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大阪市ダイオキシン類対策方針

2016年12月5日

ページ番号:199105

平成10年8月策定
平成13年2月改定
平成25年2月改定

目次

はじめに

  1. モニタリング・調査研究の推進
    1-1 <環境モニタリング>
     (1)大気
     (2)公共用水域(水質・底質)
     (3)地下水
     (4)土壌
     (5)水生生物
    1-2 <健康影響調査> 
     (1)母乳調査等
     (2)食品調査
     (3)水道水調査
    1-3 <調査研究等>
  2. 発生源対策の推進
    2-1 <廃棄物焼却炉の排出抑制>
     (1)本市焼却工場
     (2)本市下水処理場の汚泥焼却炉
     (3)本市保有のその他の焼却炉
     (4)事業者等設置の焼却炉
    2-2 <廃棄物焼却炉以外の排出規制>
    2-3 <排水についての排出規制>
     (1)本市下水処理場からの排出水
     (2)事業者等からの排出水
    2-4 <最終処分場の維持管理>             
    2-5 <指導指針の改定>
  3. 協働・連携の推進
    3-1 <市民、事業者、行政の協働>
    3-2 <大阪府及び近隣市との連携>
    3-3 <国への要望>
  4. 化学物質対策の展望

はじめに

ダイオキシン類問題は、市民の健康を守る立場から、全力をあげて取り組まなければならない重要な課題である。本市においては、平成9年8月、「大気汚染防止法(以下、「大防法」という。)」 や「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、「廃掃法」という。)」の政省令の改正により、ダイオキシン類の排出濃度基準等が定められたことなどを踏まえ、平成9年10月に「大阪市ダイオキシン類対策連絡会」を設置し、関係部局間の情報交換及び連携を図ってきた。さらに、平成10年8月、当面の本市が取り組むべき総合的な対策の内容や、施策の方向を明らかにした「大阪市ダイオキシン類対策方針」 を策定し、モニタリング、発生源対策、協働・連携の推進について、関係各局が分担し、連携を図りつつ取り組んできた。

国においては、平成11年3月、ダイオキシン対策関係閣僚会議において「ダイオキシン対策推進基本指針」が策定され、ダイオキシン類対策の基礎となる耐容一日 摂取量(TDI)の見直しなどの方向性が示され、平成12年1月には、ダイオキシン類による環境汚染の防止及びその除去等を図り、国民の健康を保護することを目的とした「ダイオキシン類対策特別措置法(以下、「特別措置法」 という。)」が施行された。特別措置法においては、ダイオキシン類に新たにコプラナーPCBが加えられるともに、大気の汚染、水質の汚濁(水底の底質の汚染を含む。)、土壌の汚染に係る環境基準の設定や特定施設の指定、排出基準等の設定等、ダイオキシン類対策の強化が図られている。

「大阪市ダイオキシン類対策方針」の改定は、こうしたダイオキシン類対策に係る国の動向を踏まえ、これまでの施策の実施結果を検証し、対策の一層の充実を図るために行ったものである。

なお、今後も各種施策の実施状況を検証・公表するともに、その成果を見極めながら、必要に応じ見直しを図っていくこととする。

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1.モニタリング・調査研究の推進

1-1<環境モニタリング>

特別措置法には、大気、水質、底質及び土壌中のダイオキシン類による汚染の状況を常時監視することが規定されている。

本市では、平成9~10年度、ダイオキシン類(PCDD十PCDF)のモニタリングを実施してきたが、平成11年度からは特別措置法に先駆けて、コプラナーPCBを加えたダイオキシン類のモニタリングを行っている。

今後、これら環境中ダイオキシン類濃度のモニタリングの充実を図り、ダイオキシン類の改善効果及び環境基準の達成状況を把握する。

(1)大気

市内一般環境大気中のダイオキシン類のモニタリングは、平成9年度に市内 5地点で開始して以降、平成10年度は、調査回数を年2 回から4 回に、平成11年度は、調査地点を10地点に拡充し実施した。ダイオキシン類濃度は平成 9 年度から年々低下しており、平成11年度の調査結果は、地点毎の年平均値が0.11~0.27ピコグラム-TEQ/立方メートル、市域の年平均値が0.18ピコグラム-TEQ/立方メートルであり、環境基準値の0. 6ピコグラム-TEQ/立方メートル 以下であった。

【今後の方針】
平成12年度以降も調査地点の拡充を検討しながら引き続き調査を実施する。

(2)公共用水域(水質・底質)

市内公共用水域における水質のダイオキシン類のモニタリングは、平成9年度から海域2地点、河川2地点で、年1回実施している。平成11年度の調査結果は、海域では、0.074、0.13ピコグラム-TEQ/リットル 、河川では、0.38、1.0ピコグラム-TEQ/リットルであり、環境基準値の1ピコグラム-TEQ/リットル以下であった。

底質については平成11年度から年1回、水質と同一地点で調査を開始した。その結果、海域では21、66ピコグラム-TEQ/グラム、河川では2.1、140ピコグラム-TEQ/グラムであった。

【今後の方針】
平成12年度以降は、公共用水域の環境基準点等において、水質と底質の調査を実施し、比較的高い濃度が見られた地点周辺等における調査の充実を図るとともに、水生生物との関連についても、その知見の充実を図っていく。

(3)地下水

特別措置法に、地下水の汚染状況を監視することが規定された。

【今後の方針】
地下水のモニタリングは、平成12年度から調査を実施する。

(4)土壌

土壌のモニタリングは、平成9~10年度は3地点で実施、平成11年度は6地点に拡充し実施している。平成11年度の調査結果は1.2~7.0ピコグラム-TEQ/グラムであり、環境基準値の1,000ピコグラム-TEQ/グラム以下であった。

【今後の方針】
平成12年度からは、土壌汚染の特性である蓄積性、偏在性等に鑑み、過去に実施 した調査結果も踏まえ、包括的に調査を実施する。

包括的調査の結果、環境基準値(1,000ピコグラム-TEQ/グラム)や調査指標値(250ピコグラム-TEQ/グラム)の超過が判明すれば、その地点及び周辺において追加調査を実施する。

(5)水生生物

大阪湾に生息するムラサキイガイのモニタリングは、平成9 年度以降、毎年2 検体について実施している。平成11年度の調査結果は2.7、6.0ピコグラム-TEQ/グラムであった。
なお、水生生物に係る環境基準等の設定はない。

【今後の方針】
引き続き調査を実施し、その推移を監視していく。

環境基準

媒体

基準値

備考

大気

0.6ピコグラム-TEQ/立方メートル以下

・基準値は、2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシンの毒性に換算した値とする。
・大気及び水質(水質の底質を除く。)の基準値は、年間平均値とする。
・土壌中に含まれるダイオキシン類をソックスレー抽出又は高圧流体抽出し、高分解能ガスクロマトグラフ質量分析計、ガスクロマトグラフ四重極形質量分析計又はガスクロマトグラフ三次元四重極形質量分析計により測定する方法(以下「簡易測定方法」という。)により測定した値(以下「簡易測定値」という。)に2を乗じた値を上限、簡易測定値に0.5を乗じた値を下限とし、その範囲内の値をこの表の土壌の欄に掲げる測定方法により測定した値とみなす。
・土壌にあっては、環境基準が達成されている場合であって、土壌中のダイオキシン類の量が250ピコグラム-TEQ/グラム以上の場合(簡易測定方法により測定した場合にあっては、簡易測定値に2を乗じた値が250ピコグラム-TEQ/グラム以上の場合)には、必要な調査を実施することとする。

水質(水底の底質を除く。)

1ピコグラム-TEQ/リットル以下

水底の底質

150ピコグラム-TEQ/グラム以下

土壌

1,000ピコグラム-TEQ/グラム 以下

  • 大気の環境基準は、工業専用地域、車道その他一般公衆が通常生活していない地域又は場所については適用しない。
  • 水質の環境基準は、公共用水域及び地下水について適用する。
  • 土壌の環境基準は、廃棄物の埋立地その他の場所であって、外部から適切に区別されている施設に係る土壌については適用しない。
1-2<健康影響調査>

国及び地方公共団体が講ずるダイオキシン類に関する施策の指標とすべき耐容一日摂取量がコプラナーPCBを含め体重1キログラム当たり 4ピコグラムと定められたことから、今後、母乳・食品・水道水等のダイオキシン類調査の充実を図っていく。

(1)母乳調査等

母乳調査においては、平成9年度から国の調査に協力しながら進め、平成11年度からは、本市独自で調査を実施している。
その調査結果によると、母乳中のダイオキシン類濃度は、全国平均と同じレベルにあり、年々減少している。
平成11年度では、母乳中の脂肪1グラムあたりの平均濃度は23.7ピコグラム-TEQ/グラムであった。

【今後の方針】
食習慣等と母乳中のダイオキシン類濃度との関連について評価を行う。また、血液中ダイオキシン類濃度調査の実施についても検討していく。

(2)食品調査

人体に取り込まれるダイオキシン類の 90%以上が食事由来とされていることから、平成 8年度から魚類に含まれるダイオキシン類濃度を調査し、平成 11年度は市内に流通する魚介類10種類について実施した。その調査結果は0.000222~7.2ピコグラム-TEQ/グラムであり、その平均値は1.4ピコグラム-TEQ/グラムであった。

現在のところ、個別食品の規制値は設定されていないが、旧厚生省の平成11年度個別食品(魚介類)の調査結果(0.003~23.093ピコグラム-TEQ/グラム、平均値:1.492ピコグラム-TEQ/グラム)と同等の範囲内であった。

【今後の方針】
平成12年度からは、魚介類調査に代えて、市民の総摂取量を正しく把握するため、食品を実際の食事で摂取する状態にしたうえで測定する方式(トータルダイエットスタディ方式)によるダイオキシン類の一日摂取量調査を実施する。

(3)水道水調査

平成10年度から本市も協力し、旧厚生省の水道水のダイオキシン類全国実態調査が行われた。その結果、柴島浄水場の浄水については、水道水の水質基準の指針値である1ピコグラム-TEQ/リットルの概ね200分の1程度と、安全上特に問題となるレベルではないことが 確認された。

【今後の方針】
ダイオキシン類が水道水の水質基準を補完する「監視項目」に追加されたことから、平成12年度以降は全浄水場について定期的に調査を実施する。

1-3<調査研究等>

ダイオキシン類の検査分析には、超高感度の分析技術が要求される。また、ダイ オキシン類には現在毒性等価係数が定められているものが 29種類あり、それぞれ 毒性も異なることから、異性体を精度よく分離、定量することが要求される。このため、平成11年度に分析機器及び分析室等の追加整備により、調査体制の強化を図ってきた。

【今後の方針】
ダイオキシン類の環境中の挙動や食品への蓄積状況、測定分析方法、排出抑制対策などの調査研究を一層進めるとともに、検査の信頼性の向上を図るため、以下の取組を行っていく。

  1. 市内のばい煙発生施設からのダイオキシン類の排出実態を調査し、未把握発生源の把握を行い、排出量の推計を行う。
  2. 大気、土壌等のモニタリングデータ及び発生源データ等を総合的に解析し、大気環境等に与える発生源別寄与の調査を行う。
  3. 焼却工場、最終処分場等廃棄物処理関連施設の排出抑制対策の検討を行う。
  4. 食品、母乳等から人が直接に摂取するダイオキシン類の調査並びに総合的な解析を行う。
  5. 国が実施する環境測定分析統一精度管理事業や食品の外部精度管理の研究事業に参画するとともに、民間検査機関の指導や他自治体試験研究機関との連携を進める。

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2.発生源対策の推進

2-1<廃棄物焼却炉の排出抑制>
(1)本市焼却工場

大阪市の焼却工場は、平成12年12月末現在、市内 9ヶ所において稼働している。施設規模は、森之宮工場が900トン/日であり、それ以外はすべて600トン/日となっている。平成11年度には161.3万トン*の一般廃棄物の焼却を行っている。

市内の焼却工場からの排出ガス中のダイオキシン類濃度は、燃焼管理の徹底により、平成11年度の測定結果では、0.22~3.7ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートルであり、当時の排出ガス基 準である80ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートルを大幅に下回っている。
(*本市八尾工場を除く、市内9工場の焼却量)

【今後の方針】
平成14年12月からは、排出ガス基準が1ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートル(焼却能力 4トン/時以上の廃棄物焼却炉)に強化されるため、施設改造や工場の建替え等を年次計画的に実施 し基準を遵守するとともに、ごみの減量化を推進し、平成15年度には、ダイオキシン類排出量の平成9年度比約80%の削減をめざす。あわせて、ばいじんの分離貯留・薬剤処理設備等の設置を図る。
また、焼却工場からの排出ガス、排水、ばいじん等のダイオキシン類の測定を全工場について実施し、適正な維持管理に努める。

(2)本市下水処理場の汚泥焼却炉

大阪市では、12下水処理場において発生する下水汚泥を放出・津守・平野下水処理場内の下水汚泥焼却炉において焼却処分しており、平成11年度は、25.8万トンの汚泥焼却を実施している。平成11年度の排出ガス中のダイオキシン類濃度測定結果では、0.00018~0.041ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートルであり、平成14年12月から適用される排出ガス基準の 1 ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートル(焼却能力 4トン/時以上の廃棄物焼却炉)を下回っている。

【今後の方針】
排出ガス及びばいじん等のダイオキシン類濃度の測定を行い、適正な維持管理に努める。

(3)本市保有のその他の焼却炉

現在、胞衣汚物等の焼却炉が 5 施設あり、平成11年度の排出ガス中のダイオキシン類濃度測定結果は0.74~1.1ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートルであり、平成14年12月から適用される排出ガス基準の10ナノグラム-TEQ/ ノルマル立方メートル(焼却能力 2トン/時未満の廃棄物焼却炉)を下回っている。
また、特別措置法等の対象とならない小型焼却炉は、原則として使用を中止している。

【今後の方針】
排出ガス、排水及びばいじん等の測定を実施し、適正な維持管理に努める。

(4)事業者等の設置の焼却炉

事業者設置の廃棄物焼却炉については、大防法、廃掃法及び「大阪市ダイオキシン類対策指導指針(以下、「指導指針」という。)  」に基づき立入検査、測定等の 指導を実施してきた。その結果、すべての施設で排出ガス中のダイオキシン類濃度は当時の基準 (80ナノグラム-TEQ/ノルマル立方メートル)を下回っていた。

【今後の方針】
ダイオキシン類の排出抑制が一層進むよう以下の取組を行っていく。

  1. 平成14年12月から適用される排出ガス基準に適合しないおそれのある施設については、早期の適合を目指した設備改善のために必要な情報提供・相談の充実を図る。
  2. 排出ガス及びばいじん等について測定義務や排出基準等の遵守について規制指導する。
  3. 排出基準に適合しない施設については、改善命令の実施などを含め、施設が適切に維持管理されるよう規制指導を強化する。
特別措置法届出件数の規模別施設数分布(事業者等設置の焼却炉)
特別措置法届出件数の規模別施設数分布

・1時間当たりの処理能力が4000キログラム以上 3施設
・1時間当たりの処理能力が2000から4000キログラム 3施設
・1時間当たりの処理能力が200から2000キログラム 16施設
・1時間当たりの処理能力が200キログラム未満 17施設

また、家庭用等の小型焼却炉については、啓発用パンフレットや本市広報紙等を 活用し、ダイオキシン類排出抑制のための正しい知識の普及啓発を図るとともに、 廃棄物の分別、減量化を徹底することにより、できる限り焼却しないことを指導する。

2-2<廃棄物焼却炉以外の排出抑制>

製鋼用電気炉については、大防法及び指導指針に基づき立入検査、測定等の指導を実施してきた。その結果、すべての施設で排出ガス中のダイオキシン類濃度は当時の基準 (20ナノグラム-TEQ/ノルマル立方メートル) を下回っていた。

また、特別措置法では、製鋼用電気炉に加えて、新たに焼結施設、亜鉛回収施設、アルミニウム合金製造施設が特定施設とされた。

また、焼却炉を使用しないで廃棄物を焼却する「野外焼却」については、従前から黒煙等についての苦情があり、ダイオキシン類の排出についても懸念されている。

「大阪府生活環境の保全等に関する条例(以下、「府条例 」という。) 」 では、ゴム、いおう、合成樹脂、廃油、廃液等の「屋外燃焼行為」を禁止しており、さらに、平成12年 6 月、廃掃法が改正され、「野外焼却」 の禁止が明確化されるとともに、 直罰規定が設けられた。

【今後の方針】
ダイオキシン類の排出抑制が一層進むよう以下の取組を行っていく。

  1. 平成14年12月から適用される排出ガス基準に適合しないおそれのある施設については、早期の適合を目指した設備改善のために必要な情報提供・相談の充実を図る。
  2. 排出基準に適合しない施設については、改善命令の実施などを含め、施設が適切に維持管理されるよう規制指導を強化する。
  3. 「野外焼却」については、関係部局の連携をさらに密にして、禁止の徹底を図る。
2-3<排水についての排出抑制>
(1) 本市下水処理場の排出水

特別措置法では、廃棄物焼却炉における排ガス洗浄施設等が特定施設とされ、この特定施設からの汚水を含む下水を処理する下水道終末処理施設も特定施設とされた。
本市の12下水処理場はいずれも特定施設からの汚水を受け入れており、特定施設となる。

【今後の方針】
全下水処理場の放流水のダイオキシン類濃度を把握し、適正な維持管理に努める。

(2)事業者等からの排出水

事業者設置の特定施設については、公共用水域へ排出している事業者は特別措置法で、公共下水道へ排出している事業者は下水道法で規制されている。

【今後の方針】
特別措置法及び下水道法に基づき立入調査を行い、施設の維持管理の徹底や測定等の実施について規制指導する。

2-4<最終処分場の維持管理>

平成10年には、廃掃法に基づく「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める命令」の改正が行われ、最終処分場の構造基準の強化、管理の徹底が図られることとなった。
今回、特別措置法等により、最終処分場からの処理水の放流による生活環境への影響を一層低減させるため、新たに、ばいじん等に含まれる量の基準(3ナノグラム-TEQ/グラム)及び最終処分場の浸出液処理設備からの放流水の水質基準(10ピコグラム-TEQ/リットル)が定められた。

【今後の方針】
最終処分場における放流水の水質の適合状況を把握するとともに、処分場周辺の地下水等の測定、ばいじん等の飛散・流出防止措置等、最終処分場が適切に維持管理されるよう指導する。

2-5<指導指針の改定>

本市では平成10年10月に発生源に対する排出抑制を図るため指導指針を定め、大防法、廃掃法、府条例の対象となる廃棄物焼却炉及び製鋼用電気炉について排出基準・構造基準・維持管理基準を設定し、その遵守等を指導してきた。

【今後の方針】
特別措置法が施行されたことに伴い、同法の対象となる廃棄物焼却炉を指導対象施設として追加し、排出基準・構造基準・維持管理基準の遵守指導等によるさらなる排出抑制を図る。

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3.協働・連携の推進

ダイオキシン類対策の実効性を確保するためには、市民、事業者、行政などがダイオキシン類の削減について、それぞれの果たすべき役割を明確にし、互いに連携することが重要である。

本市としては、大阪市ダイオキシン類対策連絡会を設置し、各局の連携のもと、 調査・対策を進めてきたが、今後とも各種施策の円滑な推進を図るなど、適切な進 行管理を行っていく。また、今後新たな問題が発生した場合には、必要に応じ、学識経験者による「検討会」を設置するなど、問題の解決に向けて的確に取り組んでいく。

3-1<市民、事業者、行政の協働>

ダイオキシン類の排出を抑制するためには、発生源対策はもとより、廃棄物の減量が重要であり、このためには、市民、事業者、行政の役割を明確にし、減量についての幅広い取組や協働・連携が必要である。
また、ダイオキシン類に関する理解の増進のための積極的な情報提供を行っていくことも重要である。
これらの点を踏まえ、本市としては以下の取組を行っていく。

  1. 「大阪市環境影響評価条例」の対象となる大規模な事業の実施にあたっては、同条例の規定を適切に運用し、より環境に配慮したものとなるよう求めていく。
  2. ごみ減量化に向けての市民や事業者の自主的取組を促進するため、情報提供、啓発、支援、働きかけなどを推進する。
  3. 市民や事業者などへ「環境にやさしい商品」等の普及を図り、環境に配慮した消費活動等を促進する。
  4. 再生品等の新たな需要を創出し、「環境にやさしい商品」の普及を促進するため、庁内において環境に配慮した物品の購入率の向上をめざす。
  5. 対策方針に基づき実施した環境モニタリングの結果や健康影響の実態等についてわかりやすい形の情報提供に努めるとともに、ダイオキシン類問題についての理解と協力を得るため、パンフレットの作成配布を行う。
  6. PRTR制度の活用等によりダイオキシン類の排出量を把握し、情報提供に努める。
3-2<大阪府及び近隣市との連携>

大阪府及び近隣市とは、法の円滑な推進を図るため、さまざまな機会を通じて、情報の交換等を行うことにより、市民や事業者に対して、適切な啓発・指導が行えるよう連携に努める。

3-3<国への要望>

国に対しては、底質の環境基準の早期制定や環境中の挙動や健康影響に関する調査研究の推進、簡易測定手法の開発、排出抑制技術の確立、廃棄物のリサイクルの徹底を図るための素材表示等の促進や財政的支援措置など、必要な要望を行う。

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4.化学物質対策の展望

ダイオキシン類については、法制度が整備され、今後も法や本対策方針に基づき 的確に施策を進めることにより、さらなる排出削減が図られることとなった。

しかしながら、ダイオキシン類のように非意図的に発生するものの他にも様々な化学物質が広く利用されており、これらによる環境への影響が懸念されている。

これらの化学物質への対応として、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR法)」 が平成11年 7 月に公布され、平成13年度からはダイオキシン類を含む354物質を対象に排出量の把握が開始されることとなっている。この法律は、物質ごとに基準を設定するという従来の規制法とは異なり、幅広い化学物質を対象としており、事業者と国民の理解の下、事業者による排出量の把握と自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するものである。同法の目的の達成のためには、排出状況や管理状況等に関する正確な情報を国民、事業者、行政などが対等の立場で共有し、相互に意見交換を図ること(リスクコミュニケーション)が重要であり、現在、国においてその手法が検討されているところである。

本市としては、引き続きダイオキシン類対策を着実に進めることはもちろん、今後、PRTR法の円滑な運用等により、より広い視野に立って化学物質対策を進めていくこととする。

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住所:〒559-0034 大阪市住之江区南港北2-1-10 ATCビルO’s棟南館5階

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ファックス:06-6615-7949

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