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学校におけるPTA会計の金銭の不正取得(第23‐01‐276号)

2020年3月24日

ページ番号:187843

大阪市公正職務審査委員会による勧告(平成24年9月13日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第2項の規定に基づき、大阪市教育長に対して勧告を行いました。

1 通報概要

 生野特別支援学校では、自分のこどもの卒業に備えて、保護者が寄附金やバザーの収益金を積み立てる仕組みがあり、総額が300万円くらいになっており、それがいわゆる「裏金」として保管されていたが、当時の校長(以下「校長A」という。)が、そのお金を私的に流用した。また、校長Aが学校に就任した平成19年は、学校の創立40周年にあたるということを理由として、そのお金で校長室の応接セットを買い替えた。

 さらに、校長Aはある学校事務職員(以下「学校事務職員B」という。)と一緒になって同窓会積立金をつかい、地方で開催される校長会の後で、合流して一緒に旅行に行ったり、飲み歩いたりといった行動を続けていた。

2 調査結果

①本件通報に関する団体会計について

・調査を進めた結果、通報との関わりが明らかになったものは、通報指摘の同窓会会計ではなくPTA会計であり、当該会計は本体の会計(以下「PTA本会計」という。)と節目の年に行う記念事業等に関する会計(以下「PTA周年事業会計」という。)という2種類の会計によって構成され、PTA周年事業会計には「創立40周年記念事業」と「新校舎記念事業」という二つの事業が実施されていたため、これらについて通報指摘に係る事実の調査を行った。

②PTA会計について

・当該学校においては、少なくとも平成18~23年度の間、大阪市職員である学校事務職員Bが、PTAの役員として会計の任にあり、PTA本会計及びPTA周年事業会計の通帳並びに当該通帳の届出印となっている印鑑(角印)を管理し、支出の手続や記簿などを担当し、また、支出決裁書に基づき購入された物品等の種類・数量を検収する担当でもあった。

・学校事務職員Bは、PTA本会計については年に2回程度、PTAの会長と保護者側の会計担当者及び会計監査担当者に一度書類を確認してもらい、その際にまとめて押印してもらっていた旨を供述しているが、PTA周年事業会計については、物品の購入についてのPTA会長の判断は仰ぐものの、PTA総会での予算・決算説明は行わず、会計監査を受けることもなかった。

・学校事務職員Bは、PTA本会計で購入した物品の検収は適正に行っていた旨主張しているが、領収書が添付されておらず、その理由も記載されていない支出決裁書(退職者への記念品や長期勤続表彰の記念品、講演会の講師謝礼等)が複数見られた。また、支出決裁書と支払いを証するものとして添付されている領収書とが不一致であるものも見られた。

③PTA会計における不適正事実について

・周年事業会計の通帳から2日に分けて合計70万円が引き出されていたが、これらに対応する支出決裁書は添付されていなかった。

・「PTA事務用パソコン・プリンター」(92,750円)、「新校舎スクールロッカー追加分」(59,600円)について、実際には納品されておらず、添付されている領収書については学校事務職員Bが業者から受け取った白紙の領収書に自ら記入したものであった。

・「PTA物置設置工事」(475,965円)について、学校事務職員Bは実際の支出金額よりも10万円多い金額(575,965円)を口座から引き出し、差額を不正に取得した。

・上記の支出のうち、周年事業会計から引き出された70万円、「PTA事務用パソコン・プリンター」の92,750円及び「PTA物置設置工事」の超過分10万円の合計892,750円については、平成24年8月16日に、当該学校で現在PTA業務を担当する教頭に対して返還され、その場でPTA周年事業会計の口座に入金されているが、教頭に返還するまでの間、学校事務職員Bはこれらの金銭を自ら取得していたことを認めている。なお、「新校舎スクールロッカー追加分」の59,600円については、現在に至るまで返金されていない。

・本件通報の調査過程において、少なくとも平成19年度以降、当該学校においてPTAが主催しているバザーの収益金が、PTAではなく財団法人Cの生野特別支援学校支部の口座に入金されていることが判明した。

・PTA周年事業会計のうち「新校舎記念事業」については、PTA会長と校長の押印欄を除いた「会計・支出請求者・出納責任者・検収」の欄のすべてについて学校事務職員Bが押印し、会計監査・教頭欄に押印が行われていないものが多数見受けられ、中にはPTA会長の押印すらなされていないものがあった。

・PTA本会計・PTA周年事業会計ともに学校に対する寄附目的で購入され、実際に学校に引き渡されている物品が多数あり、その中に通報指摘の「校長室応接セット」(265,800円)が含まれているが、当該物品については書類上、支出報告が行われている外観を呈していることから、PTA内部での意思決定は行われていた蓋然性は高いが、調査実施時点では、寄附収受の手続はとられていなかった。なお、その後、平成24年8月31日付けで、教育委員会事務局より寄附収受の手続がとられた旨の報告を受けている。

④出張先での旅行・飲み歩きについて

・学校事務職員B以外の学校事務職員や当時の教頭へのヒアリングにおいては、校長Aと学校事務職員Bとが、出張先での旅行や飲食についてPTAなどの団体から不正に資金を引き出していることを客観的に裏付けることのできる証拠や証言は得られなかった。

・学校事務職員Bが「PTA会長の代わりに参加した」というPTA連合会の大会については、PTAの書類上は校長Aと当時のPTA会長が参加したことになっており、PTA会長の大会参加費、参加登録手続手数料、宿泊費、懇親会費は、すべてPTAが負担している。なお、この大会参加に関する支出決裁書についても、学校事務職員Bが作成し、校長Aが押印している。

⑤その他特記事項

・平成24年2月3日付けの生野特別支援学校における不適正な超過勤務実態に関する勧告における職員Cと本件の学校事務職員Bは同一人物であり、当該勧告4(2)で記載した学校長と本件の校長Aも同一人物である。

・PTAや財団法人Cは大阪市とは別組織であるため、それらの意思決定の内容等については、「職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例」の対象外の事項であるため、調査対象としていない。

・総務局監察部及び教育委員会事務局は、校長Aに対して再三にわたり調査への協力を求めたが、体調不良を理由にヒアリングを実施することはできなかった。

・学校事務職員Bは当該学校について不適正な資金はない旨強く主張しているが、これまでの調査の状況から、現在判明しているものの他にも不適正な処理が行われている可能性は非常に高い。

3 判断

・本件の調査で確認できた範囲では、いわゆる「裏金」は確認できなかったものの、学校事務職員Bが、PTA周年事業会計から少なくとも約952,350円、PTA本会計から4,400円の金銭を、正当な理由なく引き出したことが判明しており、これらの金銭の一部については未だに返金されていない。

・学校事務職員Bは、学校長Aの印を預かって支出決裁書に無断で押印していたことを認めており、PTA会計については年に2回程度しか会長や会計担当者の押印(決裁)を得ていなかったと供述しているだけでなく、業者から白紙の領収書を受領して支出決裁書に添付するなどの不正も発覚しており、当該学校のPTA会計の書類全般の信憑性が著しく低いものと言わざるをえない。

・当該学校には、平成19年度以降平成23年度まで寄附金に関する記載はなく、PTA自体は「職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例」の対象となる団体ではないため、寄附金の有無等について調査はできないものの、これまで述べてきたように会計書類全般について、多くの問題点がある中、支出だけに不正が行われていたと限定する理由はなく、収入部分についても、今後調査を行うことが望ましい。

・PTA本会計については年に2回程度、PTAの会長と保護者側の会計担当者に見てもらう程度であり、PTA周年事業会計については会計監査すら受けていなかったという実態からすれば、PTA会計についてPTA会長は事後承諾を行うのみであり、PTA会計の会計事務処理の依頼を受けた学校長が事実上の決定権者であったと言わざるを得ない。学校事務職員Bの当時の上司であった校長Aが、PTA会計について規約等で定められたチェックなどを適正に行っていれば、これらの不正は容易に防ぐことができた。また、現在の校長に引継ぎを行うに際して、少なくとも校長Aが通帳等の確認をしていれば、その時点で不正に気付くこともできたはずである。

・校長Aは、富山で開催されたPTAの全国大会について、学校事務職員Bが参加費用を負担していないことを承知した上で、学校事務職員Bとともに参加しているのであり、大会参加費用に係る不正な支出を糺さなかったことについては、大きな責任がある。

・PTAのバザー収益金が財団法人Cの生野特別支援学校支部に入金されていることについては、PTAが主催するPTAの事業収益であり、書類上もPTAのバザーであることが明記されていることからも、財団法人Cの収益ではなく、PTAの収益として計上すべき性質のものである。また、そもそも財団法人Cの業務を財団法人の役職員でもない生野特別支援学校の教職員が行うことができるのかについても疑問がある。

・本件では、長年にわたり一人の職員が会計業務を行っていたことや、会計担当者と検収の担当者が同一であったこと、周年事業会計については全く監査が行われてこなかったことにも、不正が発生した原因があると思われる。二度とこのような不正を引き起こさないためにも、PTAから依頼を受けた学校長が依頼の趣旨に沿い、会計を担当する職員を固定させず、適正なチェック体制を構築するとともに、PTA会計の会計事務処理のあり方についても再検討する必要がある。

4 勧告

 以上の判断に基づき、次のとおり勧告する。なお、平成25年3月末日までに必要な措置を完了し、本委員会へ措置状況を報告すること。

(1) 生野特別支援学校のPTA会計について、残存する書類を再度精査するとともに現物確認も実施し、不適正な支出入が行われたものについては、関与した担当者からPTAに返金させるなどの必要な措置をとること。

(2) 生野特別支援学校において、PTAのバザー収益がなぜ財団法人Cの口座に入金されるに至ったのかの経過も含め、財団法人Cの生野特別支援学校支部の口座及び会計について調査を行い、PTAへの資金振替などの必要な措置をとること。

(3) すべての大阪市立の学校について、教職員が事務を行っている団体に関して、現在職務として行っていることに関する根拠及び妥当性を再確認するとともに、教職員が支出に関与している団体会計については、支出の根拠となる資料の再確認を行うこと。

(4) 上記「(1)」「(2)」「(3)」に関連し、金銭の不正な支出等が確認された場合には、その内容を、本委員会に報告するとともに公表し、速やかに会計書類のチェック体制の再構築などの再発防止措置をとること。

(5) 上記「(3)」に関連し、勤務時間中に教職員が事務を行う必要があるものについては、職務免除の手続を取らせるなど、適正化を図ること。

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終結宣言(平成25年3月28日)

 上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。

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