令和7年度 第207回 大阪市入札等監視委員会(会議の概要)
2025年10月1日
ページ番号:664109
開催日時
令和7年9月26日(金曜日) 14時00分から16時00分まで
開催場所
大阪市契約管財局会議室
出席委員
森本浩久委員長、森山浩江委員長代理、荒井敬介委員、藤井安子委員
議題及び議事要旨
⑴ 議題 令和7年4月分~令和7年6月分の契約状況について
【審議1】戸籍における氏名の振り仮名届出コールセンター運営等業務委託
事務局より説明の上、審議を行った。
ア 議事要旨
委員:本件の一番の問題は、低入札率であることと考える。安価という利点がある一方、一般的には、品質不良や公平な競争の阻害、企業経営や労働環境への悪影響、さらに、契約途中の契約解除など、発注者側にも様々なリスクをもたらすように思われる。本件では、現時点までに私が述べたような問題は生じていないか。
市民局(以下「市民」という。):現時点では適切に履行されており、大きな問題はないと考えている。特に、品質について懸念されるが、コールセンターからのエスカレーションも問題なく処理されている。
委員:結果論ではあるが、想定よりも電話の件数が少ないので、安価でも業務が適切に遂行できた可能性もある。つまり、予定価格が本当に適正であったのかという可能性を十分疑い、検証すべきではないか。今回、3者から見積りを取り、その平均を予定価格として設定したとのことだが、従前の同種業務など参考にできる事例はなかったのか。
市民:見積りについては、新規事業であったため、単に見積りを取るだけではなく、事業者へのヒアリングを重ね、どのような体制を仕様に盛り込むべきか十分に検討した上で仕様を策定した。戸籍や住民情報に関する大規模な業務は、初となる取組であったため、過去事例を参考とすることは難しかった。よって、比較的対象者数が多かった、市民への送付物に対するコールセンターを設置している給付金関連業務のコールセンター入電率などを参考に、想定件数を検討した。また、本件戸籍事務に関する他都市の入電率の想定を確認したところ、政令市を中心に10%から30%ほどの反応率で設定されるケースがあり、それらも参考とした。
委員:結果的に入電数の想定が外れたということ。予定価格の設定は、発注者が責任を持って行うべきだが、見積りを徴取する行為は、予定価格の設定に入札参加者となりうる者の意見が介在するものとも言える。平均をもって予定価格を決するのは、入札参加者側に、予定価格決定を委ねているように捉えられかねない。売り手は、高い予定価格を設定したいので、高めの見積りを提出し、予定価格が上振れする可能性があるが、そのリスクは考慮しないのか。
市民:複数事業者からのヒアリングを行う、見積条件を調整する等して、予定価格が不当に上振れしないように注意している。見積事業者数を増やし過ぎると、条件の違いにより上振れするケースが生じうるため、その見極めをするように心がけている。
委員:大阪市では、予定価格と実際の入札価格にどれほど乖離があるのか検証、データ化し、上振れ率を把握しているのか。
市民:全ての案件について落札率が何%かなどのデータを体系的に集約してはおらず、検証も個別の低落札事例についてのみ実施している。
委員:過去の見積金額等と落札価格の乖離を検証し、適正な予定価格設定のための知見を作り、全庁的に活用してはどうかという意見具申である。
委員:予定価格と落札価格の差異だけでなく、予定価格を上回るものもあるなど、入札金額のバラつきが大きい点も特徴である。この差異は、例えば、仕様書の示し方に何らかの問題があったのか、又は入電数の見通しがつきにくい案件であったためであるのかなど、どのような認識か。
市民:まず、初の事案ゆえ、比較対象となるものに乏しいことが要因の一つと認識している。発注に際し、我々としても可能な限りの情報を精査の上、制度の内容、求める要件、必要な体制等を仕様書に反映したと考えている。ただ、事業者の視点から見ると、仕様書からは表面化しない難易度の差異が存在した可能性は否定できない。もっとも、応答率に応じた人員配置をすれば良いという仕様であり、特段問題はないと考えている。
委員:クレーム等の検証体制については、どの様になっているのか。
市民:クレームには、2種類あると認識している。送付されてきたものが何なのかという制度に関するクレームと、通知内容がおかしいといった個別内容のクレームである。事業者には、制度の説明・クレーム対応を依頼している。通知内容に関する確認は、戸籍や住民基本台帳の照会が必要となるため、本市が対応している。実際に、通知内容に関するクレームも一定数発生しており、適切にエスカレーションを受け、本市にて対応している。これらより、一定の役割分担を行った上で、検証ができているものと考える。
委員:本件は、人件費が主な経費となる構造の業務だが、なぜここまで金額差が生じるのか。また、予定価格の設定について、もう少し適切な設定はできなかったのか。
市民:今回の入札結果については、落札額を見て驚くほど低落札率であった。契約に際し、指摘にもあった様に、品質確保ができるのかという疑念が生じることから、低落札率の理由を落札者に確認したところ、全国的に同時に、同様の業務が発注され、多数の受注を獲得したことが理由であるとのことであった。それにより、シェアードという形で他のコールセンター業務と人員を共用できたため、人件費を抑制できたということである。見積りの時点では、受注を見越して、シェアードを前提とした積算が困難であり、予定価格の設定を難しいものにしている。
委員:すなわち、コールセンターの担当者は、大阪市のみならず、他自治体の業務も兼ねるということか。
市民:そのとおりである。通知書のデザイン等は自治体ごとに異なるが、内容自体は全国統一的な基準が存在するため、担当者がどの自治体の案件かを確認すれば、十分に対応できる業務であると聞いている。
委員:つまり、他自治体も受注していれば、低価格で入札可能ということだが、初期の積算段階でも、更に安価に予定価格を設定できた可能性もあると思うが。
市民:結果的には、そのような面もあったと考える。ただし、それを前提として、予定価格を過度に抑制すれば、今度は、予定超過のリスクが生じるため、今回の設定には反映していない。条件を提示した上で、平均額で算出した。
委員:通知書の発送についてだが、全世帯分の発送が終了し、8月は繁忙期であったとのこと。実際に、コールセンターへの着信はどれほどあったのか。
市民:発送は、8月上旬から下旬にかけて実施した。当初は7月下旬を予定していたが、データ内容の不備等への対応が必要であったため、8月に集中した結果となった。このため、入電数が8月に一挙に増加した。着信件数は、分散送付したことで一日当たりおよそ400件程度であり、想定より少ない結果であった。ただし、改正法の施行日以降、一時的に件数が増加した。事前にデータ整備を徹底した結果、コール件数自体もやや下振れした。なお、5月よりコールセンターで対応していた理由は、法施行や国からの広報があり、問合せが多くなると見込んだからであるが、結果的には予想より少なかった状況である。
イ 委員長からの指摘・意見
本件は、極めて低い落札率となり、ダンピング受注の懸念もあったため指定案件とした次第である。しかし、先ほどからの説明を踏まえ、現時点では適正な履行が確保されていることを確認した。また、入電数予測の前例がなく、発注部門においては、仕様書作成等に相当な苦労があったものと推察する。現状を見ると、想定していた業務量や内容と実際の業務量・内容には大きな乖離があり、入札価格にも大きな幅が生じている。この点については、更に議論の余地がある案件と考える。
今回の入札状況からは、事業者間に、仕様書の解釈の相違が相当程度あったことが推察される。本件は、再度発注される性質のものではないかもしれないが、今後、同様に需要予測が難しい案件については、できる限り解釈の相違が生じぬよう仕様書を作成し、入札の公平性及び競争性を確保していただきたい。
⑵ 【審議2】令和6年度大阪市出産・子育て応援給付金事務業務委託
事務局より説明の上、審議を行った。
ア 議事要旨
委員:価格点がほとんど満点となっているが、7,000万円以上の価格差があっても点数が同じとなるのはいかがなものか。また、落札者と次順位者が3,000万円近くの金額差で僅か0.5点差というのは、価格差に見合わない点差であるのではないかと疑問を抱かざるを得ない。
こども青少年局(以下「こ青」という。):点数の付け方については、予定価格の75%以下であれば全て満点とする基準としたため、指摘のような問題が発生したものと認識する。もっとも、政策提案型の入札においては、この方式が定められており、その基準を参考としたものである。
委員:もう少し価格差に応じた点差が出る方式とすることはできなかったのか。
こ青:その点については、今となって考えれば別の方式もありえたかと思うが、当時は、先述の基準を参考としたものである。
委員:私も価格点について疑問を感じている。総合評価方式を採用している以上、価格評価と技術評価の両基準が機能してこそ意味があるところ、本件では、基準価格以下の入札金額が全て満点となっている。この状況は、価格点の設定次第で解消できるはずであり、この設定はどこが責任をもって行っているのか。技術点を重視して競争を実施する趣旨は理解するが、このような状況は、価格評価基準が十分に機能しているとは言い難いのではないか。シビアな観点で見ると、こうした設定が公平性を損なうことも想定されるがどうか。今後変更を検討するのか。
こ青:多くの入札事業者が価格点満点となっており、結果論としては、指摘のとおりと思うところもある。ただ、事業者により人員を手厚くする、あるいはシステムを重視するなど様々な考え方があり、それに沿って入札価格も設定される。そのような状況の中で、この結果となったものと考えている。今後については、何か良い手法があるか検討したい。
委員:より適切に価格差を反映できるような価格点等の設定を検討されたい。
委員:総合評価点の内訳において、技術点に重きを置いた理由として、市民対応やサービス水準の確保が挙げられているが、具体的には、どのような内容を想定していたか。今回の業務は、リピーターを得るために顧客の感動体験を創出するといったような業務ではなく、シンプルな事務を確実に提供する業務と考えている。貴重な税金を用いる以上、価格点を適切に運営しないといけないし、また、技術点優先となることは恣意性が入りうる余地を増やしてしまうと懸念するがいかがか。
こ青:技術点を7割とした理由は、今回の対象が妊婦であり、出産という重要な時期に、速やかな支給を実現するため、オンライン申請・事務処理・コールセンター対応等に高度な技術を要すると判断したためである。書類不備対応や手続の円滑性、申請システムの分かりやすさ等総合的な対応力を技術点として評価し、7割を技術点としたものである。
委員:価格面での努力が正当に評価されぬ審査基準には、公平性について疑義が生じかねないように思われる。総合評価方式は有意義な制度ではあるが、運用次第で恣意性が生じうるため、なぜこの方式と配点としたか説明責任を果たし、皆が納得できる基準作りを今後期待する。
委員:資料では5点刻みの評価基準となっているが、実際の評価ではさらに細かい採点基準を用いて評価をしているのか。
こ青:5点刻みより細かい採点基準は無い。ただ、評価するに当たって複数の有識者と打合せを行い、評価の方向性に誤りが無いかを確認している。
委員長:評価については、業務に精通した人がしっかり考えてつけられたと思うので、我々が口を出すものではないが、5点刻みの評価項目で、0.5点差を生み出すなど、評価する方も非常に頭を悩ますのではないかと感じた。
イ 委員長からの指摘・意見
本件は、市民サービスの水準及び品質の担保を目的とし、総合評価一般競争入札を実施した案件である。市民サービスの重要性は言うまでもないが、一方で、費用対効果の検討も必要である。入札結果を踏まえ、価格点や技術点の算定方法、配点等については再考の余地があると認める。また、委員の指摘にもあったとおり、一般競争入札での実施も可能であったのではないかと考える。
今後は、仕様書の策定や入札方法の選定に際し、多様な業務内容を踏まえつつ、最小の経費で最大の効果を追求する方向で、さらに検討を重ねてもらえればと思う。
会議資料
次第・審議案件資料
別冊(別冊については公表しない。)
契約状況表会議資料
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