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任期付職員の瑕疵ある再任及び退職金の返還(第22-50-1号)

2023年7月31日

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大阪市公正職務審査委員会からの勧告(平成22年11月9日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第1項の規定に基づき、大阪市長等に対して勧告を行いました。勧告の概要は、次のとおりです。

1 通報概要

・ 監査の課長で、3月末でやめて、また、4月から課長になった人に、本来支払ってはならない退職金が支払われた。

・ 大阪市のことを監査する立場の人が、本来もらうことのできない退職金をもらっていいのか。税金の無駄遣いどころか、違法支出ではないのか。

2 調査結果

(1) 任期付職員(公認会計士)の採用の経過  

 ア 特別法制定の経過

・    平成14年5月、地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律(以下「公共団体一般職任期付職員法」という。)が、地方公務員法の特別法として国会で可決される。

・    任期付職員は、条例により、最長5年の任期を定めて、①専門的な知識経験を有する者、②時限的な業務に関する者、③短時間勤務の職員について、選考により採用する。

・    情実人事を求める圧力、政治的影響、公民癒着等の疑惑や批判を受けることのないよう、任期付職員制度の適正な運用等を求める附帯決議が衆参両院の総務委員会で付されている。

 

 イ 大阪市における条例制定

・    平成17年3月市会において、一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例案が市長提案され(3月29日市会で可決)、財政総務委員会において、監査・人事制度事務総括局監査部長が、任期付職員として監査の事務局に公認会計士を採用することを表明

 

 ウ 当該職員の第1回目の採用の経過

・    平成17年3月30日、「大阪市任期付職員(公認会計士)募集要綱」を公表

・    公認会計士としての実務経験が10年以上、40歳未満との資格要件が付され、在職期間中は、地公法の規定により公認会計士としての業務を行うことはできないと明記

・    任期は平成17年5月から20年3月、書類審査と個別面接により選考

・    この公募に関しては、課長級職員の応募者はなかった。

・    監査・人事制度事務総括局は、再公募の手続をとることなく、年齢要件を撤廃し、監査法人4社に推薦を依頼したが希望者がなく、同年6月頃に上記4社のうち係長級応募者の所属する監査法人1社に再度推薦を依頼したところ、当該職員の推薦があり、当該職員を同年7月11日に採用し、監査部の担当課長に任命

 

 エ 当該職員の任期の更新

・    平成20年3月31日、当該職員は当初の採用時に定められた任期の満了を迎えたが、任命権者である代表監査委員は、公共団体一般職任期付職員法第7条第1項に基づき、当該職員の任期を平成22年3月31日まで2年間更新した。

 

 オ 当該職員の第2回目の採用の経過

・    大阪市を取り巻く危機的な財政状況がより深刻化する中、大阪市の行財政全般を厳しく精査し、監査業務全般に関わることなどの業務に対応するものとして、平成21年11月2日、「大阪市任期付職員(公認会計士) 募集要綱」を公表

・    応募資格の⑴に「公認会計士の資格を有し、公認会計士名簿に登録している者で、公認会計士の業務を行っている者」が明記されているほか、任期中は現在の公認会計士業務を停止していただく必要があることを記載していた。

・    任期は平成22年4月1日から平成25年3月31日まで、書類審査と個別面接により選考

・    申込書の受付期間 平成21年11月9日(月)から12月18日(金)まで

・    平成21年12月10日に、当該職員からの問い合わせを受けた監査・人事制度事務総括局から、総務局人事部人事担当へ、「現在任用している者について、その任期終了後に、新たなポストに再び選考を経て任用することは可能か。」との質問がなされ、総務局人事担当は、「継続採用はできないが、新たなポストに再び選考を経て任用するのであれば問題はない。」と回答した。監査・人事制度事務総括局は、応募可能である旨を当該職員へ伝達した。

・    平成21年12月18日付け消印のある封書により、当該職員が公募申込み

・    課長級職員への応募者は、当該職員1名だけ

・    当該職員に対し、平成22年1月22日第1次選考(書類審査)、2月9日第2次選考(面接)が実施され、当該職員はいずれも合格

・    平成22年3月5日、人事委員会が当該職員を特定任期付職員として採用することを承認

・    平成22年3月29日、代表監査委員は、総務局長との合議により、当該職員の退職、採用及び発令等について決裁

・    平成22年3月31日、代表監査委員は、当該職員に対して退職発令を行った。

・    平成22年4月1日、代表監査委員は、当該職員に対して採用発令を行い、監査・人事制度事務総括局監査部の担当課長(退職時の補職名と同じ。)を命じた。

 

(2) 当該職員への退職手当支出の経過

・    平成22年3月5日、人事委員会委員長から代表監査委員宛に当該職員の採用の承認通知

・    平成22年3月8日及び3月10日に、監査・人事制度事務総括局は、総務局人事部給与担当と当該職員の退職手当の支給の是非及び算定方法・金額等について協議

・    当初、総務局給与担当は、職員の退職手当に関する条例(以下「退職手当条例」という。)第19条第1項において「職員が退職した場合において、その者が退職の日又はその翌日に再び職員となったときは、この条例の規定による退職手当は支給しない」と規定されていることから、条例の規定上は原則、支給できないものとの立場であった。

・    しかし、監査・人事制度事務総括局は、新たな任期付職員として採用するものであり、法が定める最長5年の任期満了により、退職手当を支給したいがどうかと質した。

・    総務局給与担当は、これを受け、①退職手当条例がそもそも任期を満了した職員を、再度任期付職員として採用するといったケースまでを想定していたものではないこと、②当該職員は、平成22年3月末の退職時の給料月額591,100円から、同年4月の採用時の給料月額517,900円に下がっていることから、期間を引き継ぐことによって、本人にとって退職手当の支給額が不利益になること、③任期付職員が法律的にも5年を超えられないことにより退職発令も行い、任期付職員の位置付けが全く異なること、新たな業務での採用であること、以上を総合的に判断した結果、その時点で当該職員に退職手当を支給することも可能であると判断した。

・    平成22年4月8日、総務局長は、当該職員を含む平成22年4月払い分の退職手当の決定及び決定通知について、決裁

・    平成22年4月16日、当該職員に対して、退職手当6,809,750円を口座振替により支給

3 判断

(1) 当該職員の第1回目の採用の効力について

・    任期付職員は、選考により任期を定めて採用されるが、「選考」は、競争試験による能力主義という公務員採用の原則の例外をなすものであるから、情実等に左右されず、公正性、平等性、競争性を確保するため、公募等の手続により、平等の条件で広く人材を募り、論文、面接等により、任用しようとする職にふさわしい能力や適性が候補者に備わっているかを実証する必要がある。

・    しかるに、監査・人事制度事務総括局が行った任期付職員の公募に関しては、課長級職員の応募者はなく、監査・人事制度事務総括局は、再公募の手続をとることなく年齢要件を撤廃した。

・    「40歳未満」という年齢要件を撤廃するのであれば、本来なら、新たな資格要件を定めて再公募に付すべきであった。当初の公募では年齢制限により応募資格がないと思い、応募をしなかった者もいた可能性があり、再公募を行わず、監査法人4社にのみ推薦依頼したというのは、公正性、平等性、競争性の観点から問題がある。

・    公募に応募者がなかった時点で、任期付職員の採用を見合わせるという選択もあった中で、結局、特定の監査法人1社にのみ再度依頼し、当該職員の推薦を得て採用したという事実からすれば、公民癒着等の疑惑や批判を受けることがないよう任期付職員制度の適正な運用を求めるとした衆参両院での附帯決議に悖るものといえる。

・    しかし、競争試験ではなく「選考」である以上、上記のような経過はあるが、任用しようとする職に求められる当該職員の能力や適性がそのことをもって直ちに否定されるものではないので、当該職員の選考による平成17年7月11日付け採用が違法・無効であるとまではいえない。

 

(2) 当該職員の第2回目の採用の効力について

 ア 同一人を5年の任期満了後に再度任用することの適否について

・    公共団体一般職任期付職員法第6条第1項は、特定任期付職員(高度の専門的な知識経験又は優れた識見を有する者を選考により任期を定めて採用した職員)の任期は、5年を超えない範囲内で任命権者が定めるとしている。

・    この点について、総務省作成の想定問答集では、任期を最長5年間とした理由については、「専門的な知識経験等を有する者が一定のまとまりのある業務を遂行するために必要な期間としては、最長でも5年が適当であると考えたもの」としている。

・    また、「再任」により5年を超えて任用することは可能かと問われた場合には、「制度的には不可能ではないが、継続的に再任を繰り返すことは、任期を定めるという制度の趣旨に照らし適当ではないと考えるところ。」と記載されている。

・    公共団体一般職任期付職員法の制定の経過からすれば、同法は任期を定めるという点に制度の眼目があり、任期満了により退職した翌日に再び同一の者を採用することは、いくら当該採用が新たな選考を経ているとしても、決して望ましい制度運用とはいえない。

・    しかし、法律に、これを禁止する明文の規定がないこと、また、1回目の再任であって、2回・3回と継続的に再任を繰り返す状態にまでは至っていないことから、本件再任をもって公共団体一般職任期付職員法の趣旨を逸脱し、違法・無効であるとまではいえない。

 

 イ 当該職員が応募資格を満たしているかについて

・    公務員の採用は、任命権者が行う行政処分であり、当該処分の前提となる要件に法律上の瑕疵が存する場合、その瑕疵の程度が重大・明白であれば、処分庁による取消処分を待つまでもなく当然無効となる。

・    募集要綱の応募資格に記載された「公認会計士の資格を有し、公認会計士名簿に登録している者で、公認会計士の業務を行っている者」とは、応募日において、現に公認会計士法第2条に規定する公認会計士の業務を行っていることを資格要件としたものと解される。

・    当該職員は、平成17年7月11日に大阪市職員(特定任期付職員)として採用されており、地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)の規定により、公認会計士業務を停止していた。

・    監査・人事制度事務総括局は、当該職員は、本市の公営企業会計や出資団体等の監査に従事しており、公認会計士として公認会計士法第2条第1項の業務を行っていたと主張する。

・    しかし、公営企業会計や出資団体等の監査は、地方自治法に基づき監査委員が行う監査であり、当該職員は、監査委員の補助職員として監査委員監査の補助業務に従事していたものに過ぎず、公認会計士法第2条第1項に規定する「他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業」としていたものでないことから、公認会計士の業務を行っている者に該当しないことは明らかである。

・    応募資格は、選考の前提となる要件であり、応募資格を満たさない申込者は失格となる。応募資格を審査することは、選考に際して任命権者に課せられた基本的な義務であり、応募資格を有しないことが明白な当該職員を選考の結果職員として採用した本件処分には、法律上の瑕疵が存在する。

・    その瑕疵の程度は、公務員の資格要件に関する極めて重要なものであり、かつ、公認会計士業務への従事の有無という外形上客観的に明らかなものであるから、重大・明白な瑕疵に該当する。

・    しかしながら、上記の瑕疵が生じた原因は、専ら任命権者側の重大な過失によるものであって、当該職員の責めに帰すべき事由が見受けられないことから、任命権者の側から、平成22年4月1日の当該職員の採用行為が当然無効であることを主張し、当該職員の身分を失わせることは、信義衡平の原則に照らして妥当とはいえない。

・    したがって、任命権者による当該職員の採用行為に重大明白な瑕疵はあったが、信義則の観点から、当該職員の採用を無効とすることはできない。

 

 ウ 任期付職員の再任についてのまとめ

・    ①任命権者である代表監査委員が当該職員を5年を超えて再任していることは違法・無効とまではいえないものの、相当性を欠き不適切であること、②任命権者の重過失により資格要件を満たさない当該職員を採用した行為は、信義則の観点から無効とはできないが、重大・明白な瑕疵を有する行為である。

・    当該職員の問い合わせを受けて応募前に監査・人事制度事務総括局が当該職員の再任用の可否を総務局人事担当に照会し、その内容を当該職員に伝えたこと、当該職員が現に公認会計士の業務を行っておらず、資格要件を満たしていないことが明らかにもかかわらず、書類審査、個別面接において合格させていること、人事委員会が当該職員の採用を承認し、総務局長との合議を経て代表監査委員が当該職員の採用を決裁したことは、極めて遺憾なことである。

・    特に当該職員が他局や公営企業等を監査すべき立場にあることや、任期付職員の採用が衆参両院での附帯決議にあるように、公民癒着等の疑惑や批判を受けることがないよう、その適正な運用を図ることが強く要請されていることからすれば、より慎重かつ公正な運用が求められた。

・    今後、大阪市代表監査委員、大阪市人事委員会及び大阪市長(総務局)は、選考による職員の採用について、公正性、平等性、競争性の確保に努め、いささかでも市民から疑惑の目で見られることのないようにされたい。

 

⑶ 当該職員への退職手当支出の違法性について

 ア 給与条例主義

・    地方自治法は、職員の給与及び退職手当の金額及び支給方法を条例で定めることとし、条例に基づかなければいかなる給付もなし得ないと規定している(地方自治法第204条、第204条の2)。

 

 イ 判例の考え方

・    最高裁は、職員の給与の額及び支給方法を議会が制定する条例によって定めることにより、地方公務員の給与に対する民主的統制を図るという地方自治法の趣旨に照らすと、職員の給与の額及び支給方法を条例で定めず、規則への包括委任や解釈で支出することは許されないという立場に立っている。(最高裁平22.9.10判決、最高裁昭50.10.2判決など)

 

 ウ 退職手当条例の規定及び解釈

 ・特定任期付職員への退職手当の支給

・    特定任期付職員は、一部の除外規定を除き、職員の給与に関する条例の適用があるので、退職手当条例第1条に規定する「職員」に該当し、退職手当条例の定めるところにより、退職手当が支給されることになる。

 ・引き続き職員となった場合の退職手当の不支給

・    退職手当条例は、職員が退職の日又はその翌日に再び職員となったときは、当該退職については退職手当を支給せず、最終的に離職した際に、在職期間を通算して退職手当を支給することとしている(第19条第1項、第7条第3項)。

・    当該職員は、平成22年3月31日に退職し、その翌日である4月1日に再び職員となっていることから、文理解釈上、当該職員に対して退職手当は支給できないことになる。

 

 エ 総務局の見解

・    2⑵の5段落目①、②、③のとおり。この見解の適否をオ、カ、キにおいて検討する。

 

 オ 退職手当条例が今回のようなケースを想定していないとの点について

・    平成21年12月市会において、退職手当条例第1条の職員から一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する条例第4条の規定により採用された職員を除く旨の改正(短時間勤務任期付職員に対しては退職手当を支給しない趣旨)がされている。この事実からも、任期付職員に対する退職手当の支給の可否を検討したことが窺える。

・    また、平成22年3月市会でも退職手当条例が、今回問題となっている第19条第1項も含めて改正されており、その時点では当該職員の採用・退職金の支出について協議があったのであるから、十分改正の機会はあった。

・    したがって、退職手当条例が今回のようなケースを想定していなかったとの主張に理由はない。

 

 カ 当該職員に不利益とならないよう退職手当を支出したとの点について

・    退職手当条例の定める退職手当の算出方法

 退職手当=基本額(退職時の給料月額×支給月数)+調整額(調整基礎額×対象期間)

・    このような算出方法のため、退職時の給料月額が下がると基本額が少なくなる。また、整理退職扱いの場合に支給される調整額(任期付職員の任期満了による退職は退職手当条例施行規則第4条第2号により整理退職に準ずると定められている。)は、退職時の直近60箇月(対象期間が60箇月に満たない場合は、当該対象期間)分が支給されることから、今回の退職と最終の退職と2回に分割して退職手当を支出することにより、調整額部分を重複して受給できることになる。

・    当該職員が現在の任期である平成25年3月31日に期間満了で退職したと仮定した場合の退職手当(平成25年3月時の給料月額を現在の給料月額と同じと仮定)を試算すると、

・    退職手当を2回に分割して支給する場合には、①平成22年3月31日の退職手当6,809,750円、②平成25年3月31日の退職手当3,831,750円、③ 総額(①+②)10,641,500円⋯⋯⑴

・    条例どおり、在職期間を通算して1回だけ退職手当を支給する場合は、 8,816,400円⋯⋯⑵

・    分割して退職手当を支給した場合は、条例どおり在職期間を通算して1回だけ退職手当を支給する場合に比べて、1,825,100円(⑴10,641,500円-⑵8,816,400円)も多く支給することになる。

・    退職手当条例第19条第1項が、「退職の日又はその翌日に再び職員となったときは、この条例の規定による退職手当は、支給しない。」と明確に定めているにもかかわらず、職員に不利益にならないように分割して退職手当を支給できるとの総務局の解釈は、職員への退職手当を増額するために「お手盛り」で条例の規定に反する解釈により条例の根拠なく退職手当を支給しており、給与条例主義に反し違法であることは明らかである。

・    ちなみに、特別職の職員の給与に関する条例第5条は、原則として一般職の退職手当条例の規定を準用するとしながら、その例外として、第4条第4項において、「第1項に定める職員(注:市長、副市長、常勤の監査委員及び常勤の人事委員会委員)の退職手当の支給は、任期ごとに行う。」と明文で定めているのである。

・    したがって、任期ごとに退職手当が支給されるのは、大阪市の条例上、市長、副市長、常勤の監査委員及び常勤の人事委員会委員に限られており、一般職に属する任期付職員が退職の日の翌日に再び職員となった場合には、期間を通算して最終的に離職したときに退職手当を支給するしか選択肢はないのであり、当該職員の平成22年3月31日付け退職に対して退職手当を支給したことは違法である。

 

 キ 退職の前後で当該職員の位置付け・業務内容が異なるとの点について

・    当該職員は、退職時にも、その翌日の採用時にも、いずれも公共団体一般職任期付職員法第3条第1項に規定する特定任期付職員の位置付けであり、これは退職手当条例第1条で定義する「職員」に該当することから、当該職員が退職手当条例上、退職の日の翌日に再び職員となったことに疑いの余地はない

・    また、実際上も、当該職員の担当事務は、多少新規事務等が加わっているが、基本的には公営企業会計監査・出資団体等監査、監査業務の指導や職員に対する研修を中心にしており、補職名も同一であり、実質的には同一の業務に従事しているといえる。

 

 ク 退職金の返還について

・    当該職員の平成22年3月31日の退職に対して支給された退職手当6,809,750円は、地方自治法第204条の2及び退職手当条例第19条第1項に違反する違法な公金の支出であることは明らかであるから、退職手当の支払者である大阪市長は、当該職員に対して既に支給した退職手当の返還を求めるべきである。

4 勧告

上記判断に基づき、次のとおり勧告を行う。なお、(1)については、この勧告の日から3月以内に必要な措置を完了し、本委員会へ措置状況を報告すること

(1) 退職手当の支払者である大阪市長(総務局)は、当該職員に支給した平成22年3月31日付け退職に係る退職手当について、当該職員に対して返還請求の手続を行うこと

(2) 大阪市長(総務局)は、退職手当の支給及び金額の算定に際しては、地方自治法の定める給与条例主義を徹底し、根拠となる条例の文言に即した厳正な運用に努め、解釈による恣意的な運用を排除すること

(3) 大阪市代表監査委員、大阪市人事委員会及び大阪市長(総務局)は、選考による職員の採用について、公正性、平等性、競争性の確保に努めること

(4) 任命権者は、任期付職員の採用・退職に当たっては、地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律が任期を5年ないし3年に限定している趣旨に照らして、今後同一人が継続的に再任されるような不適切な運用を行わないこと

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終結宣言(平成23年4月19日)

 上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。

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