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【第102号】「支援学校卒業後も豊かに歩む~『移行期』への支援~その1」 大和大学教育学部 川田 和子

2022年3月17日

ページ番号:549804

家庭から学校へ、学校から社会へ


「卒業おめでとう? いいえ校長先生、これからが大変なんですよ。末永くよろしくお願いしますね。」卒業式の朝、茶目っ気たっぷりにウインクをくれたPTA会長さんの言葉は忘れられません。
障がいのある子どもの保護者は、まず6歳のわが子の進路に悩みます。家庭から学校という社会への初めての環境変化の時期、「第1移行期」と言えます。小学校に入って楽しくやっていけるだろうか?支援学校や小学校の支援学級のほうが子どもの発達の遅れに対応してくれるのだろうか?見学や教育相談を重ね、意を決して支援学校小学部に進むとします。支援学校では知的発達や肢体不自由など子どもそれぞれの障がいの特性を踏まえ、できることを伸ばすきめ細やかな少人数教育が展開され、保護者の多くは一応の満足感や安心感を得られるようです。
問題は卒業後です。高等部に上がると、どうすれば社会へソフトランディングできるか、一人ひとりの強みや弱み、特性や能力を吟味して外部実習を重ねます。学校と子ども(当事者)・保護者がひざを突き合わせてより良い進路選択に挑んでいきます。そんなわけで支援学校高等部の卒業式にはようやく進路選択を成し遂げた達成感と新しい活動の場(就職先や福祉サービスなど)への期待感・不安感が交錯したちょっとハイでナイーブな空気が漂っています。学校から世の中へ、「第2移行期」です。新しい環境にうまくなじめるだろうか?もしすぐやめてしまったら学校の先生はまた相談に乗ってくれるだろうか?

卒業後の人生のほうが長い~離職や転所退所の危機「第3移行期」


文部科学省の特別支援教育資料(H30)によると、ざっくり言えば特別支援学校の卒業生は6割以上が社会福祉施設等に進み(就労をめざす場合と生活介護を受ける場合があります)、3割が就職し、1割弱がその他というイメージです。卒業生数は知的障がいが86%と最多で次に多い肢体不自由が8.5%ほど、あと聴覚障がい、病・虚弱、視覚障がいと続きます。進路傾向は障がい種別によっても大きく違いますが、知的障がい以外の単一障がいであれば最近は就労の可能性が高くなってきました。「障害者就業・生活支援センター」の創設や法定雇用率の引き上げ・拡大など平成年間後半の目覚ましい制度改革や法律の整備に背中を押され、支援学校卒業直後の青年たちに進路選択の幅はぐっと広がってきました。一方で実社会では雇用の流動化が進み最初に就職した職場で定年まで働く人は減ってきました。まして障がいのある人々にとっては最初の職場や通所先(福祉施設等)で定着することのハードルが思いのほか高いのです。2018年度に支援学校8校の同窓会で卒業生にアンケート協力をいただきました。結果、35歳未満の人(若年層)の30%が、35歳以上の人(熟年層)では62%が離職や転所、退所を経験していました。離職や転退所に至った理由は若年層では人間関係の悪化、熟年層では会社の倒産や規模縮小が最多でした。離職や転所退所の危機を多くの卒業生が経験しているのです。誰に相談し、誰が解決に導いたのでしょうか?保護者(親)に相談が43%、家族を含めると50%を超えます。「障害者就業・生活支援センター」や相談支援員、市役所の人など公的立場からの支援が25%です。学校の先生に相談したかった人は8%で、相談できた人はその半分です。相談された保護者(親)の動きは、自分が乗り出して解決した23%、家族内で解決した20%、子どもの通い先に働きかけた20%、「障害者就業・生活支援センター」に相談した17%と続きます。保護者の2/3が自分のネットワークで何とか解決していく、保護者らが通い先と話し合い落としどころを探っているという様子がうかがえます。

(【第103号】「支援学校卒業後も豊かに歩む~『移行期』への支援~その2」につづく)

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