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生活保護未収債権の催告等の懈怠による不納欠損(第21-01-122号)

2020年3月24日

ページ番号:188718

大阪市公正職務審査委員会からの勧告(平成21年12月21日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第1項の規定に基づき、大阪市長に対して勧告を行いました。 勧告の概要は、次のとおりです。

1 通報概要

1  未収金が残っている被保護者のケースファイルを保存年限の延長をせずに廃棄している。

2 消滅時効が5年であるため、最大60回分割払いを認めているが、最初から60回を超えた分割を認めているものがある。

3 60回払いの場合、初回から59回までは低額均等割りを計上し、最後の1回に残金全額を計上しており、本来の債権額と調定額が乖離し、多額の隠れ債権がある。

4 生活保護システムから催告状が出力されることになっているが、既に生活保護を廃止されているケースについては、催告状が送付されていない。

2 調査結果

 (1) 生活保護に係る未収債権とは

  1. 保護開始時点では資力が無かったが、後日、交通事故保険金・年金・失業保険・生命保険等の給付金により資力が生じたような場合に、収入が判明した段階で、被保護者に返還請求を行う債権(生活保護法第63条)
  2. 給与、年金、保険金等により収入があるにもかかわらず、これを隠匿して不正に保護を受給したこと等が判明した場合に、被保護者に返還請求を行う債権(生活保護法第78条)

  消滅時効 法律上の中断措置がなされない限り、権利を行使し得る時から5年で完成

  債務者による時効の援用は不要 (地方自治法第236条)

未収金の額

 

平成20年度決算

調定額(A)

5,444,639,530円        

収入額(B)

1,884,786,161円        

不納欠損額(C)

779,949,904円        

未収金(D=A-B-C)

2,779,903,465円(93,362件)    

※ 上記未収金とは別に、平成21年度以降に調定される額として、少なくとも30億円を超える債権(E)がある。

   未収債権の総額(F=D+E)

 

 (2) 被保護者のケースファイルの廃棄について

  • 「生活保護経理事務マニュアル」作成・実施(平成18年5月)以前には、少なくとも11の区役所保健福祉センターにおいて、債権回収がされず未収債権が残ったままの被保護者に関する書類(ケースファイル)が、保護廃止後5年で廃棄されていた。
  • 財務会計システム(平成11年4月)が導入される以前のものについては、個別の債権者名が不明となっている場合もある。

 (3) 未収債権の分割納付について

  • 生活保護に係る債権が発生した場合には、速やかに債権額の全額を調定(債権額を決定し、これを歳入として予算に計上すること。以下同じ。)することが基本
  • 被保護者の状況から明らかに全額を一括返済できないときは、分割納付可能
  • 消滅時効が5年であるから、分割回数は60回・5年以内が妥当とされているが、実施機関(24区役所保健福祉センター、更生相談所及び緊急入院保護業務センターをいう。以下同じ。)の一部では、最初から60回・5年を超える分割納付を認めていた。
  • 初回から59回までを低額な均等返済額とし、最終の60回目に残額全部を返済するという分割納付を健康福祉局は容認しており、全ての実施機関で採用

 (例)100万円の債権 初回から59回までを1万円、60回目に41万円返済

  • 調定年度については、各実施機関とも、健康福祉局の指導に従い、債権額全額ではなく、当該年度の分割納付額を調定している。

 (例)初年度の調定額は、100万円ではなく、12万円のみを調定

 (4) 催告及びその後の時効中断措置について

  • 「生活保護経理事務マニュアル」で定める債権回収の手続
  1. 被保護者が滞納したときは、納期限後20日以内に「督促状」を送付
  2. 「督促状」の期限から相当の期間が経過しても不履行の場合、「催告状」を送付
  3. 「催告状」にも応じない場合、簡易裁判所による支払督促、小額裁判、訴訟提起、差押え、仮差押え等の時効中断措置をとる
  4. 判決正本等の債務名義による強制執行など、強制力のある法的な債権回収
  • 「生活保護システム」により、年5回(4月、6月、9月、12月、3月)、前月までの未収金に対する「催告状」が発行されており、内容を確認の上、「催告状」を債務者へ発送する必要がある。
  • 少なくとも17の実施機関において、保護廃止後のケースについては、転居先の住所が不明、業務量の増大による担当職員の繁忙等により、不完全にしか送付されていなかった。

 (5) 不納欠損処分について

  • 不納欠損処分とは、時効等により債権が消滅した場合や徴収不能により債権放棄をした場合に行われる地方自治法上の会計処理手続であり、決算上の不納欠損額として処理計上される。

  過去5年間の生活保護未収債権の不納欠損処分の状況

  • 全件消滅時効の完成によるものであり、平成20年度決算では、4,375件、約7億8千万円にも達している。
不能欠損年度別一覧表

 

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

平成20年度

件数

0

0

3

0

4,375

金額(円)

0

0

618,880

0

779,949,904

(注)不納欠損処分の会計処理を行っていない年度については、件数・金額を0と表記

3 判断

 (1)・(2) 現状及び総論

  • 大阪市における生活保護費 2,382億円(平成20年度決算)
  • 被保護者約 10万世帯、13万4000人(平成21年10月現在)
  • 市長を委員長として、「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を編成し、保護費の全額国庫負担を国に要望するなど、生活保護制度の適正なあり方について検討を進めている。
  • 生活保護の返還金等は、資力を有する被保護者が急迫により、または不正、不実により給付された公金であり、本来保護費として支給されるべきでなかったもの
  • 大阪市の非常に厳しい財政状況だけでなく、全額税金で運営されている生活保護制度に対する市民の信頼を確保し、適正に収入申告を行っている被保護者よりも不誠実な被保護者が有利にならないよう被保護者間の公平性を確保する観点からも、返還金等の未収債権の調定及び回収を確実に行うことが何よりも重要

(3)  被保護者のケースファイルの廃棄について

  • 調査結果(2)のとおり、通報指摘事実が実施機関からの報告書により明らかになったことは、極めて遺憾である。

(4) 未収債権の分割納付について

  • 生活保護費は、その4分の3を国が負担し、4分の1を地方公共団体が負担するが、国からの負担金の交付額は次の計算式により算定される。
  • (費用の額-返還金等の調定額+不納欠損額)×4分の3
  • 健康福祉局は、当該年度の分割納付額のみを調定する取扱いを各実施機関に指導(先の100万円60回分納であれば、初年度の12万円のみを調定)
  • 厚生労働省は、「債権が発生した場合は速やかに、債権額の全額を調定することが基本である」とし、明らかに全額を一括返済できない場合に限り履行延期の特約を行うことを認めている。
  • この分割方法をとる場合には、地方自治法に基づき自治体において適切に納入指導や時効中断措置等の債権管理が行われていることが前提となる。
  • 各実施機関からの回答等では、債務者の資力や返済能力を十分に考慮せずに上記のような分納を認める履行延期の特約を行っていた事例が認められた。
  • 安易にこのような分納処理を行うことが常態化してしまえば、資力ある債務者の返済意欲を低下させ、計画的な債権回収が困難になるだけでなく、実施機関の職員に債権管理の意識が希薄となり、結果として、さらなる不納欠損により、大阪市の債権が時効消滅により失われかねない。
  • したがって、危機意識をもって適切に納入指導や時効中断措置等の債権管理を行うよう実施機関に周知徹底する必要がある。

(5) 催告状の送付の懈怠

  • 少なくとも17の実施機関において、保護廃止後のケースについては、転居先の住所が不明、業務量の増大による担当職員の繁忙等により、不完全にしか送付されていなかったことは極めて遺憾である。
  • 保護廃止後の住所変更等の把握や死亡した者の相続人の調査についても、住民基本台帳法及び戸籍法による公用請求等により、債務者の住所や債務の継承者を調査することも可能であり、催告書の送付を怠っていた理由とはならない。
  • 激増する被保護者に対して実施機関の職員数が不足している、繁忙である等の事情については、汲むべき要素はある。
  • 「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を編成し、未収債権の問題についても取り組もうとしていることは評価できるが、現状ではマニュアル等が現場の各実施機関の職員に徹底されてなかったことが問題。
  • 債権回収に際して、催告を的確に行わず、それに引き続く法的な時効中断措置を取らず、漫然と期間を徒過し、約7億8千万円もの公金たる債権を時効消滅により不納欠損処分をしている現実は重く受け止めなければならない。

4 勧告

  1. 全実施機関における未収債権額の調査を行い、その全貌を把握した上で、催告状の送付、その後の時効中断措置の実施など、適切な債権管理を行うこと
  2. 組織的な債権回収システムの構築に努めること
  3. 安易な不納欠損処分が生じないよう、未収債権の分割納付及び調定のあり方を再度検討すること

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終結宣言(平成25年1月22日)

 上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。

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