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地域団体の事務支援(第29-99-1号)

2020年3月24日

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大阪市公正職務審査委員会からの意見書(平成30年2月15日)

 大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第24条第1項の規定に基づき、大阪市長に対して意見を述べました。

意見書の概要

第1 事案の発端

 平成29年4月13日、中央区役所から、以前に総務局監察部監察課(以下「監察課」という。)が実施した公益通報の調査結果と異なる事実が判明したと文書による申し出があり、これを受け、本委員会(第2部会)において、中央区役所職員による地域団体Xの事務への関与等について職権による調査を実施した。

第2 本委員会による調査結果

1 中央区役所職員による地域団体Xの事務への関与について
 中央区役所から提出された資料及び関係職員からの説明によれば、中央区役所において、開始時点は不明であるが、橋下前市長が市長に就任した平成23年12月以後も平成29年3月に至るまでの間、区役所職員が地域団体Xの下記の事務を行っていた(これらの事務は、いずれも地域団体Xの組織・団体を運営するための事務であり、以下「本件団体固有事務」という。なお、一般的に、組織・団体を運営するための事務をいうときは、単に「団体固有事務」という。)。

【本件団体固有事務(区役所職員が行っていた地域団体Xの事務)】

(1)会議(総会・理事会)運営関係

   会議資料(総会議案書、会議次第)の作成

   開催通知の作成・発送

   出欠者一覧の作成

   進行台本の作成

   会場設営

(2)出納管理関係

   歳入・歳出簿の作成

   出納指示書の作成

(3)名簿管理関係

   役員名簿の作成

2 中央区役所幹部職員の認識について
 A前々区長、B前区長及び関係職員の説明によれば、以下の事実が認められた。

(1)A前々区長は、平成24年4月頃に、担当課長と共に地域団体Xに対し、本件団体固有事務の取扱いを是正することを申し入れたが、是正に至らず、その後は、上記取扱いの是正に向けての対処を担当課長らに指示することはなかった。

 また、B前区長への引継において、本件団体固有事務の取扱いを重要事項と認識しておらず、本件団体固有事務の取扱いを引継事項とせず、その後もB前区長に報告や相談を行うことはなかった。

(2)B前区長は、区長就任時にA前々区長から本件団体固有事務の取扱いにつき引継を受けておらず、その後も説明を受けていなかった。そのため、B前区長は、地域団体Xに対し区役所が一般的なサポートを行うことは当然であるとしても、本件団体固有事務を区役所職員が行っていたとの認識はなかった。

3 発覚と是正の経緯

(1)平成29年4月、担当課長及び担当課長代理の異動による事務引継の過程において、新しく着任した担当課長及び担当課長代理が本件団体固有事務に職員が従事している事実を認識することとなり、新たに着任したC現区長も含めて、職員が本件団体固有事務に従事していることが組織として情報共有され、監察課への報告となった。

(2)C現区長が平成29年4月に地域団体Xに本件団体固有事務の取扱いにつき改善を申し入れ、地域団体Xでは本件団体固有事務を民間団体に移管することとした。

4 地域団体X以外の地域団体の団体固有事務への従事について
 本件調査の過程で、中央区役所では、本件団体固有事務だけではなく、地域団体Yやその他の地域団体の事務にも職員が従事していることが確認された。

 中央区役所では、職員が地域団体の事務に関与していること及びその整理の必要性につき、区長、副区長、担当課長らが認識を共通にし、区長からは区役所でできること、できないことの具体的な仕分けを、副区長、総務課長を中心に検討するよう指示がされている。

 現在、中央区役所では、上記区長の指示を受けて、地域団体の団体固有事務を他に移管することなどの具体的な検討を行なっている段階である。

第3 本委員会における判断

区役所職員が地域団体の団体固有事務に従事することに対する評価

(1)中央区役所における団体固有事務の従事について

ア 地方公務員法第30条及び第35条は、地方公共団体の職員の職務専念義務を定めており、職員は全体の奉仕者として、地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事することを求められている。したがって、職員が、特定団体の事務に従事することは職務専念義務の趣旨に反するとの評価を受ける場合がある。

 ただし、その範囲は必ずしも明確ではなく、例えば、団体の事務であっても行政の事務と同一視できるもの、あるいは行政目的を達成するために行政が主体的に関与することが求められる団体の事務については、職員が行っても問題とならない事務があると考えられ、その線引きにはあいまいな点もある。

イ 地域団体Xは、中央区役所にとって必要かつ重要な連携・協働のパートナーである。しかし、団体としては自主的、自律的組織であって、総会や理事会の運営、会計、名簿管理などは、団体が自己の組織運営のために自ら行うべき事務である。本件団体固有事務は、行政の事務と同一視できるものではなく、また、行政目的を達成するために行政が関与すべき事務でもない。したがって、本件団体固有事務を職員が行うことは、職務専念義務との関係で適正とはいいがたい。

 この点、関係職員は、本件団体固有事務は、勤務時間内に行うこともあったが、主に勤務時間外に行っていたという。しかし、勤務時間外であっても、それらの事務は庁舎及び庁内パソコンを利用して業務として行われていたと認められるものであり、個人的なボランティア活動として行っていたものと評価することはできない。勤務時間外に行えば労働時間管理という面において問題がある。

ウ 橋下前市長の就任後は、区役所と地域団体の関係の見直しという方針が強く発信された。後記(2)のとおり、この方針を具体化する通知やガイドラインなどの文書は策定されなかったため、見直すべき地域団体の範囲や職員が行うことができない団体固有事務の範囲、内容などについて必ずしも明らかでない面はあったものの、本件団体固有事務を担当していた職員らは、いずれも、区役所と地域団体との関係の見直しという橋下前市長の方針を認識し、本件団体固有事務を職員が行うことの相当性については疑義を有しながら、本件団体固有事務を継続していた。

 特に、A前々区長においては平成24年4月時点で、職員と共に地域団体Xを訪問し、本件団体固有事務の取扱いの是正を申入れたが実現しなかった後、中央区役所内部で検討し、あるいは他の区と意見交換して情報を入手し、また副市長などの上司に相談するなど組織として是正措置を検討することはなく、地域団体Xに是正を働きかけることもなかった。

 また、本件調査の過程で明らかになった地域団体Yの団体固有事務については、橋下前市長の方針に反することが明らかであるにもかかわらず継続されてきた。

 これらの事実に鑑みると、中央区役所においては組織として、不適正な事実、困難な事実に正面から向き合い、これを是正していくことができていなかったといわざるを得ない。

(2)大阪市における取組みの問題点

ア 一方、中央区役所で上記(1)のような不適正な団体固有事務への従事が継続されてきたことについては、大阪市において、区役所と地域団体の関係の見直しに関し、文書による明確な基準が策定されなかった点にも原因がある。

イ 橋下前市長は、平成23年12月に市長就任後、区役所と地域団体との関係の見直しの方針を強く発信し、これを受けて、区役所では地域団体との関係の見直しの必要性が認識され、区役所職員による地域団体の団体固有事務の取扱いの是正に向けての対応がとられるようになった。

 しかし、橋下前市長の方針は、市会や区長会議での発言あるいは大阪市のホームページなどで確認できるが、それはあくまでも方針であり、見直しの根拠や趣旨、見直すべき地域団体の範囲や職員が行うことができない団体固有事務の範囲、内容など、方針を具体化した通知やガイドラインなどの文書は存在しなかった。そのため、地域団体との関係の見直しの範囲や程度、その趣旨について、区役所の現場においては認識が統一されていたとはいえず、地域団体との関係を過度に見直し、距離を開け過ぎた事例もあったようである。

ウ 区役所などにおいては、行政目的を達成するために、地域団体を育成し、あるいは地域団体と円滑な関係を維持するために様々な関与や支援を行っており、その一環として従前より地域団体の事務の一部を職員が担ってきた例も多々ある。しかし、市民全体に奉仕すべき職員が特定の団体のみを支援する場合には公平性に疑義が生じ、また職員が団体の事務局機能を担って金銭などを預かれば不祥事が発生することなどが懸念される。この点、大阪市では平成19年度定期監察(共通課題監察)において、団体の現金を職員が取り扱うこと(公金外現金の取扱い)については、一定の整理を行っていくべきとの方針が示された。

 だが、地域団体の事務を区役所職員が担うことに対しての大阪市の見直しの取組みは、公金外現金の取扱いの整理以降、橋下前市長就任以前には特に確認することはできなかった。区役所と地域団体との関係の見直しは、橋下前市長の就任後、新たに進められることとなったと評価できる。

エ 区役所職員が地域団体の事務に従事することは、地方公務員法の定める職務専念義務の趣旨に反するおそれがあるとしても、地域団体との円滑な関係を維持して連携・協働によって政策や行政目的を達成していくべき区役所の現場では、従前より行ってきた団体固有事務を取りやめることは、地域団体との間で軋轢が生じることも考えられ、相当悩ましい問題であったと推測される。上記のような重要な実務の取扱いの変更にあたっては、市長の方針を具体化する通知やガイドラインなど文書による明確な基準が作成されるべきであったと考えられる。

 つまり、通知やガイドラインなどの文書で、職員が地域団体の団体固有事務を行ってはならない根拠が示され、かつ、行ってはならない地域団体の事務の基準が明確に示されていれば、職員も従前からの事務を漫然と継続することはなく、地域団体との関わりについての疑義が生じた際には区長を含めて区役所内でその情報が共有され、解決に向けての必要十分な検討がされたと考えられる。現場における職務を円滑にすすめるためには、方針を示すだけではなく、その方針を現場での具体的な対応にまで明確化する作業が必要であった。

(3)是正措置等について

 上記(1)に記載の状況に対する中央区役所の是正措置として、区役所職員が従事していた本件団体固有事務については、発覚直後の平成29年4月の時点で、民間団体に移管したことは認められる。また、地域団体Yをはじめとするその他の団体についても、中央区役所として団体固有事務への職員の従事につき整理の検討を開始している。

 これらの状況を踏まえると、現時点において、不適正な状況が完全に是正されたとは言えないものの、是正・再発防止措置も含め各地域団体との調整に一定の時間を要することを考慮し、勧告は行わないが、委員会として特に意見を述べることとした。

第4 意見

(1)中央区長は、引き続き地域団体Yなどの団体固有事務の整理を進め、速やかに是正を図られたい。また、中央区長は、地域団体と連携・協働して施策・事業を推進する際には、各主体の役割と業務分担を明確にし、職員が業務を遂行する上で地方公務員法の趣旨に抵触あるいは逸脱することのないよう徹底されたい。

(2)中央区長は、中央区役所が自らの組織判断で団体固有事務への従事を是正することができなかった事実に鑑み、組織マネジメントの課題を十分に認識し抜本的改善に取り組まれたい。

(3)市長は、中央区役所の団体固有事務についての是正状況を、適宜モニタリングされたい。また、他の区役所で本件と同様の事例その他区役所と地域団体との関係において不適正な事例がないか、あらためて検証し、必要に応じて適宜是正されたい。

(4)行政目的を達成するためには、区役所は地域団体との緊密な連携・協働が必要であり、職員は地域団体から様々な要望を受け、支援を求められることが考えられることから、市長は、区役所と地域団体との適切な関係を維持、確立するために、区役所と団体との関係につき、職員の判断の根拠となるようなできる限り明確な基準を文書化する措置を講じられたい。

意見書の概要

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