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【第76号】「きこえない・きこえにくい子との接し方~もしも身近に聴覚障がいの子がいたら」神戸大学国際人間科学部 河﨑佳子

2019年3月25日

ページ番号:465212

聴覚障がいの子と出会ったら


 補聴器や人工内耳を装用している子どもさんがいたら、オープンな心で、「補聴器つけているのね?」「人工内耳しているのかな?」と、ありのままを話題にしてあげてください。
 そして、どんなふうに話せば一番安心できるのかを尋ね、わからないときや何か変だなと感じるときは、「いつでも、何度でも、遠慮しないで確かめたり、訊きなおしたりしていいからね」と伝えてあげるといいでしょう。

ひと括りにできない「きこえ」~心に留めておきたいこと~


 補聴器や人工内耳を付けているから、きこえるわけではありません。大きな声で言ったら、わかるわけではありません。条件が異なると、きこえ体験はまったく異なります。
 「きこえた?」ではなく、内容が伝わっているかを確認しましょう。「きこえなかったら、言いなさい!」 は意味がありません。きこえないのですから…。
 口形をはっきり、表情を豊かに、簡潔に話しましょう。見えることを保障し、誰が話しているかを明確にしてください。筆談やスマホ利用を厭わずに、情報を保障しましょう。
 うまく伝えることができなかったら、きこえない子どものせいにしないで、こちらのあり方を振り返ってみましょう。

「きこえにくい」と呼ばれる、軽・中度難聴児をしっかりケア!

軽・中等度の難聴児は、きこえる時と、きこえない時のある子どもたち

軽・中等度の難聴児にとって、音声言語は「聴こうと努力しなければ存在しない」もの


 中等度難聴の子どもたちは、補聴器を付けなければ会話の聴き取りが難しいにもかかわらず、身体障害者手帳の交付対象ではありません。これは、静かな対面状況など、一定の条件が整えれば、音声言語を聴き分けることができるので、日本語を獲得できると判断されるからです。でも、騒音や集団の場など、条件が異なれば、ほとんど理解できなくなってしまいます。マスクで口もとが隠れたとたんにわからなくなってしまうとか、先生が黒板の方を向く度に文脈が途切れてしまうなど、実は、口形の読み取りと、補聴器で聴き取る声をセットにして理解しているのです。


 軽・中等度難聴という障害が理解されにくいのは、健聴者と同様に話せることと、きこえる時がある点にあります。でも、生活の中で「きこえない時がある」事実は、もっと強調されなければならないでしょう。でなければ、「きこえていますね」「だいじょうぶですよ」と言われて育つ軽・中等度難聴の子どもたちは、自らが体験する失敗や困惑の意味を自覚できないままやりすごしてしまいます。その結果、曖昧な傷つき体験の蓄積が「心の低温火傷」となってしまうことがあります。ですから、「きこえないこと」に気づかせてあげる心配りも大切な支援なのです。

ふたつの手話


 手話は独自の文法をもつ言語で、音声言語と同じく国や地域によって異なり、方言もあります。日本語や英語など、きこえる人たちにとっての音声言語と同じように、きこえない人たちが共に生きていく過程で、伝える必要性やわかり合いたい要求から生まれたコミュニケーション手段として、手話という映像言語が発達してきたのです。日本で使われている手話言語は「日本手話」と呼ばれます。一方、日本語に合わせて表わす手話を「対応手話」と呼び、日本語を習得した後に手話を学んだ聴覚障害者や健聴者に使われています。
 幼少期から豊かな日本手話に接する環境で育つ子どもは、第一言語として日本手話を獲得します。きこえない子どもにとって、手話での会話は、対等性、同時性、相互性、効率性を最善に保障するコミュニケーションです。そうした言語で養育を開始し、教育へとつなげていくことによって、きこえない子は「全部わかる」体験を知って育つことができます。

目で生きるということ


きこえない人々は、目で生きる人々
きこえない人々にとって自由で安心できることばは、映像言語
きこえない人々の記憶は、映像記憶
“見てわかる”を保障する環境で、養育する! 教育する!
“見てわかる”を保障する環境で、対人関係の力を培う!

きこえない子どもたちが求めるものは…


 きこえない子どもたちは、目で見てわかることを保障してくれる大人が大好きです。
 「きこえないからわからないわよね…」ではなく、「だいじょうぶ!見たら全部わかるからね!」と信じてくれる大人が大好きです。「すご~い!こんなに見てるのね!そこまで見えるのね!」と認めてくれる大人を信頼します。
 そして、目で生きることを保障し、寄り添ってくれる大人から、多くのことを学び、関係を楽しめる存在に成長していきます。

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