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平成24年職員の給与に関する報告及び勧告

2023年9月29日

ページ番号:184984

本年の勧告のポイント

月例給は引下げ、ボーナスは改定なし

1.月例給について、本市職員給与が市内民間給与を上回るマイナス較差を解消するため地域手当の支給割合を2%引下げ

 ・ 本年4月時点の公民較差(▲11,177円)のうち、3,941円は本年8月の給与制度改正により引下げられているため、差額である▲7,236円(本年8月時点較差相当額)の解消が必要。

2.特別給(ボーナス)については、民間の支給割合と均衡しており、改定なし(現行3.95月分)

  (参考)勧告が実施された場合の平均年間給与は▲114,893円(▲1.72%)

給与勧告について

(基本的な考え方)

 人事委員会による地方公務員の給与勧告は、公務員が労働基本権を制約されていることに対する代償措置の機能を有するものであり、公務員の給与水準について、各方面の理解を得る基礎である。

 本委員会は、情勢適応の原則に基づき、職員給与水準を市内民間給与水準に均衡させることを基本に、地方公務員法の規定に基づき、報告及び勧告を行っている。

(職種別民間給与実態調査)

 本年5月から6月にかけて、市内の企業規模50人以上、かつ、事業所規模50人以上の民間事業所のうち388事業所を対象に、人事院及び大阪府人事委員会等と共同で、本年4月の給与月額等を職種別に実地調査し、345事業所から回答を得た。(調査完了率88.9%、調査実人員17,285人)

本年の給与改定について

1 職員給与と職種別民間給与実態調査に基づく民間給与との比較

(1) 比較の方法

 <月例給> 職員と民間従業員の本年4月分支給額を調査し、責任の度合、学歴、年齢別に対応させ、ラスパイレス方式により比較

 <特別給> 民間従業員に対する直近1年間の支給実績を調査し、職員の支給月数と比較

(2) 比較の結果

月例給(4月時点)

民間給与

本市職員給与

較差

414,509円

減額措置前

425,686円

▲11,177円(▲2.63%)

減額措置後

399,086円

15,423円(3.86%)

(注) 職員給与は、本年4月の行政職給料表適用者の給与

※ 給与減額措置として、給料月額(局長級▲14.0%・部長級、課長級及び課長代理級▲11.5%・係長級以下▲3%~▲9%)及び管理職手当(▲5%)の減額が実施されている。

 

月例給(8月時点試算)

民間給与

本市職員給与

較差

414,509円

減額措置前

421,745円

▲7,236円(▲1.72%)

減額措置後

397,059円

17,450円(4.39%)

(注) 職員給与は、本年8月から実施された給与制度の改正が本年4月の人員配置状況で実施されたと仮定して試算した概算値である。

(参考) 昨年の較差 ▲1,882円(▲0.44%)

 

職員給与と民間給与の状況
特別給

民間支給割合(大阪市内)

3.95月分(昨年3.96月分)

職員の支給月数

3.95月分(23年実績3.95月)

(注)  勧告月数は、国・他都市と同様に、0.05月単位で決定しており、小数第2位を2捨3入するので、民間支給割合が3.95月分の場合は3.95月となる。

2 勧告の内容

(1) 地域手当

 本市職員の給与が民間の給与を7,236円(1.72%)上回る較差を解消するため、本年8月の給与制度改正には経過措置が設けられていることに留意しつつ、当面地域手当の支給割合を2%引き下げる。(医療職給料表(1)が適用される職員を除く。)

(2) 改定の実施時期等

 改定条例の公布日の属する月の翌月から実施すること。なお、平成24年4月からの年間公民給与を均衡させるため、医療職給料表(1)適用の職員及び給与減額措置が実施されている職員を除き、本年8月に給与制度の改正が実施されていることを勘案しつつ、平成24年12月期の期末手当において、所要の調整措置を講じること。

3 勧告に基づく職員給与の試算

平均給与など(減額措置前)

行政職

4月時点

8月給与制度改正後ⅰ

勧告実施後試算額ⅱ

増減(ⅱ-ⅰ)

平均給与額

425,686円

421,745円

414,509円

▲7,236円

平均年間給与額

6,752,139円

6,696,473円

6,581,580円

▲114,893円

(参考)行政職 11,939人、平均年齢 42.3歳

<影響額(上表のとおり勧告が実施された場合の試算額)>

行政職  約▲13.7億円

意見

1 民間給与の把握のための賃金構造基本統計調査(賃金センサス)の活用

(1) 賃金センサスと職種別民間給与実態調査(民間給与調査)の相違点

 ア 調査データのタイムラグ

 民間給与調査では、当年4月分の月例給と前年8月から当年7月までに支払われた賞与等の特別給を調査しているが、賃金センサスでは、当年6月分の月例給と前年1月から12月までに支払われた特別給を調査し、それを翌年2月に公表しているため、職員給与との比較に用いる月例給データは前年6月分となり、特別給は前々年1年間のデータとなる。

 イ 月例給からの通勤手当額の分離

 民間給与調査では、実費弁償的な要素の強い通勤手当額を把握し、月例給から分離しているが、賃金センサスでは、実費弁償的な要素の強い通勤手当額を把握できず、月例給から分離できない。また、個々の月例給データに通勤手当額が含まれているか否かも判然としない。

 ウ 役職段階の把握

 民間給与調査では、従業員の役職段階を、部長や課長といった基幹的な役職に加え、次長や課長代理などの中間的な役職を含む8段階で調査しているのに対し、賃金センサスでは、部長級、課長級、係長級、非役職者の4段階の調査となっている。また、役職段階等が把握できるのは常用労働者100人以上の企業に限られる。

(2) 賃金センサスの結果の活用方法

 人事院及び全国の人事委員会は、職員給与と民間給与との比較において、公務と民間の同職種の常勤職員について、役職段階、学歴、年齢を同じくする者同士を比較するというラスパイレス方式を採用しているが、賃金センサスでは、(1)の様な課題の解消なくしてその調査結果を用いてラスパイレス比較を行うことは適当ではないと考える。

 また、月例給以上に経済変動に影響されやすいと考えられる特別給について、約2年間のタイムラグのある賃金センサスの調査結果を直接活用することは適当ではないと考える。

 そこで、現時点では、月例給について、民間給与の傾向を賃金センサスの結果から把握するという方法を検討する。

 (賃金センサスに基づく民間給与の傾向)

 市内の民間事業所では、年齢階層の上昇に伴って所定内給与も増加するが50歳台前半層をピークに50歳台後半層から低減する傾向がみられ、この傾向は人事院が平成22年勧告において言及している内容とも一致している。

2 給与制度等に関する課題

(1)給料表の構造と職員の執務意欲の維持・向上

 本年8月の給与制度の改正により、多くの職員に最高号給が適用される状態になっており、最高号給以下の号給が適用されている職員についても相当早く最高号給に到達することになる。これらの最高号給に到達した職員については、その業績が昇給に反映されないことになり、執務意欲の低下が懸念されるところである。組織全体の活力を維持・向上させていくため、優秀な職員を積極的に抜擢することを進めるとともに、昇格するまでに至らない多くの職員についても、その執務意欲の維持・向上を図るための方策を検討する必要がある。

(2) 昇給・昇格制度

 本年、人事院は、50歳台後半層における給与上昇をより抑制するため、昇給・昇格制度の改正を勧告した。本市においては8月に実施された給与制度の改正により50歳台の職員の給与水準の上昇は一定抑制されているなど、国とは異なる状況もあるため、昇給・昇格制度の見直しについては、本市における人事運用の実態を踏まえながら検証・検討していく必要がある。

(3) 住居手当

 本市では、本年8月からの給与制度の改正により、持家に係る住居手当が廃止されたが、これは任命権者において住居手当の在り方について検討された結果であると考える。本委員会としては、今後、賃貸に係る住居手当等、住居手当の制度全般について民間や他都市の状況も踏まえながら、研究・検討を進める。

(4) 賃金センサスの活用方法の更なる検討

 賃金センサスの活用については、緒についたばかりであり、本委員会としても今後、更に研究・検討を進め、より良い活用方法を模索していく必要があり、大阪府人事委員会等と共同して研究・検討を進めてまいりたい。

3 高齢期における職員の活用

 公的年金の支給開始年齢の段階的引上げに伴い、雇用と年金の接続が課題となっている。また、少子・高齢化が急速に進む中、高齢者の能力や経験を、有効に活用していくことが求められている。この問題につき、本年3月の「国家公務員の雇用と年金の接続に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)では、定年退職する職員がフルタイムでの再任用を希望する場合には任命権者は再任用を行うものとするとされたところであるが、高齢期における職員の活用について、本委員会の基本的な認識は以下のとおりである。

(1) 本市における高齢期職員の雇用確保策

 地方公務員の定年については、国家公務員の定年を基準に定めることとされていること、民間企業では再雇用等の継続雇用制度による対応が多数となっていることを考慮すると、再任用制度の活用によることが適当であると考える。

 (2) 再任用に関する課題

 ア 再任用の要件

 基本方針の内容等を踏まえ、再任用の要件を検討していく必要があるが、本市の組織、人事管理の将来像を見据え、能力・実績に応じた任用を徹底することなどを考慮する必要がある。

 イ 再任用の形態及び再任用者が担う職務

 現行、一般的ではないフルタイムでの活用や定年前と同等の職務に従事させることも検討していく必要がある。一方で、今後、再任用希望者が大幅に増加した場合、職域の確保が大きな課題となるが、高齢期職員が本市内外において長年培ってきた豊富な知識・経験を組織内で有効活用するという積極的な視点に立って、その職域の確保について検討を進めていく必要がある。

 ウ 職員の意向の把握

 高齢層職員の能力と経験を適切に活用できるよう、組織体制や職務分担の見直し等を行っていくことが必要であり、個々の職員の将来のキャリアプランに関する意向を把握し、職員の配置や育成に取り組むことが必要である。

 エ 再任用職員の給与の在り方

 今後具体的に想定される再任用職員の職務や勤務形態等を踏まえ、適切な給与上の措置を検討する必要がある。

 オ その他

 高齢期職員を活用する一方で、若手職員の計画的な確保が可能となるよう、今後、定員上の取扱いについて検討する必要がある。また、公務能率及び組織活力の維持の観点から、能力・実績に基づく人事管理を推進していくことが重要である。

4 時代の変化に即応した活力ある組織づくり

(1) 継続的組織運営に必要な多様かつ有為な人材確保

 本委員会として、年齢構成のゆがみの是正等を念頭に、採用者数拡大の方針が明確にとられた点を評価するものである。今後、一定規模での採用にあたっては、本年行った採用試験の見直しの結果の検証と、いわゆる新規学卒者と社会人経験者採用者の採用比率の検討が必要である。

(2) 人材の育成

 ア  能力・実績に基づく適正な人事評価とその結果の活用

 平成25年度からの相対評価による人事評価制度の本格実施に向けて、相対評価する単位の設定は適切か等の点を検証の上、制度を整備しつつ、人事評価を人材育成に資するものとして、積極的に活用していくことが重要である。

 また、今後、上位評価を得ても、その実績が昇給に反映されない職員が多数生じることが考えられるが、より職員の執務意欲の向上に資するよう、給与面、任用面ともに反映の方法について、さらに検証・検討を進めていく必要がある。

 イ 自律的な人材の育成

 人材育成は各職場での実際の職務経験等によるところが非常に大きいため、管理職員が、能力、適性に応じて部下職員を指導、育成していく役割を適切に果たしていくことが最も重要である。また、引き続き各職員の能力、適性に基づく育成の取組を進めることによって、女性職員の管理職登用を積極的に行っていくことが必要である。

5 誰もが働きやすい職場環境づくり

(1) 適切な勤務時間管理と超過勤務の縮減

 超過勤務の縮減は、単に歳出削減の必要性から生じるものではなく、職員の健康を保持し、ワーク・ライフ・バランスを図ることで職員の執務意欲を高め、公務能率を向上させるために重要であることを再度認識し、取組を進めていく必要がある。その取組の成果を上げるためには、超過勤務が発生する要因を分析し、具体的な改善策を図っていくことに加え、管理職員がその役割を適切に発揮することが重要となる。

(2) 両立支援の推進

 男性職員の育児休業等の取得率は極めて低率に止まっている。本市で措置している両立支援に係る制度内容を職員に更に周知するとともに、職員の希望に沿って制度を利用することができるような職場環境づくりに職場全体で取り組む必要がある。

(3) メンタルヘルス対策の推進

 心の健康問題による病気休職者の増加に歯止めはかかっていないのが現状である。メンタルヘルス対策を組織マネジメントの問題としてとらえ、各所属がより主体的にこの問題に対処していく姿勢を持つことが必要である。昨年度から実施されているストレス調査の結果も踏まえ、引き続き各職場において、更なる改善の取組を進めていくことが求められる。

過去の給与勧告等

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