大阪における特別区の制度設計
2024年7月25日
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第36回協議会(2020年7月31日開催)では、「特別区設置協定書(案)」にかかる国との協議・報告に対する国の「特段の意見はありません」との回答を踏まえ、協定書を作成しました。
特別区設置協定書
制度設計の5つのポイント
- 広域機能と基礎自治機能の役割分担を徹底し、広域機能を大阪府に一元化することで二重行政を解消します。
大阪全体の成長や安全・安心などの事務は大阪府が、住民に身近な事務は特別区が実施します。 - 現行の住民サービスを適切に提供できるよう、特別区と大阪府の役割分担に応じて財源を配分します。
特別区設置の際は、大阪市が実施してきた特色ある住民サービスは内容や水準を維持します。 - 区割りについては、財政の均衡化、人口の格差、歴史的な経緯、鉄道網・商業集積などを考慮しています。
- 利便性を維持するため、現在の区役所での窓口サービスは引き続き実施し、区役所は現在の名称のままとします。
- 特別区設置の日は、住民サービスへの配慮や円滑な移行の観点から、2025年(令和7年)1月1日とします。
制度設計の概要
〇特別区設置協定書の具体的な内容をまとめた項目ごとの詳細な資料はこちらをご覧ください・・・特別区制度(案)(財政シミュレーションについてもこちらをご覧ください。)
〇主なポイント等は以下をご覧ください。
1.区割り・区の名称・本庁舎の位置
2.事務分担
3.組織体制
4.財産・債務
5.財政調整
6.大阪府・特別区協議会(仮称)
7.地域自治区・区役所・地域協議会
8.区議会議員の定数
9.特別区設置の日
10.特別区設置に伴うコスト
1 区割り・区の名称・本庁舎の位置
区割りの基本的な考え方
- 各特別区における財政状況の均衡化が図られるよう最大限考慮します。
- 各特別区間における将来(2035年を想定)の人口格差を概ね2倍以内とします。
- これまで地域において築きあげてきたコミュニティを考慮し、過去の合区・分区の歴史的な経緯を踏まえます。
- 特別区内における住民の円滑な移動や住民間の交流を確保できるよう、鉄道網の接続や商業集積を考慮します。
- 災害対策について、防災上の視点をできる限り考慮します。
区の名称の基本的な考え方
- 特別区は現行政区の区域を越えて形成されることから、より包括的なものとします。
- できる限り住民に親しみやすく、わかりやすいものとなるよう、極力簡潔なものとします。
上記1、2の基本的な考え方を踏まえ、「方角・位置」、「地勢等」をもとに決定します。
本庁舎の位置の基本的な考え方
- 北区について、現大阪市本庁舎(中之島庁舎)は、行政機能の集約が可能であり、また、都心部にあり複数の鉄道アクセスを有することから、住民にとって最も便利であるため、現大阪市本庁舎(中之島庁舎)を本庁舎とします。
- 残りの淀川区、中央区、天王寺区については、以下の考え方を基本とします。
1.本庁舎として不可欠な機能の集約が可能
2.地方自治法の規定を考慮
(住民からの近接性、交通の利便性、都市の中心性)
2 事務分担
基本的な考え方
●大阪市と大阪府が現在実施している事務について「基礎自治体」と「広域自治体」の役割分担を徹底します。
- 特別区…
住民に最も身近な存在として、豊かな住民生活や地域の安全・安心を支えるため、中核市※並みの権限を基本に住民に身近な事務は特別区が実施します。
➡なお、専門性、公平性、効率性の確保が特に必要な事務については、一部事務組合等により共同で実施します。
※中核市は人口20万人以上の指定された市で、一般的な市が行う事務を超えた事務(例:保健所の設置)を行います。 - 大阪府…
特別区を包括する広域自治体として、大阪都市圏の成長を支え、大阪全体の安全・安心を確保するため、大阪全体の成長、都市の発展、安全・安心に関わる事務を実施します。
●住民サービスの適正な引継ぎ、水準の維持
- 特別区と大阪府は、現在の住民サービスを低下させないよう適正に事務を引き継ぎます。
- 特別区の設置の際は、大阪市が実施してきた特色ある住民サービスは内容や水準を維持します。
(特別区設置の日以後も、特別区と大阪府は地域の状況や住民ニーズも踏まえながら、内容や水準を維持するように努めます。)
3 組織体制
基本的な考え方
●人員マネジメントのもと、特別区と大阪府がそれぞれの機能をフルに発揮できる最適な組織体制をめざします。
特別区
近隣中核市※を参考に各特別区の人口規模を考慮したうえで、中核市権限を上回る事務や大阪市の特性(生活保護受給世帯数が多いことなど)を反映し、地域ニーズに沿った身近なサービスを提供できる効果的・効率的な体制
※豊中市、高槻市、枚方市、東大阪市、尼崎市、西宮市
大阪府
大阪の未来像をめざし、関係機関を巻き込んで強力かつ適切に施策を推進していくための司令塔機能を担う広域自治体として、全国トップクラスのスリムな組織体制を維持しつつ、一元化する広域機能を最大限発揮できる体制
4 財産・債務
基本的な考え方
- 特別区や大阪府が、現在の住民サービスを適切に提供できるよう、事務分担(案)などを踏まえ、財産・債務を承継します。
- 株式、基金等の財産は、特別区への承継を基本とし、大阪府が処理する事務に密接不可分なものに限って大阪府が承継します。
- 発行済みの大阪市債は、大阪府に一元化して承継し償還を基本とします。(償還費用は特別区と大阪府が財政調整財源等で負担します。)
5 財政調整
基本的な考え方
●現在の住民サービスを適切に提供できるよう、特別区と大阪府の事務分担(案)に応じた財源配分を基本とします。
(大阪府に配分される財源は、現在大阪市が担っている広域的な役割を果たすための事業に充当します。)
- 特別区の設置から10年間は、住民サービスをより安定的に提供できるよう、特別区に対して追加的な財源(各年度20億円)を配分します。
- 特別区の設置の日までに大阪市立の高校の移管が行われた場合、その影響額を勘案した財源(各年度17億円)を特別区に対して配分します。
●特別区間の税源や行政需要の偏在による収支不均衡を是正できるよう各特別区に財源を配分します。
●大阪府において特別会計を設置するなど、財政調整制度の透明性を確保します。
6 大阪府・特別区協議会(仮称)
基本的な考え方
- 特別区と大阪府及び特別区相互の間の連絡調整を図るために設置します。
- 東京の都区協議会の仕組みを発展・充実させ、特別区の考えがより反映される「特別区重視」の仕組みを構築します。
- 委員構成
・委員は、各特別区の区長と知事を基本とします。
・必要に応じ、議会の代表者、職員、学識経験者等を加えることがでます。 - 運営
・合意による運営を基本とします。
・財政調整や財産・債務、事務分担などを幅広く協議します。 - 第三者機関の設置
・協議が不調になった場合には、第三者機関(構成員:学識経験者、弁護士等)が双方の意見を聴いたうえで、「調停案」を提示します。
7 地域自治区・区役所・地域協議会
基本的な考え方
- 地域コミュニティを維持するため、行政区域である地域自治区を現在の24区単位で設置します。
- 利便性を維持するため、現在の区役所で窓口サービスを引き続き実施します。
区役所は現在の名称のままとします。(法律上の位置づけは地域自治区の事務所) - 地域住民の意見を区政に反映するため、現在の24区単位で地域協議会を設置します。
8 区議会議員の定数
基本的な考え方
- 選挙区は特別区とします。
- 各特別区の議員定数は、現行の大阪市会の行政区ごとの議員定数を積み上げたものとします。
- 議員報酬は、減額後の現行報酬をベースとします。
区 名 | 議員定数 |
---|---|
淀川区 | 18人 |
北区 | 23人 |
中央区 | 23人 |
天王寺区 | 19人 |
合 計 | 83人 |
9 特別区設置の日
基本的な考え方
- 住民サービスを確実に提供できるように十分な準備期間を確保します。
- 住民サービス(住民対応窓口)への配慮、住民サービスの提供に欠かせないシステムを安全に移行する観点を踏まえ、4日間以上の閉庁日を確保します。
⇒上記を踏まえ、特別区設置の日は 2025年(令和7年)1月1日
10.特別区設置に伴うコスト
基本的な考え方
●システム改修経費や庁舎整備経費などのイニシャルコスト、システム運用経費などのランニングコストを、新たに必要となる経費として試算しました。
- 庁舎整備については、各特別区域内において、既存庁舎として利用している執務室を優先的に活用します。
- 特別区域内の既存庁舎を活用してもなお執務室の不足が生じる特別区(淀川区・天王寺区)は、不足分について現大阪市本庁舎(中之島庁舎)を活用します。
- なお、特別区の設置に際して新たな庁舎の建設は行いませんが、将来的な庁舎のあり方について、特別区長・区議会を拘束するものではありません。
≪庁舎経費の負担を調整する仕組み≫
- 現大阪市本庁舎(中之島庁舎)を含め、庁舎を賃借する場合の各特別区の負担を調整します。(その仕組みは今後検討)
- 将来の庁舎整備に係る財政負担については、特別区設置後の最初の整備に限り、その一部について財政調整により財源を配分します。
<参考>特別区素案等
特別区の制度設計にあたっては、議論のたたき台となる「特別区(素案)」をはじめ、その他の「参考資料」を協議会に提出し、協議が進められてきました。これらの資料は、こちらでご覧いただけます。
特別区制度(いわゆる「大阪都構想」)について もくじ(トップメニュー)
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