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超過勤務命令の適正化(第20-01-112号)

2018年11月26日

ページ番号:188011

大阪市公正職務審査委員会による意見書(平成22年2月8日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第24条第1項の規定に基づき、大阪市長に対して意見を述べました。

1 通報概要

 健康福祉局生活福祉部保険年金担当においては、その繁忙事由を一切考慮せず、職員に一律に無理な退庁を促している。その結果、職員は深夜勤務をしているにも関わらず早めの退庁打刻をした後にサービス残業せざるを得ない状況となっている。また、深夜帰りとならざるをえない職員に対し、タクシー券を利用させないような雰囲気を不用意に醸成し、結果として部下職員が心身だけでなく、財産的に被害を蒙っている。

2 調査結果

(1) 超過勤務手当の根拠・内容について

 一般職の地方公務員については、地方自治法第204条第2項により、地方公共団体は時間外勤務手当を支給することができ、同条第3項により、その額及び支給方法は、条例で定めなければならないとされている。

 また、一般職の地方公務員に対しては、適用除外と定められている条項を除き、原則として労働基準法の規定が適用されることとされており(地方公務員法第58条第3項)、時間外、休日及び深夜の割増賃金を定めた労働基準法第37条第1項も適用がある。

 大阪市では、これらの法律の定めに基づき、職員の給与に関する条例第15条及び給料等の支給に関する規則第9条で、時間外勤務に対する割増賃金(大阪市ではこれを「超過勤務手当」と呼んでいる。)の支給割合及び支給方法を以下のように定めている。

① 支給割合

支給割合

勤務日

所定時間以外

勤務1時間当たりの給与額の100分の125

深夜(22時~5時)

勤務1時間当たりの給与額の100分の150

休日

深夜を除く時間

勤務1時間当たりの給与額の100分の135

深夜(22時~5時)

勤務1時間当たりの給与額の100分の160

 支給方法 その月分を翌月の給料の支給日に支給する。

(2) 超過勤務手当の申請及び認定手続

 大阪市では、平成16年に発覚した「カラ超勤問題」の反省から、超過勤務手当の命令、申請、認定手続を厳格にするとともに、市長部局では平成21年2月から勤務情報システムを導入(本格稼動)し、出退勤時刻をタイムカード・リーダーで打刻、記録するとともに、超過勤務命令申請等の手続や手当の支給等の手続も、勤務情報システムを利用して、職員本人からの入力、上位者の認定を基にシステム上で処理している。

 超過勤務命令は、命令権者(事務専決規程等で権限を付与された者。通常は課長又は課長代理)が事前にその都度職員に対して命令し(口頭又は黙示の命令を含む。)、命令を受けた職員は、勤務情報システムの画面から、命令内容[対象日(2010/01/25など)、命令時間(17:30~20:00など)、休憩時間(17:45~18:00など)、業務内容及び理由(「明日9時からの会議資料の作成のため本日中の作業が必要」など)]を入力して、命令権者へ超過勤務命令申請を行う。

 命令権者は、その申請内容を確認して、承認する。

 承認を受けた後、職員は、超過勤務に従事する。

 超過勤務終了後(翌日でも可)、職員は、実際に超過勤務に従事した時間(超過勤務を行わなかった場合は、「実績なし」にチェック)及び休憩時間(食事等で複数回休憩を取った場合は、その全て)を入力し、超過勤務認定申請を行う。

 命令権者は、その認定申請の内容を確認して、承認する。

 命令権者によって認定された時間が、当該職員の超過勤務手当の基礎となる実績時間となり、その月分を集計して、翌月の給料日に超過勤務手当が支給される。

 緊急の場合や、命令権者が不在の場合は、その上位の者(課長代理が命令権者の場合は、課長)が上記の承認等の行為を行う。

(3) 健康福祉局からの報告

 本件通報について、健康福祉局からは、以下の報告を受けている。

① 健康福祉局生活福祉部保険年金担当における取り組みについて

 保険年金担当課長は、毎月始めに各担当係長から部下職員の健康保持を主眼とした超過勤務削減策の聴取を行い、超過勤務の縮減に努めている。

 また、係員の超過勤務実態を踏まえた内部配置転換を試行するなど、職員間の超過勤務の均一化を図るよう努めている。

 さらに、全庁的に行われている「ノー残業デー」には、超過勤務申請のなかった職員に対して穏やかな口調で退庁を促している。

② 本件通報に関するヒアリング調査結果について

 担当課長等が適切な業務執行を促していたにも関わらず、自らのポリシーから一旦申請した超過勤務の終業予定時刻を厳守しようと、退庁打刻を行った後もなお勤務するという「サービス残業」を行う職員があった。

 タクシー券については、管理担当で保管しており、利用しにくい状況ではないが、担当課長ができるだけ公共交通機関を利用するよう呼びかけている。職員の中には、この指導を自らの解釈でタクシー利用は制限されているものとの認識から、本庁で仮眠の上始発電車で帰宅する者のほか、帰宅せず自費で宿泊する者、自費でタクシー利用する者が存在した。

③ 改善状況について

 ②の調査結果を局内の課長会で報告したうえで、職員の勤務状況を注意深く見守った結果、平成20年度上半期時点では、サービス残業やタクシー利用の状況も一定改善されていると判断した。

(4) 委員会事務局(情報公開室監察部)による追加調査

 健康福祉局からの報告では、一定の改善がなされているとのことであったので、その経過を見守ることとし、平成21年度の状況について、報告どおりの改善がなされているかを、本委員会の事務局である情報公開室監察部に命じて追加調査させた。

① 保険年金担当に所属する職員(係長・係員級)の超過勤務の状況について

 平成21年4月から9月までの6箇月間(平成21年度上半期)の超過勤務の状況についてサンプル調査を行った。具体的には、委員会事務局が、対象となる職員74名のうちから無作為に抽出した27名の職員(うち1名は育児時間取得者、2名は病気休暇取得者)の出退勤の実績、超過勤務の実績を、勤務情報システムの記録を出力して提出させたものを基に分析した。

 その結果、病気休暇取得者等を除いた24名の6箇月間の超過勤務認定時間(以下「超勤認定時間」という。)の平均は、148時間となり、1箇月当たりにすれば職員1人平均約25時間となっている。このうち、最も多い者は、6箇月間で470時間もの超勤認定がされており、次いで416時間、315時間、288時間となっている。これは、平成13年12月に改正された「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」という厚生労働省労働基準局長通達(以下「過労死労災認定基準」という。)において、「発症前1か月ないし6か月にわたって、1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること」との基準を超える者(6箇月間で270時間を超える者)が、4名もいることを意味している。さらに、6箇月間で150時間以上の者(年間300時間を超える場合、総務局のヒアリング対象となる)が24名中10名(約42%)にも上っている。

 また、実際に職場にいたと考えられる退勤打刻時刻から推定される拘束時間(終業時刻の17時30分から退勤打刻時刻までの時間から、労働基準法上8時間を超える勤務に取得が義務付けられている15分の休憩時間を控除した時間。以下「拘束時間」という。)と、上記の超勤認定時間を比較して見ると、毎月の拘束時間と超勤認定時間との差は、24名の平均で、多い月で19時間、少ない月でも13時間生じている。これを個々の職員で見ると、最もその差が大きい者は、1箇月に64時間(拘束時間73時間-超勤認定時間9時間)もあり、中には、1箇月の拘束時間が52時間に及ぶにもかかわらず、全く超過勤務命令申請を行わず、超勤認定時間がゼロという者もいた。

 1箇月の要勤務日は約20日であり、超過勤務終了後の帰宅準備に約15分要すると考えると、1箇月当たり約5時間の差が生じることは想定されるが、上記のような大きな差が生じることは、超過勤務手当の支給を受けないサービス残業が行われているのではないかとの疑問が生じる。

 なお、上記の超過勤務時間等の調査結果を一覧表にすれば、以下のとおりとなる。

超勤認定時間の推移

 

21年4月

21年5月

21年6月

21年7月

21年8月

21年9月

合 計

24名平均

25時間

22時間

31時間

24時間

17時間

29時間

148時間

多い者

A

78時間

84時間

88時間

92時間

77時間

51時間

470時間

B

56時間

60時間

82時間

80時間

74時間

64時間

416時間

C

65時間

38時間

44時間

56時間

55時間

57時間

315時間

参 考

1人1箇月平均25時間、6箇月270時間超 4名、6箇月150時間超 10名

拘束時間と超勤認定時間の差異
 21年4月21年5月21年6月21年7月21年8月21年9月合計
平均拘束41時間41時間50時間42時間30時間45時間249時間
認定25時間22時間31時間24時間17時間29時間148時間
差異16時間19時間19時間18時間13時間16時間101時間
最多※拘束52時間64時間80時間73時間63時間77時間421時間
認定0時間13時間17時間9時間18時間23時間113時間
差異52時間51時間63時間64時間45時間54時間308時間

※ 各月の最も多い差異があった者を上げたので、同一人とは限らない。
  また、最多の合計欄は、6箇月の合算で最も差異が多い者の時間数を記載したので、各月の合計時間とは一致しない。

② 職員に対するヒアリング結果について

 ①の結果を踏まえ、サンプリング抽出した27名中25名の職員に対して個別にヒアリングを行った。

 拘束時間と超勤認定時間にこのように大きな差異が生じた理由については、「食事や休憩の時間を除いて、自分自身の仕事をしている時間はこの程度と思う」、「部下の管理をしながら書類整理等をしている時間は超勤と考えておらず申請していない」、「超過勤務命令を受けずに急に行った超過勤務について、翌日以後遡って申請することを忘れた」などの意見が多く、上司からの強要があったと答えた者はなかった。

 超過勤務に関する上司のヒアリングについては、「超勤認定時間が月30時間を越えている翌月以降、定期的なヒアリングはあるが、超勤の縮減や業務の効率化等の改善はなかなか進まない」と答えた者が多かった。

 定時退庁等の周知・徹底については、ノー残業デーは、定時退庁するよう周知徹底されており、それ以外の日でも「残業する必要のあるときは超勤申請を事前申請するように」「残業しないときは速やかに退庁するように」といわれているとの回答が多かった。

 退勤打刻後になお残って業務を行う「サービス残業」をしたことはあるかの問いに対しては、多くの者は、「サービス残業は行ったことはない」と回答したが、「超過勤務命令申請の承認を受けずに庁内に残っている職員はいる」との回答も数名あった。

 タクシー券の利用についての問いに対しては、一部の職員が自身の仕事の仕方で終電に間に合わなかったときに自腹で帰宅したことはあるが、タクシー券を利用し難いという雰囲気は感じず、むしろ「居酒屋タクシー問題」後、タクシー券の管理が厳正に行われているとの回答であった。

 その他自由意見としては、「退勤打刻の時間と超勤実績の話は、今回初めて言われたことで、とくに意識していたことはなかった」、「人や予算(超過勤務手当関連と思われる。)が増えず、仕事が増えているという印象は大きい」、「超過勤務を付けていい仕事とそうでない仕事の基準がよくわからない」などの意見があった。

3 判断

 以上の確認できた事実に対して、検討を行ったところ、次のとおり判断するに至った。

 健康福祉局からの報告及び委員会事務局による職員からのヒアリング等の結果を総合的に考慮すると、通報のあった平成20年度当初の段階では、退勤打刻後も自らの意思で職場に残り、超過勤務手当の支給されないサービス残業を行っていた職員が一部存在したことが認められるが、その後は、保険年金担当課長をはじめとする管理監督者が、毎週水曜日の「ノー残業デー」における定時退庁等の取組み、超勤認定時間が月30時間を超える職員に対する定期的なヒアリング、係長・係員への周知などにより、一定の改善は図られてきており、管理監督者がサービス残業を強要していたような事実は見受けられなかった。

 タクシー券についても、これを意図的に使用させず、自腹での宿泊や帰宅を強要していたような事実は認められず、調査の範囲内では適正な利用に努められていたと考えられる。

 しかしながら、今回の委員会事務局調査によって新たに判明した拘束時間と超勤認定時間との大きな乖離は問題であり、加えて、保険年金担当に所属する職員の超勤認定時間は依然として極めて多く、十分な改善が図られたとは言い難い。

 一般職の地方公務員に対して除外規定を除き原則として適用される労働基準法の規定上、大阪市(市長部局の職員にあっては市長)は事業主に当たり、事務専決規程等で事業主から超過勤務命令等の権限の行使を委ねられた課長、課長代理等の管理監督者は、労働基準法第10条に規定する使用者に該当し、労働者たる職員の健康管理、勤務労働条件等に関して、その安全に配慮する義務を有している。

 保険年金担当は、全市的にも超過勤務が多い健康福祉局の中でも、特に超過勤務が多く、病気休暇取得中の者や体調不良による年休取得者を複数抱える部署であることは、管理監督者は認識していたことから、よりきめ細かい配慮が要請されるところである。

 ところが、平成21年度の上半期の実績で、無作為抽出した27名のうち病気休暇取得者等を除いた24名の職員の1箇月当たりの超勤認定時間が平均約25時間となっており、過労死労災認定基準(1箇月当たり概ね45時間)を超える者が4名もいる事実は問題である。

 一方で、月平均4時間程度の超勤認定時間しかない職員もおり、著しく業務量に均衡を欠いている。また、一定の取組みはされているとは考えるが、現行体制内においても、超過勤務をさらに削減する努力が求められる。

 拘束時間と超勤認定時間との間に生じている大きな乖離については、退勤打刻までの間に、食事等の休憩を取ったり、他の職員や関係部局からの報告・回答待ちなどのいわゆる「待機時間」も含まれ、これを超過勤務として認定申請するか否かについては、個人差があるのも事実であろう。

 しかしながら、民間企業の労働事件(未払賃金請求訴訟)の判決では、特段の事情のない限り、タイムカードに打刻された出勤時間から退勤時間までが労働時間と認定され、明らかに勤務に従事していなかった時間(職務と関係のない外出、食事、私用等)は、使用者側に立証責任があるとの判例が主流になりつつあることからすれば、公務員の労働関係についても、より厳格な運用が求められる。

 特に、勤務情報システムを導入しながら、実従事時間で認定申請をするのを忘れたり、面倒に思って職員が申請をしないようなことがあっては良くない。

 管理監督者側も、職員の意思で超過勤務命令申請をしない又は認定申請時に遠慮して実従事時間への変更をしないことを理由に、申請が無いから認定できないと現状を放置しているとすれば問題である。

 職員に対して、超過勤務縮減に対する意識啓発をさらに行うとともに、勤務情報システムを利用した正確な事前申請、事後の認定申請、承認行為を徹底する必要がある。

4 意見

 上記判断に基づき、次のとおり意見を述べる。

(1) 健康福祉局にあっては、保険年金担当に所属する職員の拘束時間と超勤認定時間に大きな乖離が生じていることを重く受け止め、今後は勤務情報システムによる適正な超過勤務命令手続を徹底し、その解消に努めるとともに、仮に、乖離した時間の中に「サービス残業」が含まれていることが判明した場合には、適正な超過勤務手当を支給するように努めること

(2) 健康福祉局は、過労死労災認定基準を超える超過勤務が常態となっている状況を改善するため、時間内での効率的な事務執行はもとより、係長・係員の弾力的配置、不要・不急の業務の省力化・簡略化、担当業務の平準化等の改善策を策定・実施するよう努めること。上記措置を講じてもなお所属職員の勤務状況が改善されない場合には、業務量や人員配置の見直しなど、抜本的な対策を講じるよう努めること

(3) 健康福祉局以外の所属においても、超過勤務が常態化し、職員の拘束時間と超勤認定時間に大きな乖離が生じているような場合には、上記(1)、(2)に準じた措置を講じるように努めること

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