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施政方針演説 要旨(令和5年5月18日市会定例会)

2023年6月9日

ページ番号:600019

 大阪市長の横山です。お許しをいただきまして、市長就任の御挨拶を申し上げますとともに、市政運営の考え方について、その一端を述べさせていただきます。

 

 大阪市は、10年以上に渡り「挑戦」という姿勢で市政が運営されてきたと認識しています。徹底した行財政改革により無駄を無くし、そのうえで前向きに様々な施策を推進してきたことで、市税収入の増加や経済指標の改善など、まちの成長を実感いただける状況となっています。

 

 私はこの「挑戦」を引き継ぎ、誰にとっても暮らしやすいまち、成長・発展を続けるまちを実現したい、こういう強い思いをもって市長に就任いたしました。

 特に、大阪の未来を担う子ども、またその子どもを育てる世帯に重点投資をし、将来にわたり大阪が発展する土台づくりを着実に進め、それとともに、多様な施策を府市一体で戦略的に推進し、大阪の成長をさらに加速させるよう取り組んでまいります。

 誰もがいつまでも住み続けたい「にぎやかで活気あふれるまち大阪」をめざして、市政運営を進めてまいります。

 

 現在の日本は、人口が減少し、出生数も過去最低となるなど急速に少子化が進み、このままではまちの成長どころか、住民生活を支える様々な社会システムにまで影響が及ぶことが危惧されます。

 一方で、子育て・少子化に関しては「子育て・教育にかかる負担が大きい」という声が数多くあり、なかには、子どもが欲しくても、経済的負担や将来への不安から、出産を諦めてしまう世帯も少なくない状況にあります。その課題の解決に向けては、子どもや子育て世帯を社会全体で支え、様々な不安や負担を軽減する必要があります。

 子どもが何人いても、どのような家庭状況であっても、経済的な不安を感じず、等しく、子育て・教育ができる環境を整えるため、将来世代への投資として「日本一の子育て・教育サービス」を実現し、子育て世代に選ばれるまちを実現してまいります。

 

 最優先で取り組むことは、「子育て・教育の無償化」です。

 大阪市では、国に先駆け3~5歳児の幼児教育・保育無償化を進めてきました。その後、国制度が創設され、残るは0~2歳児ですが、所得制限などにより一部の子どものみの無償という状況となっております。社会全体で子どもを育てるという観点から、所得制限のない無償化を現実のものとすべきです。

 待機児童ゼロと両立しつつ、かつ、保育所整備や保育士確保など、待機児童対策を強力に進めた上で、まずは第1ステージとして、第2子以降全員の保育料無償化の実施、そして次のステージとして全ての子どもの無償化、などといった方法がとれないかと考えておりまして、「実現に向けたロードマップ」を早急に策定してまいります。

 あわせて、子育て世帯の経済的負担を軽減し、子どもたちの学力や個性・才能を伸ばす機会を拡大するため「子どもの習い事・塾代助成」の所得制限撤廃をめざします。

 

 子どもが将来にわたり、力強く生き抜き、未来を切り拓く力を身につけるためには、きめ細かな教育が重要です。学力・体力の向上を図ることはもちろんのこと、社会の価値観が多様化する中、一人ひとりの子どもに寄り添えるよう、多様な教育の実施や、大学・企業と連携した取組を実施してまいります。

 また、誰もが安心して平等に教育を受ける権利を守るため、いじめ対策や不登校対策にも力を入れて取り組んでまいります。

 こうした教育活動を円滑に進めるにあたっては、子どもを教育する立場にある教員が、健康で意欲を持ちながら、子どもにしっかりと向かい合わねばなりません。新たに設置する総合教育センターによる支援や、人材確保、事務負担軽減など学校園における働き方改革を推進していきます。

 

 そして、子どもが生まれ育った環境によって、安全・安心が阻害されたり、未来の希望が閉ざされたりするようなことがあってはなりません。子どもを見守り、児童虐待を防止する体制をより一層強化するとともに、多様な主体と連携したこどもの貧困対策や、きめ細やかなヤングケアラー支援についても、引き続き力を入れてまいります。

 

 次に、子どもや子育て世帯だけではなく、誰もがいつまでも住みたい、住み続けたいと思えるよう、暮らしの満足度を向上し、一人ひとりがウェルビーイングを実感できる市民サービスを展開していく必要があります。

 行政オンラインサービスの充実や区役所のデジタル化などDX推進による利便性向上を図るとともに、引き続きニアイズベターの徹底、地域社会の活性化に取り組んでまいります。

 医療や介護に頼らず、いつまでも元気に過ごしていただくため、積極的に特定健診やがん検診を受けていただけるよう健診の受診率向上に努めるなど、健康寿命の延伸を図る取組を進めます。

 たばこは喫煙者本人の健康に影響を与えるだけではなく、受動喫煙により周りにいる人へ健康被害を与えることから、その対策をしっかりと講じていかなければなりません。禁煙をめざす方への支援事業を展開するとともに、令和7年1月の市内全域における路上喫煙禁止に向けて喫煙所整備を計画的に行ってまいります。

 

 また、新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、感染症対策にあたる保健所の体制が分散化・狭隘化し非効率な状況にあることから、今後起こりうる新たな大規模感染症の発生も見据え、令和7年度を目途に保健所庁舎を移転・集約していきます。

 

 真に支援が必要な方を支援するため、必要性・緊急性の高い方が概ね1年以内に入所できるよう特別養護老人ホームを計画的に整備するとともに、住吉市民病院跡地に建設する新病院での診療や研究をはじめとした認知症対策等の推進、重症心身障がい児への支援など、高齢者や障がい者の方々に、しっかりとサービスが届くよう取り組んでまいります。

 

 さらに、子育てと介護が同時に行われるダブルケアのような新たな課題や、原油価格・物価高騰など市民生活に著しい影響を及ぼす事象等に対し、スピード感を持って必要となる支援を行っていきます。

 

 市民の皆さまの生命と生活を守るため、いつ起こるか分からない大規模災害に備えて、地域と連携した防災対策やICTを利用した情報収集・発信を行うなど、防災力の強化を図ります。

 

 今、大阪のまちは大きく変わりつつあります。

 府市一体による成長戦略のもと、様々なプロジェクトが動き出し、民間の市域への投資も活発になってきました。今まで述べてきた市民サービスを安定して行うことができるのも、大阪の成長があってこそです。

 

 令和7年4月には「2025年日本国際博覧会」が開幕します。

 この大阪・関西万博は、大阪のみならず日本の経済成長の起爆剤と期待されており、地元自治体として、国や府、経済界、博覧会協会等と連携し、成功に向けて全力で取り組んでまいります。

 そのためには、まず一層の機運醸成を図ることが極めて重要となります。テーマへの認知度や来場意向度などを高めるため、官民で連携し、国内外へ情報発信や、大阪全域でのプロモーション活動等を展開していきます。

 また、夢洲におけるインフラ整備をはじめ、万博会場までの快適なアクセスルートの整備や主要集客エリアにおける魅力向上など、環境整備を着実に進めてまいります。

 

 万博そのものの成功はもちろんのこと、万博を一過性のイベントで終わらせず、その成果を今後のまちの発展や都市格の向上につなげていかなければなりません。

 SDGs先進都市やゼロカーボン社会の実現、大阪ヘルスケアパビリオンを活用した夢洲2期のまちづくりなど、万博で得られたソフト・ハードのレガシーを後世に引き継いでまいります。

 

 あわせて、これまで府市一体で進めてきた成長戦略の取組もさらに加速させ、万博の成功のその先にある大阪経済のさらなる発展をめざしていきます。

 まずは、大阪の拠点創出に注力し、これまでのキタ、ミナミに、ヒガシ、ニシを加えたエリアで、多くの人が集まり、活気にあふれ、魅力あるまちづくりを進めてまいります。

 そのなかで、ニシのベイエリアでは、先月、国においてIR整備にかかる区域認定が行われました。今後は関係事業者と連携し、世界最高水準の成長型IRの開業をめざすとともに、万博跡地活用など夢洲2期のまちづくりとあわせた観光拠点化を進めてまいります。

 一方で、区域認定時に国から示された課題には真摯に対応し、なかでもギャンブル依存症対策としては、今後設置を進める「大阪依存症センター」を中心に、総合的な支援体制の強化・拡充を図るなど、その対策に力を入れてまいります。

 

 ベイエリア以外でも、うめきた2期、大阪城東部地域のまちづくり、御堂筋の空間再編・なんば駅前広場の整備などを計画的に推進するとともに、関西経済をけん引できるよう広域的な観点に立ち、なにわ筋線や淀川左岸線2期事業など、交通ネットワークの整備を着実に進めてまいります。

 

 こうした拠点づくりにあわせ、国内に加え経済波及効果の高いインバウンドも対象として誘客を促進するなど、芸術・文化・スポーツを柱とした観光施策の展開や、民間の優れたアイデアを活用した魅力ある公園づくりを進めます。

 

 次に、イノベーションのさらなる創出に向けて、大阪の強みを活かした国際金融都市の実現や健康医療産業の振興、さらにはスーパーシティ構想の推進を図るとともに、中小企業の振興として、大阪産業局と連携した施策の展開、ベンチャーやスタートアップの創業等を支援します。

 

 このような取組の先に、日本の成長や、首都機能のバックアップを担い、東西二極の一極となる「副首都・大阪」の実現を図ります。

 「副首都ビジョン」をオール大阪の羅針盤として、私自身がリーダーシップを発揮しながら、大阪府とともに強力に取組を進めてまいります。

 

 次に市政改革について。

 本市財政は、今年度予算において通常収支が均衡するなど、健全化が進んでいます。将来にわたり健全な財政を堅持するためには、財政状況を以前に後戻りさせないことを市役所全体で強く意識しながら、市民サービスの充実や成長戦略の推進など、新たな取組に挑戦していかなければなりません。

 そのため、こうした取組を進めるにあたっては、その意義や必要性などを十分に見極めたうえで実施するなど、効率的かつ効果的な行政となるよう努めてまいります。

 また、市民サービスの向上や行政の効率化に資するDX化や、民間の強み・アイデアを生かした官民連携などを積極的に取り入れるとともに、地域のことは地域で決めるニアイズベターの徹底を図ります。

 さらに、職員が能力を十分に発揮できるよう、働き方改革を率先して行ってまいります。

 

 これまでも政治家として多くの方の声に耳を傾け、寄り添ってまいりましたが、これからは市長として、市民の皆さまの声を大切にし、真摯に向き合ってまいります。

 そして、これまでの市政を継承しながら、府市一体での成長、その果実を活用した市民サービスの拡充という好循環を続け、大阪のまちが「にぎやかで活気あふれるまち大阪」として、10年先、20年先、さらにその先の未来に市民が希望を持てるよう、市政運営に邁進してまいります。

 市会の皆さまから、ご意見をしっかり伺ったうえで、丁寧な議論を進めること、そして最終的には必ず決断する、こういった姿勢で皆さまと建設的でかつ闊達な議論に臨んでまいる所存です。

 最後に、市民の皆さまと市会の皆さまのご理解、ご協力を心からお願い申し上げまして、私の就任の挨拶といたします。ありがとうございます。

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