ページの先頭です

【第130号】多様化する進学先~通信制高校の今~ その2 星槎大学大学院 教育学研究科 准教授 土岐 玲奈

2025年3月25日

ページ番号:650485

前回のコラムでは、通信制高校のシステムと特徴についてご紹介しました。

今回は、進路選択のプロセスについて、通信制高校の選び方と、進路について検討する際の親(保護者)子の関わり方についてお話します。

通信制高校を選ぶポイント

まず、あくまで一例ですが、通信制高校を選ぶ際の流れをお伝えします。

手始めに、お住まいの地域で入学可能な学校を探してみてください



インターネットで探したり、合同説明会に参加したりするのも一つの方法です。

地域によって選択の幅はかなり異なるので、選択肢が多い場合には、以下を参考に絞ってみてください。

登校スタイル

希望の学び方や生活スタイルに合った学校やコースを探してみてください。

途中での変更が可能かも含め、自分に合った通学形態を選ぶことが重要です。

校舎やキャンパスの様子

できるかぎり、実際に通う場所の先生や生徒の雰囲気、建物の様子、交通アクセスなどを直接現地で確認しましょう。

学校説明会で在校生が話をしてくれるケースもあります。面接指導の様子も見学できると、学校の雰囲気をより具体的に掴むことができます。

校舎やキャンパスの体制

先の項目と重なりますが、実際に通う場所でどういった支援が受けられるのかを確認することも大切です。

例えば、高校のパンフレットにはスクールカウンセラーがいると書いてあったが、自分が通う場所には来ないといったケースもあります。

卒業のために必要な教育を受けられる場所

面接指導と試験を受ける場所とタイミングもポイントです。

通信制高校やサポート校の校舎等の中には、これらの教育活動を行うことが認められている施設とそうでない施設があります。

また、皆さんが通う場所に、高校の教育を担当できる教員と、担当できない職員が両方いる場合もあります。そのため、面接指導と試験は、いつどこで受けるのか、担当するのは普段なじみのある先生なのか別の人なのかということも確認しておいてください。

費用

コースによって費用が異なる場合も多いので、基本的な学費のほかに、追加でかかる費用がどの程度あるかを確認することも大切です。

なお、サポート校に通う場合、サポート校の費用は就学支援金の対象外です(20253月時点)。高校の費用とサポート校の費用の内訳もしっかり確認してください。


多様な進路の可能性

ここまで、通信制高校についてご紹介してきました。

しかし、進路を通信制高校の中だけで考える必要はありません。



たとえば大阪府には、昼間部のある定時制・単位制の「クリエイティブスクール」があります。また、2026年度には、不登校の生徒を対象とした「学びの多様化学校」の開設も予定されています。

人によっては、高校へ通わず高等学校卒業程度認定試験を受験するのがベストということもあるかもしれません。

この記事を一つの参考としつつも、さまざまな可能性を切り捨てずに考えてみていただけたらと思います。


生徒さんへのメッセージ

もう一つ、最後にお伝えしたいことがあります。

それは、進路選びはコミュニケーションのチャンス、ということです。

あなたが進路について考えているご本人であれば、保護者の方に、自分の考えや思いを伝えてみることをお勧めしたいと思います。それが難しければ、まずは、中学校や、進学したいと思う学校の先生をはじめとする、話を聴いてもらえそうな大人や友人等に話すことも一つの手です。

人に話すのは難しいと感じたら、例えばチャットボットに話してみるのはどうでしょうか。

自分の考えや希望が整理できたら、ぜひご自身の進路選択に関わる保護者の方に、伝えてみてくださいね。

実は、進路選びで一番難しいのは、生徒さん自身が「自分の進路について考えよう」という気持ちになるところです。



あなたは、すでにその大きな一歩を踏み出しています。

不安や疑問はいろいろあるかもしれませんが、自分の気持ちや希望を出発点にして、進路の選択肢を探したり、人に聞いたり話したりしてみてください。


保護者の方へのメッセージ

あなたが保護者の方であれば、まずはお子さんに「どうしたい?」「どう感じている?」と訊くこと。

そして、たとえ「わからない」でも「話したくない」でも、あるいは非現実的な希望でも、無言、無反応であったとしても、お子さんの言葉をさえぎらずに聴く、あるいは言葉にならない思いを想像することから始めてみてください。

そして、進路を決める時には、できる限りご本人の納得する道を選ぶことを「めざして」みていただきたいのです。

実際はなかなか難しくても、意識してめざすことに意味があると思います。

いきなりお子さんと話すのが難しいときには、学校説明会等の場で、先生にお子さんの話を聴いてもらったり、保護者の方の悩みを相談したりすることができる場合もあります。親子のコミュニケーションというのは、関係が近いからこそ難しい時もあります。そんな時には、間に誰かに入ってもらうことが有効な場合が多いようです。


ぜひ、お子さんの進路についてご自身だけで悩みすぎず、お子さん自身が進路を決めるサポートをするという意識で関わってみていただけたらと思います。
とはいえ、サポートするって実は大変です。
そこでたまったストレスを軽減できるような楽しい時間やリラックスできる時間が、保護者の方にもあると良いですね。

生徒さんと保護者の皆様がともに安心して、充実した日々を過ごせる進路が見つかることを願っています。

 


探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当社会教育・生涯学習グループ

住所:〒550-0014 大阪市西区北堀江4丁目3番2号(大阪市立中央図書館4階)

電話:06-6539-3345

ファックス:06-6532-8520

メール送信フォーム

このページへの別ルート

表示