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小口支払基金前渡資金の不適正な事務処理(第22-61-1号)

2020年3月24日

ページ番号:187892

大阪市公正職務審査委員会からの勧告(平成24年2月3日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第1項及び第2項の規定に基づき、大阪市長に対して勧告を行いました。

1 通報概要

 淀川区役所のある担当(以下「当該担当」という。)の小口支払基金の事務担当者は、事業担当者が私費で立て替えて支払ったものについて、なかなか精算してくれない。また、次のような不適正な処理もしているようだ。

(1) 小口支払基金の現金を、一時的に自分の財布で管理している。

(2) 出納簿への記載等の処理を逐一行っていない。

(3) 立替払をしている職員への精算を放置しており、その手続が完了しているのかどうかさえ分からない状態となっている。

2 小口支払基金について

(1) 制度概要

 小口支払基金は、小額の物品購入代金その他小額の経費の支払を円滑に行うため、すなわち、店頭で行う軽易な物品の購入等を行う際に、支出命令書を介さず、直接現金で支払いを済ませるため、小口支払基金条例により設けられた基金である。また、小口支払基金管理規則によると、小口支払基金に属する資金は、一口2万円以下の需用費、役務費、使用料、賃借料、原材料費及び備品購入費の支払に充てるとされている。

 

(2) 小口支払基金の事務手続について

ア 小口支払基金の事務手続については、小口支払基金管理規則及び会計室の策定した小口支払基金取扱要領に規定されている。それらによると、資金前渡受領者は、事業担当者から資金交付の申出を受けた場合、当該支出が大阪市の支出として適法かつ適切なものであるかどうかを判断するとともに、所属の予算担当に予算の有無を確認した後に、問題がなければ支出の決議を行うこととされている。そして、資金前渡受領者は、毎月の資金の運用状況を翌月5日までに、また、資金残高が不足する場合はその都度、資金の使用状況を予算担当課長に対して報告し、小口支払基金への繰入請求をしなければならないと定められている。

 なお、資金の収支を明らかにするため、資金前渡受領者が個別の事項について事前の支出決議を行い、その出納を明確に整理することとされている。

イ このような通常の事務手続の例外として、緊急かつやむを得ない事態が生じた場合、事業担当者は電話連絡等により資金前渡受領者もしくはあらかじめ資金前渡受領者が定めた補助者(以下「資金前渡受領者等」という。)の口頭了承を受け、了承した資金前渡受領者等は直ちに小口支払基金出納決議簿にその旨を記入し、後に事業担当者に現金を交付する運用を認めている。この運用については、事業担当者が一時的に私費で経費を立て替えることとなるので、常態化することのないよう、「緊急かつやむを得ない事態が生じた場合」に限定している。

3 調査の経過

 本件については、本委員会は、当初、平成22年9月に淀川区役所に調査を依頼し、同年10月と平成23年3月の2回にわたり調査結果の報告があったが、その調査結果に疑義があったため、平成23年9月、本委員会事務局である情報公開室監察部(以下「監察部」という。)に命じて調査を実施させた。

4 調査結果

(1) 淀川区役所による調査

ア 小口支払基金出納決議簿の一括処理について

 平成20年4月から平成22年7月まで当該担当における小口支払基金前渡資金に係る事務処理担当者として指名されていた者(以下「当該担当者」という。)は、小口支払基金出納決議簿に支出の都度記載をせず、メモに書き留めて1か月分をまとめて同決議簿に記載して一括処理しており、一時的に同決議簿への記載がない状態だった。当該担当者は、その理由について、事業担当者からの資金交付の申出日が前後することがあり、同決議簿に日付順に記載するために行ったと供述している。

イ 私費立替分の現金交付について

 当該担当者は、経費を立て替えた事業担当者に現金を交付する際に、一時的に自分の私金で事業担当者に現金を交付し、小口支払基金への繰入れを行った後に、自分の私金で立て替えた分を補填していたのであって、私金と公金とを混在させていたわけではないと供述している。

 また、当該担当者が、経費を立て替えた事業担当者に現金を交付する際に、自分の財布から現金を取り出して渡すことがあったと複数の職員が供述している。

 さらに、資金前渡受領者は、平成22年6月下旬に部下職員から相談を受け、また、同年8月上旬に総務担当課長からの指導もあり、状況把握に努める中で、当該担当者から、経費を立て替えた事業担当者に現金を交付していないのに、現金の交付を済ませたものと勘違い・記憶違いをしたことがあったとの報告を受けたと供述している。

ウ 関係簿冊の状況について

 当該担当者が前任者から引き継がれた平成20年4月の時点及び後任者へ引き継いだ平成22年7月末の時点で、帳簿残高と預金残高が一致していることが確認された。また、当該担当者が事務処理を行っていた間の小口支払基金出納決議簿、小口支払基金用内訳書、小口支払基金精算・繰入請求書、預金通帳について確認をしたところ、これらの書類には不足がなく、疑義もなかった。

 なお、当該担当における小口支払基金前渡資金からの支出については、用途どおりの目的で使用され、履行確認もなされており、公費での支出の適正性は確認できた。

エ 公益通報前の状況について

 淀川区役所の総務担当課長は、公益通報が行われる前の平成22年8月上旬に、当該担当者から後任者への事務引継ぎが適切になされず、当該担当における小口支払基金前渡資金の運用が滞っている状況について、後任者から相談を受けた。そこで、総務担当課長は、当該担当の資金前渡受領者らに対し、事態の改善を図り、速やかに結果を報告するよう指示し、その後、資金前渡受領者より、当該担当者から後任者への引継ぎが完了した旨の報告があった。また、総務担当課長は、小口支払基金前渡資金を管理するすべての担当において平成20年4月から平成22年8月までの事務処理状況について実態調査の上、必要な改善を行うよう指示したところ、各担当とも適正に処理がされていたとの報告があった。

 なお、当該担当者の上司である課長代理は、平成22年6月下旬より前から当該担当者の事務処理状況を把握し、注意・指導を行っていたが、なかなか改善させることはできなかったと供述している。さらに、当該担当の資金前渡受領者でもある課長は、平成22年6月下旬に部下職員からの相談を受け、さらに同年8月上旬に総務担当課長からの指導もあり、当該担当者の事務処理状況の把握に努めてきたと供述している。

オ 公益通報後の状況について

 当該担当では、緊急かつやむを得ない事態が生じた場合にのみ認められている職員による経費の立替が常態化していたことから、淀川区役所では、これを改めるよう周知徹底を図り、「会計事務マニュアル 小口の流儀」に則り、事務処理している。

 

(2) 監察部による調査

ア 簿冊の管理について

 監察部による調査時である平成23年10月に、平成20年度の小口支払基金出納決議簿が所在不明であることが判明した。淀川区役所は、平成23年12月に同決議簿を紛失したと判断したとして、平成24年1月、総務局に対し、公文書紛失届出書を提出した。

イ 経費の立替の常態化について

 平成21年度・22年度の小口支払基金出納決議簿を確認したところ、当該担当においては平成22年度末に至るまでのほとんどの支払について事業担当者による経費の立替が行われた旨の記載があり、職員による経費の立替が常態化して継続していたことが認められた。また、資金残高を超えて経費の立替が行われ、資金の繰入手続も速やかに行われていないケースが多々見られた。

ウ 繰入手続の遅延等について

 平成21年度・22年度の小口支払基金出納決議簿を確認したところ、繰入請求の手続後、資金前渡受領者に前渡される小口支払基金前渡資金の入金日が、翌月の月末近くになっており、本来翌月5日までとされている繰入請求の手続が遅れているものや、2か月分をまとめて処理を行っているもの、また、小口支払基金前渡資金が不足しているにもかかわらず、速やかな繰入手続が行われていないものが確認された。

 また、繰入請求の額は、請求対象期間中の実際の支払額と一致していなければならないが、一致していないものが確認された。

エ 小口支払基金出納決議簿の一括処理について

 当該担当者による小口支払基金出納決議簿の一括処理を裏付けるものとして、平成22年度小口支払基金出納決議簿の支払先欄に、経費を立て替えた事業担当者が8月5日に受領した旨を記入しているにもかかわらず、同決議簿上は、5月7日に処理されたかのように計算が行われており、書類が一括して作成されていたとみられる記載があった。この点については、実際にも5月7日に預金通帳から出金が行われていたことも確認できたが、当該担当者から経費を立て替えた事業担当者が受領する8月5日までの間、この出金された現金がどのように保管されていたのか不明である。

 また、平成22年2月9日から同月23日まで、同決議簿の残高が預金残高と比べ、4円超過しているが、この残高の不一致については、同月25日に預金口座に4円が入金されることによって解消されており、少なくとも2月9日から同月23日までの処理について、書類が一括して作成されていたとみられる記載である。

オ 現金の交付について

 当該担当者は、経費を立て替えた事業担当者に現金を交付する際に、一時的に自分の私金で事業担当者に現金を交付したことがあると供述しているが、小口支払基金出納決議簿で確認できる範囲では全件、預金通帳からの支出日に事業担当者に現金の交付を行った旨の記載がなされており、実際に事業担当者が現金を受け取った日に受領印が押印されていない可能性がある。

 同決議簿の記載が事実と異なると思われるものが散見されたため、監察部から淀川区役所に対し、経費を立て替えた事業担当者への現金の交付が行われていないものはないかと指摘をしたところ、淀川区役所からは、現存している平成21年度及び22年度の同決議簿に受領印がある旨の報告があり、現在淀川区役所に在籍する職員で経費を立て替えたことがある職員から、現金の交付を受けている旨の確認書類の提出があった。

カ 預金口座からの出金時の確認状況について

 当該担当においては、小口支払基金資金前渡資金に係る預金通帳を当該担当の管理する金庫に保管し、預金口座用の資金前渡受領者の印鑑は、資金前渡受領者自らが保管している。預金口座からの出金に際しては、事務処理担当者が所定の出金依頼書を作成し、資金前渡受領者に押印を依頼している。

 その際、平成20年4月から平成22年7月までは、当該担当者は資金前渡受領者に口頭で事情を説明していたものの、資金前渡受領者は、出金依頼書と小口支払基金出納決議簿との照合は行っていなかった。

 しかし、平成22年7月からは、資金前渡受領者は、出金依頼書に押印する際に同決議簿との照合を行っている。

キ 小口支払基金前渡資金の使途等について

 小口支払基金出納決議簿、小口支払基金用内訳書及びそれに添付されている領収証書等により確認できる範囲において、当該担当における小口支払基金前渡資金からの支出の用途や購入等の内容について、不適正な点は確認できなかった。

ク 他の区役所の状況について

 他の区役所における当該担当に相当する部署の小口支払基金前渡資金の事務処理状況を確認するため、中央区役所、大正区役所、住之江区役所において調査を行ったところ、調査の範囲では、淀川区役所において確認されたような特段の不適正な処理は確認できなかった。

 

(3) 淀川区役所による調査報告の訂正について

 監察部による調査の過程の中で、平成23年12月に淀川区役所より、(1)ウの「関係簿冊等に疑義はなかった」旨の報告は、認識・理解が不足していたためであり、訂正したい旨の報告があった。

5 判 断

 以上の調査結果をもとに検討を行ったところ、次のとおり判断するに至った。

(1) 淀川区役所の事業担当者による経費の立替の常態化の原因について

 当該担当の小口支払基金前渡資金においては、調査対象とした平成22年度の年度末に至るまで、事業担当者による経費の立替が常態化して継続していた。

 当該担当では、経費の立替による支出についての職員の認識不足によって、経費の立替による支出の要件である「緊急かつやむを得ない事態が生じているか否か」について十分に確認されていなかった等の理由から、経費の立替による支出が解消されなかった可能性が高いものと思われる。

 

(2) 資金前渡受領者の事務処理について

 当該担当者自身の証言や、提出された小口支払基金出納決議簿からも、当該担当では同決議簿が適宜記載されていなかったことは明らかである。同決議簿への一括記載等が行われている中では、資金前渡受領者による事前承認が適宜実施されていたとは考えられない。そうであるならば、承認も常例的に事後に行われていたと考えるのが普通であり、規則等に定められた適正な手続は守られていなかったと判断せざるを得ない。また、平成20年4月から平成22年7月までは、預金口座からの出金の際に、資金前渡受領者は、同決議簿との照合をせずに出金依頼書に押印しており、もし照合を行っていたならば、少なくとも一括処理については未然に防ぐことができたものと考えられる。よって、平成20年度から平成22年度までの当該担当の資金前渡受領者が、事務処理を怠ってきたことについての責任は大きい。

 

(3) 事業担当者による経費の立替への対応について

 調査結果にあるように、経費を立て替えた事業担当者への現金の交付を、小口支払基金前渡資金からではなく当該担当者自身の私金で行い、後日、小口支払基金前渡資金から私金相当額の現金を補填するという取扱を行っていたことについては、それ自体根拠規定もないものであって、不適正である。

 しかも、小口支払基金出納決議簿上は、経費を立て替えた事業担当者が、直接小口支払基金前渡資金から現金の交付を受けた形となっており、その意味では同決議簿の記載内容は事実に基づかないものとなっている。本来、同決議簿が事実を正確に記載していたならば、調査結果にもあるような経費を立て替えた事業担当者に現金を交付し忘れるといった事態は発生することは考えられない。

 なお、4(2)エの事案については、同決議簿上も預金通帳の出金記録上も平成22年5月7日に処理が行われているにもかかわらず、事業担当者への現金の交付が同年8月5日に行われている。人事異動やそれに伴う事務引継ぎ等による処理の遅延という要素もあるとは思われるが、外形的には当該担当者がおよそ3か月に渡って、事業担当者に交付することなく自己の管理下にその現金を置いていたことになり、極めて不適正である。

 この4(2)エの事案にも見られるように、経費を立て替えた事業担当者に対して適正に現金の交付が行われたかについては疑問がある。その問題に対し、淀川区役所は、本委員会に対して、同決議簿への押印がある旨を主張し、確認書類の提出も行っているが、同決議簿の記載内容自体について、疑義がある中で、同決議簿上の押印があることのみをもって、経費を立て替えた事業担当者への現金の交付が行われたと認めることはできず、確認書類についても、経費を立て替えたことのある者全員からの提出ではなく、また個別の支払いに対応しているものでもない以上、現時点では、事業担当者によって経費の立替が行われたもの全てについて適正に現金の交付が行われたとの認定を行うことはできない。

 

(4) 淀川区役所による不十分な調査報告について

 平成23年12月に、認識・理解が不足していたため訂正したい旨の報告はあったものの、4(1)ウで淀川区役所から「関係簿冊等に疑義がなかった」旨の報告があったことについては、不十分な調査に基づくものであって、非常に問題であると考える。

 

(5) 関係簿冊等の管理について

 平成20年度小口支払基金出納決議簿を、保存期間内に紛失していたことについては、淀川区役所における簿冊管理に問題がある。

 

(6) その他

 4(2)ウで確認された繰入手続の遅延については、大阪市会計規則に基づき実施される「区会計管理者調査」で、既に問題点として指摘及び指導が行われていた。また、本件については公益通報が行われる前から当該担当における小口支払基金前渡資金についての相談が総務担当に寄せられていたという事実もあった。

 しかし、淀川区役所は、小口支払基金の事務処理について、十分な改善措置をとることができず、結果的に不適正な事務処理が繰り返されており、極めて遺憾である。

6 勧 告

 上記判断に基づき、淀川区長に対して次のような措置をとらせるよう、勧告する。平成24年5月末日までに必要な措置を完了し、本委員会へ措置状況を報告すること。

 なお、本件の調査経過に鑑み、公益通報に係る調査については、正確な認識、理解のもとに行うとともに、改善措置については適切に講じたうえで報告するようにされたい。

(1)   所管する小口支払基金前渡資金の管理・運用に当たり、同基金の事務処理に関する規則等に照らして、不適正な事務処理がなかったか、今一度検証し、不適正な点が確認された場合は、速やかに必要な措置を取ること。

(2)   小口支払基金の制度を理解させるため、同基金前渡資金を管理するすべての資金前渡受領者、事務処理担当者、事業担当者に対して、同基金の制度理解の徹底と同基金前渡資金の適正な運用についての研修を行うこと。

(3)  文書や簿冊の紛失が生じないよう、公文書の管理について改善を行うこと。

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終結宣言(平成24年9月20日)

 上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。

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