていることや体・気持ちの状態にどのような影響を与えているか、について『大阪市総合教育センターシンクタンク統括室』でさらに詳細に分析を進めた結果となります。資料の上の真ん中辺りに塾や習いごとに行っていない児童生徒、塾や習いごとに行っている児童生徒とあり、数値が下に並んでいます。これが、塾も含めた、スポーツや英会話・そろばん等の、習いごとをしていますかという質問に対し、「している」と回答した児童生徒グループと、「していない」と回答した児童生徒グループで、左側にある各質問項目に「はい」と回答した割合を出したものになります。一番上の項目でいいますと、「自分に自信がある」と回答した割合では、塾や習いごとに行っていない児童生徒グループでは、47.6%なのに対して、塾や習いごとに行っている児童生徒グループでは、61.9%が「自分に自信がある」と回答しています。これを、塾や習いごとに行っていること(要因)が、どのくらいその「自分に自信がある」とする回答に影響しているかを示しているのが、違い(オッズ比)と書かれた数値になりますこの数字が1より大きくなればなるほど、ある要因(習い事に行っている)が特定の結果(自分に自信がある)に与える影響が大きいことを示しており、「自分に自信がある」というのが、1.79と最も高く、関連の程度が大きいということになります。逆に、「やる気が起きない」という項目が一番下にありますが、塾や習いごとに行っていない児童生徒の73.7%、塾や習いごとに行っている児童生徒では66%が「はい」と回答しています。塾や習い事に行っている児童生徒が、「やる気が起きない」に「はい」と回答した割合は低くなっていることが表れています。真ん中の違い(オッズ比)が1に近い「いらいらする・よくかゆくなる・歯痛」のところは、塾や習いごとの有無にかかわらず、「はい」・「いいえ」の回答の割合が同じくらいなので塾や習いごとに行っているかどうかはあまり関係がないということになります。つまり、「塾や習いごとに行っているかの有無」がそれぞれの質問の回答で「はい」か「いいえ」と答える確率にどのように影響するのかを示したものとなっており、先ほど説明させていただいたとおり、この結果、「塾や習いごとに行っているこどもが自分に自信があると回答する確率が高い」など、自己効力感や自己有用感等にも良い影響を与えているものであると考えられることから、塾や習いごとに通う割合により、目指す姿について測っていきたいと思います。
次に、6ページをご覧ください。3つめとしまして、「養育費の受領状況」についてでございます。国において、令和13年時点での養育費の受領率目標を、養育費の取り決めの有無に関わらない受領率として40.0%、うち養育費の取り決めがある場合の受領率を70.0%と設定しており、この国の目標を達成できるよう、令和11年時点での目標値を定めることとして、養育費の取り決めの有無に関わらない受領率については、36.3%、うち養育費の取り決めがある場合の受領率を66.4%としたいと考えております。なお、この目標は、現在別途策定している次期「大阪市ひとり親家庭等自立促進計画」においても目標値として設定される予定と聞いており、本計画においてもこれに準じて設定してまいりたいと考えております。そのため、こちらの数値につきましては、大阪市ひとり親家庭等実態調査における数値によって確認してまいります。養育費は、こどものためのものであり、こどもにとって不利益が生じることのないよう、こどもの最善の利益を考慮しながら、取組を進めてまいります。
次に7ページをご覧ください。4つめ「就学援助」に関しての目標となります。左上の図にありますとおり、困窮度別に見た就学援助の受給状況は、困窮度Ⅰ群で23.8%、Ⅱ群で37.6%が、「利用したことがない」という状況でした。右上の図、利用しなかった理由として、「制度の対象外だと思うから」の割合が最も多い理由になっていますが、「制度を知らなかった」の割合が困窮度Ⅰ群では4.1%、Ⅱ群では0.9%と、割合としては低いものの一定数見受けられたところです。そのため、困窮度Ⅰ群において、「制度を知らなかった」、「手続きがわからなかったり、利用しにくい」と回答した割合をあわせた12.9%を現状値としまして、制度周知の充実の効果を反映し、知らないと回答した4.1%相当分を改善していきたいと考えております。困窮度Ⅱ群においても同様の考え方で設定してまいりたいと考えております。
最後に8ページに4つの計画の目標についてまとめたものを記載しております。以上、令和10年度に実態調査を行う際に確認して、目標数値を達成したかどうかを確認してまいりたいと考えております。
続きまして、資料2の56ページをご覧ください。先ほど説明させていただきました計画の目標について記載しております。
次に、57ページをご覧ください。指標につきましては、現計画と同様にこども・若者や子育て当事者の置かれた状況等を毎年度把握するため指標を設定しております。前回お示しさせていただきました指標から、いただいた議論内容等を踏まえまして、一部変更しております。変更箇所としまして、小学生の「「自分には良いところがあると思いますか」に対して肯定的に回答する児童の割合」、中学生の同じ項目と、「「将来の夢や目標を持っていますか」に対して肯定的に回答する生徒の割合について」につきましては、前回の部会では、本体の「大阪市こども計画」で把握される予定であることから貧困の計画では削除とする方向で案をお示しさせていただきました。しかしながら、非常に重要な指標であることから、本体計画で把握していたとしても、貧困計画の方でも把握するべきではないかと御意見を複数いただきましたため、本計画においても指標として把握することとさせていただきます。次に社会全体の指標として、実態調査において居場所の認知度が課題となっていたことから、「子育て世帯におけるこどもの居場所の認知度」に変更すると説明させていただいておりましたが、こどもの貧困対策として、現計画でも指標としていた「こどもの貧困問題について関心がある市民の割合」については非常に重要な指標であるとの御意見をいただきましたことから、次期計画においても引き続き指標として把握していきたいと考えております。そのため、前回お示しした25の指標に加えて、3つの指標を設定したことにより、合計28の指標となっております。
続きまして、58ページから82ページは第3章の主な取組として、先ほどの施策に基づく個別の各事業の内容を掲載しております。施策を説明する際に申し上げましたように時間の都合上事業数も多いことから各事業の内容についての説明は割愛させていただきます。なお、現在は各区の実情に応じて取り組まれている各区役所の事業は掲載できておりませんが、今後、親計画と合わせて各区に事業照会させていただき、令和7年度からの新規事業も合わせて掲載させていただく予定としております。
それでは、次の説明に移らせていただきますので、少しページを飛ばしていただき、資料2、83ページを御覧ください。第4章「計画の推進にあたって」でございます。こちらにつきましては、前回策定部会でお示しさせていただきましたが、その際に、「企業等との連携」に関しましてご意見をいただいたことから、3「関係機関との連携」に(2)として新たに「地域や企業等との連携」として、「こどもの貧困は、社会全体で課題を解決するという認識のもと、行政だけでなく地域や企業、民間団体等と連携・協働を図り、こどもの貧困に対する理解を促進し、ともに支援に取り組んでいきます。」との記載を追加させていただいております。84ページ以降につきましては、参考資料としまして、用語の説明や図表目次を更新しておりますほか、今後実施する、パブリック・コメント手続きの実施結果などを掲載する予定としております。説明につきましては以上となります。
〇山野部会長
はい、ありがとうございました。それでは、皆さんに今の説明に対してご意見をいただけたらと思います。25分ぐらいを予定しています。
〇藤井委員
この4つの指標についてですが、目標の設定が非常に具体的な調査データに基づいている点は素晴らしいと思います。ただ、4つのうち、こども食堂に関して少し気になる点があります。一つお聞きしたいのは、こども食堂に対して行政から助成が行われているのでしょうか。助成があるとすれば、どのような趣旨で行われているのかを教えていただきたいです。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
直接的な運営経費の助成は行っておりませんが、社会福祉協議会がネットワークを作って活動しています。例えば、こども食堂や企業などが参加しています。このネットワークに対して、お米などの物資を提供し、社会福祉協議会を通じてこども食堂等に配布しています。このように、側面的な支援を行っています。もう1点、大阪市としては、必要とする小学校区にこどもの居場所を少なくとも1つは開設することを目標としています。まだ開設されていない小学校区があるため、そこの小学校区で新たにこども食堂等を始める場合、最初の備品購入などに対し、上限30万円の補助をしています。
〇藤井委員
質問した理由は、他の3つは機関の目標設定ですが、この第1番目のこども食堂は住民の活動の目標設定であり、住民の活動は自発的なものです。そこに施策意図を入れると、施策が資源化につながる恐れがあると考えています。別に反対しているわけではありませんが、こども食堂の活動には様々な思いがあり、貧困のこどもを支援したいと考えている活動者もいると思います。もしこれが目標設定される場合、例えば社会福祉協議会の職員に対して、こども食堂を運営する住民に、何パーセントの貧困のこどもが参加するように努力してほしいと要請することになると、趣旨が変わってしまうのではないでしょうか。こうした目標を住民の自発的な活動に組み込む際には、施策としてどのように考えるのかを明確にする必要があると思います。この自発性を尊重しつつ、どのように普及させるかについて、しっかりと考える必要があると感じています。これに関しては、どのようにお考えでしょうか。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
ご意見ありがとうございます。藤井委員からのご指摘についてですが、この資料を作成するにあたり、市の社会福祉協議会とも意見交換を行いました。地域の自主的な活動であることについて、まさに同様のご指摘をいただきました。こども食堂等は、貧困家庭だけでなく、誰もが集まる場となることを目指しています。そのため、事務局としても、困窮度に応じて区別せず、全体として利用率を上げることを考えています。この点については、再度検討させていただきます。
〇藤井委員
そこの危うさについて、十分に議論していただけるといいかなと思います。ただ、調査を行い、統計を出していくこと自体は良いことだと思いますので、調査項目はしっかりと設定していただければと思います。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
困窮度は把握しながらということですね。
〇藤井委員
そうですね。
〇北委員
今のこども食堂についてですが、データはとても分かりやすくまとめられていると思います。ひとり親家庭の方々からいくつか意見がありました。現在、こども食堂は月に1回や2回の開催が多いですが、貧困家庭のこどもたちがお腹を空かせているときに、月に2回だけで十分な支援ができるのか疑問に思っています。開催回数をもっと増やせないか、という声もあります。また、居場所づくりとしても活動を頑張っており、こども食堂だけでなく、こどもたちの居場所を提供することも大切だと考えています。その中で食育の支援も考えながら進めていってほしいと思います。特に夏休みには学校給食がないため、こども食堂の役割が重要になります。しかし、月に1回の開催では、毎日の支援が足りないのではないかと心配しています。大阪市がどのようにサポートしているのか、意見を求められることもありますので、その点についてもご検討いただきたいというのがひとつです。
それと、塾代助成についてですが、大阪市では5年生か6年生が対象になっていますよね。ですので、現在はここに書かれていませんが、小学生全体を対象にした場合の施策も考慮に入れないと、分かりにくい部分があると思います。対象は小学生全員ですか。所得制限はありますか。
〇山野部会長
ありがとうございます。最後のご質問については、塾代助成は施策に入っていますよね。塾代助成をされているから、この目標を立てておられるっていうことかなと思っていますが。
〇友清こども青少年局企画課青少年課長
対象は小学5年生から中学3年生までです。所得制限は、この10月から撤廃されましたので、全員が対象となります。
〇山野部会長
先ほど北委員に表現について意見をいただきましたが、一部の数値を目標値として挙げることが適切かどうか、という新たな疑問も出てきました。この点について、いかがでしょうか。ご意見を伺いたいです。また、具体的な数値がある方が良いと申し上げたのですが、もう一点、塾の件について少し懸念があります。これだと、「塾や習い事に行きなさい」と言っているように見えてしまうのではないかと感じました。どう思われますか。
〇加藤委員
こどもの居場所という点と、塾の役割について考えると、特に貧困度が高い場合には低学力の問題があるため、その解消のためにこういった提案がなされているのだと思います。しかしながら、塾というと、私たちの世代では進学塾のイメージが強いですよね。ただ、困窮度の高いこどもたちにとっては、低学力をどうボトムアップするかが重要だと思います。その点で、どのくらいの塾がそのような支援を行っているのかが気になります。区役所でも、放課後の学習支援事業のような形で、低学力のこどもたちを支援する事業を行っていると把握しています。そういった取り組みは良いと思います。また、習い事についても、具体的にどのようなものが含まれるのかを教えていただけると良いかと思います。委員の皆さんも、何が習い事に該当するのか、あまり理解していないかもしれません。そのあたりについてもお聞かせいただければと思います。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
習い事にはさまざまな種類があります。例えば、現在ではダンスなどを習っているこどもも多いと思います。習い事はかなり多様化しており、昔の習字やそろばんといったイメージから趣味的なものまで幅広く含まれています。そのため、塾とは異なるものだとご理解いただければと思います。
〇加藤委員
ただ、アンケートを取った際に、塾代助成に該当しないという回答も結構あったと思います。その辺りについて、助成が該当するように間口広げるなどの対策を考えておられるのでしょうか。
〇友清こども青少年局企画課青少年課長
今、4,000を超える事業者に登録していただいているのですが、すべての習い事教室が登録されているわけではないので、例えば自分が通っている教室が登録されてないというような場合は、リクエストをいただきましたら、その事業者に働きかけて参画していただくようにというようなことでの働きかけは行っております。ただ、事業者の主体的な判断で登録していただくので、そういう意味では、登録されないという事業者が一定数はいらっしゃいます。
〇山野部会長
ありがとうございます。行政が取り組んでいる塾代助成についてですが、リクエストに応じて広く対応していることが、より明確に見えると良いかと思います。そうでないと、一部の企業だけがメリットを得ているように見えてしまう可能性があります。そのあたりをもう少し見せられると良いのではないかと感じました。例えば、先ほどの話に関連して、困窮度についてのデータを示していただいたことで、塾代助成の有意差が分かりやすくなりました。しかし、こども食堂や居場所に通うこどもたちが自己効力感や学力を向上させているというデータもあります。そのため、塾という方向だけでなく、市民も参画できる居場所や学習支援も含めて「塾」と考えるべきではないかと思いました。市民活動で学習支援をしている方々や、こども食堂での学習が、自己効力感や学力向上に役立っているという調査結果もあります。塾を調査している人が少ないため、こうした市民活動も「塾」として含めるのか、検討されるのはどうでしょうか。また、塾代助成の幅を広げ、市民活動も含めて助成の対象とすることで、より多くの方に支援の意義が伝わるようにするのもいいのではと思います。すみません、このように考えました。
〇瑞慶覧こどもの貧困対策推進担当部長
先生方がおっしゃっているように、「平日の放課後におけるこどもの過ごし方」について、塾や習い事を目標に設定することで、行政が塾や習い事を推奨しているように見えるのではないかという点は、内部でも多く議論しました。ただ、現在では、進学するこどもの一部だけが通うものではなく、幅広い趣味の習い事もあり、ある程度一般的になっています。そのため、4ページに記載されている「目指す姿」を重視し、経済的な状況によって行けるかどうかが左右されないようにしたいという行政の思いを伝えるため、あえてこのように設定しています。地域の自主的な社会資源の利用状況を見ながら、②では、趣味の習い事を含めた学習機会の確保という観点から、塾も含めて経済的な理由で差が出ないように設定しています。
〇山野部会長
ありがとうございます。そうすると、目指す姿や実態調査のアンケート項目について、もう少し幅広い内容を含んでいることを明記していただけると良いかもしれませんね。
〇瑞慶覧こどもの貧困対策推進担当部長
ありがとうございます。もう少し、こちらの数値目標の意図が正しく伝わるように、文言を追記させていただきたいと思います。
〇與口委員
まず、48ページにあるアクセシビリティの充実についてですが、これは本当に重要な視点だと思います。記載いただき、ありがとうございます。次に、今議論している4つの指標の設定についてですが、これらの指標を見たときに、貧困対策に関してのレベルの指標が1と3であり、「反貧困の戦略」に相当するのが2と4だと感じました。学びのステージにも遅れずに対応していると思います。こども食堂は「対策レベル」では非常に重要な役割を担っています。しかし、経済界的な問題意識からすると、こども食堂をどれだけ支援し、充実させたとしても貧困対策や解消にはつながらないという意見もあります。その理由はいくつかありますが、突き詰めると「効率が悪い」ということです。「食堂」といっても毎日開催することは難しく、月に数回というレベルでしか運営できません。また、どれだけ貧困層のこどもが利用しているか把握は難しいです、強引に利用状況を把握しようとすれば、それ自体かえってスティグマを与えてしまう可能性があります。ただし、これは経済界や企業が、子ども食堂を否定しているわけではありません。こども食堂への支援は大事ですが、これだけで企業が満足してしまってはいけないと思います。
実は、貧困の原因を作っているのは、今の経済のあり方であるという議論が同友会の中で行われています。「こどもの貧困とは、すなわち、大人の貧困に原因がある」と。私たちはその点をシビアに見ています。また、行政がどんどんこども食堂を増やしていきましょう、というのも違うと思います。よくある話として、夏休みが明けるとこどもが痩せてしまうという問題があります。それが本当に重要であれば、税金を使って夏休み中も給食を提供するべきではないか、という意見もあります。これは本来、国が取り組むべき問題です。実際には、本当に注力すべきはそちらであるにもかかわらず、こども食堂への期待が大きくなりすぎているのではないかと、企業の担当者も気づき始めています。したがって、もっと別の視点から、真に課題の解決に資する取り組み、本当にソーシャルインパクトを生み出す取組みとなるものは何かを考えることが重要だという問題意識があります。指標を選定する意義は、そこにあると思っています。目標達成をするために単に子ども食堂の数を増やしていくというのは良くないと思うんですね。食堂の設置、運営はできる範囲で良いのではないかと思う。継続できることが大事ですね。困っている子を発見し、次の支援に繋げるきっかけとなる場としてこども食堂があるのであればすごく重要ですし、そのために利用者数を増やしていく、あれば行きたいと思ってもらうことには、当然意義があると解釈をしました。こどもの貧困という社会課題解決のために、必要なことは、先程申し上げた「大人の貧困」の解消であり、もう一つは、「教育・学習」です。習い事も大事なことですよね。学びのステージから落ちてしまうと、結局進学できず、就職する力を身につけられないまま、将来的には生活保護の対象になってしまうのは良くありませんし、社会資源の無駄にもなります。それは人権の問題でもあります。そうならないように後押しすることが大切です。この点で、塾や習い事が重要です。塾も多様化しており、進学塾だけではありません。みんなが習い事に行っているのに、自分だけ行けないのは、自己肯定感を下げてしまう可能性があります。そこで、この指標の設定は、そのような点に着目しているのだと思います。つまり、これは行政が、塾に行けと言っているわけではなく、学びや社会とのつながりを支援するためのものです。塾代助成については、その利用率が困窮度によって異なっており、困窮度が高いほど利用率が低いという点です。そのため、この利用率に着目し、改善を図ることが重要だと思います。塾に行っても、自己肯定感が下がってしまう場合があります。激しい競争を小学校の間に経験し、中学受験後に自信を失ってしまうことが、私たちの委員会で議論になっていました。最高峰の大学に行くことが重要なのではなく、きちんと高校を卒業して職業に就けるようにすることが大切です。小学校のときには、小学校の勉強のために塾に通うことが理想的です。現在の状況では、教育熱心な富裕層の方々がどんどん学力に投資してしまいます。そのため、社会全体の底上げを図るために、塾に行くことを支援するのが行政の役割だと言っても、社会的なコンセンサスを得ることができると思います。だから、指標を変えるなら、もしできない理由があるならば、このままで良いと思いますが、学びのステージでこどもをしっかりと育成していることを図ることは、重要な指標だと思います。これは本当に反貧困戦略の一環ですね。
また、重要なのが「4就学援助を利用しない理由」についてです。これも非常に大切で、まさにアクセシビリティの問題です。久保課長がご説明されたように、最近では、ベンチャー企業に対し、行政が社会課題を積極的に提示し、解決策を募るという動きが定着してきています。大阪では、京橋のNTT本社にあるクイントブリッジという施設で、京都市や高知県が自分たちの行政課題をプレゼンしています。そこに解決のエッセンスを持ったスタートアップや既存企業の社員が集まり、プレゼンを聞いてソリューションを提供する動きが出てきています。ただ、まだまだこれは本当に社会課題ですか?といったレベルのものも混じっているという印象を私は持っています。それらに比べ、今日の資料の④の部分について、この数値を達成するためにはどうしたら良いかをプレゼンすれば、民間企業、スタートアップは大いに動くと思います。連携というのは、どうしても事業化して予算がないと難しいですが、連携の前に交流というステージがあるのでマーケットサウンディングと位置づけて、活用するのが良いと思います。「こういった社会課題がある。その解決にむけ、この指標を設定し、この数値を上げたい、あるいは減らしたいと考えている。この数値の改善はデジタル技術で改善可能なのか、具体的にどのような方法があるのか、その根拠も含めて教えてほしい。また、費用についても知りたいのですが、どのくらいかかるものでしょうか?」といったマーケットサウンディング的な対話から始めるのも良いと思います。アクセシビリティ向上の話があるので、4.1%の改善方法を考える段階から、そちらの方向にシフトするのが良いかもしれません。ここで得た経験は他の施策にも横展開が可能です。また、ソーシャルな企業が大阪に多く進出していることは、大阪の都市としての強みになると思います。ぜひこの方向で進めていただければと思います。その意味で、この4つの指標を設定することに意味があると考えています。以上です。
〇山野部会長
ありがとうございました。最後の話はすごく面白いと思います。ただ、行政がそこに一歩踏み込むのは
なかなか難しいかもしれませんが、ぜひそのようなことに繋がるまとめになれば嬉しいと思います。ありがとうございました。
〇藤井委員
先ほどのコメントで、こども食堂が貧困対策にはならないという意見がありました。それはまさにその通りだと思います。北委員が指摘されたように、頻度からしても住民活動には限界があります。しかし、こども食堂は貧困対策そのものではなくても、そのこどもたちを含めて、こどもの孤立状況から地域の共同性を育む、ある意味では、こども中心の社会関係資本を広く築くための基盤となっているのです。その中に貧困状態にあるこどもたちも含まれており、先ほどの自己肯定感の育成などの効果を得ることができます。この点が、この指標の最も重要な部分です。したがって、こども食堂をこの指標を使って評価する際には、そうした趣旨をしっかりと抑えていただくことが非常に重要だと思います。
〇山野部会長
ありがとうございました。先ほど申し上げたアンケート項目の上に、ソーシャルキャピタルを広げることや、與口委員が言われた社会に押し出すという役割、塾との連携などを表すキャッチを趣旨が分かるように加えたら良いと思います。また、與口委員がおっしゃったように、塾代助成を使っている人の中でも、困窮度の高い人たちが利用できていないという結果が明確に出ているので、困窮度の高い層が塾代助成を利用する割合を数値目標に加えるのが良いのではないかと思います。例えば、④の就学援助と同じように、行政として困窮度の高い人が支援を受けられるようにすることは重要です。
もう一点、こども食堂に行けばすべて解決するわけではなく、社会とつながり、地域が豊かになることが重要です。この点で、こどもサポートネットや先ほどの施策4がいかに重要かが示されています。しかし、現在の指標には、右側の「サポートネットに繋いだ割合」以外に具体的なものがありません。時間がないかもしれませんが、つながりを測る指標をもう一度検討していただけたらと思います。また、わたしがお配りしたこの資料はこどもサポートネットの有用性を示しています。例えば、不登校の割合が全国的に増加している中で、大阪市では全国的な5倍に対して1.8倍に留まっています。スクールソーシャルワークやスクールカウンセラーの割合も低いですが、2倍に増えています。こうした効果が見えるような指標を定められると良いのではないかと思います。
〇横山委員
山野先生がご指摘くださった点とも少し関連するかと思いますが、施策3のところで、就業支援や児童養護施設等の退所者の自立支援について、相談支援は重要だと思います。その件数を把握できれば、増加しているかどうかで評価できるのではないかと思います。もしご検討いただけるのであれば、そういった指標の目標値を設定することも考えられると思います。目標値を挙げること自体は難しいかもしれませんが、評価を今後進めていくためにも、ご検討いただければと思います。以上です。
〇山野部会長
ありがとうございました。まだまだ皆さんご意見がおありかもしれません。あれば、ぜひ事務局の方にお願いします。それでは、ここで次の議題へ移りたいと思います。最後に、議題として「その他」とありますが、事務局からございますか。
〇久保こどもの貧困対策推進担当課長
今後のスケジュールについてでございます。資料4をご覧ください。表の左から3行目に本策定部会の日程を記載しております。11月の欄に第4回となっており、本日計画案について2回目のご議論をいただいたところです。冒頭申し上げましたが、本日いただいたご意見等を踏まえまして、一番左の支援会議、こちらがこども・子育て支援会議となりますが、別途検討中の「大阪市こども計画」と合わせてお示しすることとしております。その後、12月中下旬よりパブリック・コメントということで広く市民の皆様のご意見を募集するという手続きを実施ししますので、その内容等を踏まえた最終的な案について、2月中旬から下旬で、改めて日程調整をさせていただきますが、第5回策定部会においてご確認いただきたいと思います。そのうえで3月にこども・子育て支援会議において最終案をご審議いただく運びとなっております。以上、今後のスケジュールについてご説明させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
〇山野部会長
ありがとうございました。他に何かございますか。大丈夫でしょうか。それでは、最後走りましたが、本日の議事はこれにて終了させていただきます。
皆さん、本当に活発なご意見ありがとうございました。事務局にお返ししたいと思います。
〇大迫こどもの貧困対策推進担当課長代理
山野部会長、ありがとうございました。
それでは、これをもちまして、第4回こども子育て支援会議こどもの貧困対策に関する推進計画策定部会を閉会いたします。ご出席の皆様、誠にありがとうございました。お忘れ物がございませんよう、お気をつけてお帰りください。
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