水道料金の不適正な徴収(第19-90-67号)
2023年7月31日
ページ番号:191087
大阪市公正職務審査委員会からの勧告(平成20年4月22日)
大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第1項の規定に基づき、大阪市水道局長に対して勧告を行いました。
1 概要
ある会社が経営しているホテル(天王寺区)において、出入り業者に毎月1週間水道メーターを逆付けさせることにより、水道を不正に利用し本来の水道料金の徴収を免れていた事実を、平成19年2月、水道局上本町営業所に通報したが、上本町営業所は、逆付けを現認し写真まで撮影したにもかかわらず、当該会社に対して告訴や不正料金の請求など何らの対応も行わず放置している。
2 調査結果
本委員会が実施した関係者へのヒヤリングや関係書類についての調査によって、以下の事実が確認できた。
(1) 水道局上本町営業所は、平成19年2月26日及び3月29日の2度にわたり、水道メーターを逆付けしているとの通報を直接受け、営業所として独自に調査を行った結果、2度とも逆付けを現認していたにもかかわらず、担当者は、2度目の現認の際にホテル側に事情の説明を求め、その出入り業者へ逆付けの理由を質した後、水道メーターを取り替えたのみであったこと。
(2) 「給水条例違反水栓処分要綱」(以下「要綱」という。)第2条は、条例違反水栓(以下「違反水栓」という。)を職員等が摘発した場合に、現場において「条例違反認証書」に所要事項を記入の上、使用者等に押印を求める旨を規定しており、また、要綱第3条第1項においては、「条例または条例に基づく規定に違反しているもので、特に悪質と認められるもの」(第5号)に該当する場合には給水停止処分等を行うと定められているが、上記(1)の対応は、これら要綱の規定に則したものではなかったこと。
(3) 平成19年3月29日の2度目の現認以降も、定期的な現場調査により水道メーターと給水管をつなぐナットに多数の細かい傷が認められ、なお逆付けが行われている疑いが生じたため、6月25日、ナットにキャップと封印を取り付けたが、その後も、水道局は、①水道メーターの逆付けによる不正の確証(3回目、4回目の逆付けの現認)が得られていないこと、②損害額(ほ脱料金)の算定方法が未確定であり、算定を正確に行うために一定期間を要することの2点を理由に定期的な現場調査を継続するに留まり、適切な処置を取らなかったため、本件通報者によって本委員会への公益通報がなされるに至ったこと。
(4) 本委員会より水道局に調査指示を行った(平成19年11月14日)後、水道局は、不正の確証が得られていないまま、12月17日に弁護士に相談を行い、平成20年2月22日には弁護士を代理人として、当該会社に対し、水道メーターの逆付けによる「不正が疑われる期間」(平成17年11月~平成19年4月)の「ほ脱料金」の請求を行ったこと。
(5) 平成17年12月6日の検針時の使用水量(平成17年11月使用分)が1,172.0㎥と、直近5か月間(平成17年6~10月使用分)の月平均使用水量2,136.0㎥に比して、ほぼ半減していたが、水道局はその事実に気づいていたにもかかわらず、再検針を行うのみで、ホテル側から事情を聞き取るなどの十分な調査を行わず、結果として不正を見逃すこととなったこと。
3 判断
以上の確認できた事実に対して、次のとおり判断するに至った。
(1) 2度までも直接通報を受け、2度とも逆付けの事実を現認しておきながら、初動対応において、要綱に規定する適切な事務処理を行わなかっただけでなく、「未だ不正の確証が得られておらず、3回目、4回目の逆付けの事実を現認するため、現場調査を継続し、様子を伺う」と判断したことは、水道料金の徴収の公平性に反し、理解に苦しむものである。この判断がなされたために、要綱に規定する事務処理はもとより、必要な対応についても早期に取られなかったことから、今日の事態を招いたものと認識するところである。
(2) 不正の確証(3回目、4回目の逆付けの現認)が得られないまま、平成20年2月22日に弁護士を代理人として「不正が疑われる期間」の「ほ脱料金」を請求しているが、遅くとも2度目の現認時に必要な対応を取っていれば、このような事態には至らなかったと思われる。
(3) 本件通報に係る本委員会の調査指示の後、弁護士へ相談を行い、「ほ脱料金」の請求を行っていることを鑑みるに、仮に本件通報がなければ、水道局においては、現在もなお「2調査結果(3)の①②」を理由として逡巡し続けていたと思われる。
上記にあるように、「不正が疑われる期間」として損害額の請求が可能であるならば、新たな確証を得るために様子を伺うまでもなく、迅速に対応すべきであった。
水道局においては、本件通報に対する違法性の認識及び当事者意識の欠如があったのではないかと強く懸念するところである。
(4) 平成17年12月の検針時に、使用水量の激減に対して再検針を行うとともに、当該使用期間中にどのような使用状態であったかなどの必要な調査を行っていれば、今般の通報を待つまでもなく、水道メーターの逆付けによる不正行為を早期に発見できていた可能性は否定できず、この件に関しては、局の計量担当者によるチェック体制も機能していなかったという他はない。
4 勧告
上記判断に基づき、次のとおり改善されるよう勧告を行う。
(1) 違反水栓を発見・摘発した際に、要綱に則った必要な措置が速やかに講じられるような体制を早急に構築されたい。
要綱等の規程が実態に沿わないのであれば、改正等必要な手続きを早急に取られたい。
(2) 毎月の検針、計量において、使用水量の激減等を確実に把握し、指摘及び対処ができるようなチェック体制の充実を図られたい。
(3) 本件通報にあるような水道料金の適正な徴収に違反する兆候が見られる事例の有無について徹底的な調査を速やかに実施し、市民の不信を招くような該当事例が確認できる場合には、迅速かつ厳正に対応されたい。
(4) 上記(3)により実施する調査については、その調査結果の概要を平成20年6月末までに本委員会に報告するとともに、市民、利用者への公表に努められたい。
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勧告文を掲載しています。
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終結宣言(平成20年8月4日)
上記勧告に対して措置がとられたことが確認できたので、本件公益通報についての処理を終了しております。
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終結宣言(pdf, 126.87KB)
終結宣言を掲載しています。
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