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個人情報の漏洩(第20-01-118号)

2020年3月24日

ページ番号:188084

大阪市公正職務審査委員会からの勧告(平成21年6月10日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条の規定に基づき、大阪市長に対して勧告を行いました。

1 通報概要

 通報者らは、大阪市を相手取り住民訴訟を行っているが、訴訟に関係する地域において、原告ら(通報者ら)の氏名・住所及び訴訟の具体的な内容が記載された誹謗・中傷とも取れるビラがまかれた。大阪市が、ビラ作成者に対して訴状等訴訟に関する情報を提供しているのであれば、情報管理が徹底されておらず、情報漏えいに該当する。

2 調査結果

(1) 平成20年6月17日、大阪地方裁判所から本件に係る訴状(以下「本件訴状」という。)の送達があり、総務局法務担当がこれを受け取った。同日、総務局から健康福祉局に対し本件訴状の写しの送付が行われた。

(2) 平成20年6月17日から同月20日ごろまでの間(具体的な日付は不明。)に、健康福祉局高齢福祉企画担当から、大阪市社会福祉協議会(以下「市社協」という。)及び大阪市住之江区社会福祉協議会(以下「区社協」という。)に対し、本件訴状の写しが手渡しにより提供された。

(3) 本件訴状の写しには、訴訟の原告6名の住所、氏名、郵便番号が記載されていたが、健康福祉局は、本件訴状中の個人情報につきマスキング等の措置を取ることなく提供したため、これら個人情報は市社協及び区社協の知るところとなった。

(4) 同年7月上旬ごろまでには、本件通報にかかるビラが作成されていた。

(5) ビラには、本件訴訟の原告6人の住所や氏名が記載されるとともに、ビラ作成者と思われる任意団体の代表らの中に、区社協の役員3名の氏名が記載されていた。

(6) なお、その後、7月31日付けで、大阪市長から、大阪地方裁判所を通じて、市社協、住之江区内のある地域社会福祉協議会及び関係する個人の3者に対し、地方自治法第242条の2第7項に基づく訴訟告知がなされているが、区社協には訴訟告知の手続はとられていない。

(7) 大阪市個人情報保護条例(以下「条例」という。)第10条第1項は、「実施機関は、事務の目的の範囲を超えて保有個人情報を当該実施機関の内部で利用し、又は保有個人情報を当該実施機関以外のものに提供してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。」と定め、市長等の実施機関が保有する個人情報の実施機関以外への提供について原則禁止とするとともに、例外となる場合を規定している。

(8) 例外となる場合としては、①法令等に定めがあるとき②本人の同意があるとき又は本人に提供するとき③出版、報道等により公にされているとき④個人の生命、身体又は財産の安全を守るため、緊急かつやむを得ないと認められるとき⑤実施機関の内部で利用し、又は当該実施機関以外のものに提供することに相当の理由があると認められる場合において、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと認められるとき、と限定的に掲げられており、④及び⑤については、あらかじめ大阪市個人情報保護審議会の意見を聴かなければならないとされている。

3 判断

 以上の確認できた事実に対して、次のとおり判断するに至った。

(1) 健康福祉局から行った市社協及び区社協に対する本件訴状の写しの提供行為は、①法令等に根拠を有しない提供であること、②本人の同意がなく、また、本人に提供したものでないこと、③原告らの住所及び氏名について、すべてが報道により公にされていたものではないこと、④事案の性質上、個人の生命、身体又は財産の安全を守るためのものでないこと、⑤応訴、認否といった事務の目的の範囲を超えて、原告らの住所・氏名を提供していること、大阪市個人情報保護審議会の意見を聴いていないことからすれば、条例第10条第1項各号の例外の場合に該当しないことは明らかであり、同条に違反する個人情報の外部提供である。

(2) また、市社協に対しては後日地方自治法に基づく訴訟告知を行っているが、本件訴状の写しの提供行為が同訴訟告知に先立って行われている以上、条例の規定に適合するものではないと考えられる。

(3) 調査結果から推測するに、ビラの作成者らが、大阪市から提供された本件訴状の写しをもとに、本件訴訟の原告らの住所・氏名を了知した可能性は高いと考えられる。

(4) そもそも、条例における実施機関の職員は、「個人情報の保護の重要性を認識し、個人情報を適正に取り扱い、個人情報の保護に努めなければならない」という責務を課せられている(条例第3条第3項)が、本件では、住民訴訟を提起するという住民として正当な行為について、訴訟提起者の住所・氏名が正当な理由なく外部提供されることにより、プライバシー侵害の問題が生じている。大阪市やその機関に対する訴訟提起などをした者の個人情報が、市外部の関係団体に不適正に提供されてしまうのでは、市民の信頼を失うことにもつながりかねない。

(5) なお、訴訟記録上の情報であるからといって、個人のプライバシーを侵害するおそれがないとはいえず、平成18年4月24日高松高等裁判所判決(平成17年(行コ)第17号)においても、「何人も民訴法91条1項で訴訟記録を閲覧できる建前であるからといって、そのことから直ちに、あらゆる場合に、訴訟記録の開示が個人のプライバシーを侵害しないとはいえない」と判示されているところであり、大阪市においても、訴訟記録である保有個人情報を実施機関以外のものへ提供してよいかどうかについては、条例に基づき、個別に判断しなければならない。

(6) 健康福祉局としては、仮に本件訴訟への応訴や事実認否のために市社協及び区社協に何らかの連絡を行う必要があったとしても、当該事実に関係する部分のみを伝え、原告らの住所・氏名等につきマスキング等の措置を取ることなどによって、市社協及び区社協に原告らの個人情報を提供しないようにしながら、事実認否に関する照会等の事務を進めるべきであったと考えられる。

 (7) また、健康福祉局では、今回の公益通報の調査を契機として、原告らの住所・氏名といった個人情報が条例に反して外部提供された可能性に気づき得たにもかかわらず、個人情報の流出事故との認識を有さず、事故が生じた場合に通常とるべき、本人への説明や謝罪、流出した保有個人情報の回収、事故報告書の関係部署への提出等、必要な措置を現在に至るまで行っていない。

4 勧告

 以上の判断を踏まえ、次のとおり勧告する。

(1) 本件条例に適合しない個人情報の外部提供については、流出した個人情報に係る本人(6名)への説明や謝罪、事故報告書の提出など、他の個人情報保護上の事故事案と同様、適切に対応すること。

(2) 保有個人情報の管理や、実施機関以外のものへの外部提供については、条例の趣旨にのっとって厳正に対応し、再発防止に努めること。

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終結宣言(平成22年10月25日)

 上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。

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