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区社会福祉協議会における不適正な経理処理(第21-01-133号)

2020年3月24日

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大阪市公正職務審査委員会からの勧告(平成22年2月8日)

 大阪市公正職務審査委員会から、大阪市長に対して、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第1項の規定に基づき、勧告を行いました。

1 通報概要

 平成20年度に大阪市住吉区社会福祉協議会(以下「住吉区社協」という。)で行われた事務所改装工事等において、その工事代金に工事とは全く関係のない液晶テレビ等の代金を含み入れている。納入された液晶テレビ等は固定資産として計上をしておらず、また、「寄贈」と記したシールが貼られているが寄贈元が記されていない。住吉区社協は、同区社協の会計顧問(税理士)に対して会計処理に関する申し入れを行い、事実を隠蔽した。そもそもこの工事契約は、入札はおろか相見積も取らずに行われており、大問題である。

2 健康福祉局による調査・報告

 本件について、健康福祉局からは、次のような報告を受けている。

(1) 調査対象について

 健康福祉局は、本件通報の事実確認のため、住吉区社協その他の関係先に対して調査を行った。

(2) 住吉区社協について

 住吉区社協は、健康福祉局が監理所管である社会福祉法人で、2名の本市派遣職員、2名の本市OB職員を含む43名の職員が常勤している(平成20年度)。

 平成20年度の事業活動収支計算書によれば、総収入は約4億1,900万円であり、総収入に占める大阪市からの委託料は約1億9,365万円(総収入の46.2%)、補助金等は約9,382万円(総収入の22.4%)となっている。

(3) 工事契約について

 住吉区社協の経理規程は、「予定価格が250万円を超える金額の工事請負契約を締結する場合は競争入札に付さなければならない」と規定している。

 しかし、本件工事は全体で5,481,000円(税込み金額)であったにも関わらず、競争入札を行わず、特名随意契約により、株式会社A(以下「A」という。)と契約を行っていた。なお、住吉区社協によれば、Aを選定した理由としては、Aを通じて他の2社から比較見積りをとった結果、Aが最安値であったことからAを随意契約の相手方としたとのことである。

(4) 液晶テレビ等について

 本件通報にある液晶テレビ等の代金が、本件工事代金に含まれていることは健康福祉局としては確認できなかったとのことである。

 また、この液晶テレビ等は、A又はAの担当者Xからの「匿名」の寄付であり、住吉区社協は寄付金収入としての会計処理を行うとともに、寄付台帳、財産目録等に記載して管理する必要があったにも関わらず、これらを行っていなかった。

(5) 償却資産に係る固定資産税について

 地方税法(昭和25年法律第226号)は、固定資産税の非課税の範囲を定めている。

 社会福祉法人の施設やその事業に供する固定資産はこれに該当すると考えられ、一定の手続きを経て非課税となるが、住吉区社協は、結果として非課税になるため、そもそも申告の必要がないものと誤認し、この液晶テレビ等を含めて従来からこれらの手続きを行っていなかった。

(6) 経理相談業務等を委嘱している税理士に対する申し入れについて

 住吉区社協は、同区社協が計算サービス業務及び経理相談業務の委嘱契約を締結している税理士(以下「委嘱先税理士」という。)に対して、この液晶テレビ等を寄贈者の希望等に沿って匿名の寄付として受け入れること、液晶テレビ等を固定資産として計上しないことへの同意の申し入れを行った。

(7) 今後の健康福祉局の対応について

 健康福祉局は、住吉区社協に対して、上記の(3)から(6)までの行為について不適正であると判断し、以下の内容を口頭で改善指導した。

  1. 予定価格250万円を超える工事請負契約を締結する場合には、区社協経理規程に基づき入札を行うこと
  2. 寄付台帳を整備するなど適正な財産管理を行うこと
  3. 固定資産税(償却資産)の申告について、市税事務所の指示に従い、適切に行うこと
  4. 経理処理に関して委嘱先税理士に対する不適切な指示は行わないこと
  5. 法人以外の第三者による再発防止委員会を設置し、原因究明及び再発防止策の策定を行うこと
  6. 決算関係書類の誤りを修正すること

 また、他に不適正な事案が判明した場合には、それらを含めて指摘し、改善させる予定である。

 さらに、住吉区社協の改善への取り組みが確実に履行されるよう、健康福祉局の各事業所管担当が継続的に確認していく予定である。

 これらを時系列で整理すると次のようになる。(健康福祉局からの報告によるもの)

経過

年月日

事項

平成20年7月4日

Aから事務機購入に関する見積が取られる。

平成20年7月25日

Aから事務所改装工事等に関する見積が取られる。

平成20年9月12日

液晶テレビ等について、A又はXから「匿名」での寄付申込書が住吉区社協に提出される。(本委員会はこの点に疑義を有している。)

平成20年9月13日

事務所改装工事等が完了し、同日付でAから請求書及び納品書が住吉区社協に提出される。

平成20年9月16日

寄付の受入れについて、住吉区社協事務局長が決裁を行う。

平成20年9月18日

事務所改装工事等の代金支出決議行われる。

平成21年9月7日

本件公益通報が行われる。

平成21年10月13日、15日、21日、22日、27日、29日、11月2日

健康福祉局の住吉区社協及び関係先に対する調査が行われる。

現在も継続中

3 判断

 以上の健康福祉局からの報告に対して、検討を行ったところ、次のとおり判断するに至った。

(1) 本件随意契約の問題点

 住吉区社協は、大阪市の事業関連団体として、大阪市から大阪市立住吉区老人福祉センターの指定管理を受けているほか、大阪市住吉区在宅サービスセンターの施設を所有・運営するなど、社会福祉事業の企画・実施について、大阪市及び住吉区と密接な関係を有している社会福祉法人である。

 そのため、住吉区社協経理規程では、地方自治法及び大阪市契約規則の定めに準じて、予定価格が250万円を超える工事の請負契約については、その性質又は目的が競争入札に適しないものを除き、競争入札によりこれを行わなければならないこととされている。

 本件契約は、住吉区社協が所有し、その事務所が入居する住吉区浅香1丁目所在の住吉区在宅サービスセンターの施設内に設置する地域包括支援センターの改修に伴い、同施設1階及び2階の区社協事務所の①改修工事(事務室間仕切り工事、フロア・カーペット工事、建具・電気コンセント・照明器具工事等)3,690,225円、②電話LAN配線工事1,055,775円、③事務機購入(耐火金庫、引き違い書庫、シュレッダー等)735,000円、合計5,481,000円(いずれも消費税込み)を一括してAに発注したものである。

 工事の請負契約と、物品購入契約は、契約の性質が異なり、事務所の改修工事や電話LAN配線工事と関連の薄い事務機の購入を一括の契約として、同一業者Aに発注していることは、そもそも問題である。

 また、工事の請負契約(①+②)のみを合算しても、4,746,000円(消費税込み)となり、経理規程で定める250万円を超えている。上記工事の性質からして、特殊な技術、工法、特許が必要なものではなく、かつ、火災の復旧工事のように緊急性を有したものでないことから、随意契約の要件を満たしていないことは明白である。

 したがって、住吉区社協が本件契約について、競争入札に付すことなく、一括してAと随意契約を締結したことは、住吉区社協経理規程に違反し、不適正であることは明らかである。契約の締結に際しては、競争性、公正性、透明性を確保するとともに、競争入札によるコスト削減努力を行う必要があることは言うまでもない。

 本件契約について、決裁権限を有する住吉区社協の事務局長(大阪市職員であり、住吉区役所副参事(課長代理級)を併任)は、容易に上記事実を知り得たにもかかわらず、Aとの随意契約締結を承認し、支出決議書に押印している。

 このような契約事務の取扱いは、極めてずさんといわざるを得ないし、3社の比較見積りにより最安値のAを随意契約の相手方として選定したとの住吉区社協の説明も、Aを通じて他の2社から見積書をとっていることからすれば、実質的には競争性が働いているとは言い難い。

(2) 液晶テレビ等の取扱いについて

 健康福祉局からの報告では、住吉区社協職員及びAの担当者Xに確認したところ、いずれも「寄付」である旨を主張しており(ただし、区社協職員はAからの、XはX自身の寄付としており、寄付者の認識に食い違いがある。)、平成20年9月12日にA又はXから匿名による寄付申込書の提出を受け、9月16日に事務局長が決裁し、テレビの裏側には、「平成20年9月12日寄贈」のシールが貼られていることから、購入の事実は確認できなかったとしている。

 しかしながら、本委員会は、以下の理由から、液晶テレビ等がA又はXからの寄付であったと事実認定するには、合理的な疑いが残ると考える。

 通報者からの情報提供によれば、Xからの聴き取りにより、Aが住吉区社協に提出した見積書のうち、「1階、2階電話LAN配線工事 一式 1,005,500円(税抜き)」の中の、「1F LANケーブル配線工事 一式350,000円」及び「2F LANケーブル配線工事 一式250,000円」に、「SHARP 37型液晶テレビ LC-37EX5 納入金額165,600円」及び「SHARP ハイビジョンレコーダー DV-AC82 納入金額51,400円」の合計217,000円を組み込んで請求しており、代金は収受しているとのことである。

 ところが、健康福祉局のXへの聴取結果によると、当初、「液晶テレビ等については、売買ではなく寄付であることには間違いないが、誰が寄付者かわからない」旨の発言をしていたが、再三確認したところ、「X個人が営業ノルマを達成したことによるAからの表彰の賞品として受領したものを、個人として寄付した」と主張するなど、不自然に供述が変遷している。

 すくなくとも、Aからの寄付として処理した区社協の報告や事務処理と、Aの担当者Xからの個人的な寄付であるというXの供述に食い違いが生じている。

 本来、誰が寄付したかは、寄付申込書をみれば明らかなはずであるが、本委員会がその写しを検分したところ、氏名(代表者)欄に「匿名」とのみ記載され、性別欄は記載が無く、団体名、住所、電話の欄及び希望事項の欄には、斜線が引かれている。

 匿名での寄付の場合であっても、寄付金控除等の税制上の必要から、寄付申込書には、氏名、住所(団体の場合は、団体名、代表者名、本店所在地)その他寄付者を特定する事項を寄付者本人が記載し、「希望事項」の欄に、「匿名を希望」と記載するのが、通常の方法であるにもかかわらず、上記の申込書にはこのような記述がなく異例である。

 この液晶テレビ及びDVDレコーダーは、住吉区社協事務室隣の応接室(2階)に設置され、専ら区社協職員の利用に供されており、地域包括支援センターなど社会福祉事業の用には直接には供されていない。

 区社協の事務局長が寄付収受の決裁を行いながら、社会福祉法人として寄付金収受の会計処理を行わず、寄付台帳の作成、財産目録への記載、固定資産の計上など、寄付収受を受けた際に当然行うべき手続をしていなかったことも不審である。

 さらには、住吉区社協の委嘱先税理士が固定資産計上の必要があることを助言したにもかかわらず、区社協の総務課長(大阪市職員OB)が、FAX送信と電話で、当該税理士に対して、液晶テレビ等の固定資産計上等を行わない処理の同意の申し入れを行ったことが認められ、極めて不自然である。

 以上からすれば、証拠収集の限界もあり、事実認定までは至らないが、実際には、区社協の事務局長、総務課長らの意向により、事務所改修工事を機に同人らが使用する液晶テレビ及びDVDレコーダーを購入することとし、個別に契約すれば使用目的等や購入の必要性についての説明が困難なため、Aと打ち合わせて電話LAN配線工事一式の中に潜り込ませて代金を支払い、取扱いとしては、匿名の寄付として処理することとしたのではないかとの疑いを払拭できない。

(3) 寄付の適法性について

 上記の疑いとは別に、健康福祉局からの報告を前提とした場合には、さらに重大な疑義が生じる。

 すなわち、改装工事の契約及び実施日時と寄付を受けた日時との時間的関連性などの外形的事実から見るに、液晶テレビ等がA又はその担当者Xからの寄付であるならば、住吉区社協の契約に関し、決裁権限を有している事務局長(市職員)が、本来競争入札に付すべき契約を、経理規程に反してAと特名随意契約を締結する見返りとして、Aから液晶テレビ等の贈与を受け、これを匿名による寄付として処理し、かつ、税理士にも依頼して、固定資産の計上や財産目録への記載を行わず、事実の隠蔽を図ったと受け取られるおそれが生じる。

 こうした住吉区社協の経理処理は不適正にとどまらず、場合によっては、業者との癒着を疑われかねない由々しき事態を招くおそれがあると言わざるを得ない。

(4) 固定資産の計上等の懈怠、委嘱先税理士への申入れ等について

 住吉区社協は従前から固定資産税(償却資産)の申告を行っておらず、また本件でも、区社協の事務局長が寄付収受の決裁を行いながら、寄付金収入の会計処理、寄付台帳の作成、財産目録の記載、固定資産の計上、固定資産税(償却資産)の申告など、社会福祉法人として当然行うべき手続を行っていなかったことは、明らかに不適正である。

 さらには、住吉区社協の委嘱先税理士が固定資産計上の必要があることを助言したにもかかわらず、区社協の総務課長(大阪市職員OB)が、FAX送信と電話で、当該税理士に対して、液晶テレビ等の固定資産計上等を行わない処理の同意の申し入れを行ったことについては、極めて不適切な行為であり、してはならない行動である。

(5) 社会福祉法に基づく適正な監督権限の行使について

 住吉区社協をはじめとする24の区社協及び社会福祉法人大阪市社会福祉協議会(以下「市社協」という。)の監督官庁である大阪市長(健康福祉局)は、社会福祉法第56条に基づき、社会福祉法人の業務又は会計の状況について、調査権及び監督権を有していることから、市及び24区社会福祉協議会の経営改善等について必要な指導・監督に努めなければならない。

 健康福祉局は、今回の調査の過程で、2(7)1.から6.の改善指導を口頭で行っているとのことであるが、関係者の供述に大きな食い違いがあるにもかかわらず、「寄付」を前提として必要な事務手続を行うことを主たる内容としており、調査に限界があるとはいえ不十分である。

 住吉区社協で本件のような重大な契約手続違反等が見られたことから、経理規程等がほぼ同一で、同様の職員構成、事業内容を有する他の区社協、市社協においても、本件のような不適正事案が存在するおそれがあり、健康福祉局としては、不適正な行為の是正及び防止の観点からも、契約手続の一斉調査を検討する必要性が高いと考えられる。

4 勧告

 上記判断に基づき、次のとおり勧告を行う。

(1) 大阪市長(健康福祉局)は、住吉区社協の今回の契約手続、会計処理、及び寄付収受について、事実関係の解明も含めて、さらに調査を継続し、業務の改善、再発防止等の措置命令又は行政指導など、社会福祉法第56条に基づく適正な監督権限の行使に努めること

(2) 全区社協及び市社協について、その随意契約等の手続が経理規程等に基づき適正に行われているか自主的な調査を促し、その報告を求めるなど、適正な監督権限の行使に努めること

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終結宣言(平成22年8月20日)

 上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。

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