消防訓練をもっと効果的に!アイデア集
2024年2月1日
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『参加して良かった』と言ってもらえる消防訓練にするために
防火管理者の方から、こんなことをたまに伺います。
「消防訓練、年2回実施しているが、毎回内容が同じでマンネリ化している」
「参加者が年々減っている」
「他の事業所がどうしているか知りたい」
「消防訓練をより効果的にするアイデアが欲しい」
消防訓練については、色んなお悩みがあるようです。
たとえ毎回内容が同じであっても、反復することで災害時の行動を定着させるという点については効果があると思いますが、消防訓練に変化を持たせたいという思いも理解できます。
そこで中央消防署から、消防訓練のバリエーションを増やしたり、効果を上げるためのアイデアをいくつかご紹介します。
消防訓練時の参考になれば幸いです。
【その1】 普段の想定を少し変えてみよう!
防火管理者の皆さん、消防訓練を実施するときにはどんな『災害想定』をされていますか?
たとえば火災の発生場所や、発生時刻、逃げ遅れの人数など、具体的にイメージして訓練していますか?
もしこれまで特に災害想定を決めずに、ただ消火器の使用方法や避難経路の確認をされていたのであれば、仮想の災害を具体的にイメージするだけでも訓練が変わります。
もうすでに災害想定はやっている!というところでも、たとえば
- 発生時間帯を昼間帯から夜間帯に変える
- 火災発生原因を電気配線やたばこ、放火など毎回パターンを変える。
- 地震と組み合わせて、一部設備が使用できない想定にする
など、想定にひと工夫してみましょう。
想定に小さな変化があるだけで、災害時の対応を大きく変更させなくてはいけない場合もあります。
【その2】 想定は当日に!シナリオ非提示型訓練をやってみよう!
『シナリオ非提示型訓練』って、聞かれたことはありますか?
これは、参加者に訓練開始後に初めて災害想定を伝えて、その時どのように行動するべきかを判断してもらう訓練です。
まずは防火管理者さんが災害想定と訓練のシナリオを作成しましょう。
災害想定の例
発生時間:お昼12時。ランチ客でビル内飲食店はいずれも満席。事務所は休憩時間中で人数が少ない。
火災原因:発生時は不明だが、のちに4階事務所のエアコンからの電気火災と判明。
火災発見まで:自動火災報知設備が鳴って、受信機を確認すると4階事務所と階段部分の感知器が発報していた。
この想定は、訓練開始まで秘密です。
防火管理者さんは、この想定に基づいて
- どのような任務分担が必要か
- それぞれの担当がどのような流れで行動すればスムーズか
- どんな資機材を使用するべきか
などを事前に書き出しておきましょう。
訓練が始まったら想定を参加者に伝えて、任務分担に基づき実際に動いてもらいましょう。
訓練が終わったら、参加者から感想や気づいた点を聞いて、改善点などについて話し合いましょう。
【その3】 図上訓練をやってみよう!
建物の図面を用意し参加者に配布します。
災害想定を伝えて、どこにどのような担当を配置しなければならないか、必要な資器材は何か、連絡はどのように取り合うか、などを図面上で話し合いましょう。
訓練の進行管理者さん(コントローラー)は必要に応じて仮想の災害状況を付け足したり、より良い活動のためのヒントを与えてください。
図面上で消火・避難・通報などが終わり仮想の消防隊へ引き継いだら一旦ストップ。
これまでの自分たちの活動を振り返って、改善が必要な点を整理しましょう。
【その4】 映像資料を活用しよう!
大阪市消防局やその他消防関係機関が公開している映像資料をぜひ活用しましょう。
百聞は一見に如かず。
映像資料で、火災の怖さや防火防災の必要性を参加者の皆様に認識していただきましょう。
- 大阪市消防局 火災予防・防災学習のための動画コンテンツ集
大阪市消防局予防部が作成した火災の予防方法や消火のポイントなどをわかりやすくまとめた動画が掲載されています。
- 総務省消防庁 映像資料
住宅防火や防炎品の燃焼比較実験など、約30本の動画がご視聴いただけます。
また中央消防署には訓練時に役立てていただけるDVDがございます。
必要に応じて無料でお貸ししていますので、お気軽にお問い合わせください。
中央消防署の場合、貸し出しは1回につき最大2週間、3本までとさせていただいております。
(貸し出しは中央区内の事業所様に限ります。)
【その5】 消防用設備等をより深く知ろう!
事業所様の中には、消防訓練を消防用設備等点検の日に合わせて実施し、設備業者さんに設備の操作説明をしてもらっているところもあります。
例えば自動火災報知設備の感知器が作動したら、どのような手順で火災を確認するかご存じですか?
感知器の誤作動だった場合はどうしたらいいか?
作動しているスプリンクラー設備の水を止めるには?
避難器具の使い方は?
設備業者さんが対応していただける場合には、訓練に組み込むのも効果的です。
【その6】 防火防災に役立つツールを提供しよう!
大阪市消防局や大阪市は、防火防災に役立つアプリをご用意しています。たとえば
- 応急手当を動画で解説する救急サポートアプリ
- 火災の動画と注意するポイントを解説する火の用心アプリ
- お子さまの症状から緊急性を判断し、必要な場合はワンタッチで119番にもつながる小児救急支援アプリ
- 避難場所などの情報をはじめ、災害状況や避難に役立つ情報などが入手できる大阪市防災アプリ
など、各種ご用意しています。
また他機関や民間企業様も様々なアプリやサイトを開発されていますので、ぜひ訓練参加者に共有して、役立つ情報を持ち帰っていただきましょう!
- 【大阪市消防局】救急サポートアプリのご紹介
- 【大阪市消防局】小児救急支援アプリのご紹介
医療機関の情報は大阪府内のみとなります。
- 【大阪市】大阪市防災アプリのご紹介
【その7】 統計を活用しよう!
訓練の計画を立てる時や、参加者の皆さんの前で話すときに、過去の災害事例や統計を活用することで内容に深みが生まれます。
例えば、大阪市消防局の『消防統計』はご存じですか?
1年間の災害を原因・発生時期・発生時間など、様々な角度から細かく分類したデータを公開しています。
消防訓練をされるその月にどのような災害が多くなっているか、またお使いの建物の用途での火災発生原因一位は何か、など、読み込むことで多様な知識を得ることができます。
また、過去に発生した火災から学ぶこともたくさんあります。
全国的に大きく報道された火災について自分なりに調べてみるのもいいですね。
大阪市消防局では調査鑑識が過去の事例をもとに作成した現場レポートがあります。
ぜひご活用下さい。
【その8】 他の事業所の訓練を見てみよう!
法令上、年2回以上の消防訓練が義務付けられている建物は、大阪市中央区内だけで約3000件。(2019年12月現在)
それぞれの事業所で実施している消防訓練を参考にすることで、バリエーションが増やせるかもしれません。
中央消防署では、過去に実施した消防訓練について一部ご紹介しています。
また、外国人の方や障がいをお持ちの方が利用する施設では、より分かりやすい災害情報の伝達や避難誘導が求められます。
国からのガイドラインに基づいて、先進的な取り組みを実施している事業所の例をご覧ください。
災害対応における先進的な取組事例
- CC(クリエイティブコモンズ)ライセンスにおけるCC-BY4.0で提供いたします。
- オープンデータを探す大阪市オープンデータポータルサイト
- Adobe Acrobat Reader DCのダウンロード(無償)
- PDFファイルを閲覧できない場合には、Adobe 社のサイトから Adobe Acrobat Reader DC をダウンロード(無償)してください。
上記以外にもインターネット上には事業所の工夫や取組例などが公開されています。
積極的に検索して情報収集を行いましょう。
最後に
ここまでいくつかアイデアをご紹介しましたが、いかがでしたか?
もうすでに実施されている内容もあるかと思いますが、少しでも訓練実施時の参考になれば幸いです。
それぞれの事業所で訓練の内容や規模に違いはありますが、大切なのは訓練を振り返って改善点を見つけ、より良い災害時の活動につなげることです。
いつもの訓練にひと工夫、ひと手間かけて、より効果の高い消防訓練をめざしましょう!
なお、消防訓練関連の情報は当署の『自衛消防訓練ガイド』にも掲載しています。
こちらも併せてご確認ください。(下のバナーからご覧いただけます。)